うたって☆メロディランド♪   作:あいライス

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第4話「わくわく☆初収録」③

スタジオは流れるような連携で次の「お絵描きコーナー」への準備へ迅速に移行する。

 

 

曜「花丸ちゃん、こっちから並べるね」

 

花丸「了解ずら!」

 

 

曜と花丸が、パステルカラーの可愛らしい子供用机と椅子をテキパキと配置していく。

 

侑とせつ菜も手伝いで、人数分の画用紙とクレヨンを各席に配置していく。

 

 

侑「せつ菜ちゃん、画用紙とクレヨン足りてる?」

 

せつ菜「はい、侑さん! 大丈夫です!」

 

 

きな子も、机と椅子の向きを、子供たちが座りやすいように整えて回った。

 

 

きな子「みんなの傑作が生まれる瞬間、楽しみっす」

 

 

その設営までの数分間。

 

子供たちはセットの隅にある待機エリアで、保護者の元を離れて少しだけ不安そうにしてる子や、次の遊びへの期待でソワソワしている子など、反応は様々な子どもたちが待っていた。

 

通常なら「静かに待っててね」と声をかけるだけの時間のはず。

 

だが、今のこの場所にいるのは、子供たちにとってアイドルであるお姉さん3人だ。

 

 

ことり「みんな、準備ができるまで、少しだけ歌って待ってようか?」

 

千歌「うん! うたいたい!」

 

千砂都「よ~し、じゃ梨子お姉さん、お願いしてもいいかな~?」

 

 

お姉さんの仕事の時だけは、例え先輩でも、お互いを友達のようにため口で話すのも立派なお仕事の一つ。

 

 

梨子「ええ、任せて。とっておきのやつを弾くわね」

 

 

梨子はアイアイを弾き始めた。

 

 

ことり「♪ アイアイ!」

 

千砂都、子供たち「♪ アイアイ!」

 

ことり「♪ アイアイ!」

 

千砂都、子供たち「♪ アイアイ!」

 

ことり「♪ おさるさんだよ~」

 

 

みんなでおさるさんのポーズをしながら歌い出す。

 

 

ことり「♪ アイアイ!」

 

千砂都、子供たち「♪ アイアイ!」

 

ことり「♪ アイアイ!」

 

千砂都、子供たち「♪ アイアイ!」

 

ことり「♪ 南の島の〜!」

 

千砂都「さあ、みんなも~!」

 

ことり「♪ アイアイ!」

 

千砂都、子供たち「♪ アイアイ!」

 

ことり「♪ アイアイ!」

 

千砂都、子供たち「♪ アイアイ!」

 

ことり「♪ しっぽの長い~」

 

 

設営をしている曜たちは、その歌声をBGMに、自然と口角を上げながら作業を続けた。

 

ことりは、自分のスカートの裾をぎゅっと掴んでくる小さな手に気づき、その子の頭を優しく撫でた。

 

 

ことり「(あ~、幸せ~♪)」

 

 

梨子のピアノ、千砂都の笑顔、そしてスタッフたちの真心。

 

そのすべてが溶け合って、今、このスタジオには愛が溢れてる。

 

 

きな子「はいっ、お絵描きの準備ができたっすよ〜! みんな、好きな席に座るっす!」

 

 

「アイアイ」のラストフレーズを完璧なタイミングで弾き終えた梨子が、ことりと千砂都にウインクを送った。

 

 

ことり「さあ、みんな。今度はクレヨンで素敵な絵を描こう!」

 

千砂都「レッツゴー!」

 

 

ことりと千砂都が手を差し伸べると、子供たちは弾むような足取りで席に座っていく。

 

 

ことり「は~い♪ みんな、これを使ってお絵かきしようね~」

 

 

ことりが両手でふわりと持ち上げたのは、真っ白な画用紙とカラフルなクレヨンの箱。

 

 

千砂都「自由に好きな絵を描いていいよ! お姉さんたちにいろんな絵を見せてね~!」

 

子供たち「は~~い!!」

 

 

子供たちはそれぞれ自分の前のクレヨンに手を伸ばす。

 

 

梨子「ふふっ」

 

 

(BGM:どんな色がすき ピアノVer.)

 

 

ピアノ「~♪」

 

 

子供A「これにする!」

 

子供B「ピンクがいい」

 

 

梨子のピアノをBGMに、子供たちは思い思いにクレヨンを走らせる。

 

 

ことり、千砂都「ふふっ」

 

ことり「(なんだか、さっきまで緊張してたけど、いざ子供たちと触れてみれば、嘘みたいにどこかへ消え去っていた)」

 

 

2人は、子供たちの席へと歩みを進め、絵を描いている子供たちの様子を一人一人丁寧に見て回る。

 

 

ことり「…!」

 

 

ことりは、茶色いクレヨンで塗ってる4歳くらいの女の子のそばで静かに膝をついた。

 

 

ことり「こんにちは。 なにを描いてるのかな?」

 

女の子「んっとね~、おうちのワンちゃん!」

 

ことり「お家のワンちゃん? へぇ~!そうなんだ~! お名前はなにかな?」

 

女の子「ショコラ!」

 

ことり「ショコラちゃん?」

 

女の子「うん!これ、ショコラにプレゼントする!」

 

 

茶色のクレヨンで丁寧に塗られた丸い体、ピンクで描かれた首輪。

 

 

ことり「いいね! ショコラちゃん、これを見たら大喜びするよ!」

 

女の子「うん!」

 

ことり「(子どもって、なんでこんなに可愛いの…!)」

 

 

千砂都も、3歳くらいの男の子に近づいて膝をついた。

 

真剣な顔で青いクレヨンを握って描いてる。

 

 

千砂都「僕はなに描いてるの?」

 

男の子「しんかんしぇん!」

 

千砂都「新幹線?」

 

男の子「うん!」

 

 

黄色のクレヨンで塗られた新幹線。その上から青いクレヨンの太い線をグリグリと塗り重ねていた。

 

 

千砂都「(あっ、もしかしてドクターイエローかな?)」

 

千砂都「そっか~! 新幹線は速くてカッコいいもんね!」

 

男の子「ぼく、おおきくなったら、しんかんしぇんになりゅ!」

 

 

瞳をキラキラとさせながら放たれた、衝撃の将来の夢。

 

 

千砂都「新幹線になる!?」

 

 

千砂都は思わず、素のトーンで聞き返してしまった。

 

まさかの、新幹線そのものになる宣言が飛び出すとは!

 

 

千砂都「(って、いやいやいや、運転士さんのことを言ってるんだよね?きっと…。あぁ〜びっくりした…!)」

 

千砂都「いいね~! 千砂都お姉さんも応援するよ!」

 

男の子「うん!」

 

千砂都「(ホント可愛いなぁ〜…!)」

 

 

その時、真っ先に絵を描き終えた千歌が立ち上がった。

 

 

千歌「はい! ことりおねえさん! ちさとおねえさん! できました~!」

 

ことり、千砂都「んっ?」

 

千歌「じゃ~ん!」

 

 

千歌が見せたのは、オレンジ色の丸の上に、緑色の細い丸が乗った絵だった。

 

 

ことり「これはなにかな?」

 

千歌「みかん!」

 

ことり「わぁ~! 上手だね~!」

 

千砂都「おぉ〜!? 完璧な丸だね〜!」

 

千歌「えへへ〜!」

 

ことり「(あ、そっか…。千砂都ちゃん、丸には目がなかったんだっけ…?)」

 

 

保護者席では、そんな妹の姿に姉たちが苦笑いを浮かべていた。

 

 

美渡「千歌、相変わらずみかんか」コソッ

 

志満「千歌ちゃんのみかんへの愛は本物だから」コソッ

 

 

その後も、子供たちは思い思いの絵を仕上げて、次々と駆け寄ってくる。

 

ことりも千砂都は、その度に優しく絵を受け取り、善子のテレビカメラにしっかりと絵を見せる。

 

 

子供C「ショートケーキ!」

 

ことり「美味しそうなショートケーキだね~! イチゴがとっても甘そう。お姉さんもケーキ大好きだよ!」

 

子供D「パトカー!」

 

千砂都「パトカーのタイヤの丸、すごく力強そうだね!今にも走り出しそうでかっこいいよ!」

 

子供E「キリンさん!」

 

ことり「キリンさんも首が長くて、とっても可愛いよね!」

 

子供F「アンパンマン!」

 

千砂都「アンパンマン!! 完璧な…丸!!」

 

千砂都「(って、いけないいけない、さっきから『丸』のことしか褒めてないよね? さすがに偏りすぎだよ、私…!)

 

千砂都「本当に上手だね、元気100倍のパワーが湧いてくる絵だよ!」

 

子供G「ママ!」

 

ことり「ママ描いたの?素敵だね!ママ大好きって気持ちがすごく伝わるよ!」

 

千砂都「ホントだ! 梨子お姉さん、見て! この子の描いたママ、とっても優しそうだよ」

 

 

千砂都がピアノのほうへ絵を見せた。

 

 

梨子「ふふっ、本当ね。見ているだけで、心がポカポカしてくるわ。みんな、本当に素敵なアーティストさんね」

 

ことり「ふふっ…、…んっ?」

 

 

そんな中、ことりは一人だけ、まだ絵を描いていない男の子の姿に気づいた。

 

恐らく5歳くらいだろうか。前髪が少し長く、伏せ目がちで表情はよく見えない。

 

周囲の子たちが「次は何を描こうか」とはしゃいでいる中、彼はただじっと、手つかずの白紙を見つめていた。

 

色とりどりのクレヨンたちは、箱の中で一度も触れられないまま、整然と並んでいる。

 

 

千砂都「…?」

 

 

千砂都もすぐに気づき、そっとことりに目配せをした。

 

 

ことり「(あの子……)」

 

千砂都「(どうしたのかな? どこか具合でも悪いのかな?)」

 

 

ことりと千砂都は、そっとその子のもとへ歩み寄った。

 

 

梨子「……?  (うん…)」

登場人物の過去のサブストーリー:誰のを読んでみたいですか?

  • 曜と梨子出会い~梨子が歌のお姉さんなる話
  • うたって☆メロディランド♪立ち上げ話
  • きな子がADになるまでの話
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