エレベーターを降りると、すぐ目の前に大きなロゴの看板が目に入った。
ことり「…!」
《うたって☆メロディランド♪》
きな子「ここが『うたって☆メロディランド♪』のフロアっす!」
ことり「ここが…!」
きな子「じゃまずは楽屋に案内するっすね」
ことり「はい」
廊下を歩く2人。
ことり「…?」
廊下の両側にはいくつもの扉が並んでいて、それぞれの扉には、『応接室』、『倉庫②』、『服飾室』、『レッスン室』、『編集室』とポップな書体で書かれた可愛いプレートが貼られていた。
ことりは周りを見渡すと、廊下の一番奥に、厚みのありそうな大きな防音扉を見つけた。
ことり「(あそこが撮影スタジオかな?)」
その部屋の前の突き当りを左に曲がると、そこにもいくつもの扉が両側に並んでいた。
きな子「ことりちゃんの楽屋は左側の一番端っこっす」
ことり「はい」
恐らくほかの楽屋はスタッフたちの楽屋だろう。
扉の横に貼ってある白い貼り紙に、面接で聞いたスタッフの名前が何人か書いてあった。
きな子「ここっす」
ことり「ありがとうございます」
扉の横の貼り紙には『南ことり 嵐千砂都』と書かれていた。
ことり「んっ? この『嵐千砂都』さんって…」
きな子「ことりちゃんと一緒に番組をやる“体操のお姉さん”っす。 明るくて元気な子っすよ♪」
ことり「体操のお姉さん…」
きな子「もう先に着いて、中にいるっす」
ことりは、面接のときにすれ違った体操のお姉さんの応募者たちを思い出した。
ことり「(あの中の誰かが…! ちゃんと仲良くできるかな…)」
きな子「じゃ、入るっすよ」
コンコンコンッ
きな子「千砂都ちゃん! 歌のお姉さんの子を連れてきたっす!」
千砂都《は~い!》
楽屋の扉を開けると、すぐに明るい声が返ってきた。
千砂都「うぃっす〜!」
軽快な声とともに、元気な女の子がにっこりと笑ってピースを送ってきた。
千砂都「初めましてっ! 体操のお姉さんになった嵐千砂都ですっ! よろしくお願いします!」
ことり「こちらこそ初めまして。 歌のお姉さんになりました南ことりです。今日からよろしくお願いします」
千砂都「はい! えっ…? 南…ことり、さん……? えっ? あれっ? えぇっ!? ちょっと待って!」
ことり、きな子「…?」
千砂都「もしかして…! μ’sの南ことりちゃんっ!?」
ことり「えっ…? は、はい…! そうですけど…」
千砂都「わぁ~~…!」キラキラ
千砂都、ことりの手を握り、ブンブン握手する。
ことり「…!?」
(BGM:軽やかな昼下がり)
千砂都「やっぱりぃ〜〜!! えぇっ!?ホントにホントに!? 本物のことりちゃん!? 私、高校のときμ’sの大ファンだったんだよ! ラブライブ!の決勝大会、応援に行ったんだから! 『KiRa-KiRa Sensation!』、最高だったよぉ~!!」
ことり「あ、ありがとう! そんなふうに言ってもらえると…すごく嬉しいよっ!」
千砂都「嬉しいのはこっちだよ〜っ! えぇ〜!夢みた~い!!」
ことり「(元気いっぱいで、可愛い子だなぁ~)」
きな子「ふふっ、いい雰囲気っすね~♪ じゃ、きな子はそろそろ失礼するっす。準備ができたら呼びに来るっすから、それまで仲良くコミュニケーション取っておいてほしいっす♪」
ことり「はい!」
千砂都「ありがとう、きな子さん♪」
きな子は手をひらひら振って退室し、楽屋には2人きりになった。
千砂都「はぁ~…、びっくりした~…! まさかことりちゃんに会えるなんて…!」
ことり「あはは…。 ちなみに、μ’sは誰が好きだったの?」
千砂都「えっ? それ聞いちゃうの…?」
ことり「気になっちゃって」
千砂都「それはもちろんことりちゃんだよっ! って言いたいところだけど、実は…絵里ちゃんで…」
ことり「絵里ちゃんなんだ~? わかる!絵里ちゃんかっこいいもんね!」
千砂都「かっこいいだけじゃないよ! 背も高くて、スタイルもよくて、美人で、大人っぽくて、歌もダンスも最高で!」
ことり「そうだよね♪」
千砂都「あっ!最推しは確かに絵里ちゃんなんだけど、μ’sは箱推しだからっ!」
ことり「ありがとう!」
千砂都「あ、ねえねえ、あの話ってホントなの? 衣装を全部自分で作ったって」
ことり「うん。 にこちゃんとか花陽ちゃんに手伝ってもらったときもあるけど、基本は私が作ったよ」
千砂都「すごい…! あんなふうに衣装を作れるならプロにもなれたんじゃない?」
ことり「うん。実際目指していたんだけど…、ちょっとね……」
千砂都「…?」
ことり「……これからは、歌のお姉さんで子供たちを楽しませるって決めたから♪」
千砂都「そうなんだ? でも確かにことりちゃんの雰囲気、歌のお姉さんのイメージそのものでぴったりだよ! きっとこれから子供たちの人気者になるんだろうね~♪」
ことり「イ、イメージ通り、なのかな…?///」
千砂都「うんうん!」
ことり「ふふっ。 あ、そうだ! 趣味とかってなに?」
千砂都「えっ? 趣味?」
ことり「うん!」
千砂都「そうだなぁ~、実は私、丸いものが好きなんだっ!」
ことり「丸いもの?」
千砂都「うんっ! たこ焼きとか、お団子とか、ボールとか! 丸いものって見てるだけで幸せな気持ちになれるんだ〜♡ だから趣味は丸いもの探しかな!」
ことり「ふふっ、そうなんだね! なんか可愛いなぁ」
千砂都「ことりちゃんは?」
ことり「私はお菓子作りが好きなんだ。クッキーとかマカロンとか、見た目も可愛く作るのが好きで♪」
千砂都「えっ、ことりちゃんが作ったお菓子…!? それ、絶対美味しいやつだよね!? 食べてみたい!」
ことり「じゃ、今度作って持ってくるね♪」
千砂都「本当!? やった〜!」
ことり「(この子となら一緒に頑張れるかも。 仲良くなれそう♪)」クスッ
コンコンコンッ
ことり、千砂都「はい?」
ノックして入ってきたのは、きな子だった。
きな子「ことりちゃん、千砂都ちゃん、スタジオに案内するっす!」
ことり、千砂都「はいっ!」
千砂都「いよいよだね」
ことり「うん。 ちょっとドキドキしてきたかも…!」
千砂都「……、大丈夫っ! 私たちならきっとやれるよっ!」
ことり「……、うん。そうだね!」ニコッ
楽屋を出て、スタジオまでの廊下を歩く。
2人の足取りは自然と揃っていた。
そしてスタジオの扉の前に到着。
きな子「ここがスタジオっす」
ことり「(やっぱり、ここがスタジオだったんだ)」
きな子「それじゃスタッフのみんなに声かけるっすから、元気に挨拶をお願いっす」
ことり、千砂都「はい」
きな子はスタジオの扉を押し開けた。
μ’sのファンで、元気いっぱいな体操のお姉さん:嵐千砂都
『うたって☆メロディランド♪』の初代:体操のお姉さん。