うたって☆メロディランド♪   作:あいライス

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第5話「鬼の理詰めスポンサー」⑥

曜「花丸ちゃん、こっちこっち!慎重に持ち上げるよ!」

 

花丸「曜先輩、こぼさないように気を付けるずら~!」

 

 

曜と花丸が台車で持って来た、プラスチック製のカラーボールを、セットの隅に置いた大きなビニールプールに入れる。

 

今日の収録のメインコーナーで使う予定のボールプールの完成。

 

 

(BGM:ドタバタコメディ)

 

 

かすみ「あっ! ボールプールだ!」

 

 

夏美と繋いでいた手をすり抜け、かすみが一直線に走る。

 

 

梨子「あっ! 待って、かすみちゃん、走ると転ぶわよ?」

 

かすみ「大丈夫だよ〜!」

 

 

かすみは勢いよく、ボールプールへダイブ。

 

 

曜「わっ!?」

 

花丸「かすみちゃん!?」

 

かすみ「あははは!面白~い! イエ~イ!   それっ!」

 

 

かすみは両手にボールを掴むと、無邪気な笑顔でそれをスタジオの床へと放り投げ始めた。

 

 

曜「あはは…、かすみちゃん、今日も元気いっぱいだねぇ~。 でも、これは準備中だから、ねっ? 投げるのは、ちょっとだけ待ってもらっていいかな?」

 

 

曜は転がっていくボールを拾う。

 

 

花丸「そうずら~。 後でお友達みんなと一緒にたくさん遊べるずら。 今はまだボールを外に投げちゃダメずら〜」

 

 

花丸もボールを拾ってプールの中に戻すが、かすみの勢いは止まらない。

 

 

かすみ「い〜や! 今はかすみんのなの♪ それ~っ!」

 

 

お構いなく、次々とボールを出していく。

 

善子とエマは慣れてるように、カメラと照明に当たらないように、さりげなく守る。

 

床に転がり、散らばっていく無数のボール。

 

 

かのん、侑、せつ菜「ありゃりゃ~…」

 

夏美「あぁ~……もう……」

 

夏美「(かすみ…、派手にやってますの…! いつもなら、私が捕まえて、お説教するところだけど、冬毬から『かすみが何かしでかしても、それは新しいお姉さんたちのトラブル対応力と、子供へのアプローチの技量が測れる絶好の機会です。 姉者は絶対に手を出さず、静観してください』って、きつく釘を刺されてるから、今は動けませんの…。 新しいお姉さんたち、頑張るですの…!)」

 

 

夏美はハラハラしながらも、恋たちに頭を下げるしかなかった。

 

 

ことり、千砂都「……」

 

冬毬「(かすみ、案の定やりましたね…。 さて、大人の言うことを聞かない、しかもスポンサーの身内という、現場の人間にとっては最も扱いずらい子供を前にして、あなたたちは自分の言葉を届かせ、コントロールすることができるでしょうか?)」

 

梨子「(さすがに、止めないとだけど、スポンサーの親族の子供を注意するなんて、2人には荷が重いわよね…。 ここは私が間に入って……)」

 

 

ことりと千砂都は、顔を見合わせ、頷き合い、ボールプールへ歩み寄った。

 

 

梨子「…?」

 

ことり「かすみちゃ~ん」

 

 

ことりは、腰を落として、かすみと視線を合わせる。

 

 

かすみ「んっ? だれ?」

 

ことり「(あれ? さっき自己紹介したはずだけど…、あまりの楽しさに忘れちゃったかな?)」

 

ことり「ええっと…ことりお姉さんだよ。 これから一緒に遊ぶお姉さん。よろしくね」

 

 

そのまま、散らかったボールを指さす。

 

 

ことり「かすみちゃん、ボールを投げるのは、とっても楽しいけど、今はまだ準備中なの。周りのスタッフのお姉さんたちも困っちゃうから、一回ストップしよ? ねっ?」

 

かすみは「いや! かすみん、もっとなげるもん! それっ!」

 

 

聞く耳を持たないどころか、次のボールを力一杯放り投げた。

 

ビューンと飛んだボールは、スタジオの奥で音響の調整をしていたマルガレーテの頭上へと一直線に向かっていく。

 

 

可可「マルマル、危ないデス!」

 

マルガレーテ「……」

 

 

しかし、マルガレーテは作業中のミキシングコンソールから一切視線を外さないまま、飛んできたボールを、自身の左手だけでバシッと完璧に見事な片手キャッチをしてのけた。

 

 

恋、果南、梨子、すみれ、可可、エマ、善子、曜、花丸、かのん、侑、せつ菜「おぉ~……!」パチパチパチパチッ

 

エマ「マルガレーテちゃん、ナイスキャッチ!」

 

マルガレーテ「いや、当然でしょ…」

 

 

千砂都も踏み出した。

 

 

千砂都「かすみちゃ~ん、お姉さんと一緒に、どっちが早くボールに戻せるか、お片付け競争しよ?」

 

かすみ「くらえ!かすみんバズーカ!」

 

 

かすみが全力で投げたボールが、千砂都のおでこに激突。

 

 

千砂都「痛っ!!」

 

ことり「あっ! 千砂都ちゃん!」、かのん「ちぃちゃん!」

 

 

ことりとかのん、駆け寄る。

 

 

千砂都「痛たた~……! 結構勢いあったなぁ……」

 

せつ菜「千砂都さん!?」

 

 

せつ菜も駆け寄る。

 

 

せつ菜「大丈夫ですか!? おでこ赤くなってませんか!?」

 

千砂都「うぅ…、……こらっ!!

 

かすみ「……っ!?」

 

 

かすみは驚きで目を見開き、振り上げていた手を止めた。

 

 

一同「っ!?」

 

千砂都「いくら子供でも、やっていいことと悪いことがあるよ!! 人に向かって物を投げるのは、絶対にダメ!! お姉さん、そんな危ないことする子とは、お友達になれないな~~!」

 

かすみ「…!…………うあぁぁぁぁぁん!!」

 

千砂都「っ!?」

 

冬毬「(…………ゲームオーバー……)」

 

夏美「はぁ……」

 

 

夏美はかすみに歩み寄り、ボールプールから出して抱き上げる。

 

 

夏美「(かすみ、今回ばかりは、あんたがやりすぎですの……)」

 

千砂都「……………………」

 

 

冷や汗ダラダラダラダラダラダラ

 

 

千砂都「(やってしまった…! 私、何てこと…! いくら危ないことをしたからって、あんな言い方、きつすぎだよね? しかも、番組の大事なスポンサーの子なのに…。 いや…でも…、ダメなことはダメって、誰かが教えなきゃだし…!)」

 

 

冬毬が千砂都に近づく。

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