インフィニット・ストラトス 織斑家の二女   作:神ショー

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一時間目の授業が終わって、ようやくの休憩の時間。

 

お兄ちゃんは机の上にぐったりとしており、精神的に疲れていることがよくわかる。

 

現に、クラスの前には様々な学年クラスから生徒が集まってお兄ちゃんを見ているから、今も休めてはいないだろうけど。

 

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だ千春。問題ない」

 

 

私がお兄ちゃんを心配して声をかけると、ぐったりとしていた筈のお兄ちゃんはピンと体を伸ばして、涼しげな顔で答えてくれる。

 

 

「気分が悪かったり、どうしても駄目な時は言ってね?私が看病するから」

 

「あ、やっぱり少し具合が」

 

 

とお兄ちゃんが言いかけたところで、上から竹刀が降り下ろされる。

 

降り下ろした人物を見てみると、それは幼馴染みの篠ノ之箒。

 

束さんの妹だ。

 

 

「箒、暴力は良くないと思う」

 

「いや、今のは暴力ではない。治療だ」

 

「いや、でも相当痛がってると思うんだけど」

 

「どうだ一夏。具合は良くなっただろう?」

 

「くっ、ああ。良くなったよ」

 

 

頭を押さえながら立ち上がり、箒に言葉を返すお兄ちゃん。

 

顔色も良いようだし、本当に治療だったのかな?

 

 

「それよりも二人とも、話があるから廊下に来てくれるか?」

 

「いいぞ」

 

「うん」

 

 

それで廊下に出て、箒に着いていくと、周りの生徒たちはぱっかりと分かれて、一本道が出来上がる。

 

ここは軍みたいなことも教えてるんだな。

 

 

『いや、これは違うと思うが』

 

 

え?何アルビオン?

 

 

『いや、少し考え事をしていた。気にしないでくれ』

 

 

分かった。

 

すると前の二人が止まって、ここが目的地のようだ。

 

 

「久しぶりだな箒。小学校以来だけど、一目で箒って分かったぞ」

 

「ほう、そうか」

 

「私も、面影が残ってたから、直ぐに分かった」

 

「そ、そうか。ありがたい」

 

 

うん、箒も自分の事を覚えていてくれて、嬉しいんだろうな。

 

顔が赤くなってるから。

 

 

『いや、だから違うと思うが』

 

 

え?どうしたのアルビオン?

 

 

『いや、独り言だ。気にしないでくれ』

 

 

さっきから考え事ばかりだね。

 

大丈夫?

 

 

『ああ。私は常に健康健全だ』

 

 

なら良かった。

 

 

「あ、箒、剣道の全国大会優勝おめでとう。やっぱり凄いね箒は」

 

「な、何故それを知っている!?」

 

「勿論テレビを見たから。新聞を見てたら記事が載ってて、テレビにも入るようだったから、チェックしてね」

 

「俺も千春と同じだな」

 

 

そこで、箒は何かを言おうとしたが、そのタイミングでチャイムが鳴ってしまう。

 

遅れると怒られるので、直ぐに走り出して教室に向かう。

 

ギリギリ間に合ったので、良かったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間目が終わった。

 

途中、お兄ちゃんが全部分からないと手を挙げて、理由を聞いてみると、入学前に渡された参考書を捨てたからだそうだ。

 

そのお陰でお姉ちゃんに叩かれてたけど。

 

お兄ちゃんは相も変わらずに注目の的となっていて、終わる頃にはやっぱりぐったりとしていた。

 

そこで、私が声をかけようとしたとき、先にお兄ちゃんに声をかけた人がいた。

 

たしか、セシリア・オルコットさんだ。

 

 

「少しよろしくて?」

 

「ん?なんだ?」

 

「まぁ!なんですのそのお返事は!」

 

 

...........えと、あれは今時の女子の典型的な例だね。

 

男のことを下に見ている人の態度だ。

 

本当に、こんなことの為に束さんはISを造ったわけじゃないのに。

 

 

「なぁ、千春?」

 

「何?」

 

「代表候補生って、なんだ?」

 

 

その発言に、クラスにいる全員が転けた。

 

お姉ちゃんが徹底的に関わらないようにやってたから、知らないのも同然だもの。

 

お姉ちゃんのそういうところ、私は大好きだ。

 

 

「代表候補生とは、国の代表になれる可能性を秘めた、いわばエリート?」

 

「そうエリートなのですわ!そこのあなたは兄と違って常識は持っていますのね」

 

「知識は豊富だから」

 

「そう――ですが、私はさらにその上のエリートですわ。なにせ、入試の時に教官を唯一倒したのですから」

 

「ん?それなら俺も倒したぞ?」

 

 

と、こういう場面で爆弾を投下するのがお兄ちゃんなんだよな。

 

 

「な!?あ、貴方も倒したんですの!?」

 

「いや、倒したっていうか、突っ込んできたのをかわしたら勝手に勝っただけだぞ?」

 

「あ、貴女は違いますわよね!?」

 

 

と、どうしてか私にもふってきたセシリアさん。

 

しかも顔が近くて、後少しでくっついてしまいそうだ。

 

 

「わ、私はそもそも戦ってない」

 

「ど、どういうことですの!?」

 

「私は異例だからって、お姉ちゃんが強引に」

 

「お、織斑先生が!?」

 

 

と、言ったところでチャイムが鳴る。

 

ここのチャイムは良いタイミングで鳴るな。

 

 

「また後で来ますわ。逃げないことね!」

 

 

そう言って去っていくセシリアさん。

 

お兄ちゃんと顔を合わせていると、お姉ちゃんが入ってきたので、席に座る。

 

 

「これから3時限目を始める。が、それより前にクラス代表を決めなくてはいけないな。クラス代表とは、生徒会の会議などに出席する、いわばクラス長のような者だ。自主他薦は問わん。誰かいないか?」

 

「はい!織斑くんを推薦します!」

 

「私も!」

 

「私も!」

 

 

すると、続々とお兄ちゃんを推薦する声が上がって、それに狼狽えるのは勿論お兄ちゃん。

 

 

「え!?お、俺!?」

 

「はい!私は千春ちゃんも良いと思います!」

 

「はいはい!私も!」

 

「私も私も!」

 

「え?」

 

 

まさか、私も推薦されるなんて、微塵も思ってなかった。

 

 

「他にいないか?いないなら織斑兄妹に決定だ.........千春は良いが一夏か」

 

「差別は良くないと思います!」

 

「現にやりたくないのだろう?」

 

「うっ、ま、まぁそうなんですけど......」

 

「まぁ辞退なんぞ認めんから、結局はやることになるのだがな」

 

 

うーん、お姉ちゃんとお兄ちゃんは仲が良いよな。

 

喧嘩にしか見えないけど、喧嘩するほど仲が良いだもの。

 

 

「待って下さい!!」

 

 

と、そこで声を張り上げて立ち上がったのは、さっきのセシリアさんだ。

 

納得がいかないというような顔をしている。

 

すると、やはりと言うべきか、気に食わないみたいで。

 

 

『まぁ、そう思うだろうな。腐った女にしてみれば』

 

 

いや、そこまでじゃないかと。

 

 

「大体!技術が後進的なこんな極東に来て暮らすこと自体!私にとっては耐え難い苦痛で」

 

「イギリスだって、大してお国自慢じゃないだろ。不味い飯で何年世界制覇だよ」

 

 

すると、我慢出来なくなったのか、お兄ちゃんが口を出した。

 

まぁ、先に喧嘩を売ってきたのはあっちだし、大丈夫だよね?

 

 

『一応、私もイギリス出身なのだがな』

 

 

あ..........でも、時代が違うし、ウェールズだし、ね?

 

 

『まぁ、イギリスの代表候補があんな小娘ということのほうが、私は無理だな』

 

 

まぁまぁ。

 

あの人も本当は悪い人じゃないよ。

 

 

「決闘ですわ!」

 

「おういいぜ!四の五の言うより分かりやすい!」

 

 

おや?

 

なんかアルビオンの話に集中してたのか、話が進んでいた。

 

しかも、決闘だなんて物騒な。

 

 

「で?いくらハンデをつければいいんだ?」

 

「あら?さっそくお願いですの?」

 

「ん?いや、俺がどれくらいハンデをつければいいのかなと」

 

 

すると、クラスは一気に笑いに包まれる。

 

男が勝てたのは昔の話、男が女に勝てるわけがない。

 

んー、どうしようかな?と思い、お姉ちゃんを見ると、視線で好きにやって良いと訴えてくる。

 

なら、好きにさせてもらう。

 

 

「でも、皆は生身で男の人と戦って勝てる?」

 

 

大して大きい声で言っているわけでも無いのに、クラスの笑いは収まり、私を見ていた。

 

 

「そこのあなた、確か千春さんでしたわよね?何が言いたいんですの?」

 

「そのまま。貴女は男の人に生身で勝てるの?」

 

「ふん!そもそもISに乗らないだなんてあり得ませんわ!」

 

「何言ってるの?」

 

 

セシリアさんと話していたら、自分の中のスイッチが入れ替わる。

 

所謂お説教モードだ。

 

 

因みにこのお説教モード。

 

これをやられると千冬や束ですら反論出来ない程に正論をバンバン言ってきて、それに加えて何時も穏やかな千春が無表情になって機械のように言ってくるため、正直怖いのだ。

 

現に、セシリアやクラスの何人かは若干怯えている。

 

 

「ISが使えるだなんて、私は言ってない。貴女は男の人と戦って勝てるの?」

 

「か、勝てますわ!」

 

「そう。なら皆に聞くけど、貴女たちは不良と喧嘩をして勝てる?」

 

 

クラスの皆は何も言わず、ただ静寂が続く。

 

 

「勝てないよね?それでも女が男より強いだとか、優れているだとか、そんなことを言えるの?ISが無いと、貴女たちみたいな女は何も出来ない。まずそれを理解して。ただISが女にしか使えないからと言って、全ての男が自分達より劣ってるだなんて、そんな甘い現実、あるわけないでしょ?」

 

「あー、そろそろその辺にしてやれ千春。こいつらも反省している」

 

 

私はまだ言おうとすると、それをお姉ちゃんが止めてくれた。

 

するとスイッチが入れ替わり、いつもの私に戻る。

 

 

「あ、えっと........ごめんなさい」

 

 

そう言って前を見て、少し顔を伏せる。

 

周囲から見れば落ち込んでいるようにも見えるだろう。

 

 

「では来週の月曜!三人には代表を決める模擬戦をしてもらう!それで代表を決めることとする。では!授業を始めるぞ!」

 

 

あぁぁー、やっちゃった。

 

 

『いや、あそこで発言したのは正解だな。周りの奴等は自分達の認識の間違いに気付いたようだからな。ちょうど良い』

 

 

..........うん、少し元気は出たよ。

 

ありがとうアルビオン。

 

 

『なに、何時も寝顔を盗m...........世話になっている礼だ』

 

 

あれ?アルビオンって私より早く眠ってなかったっけ?

 

 

『ああ!そうだ!だから気にしないでくれ!』

 

 

え、あ、うん。

 

アルビオンの気迫に負けてしまい、気にしないで授業を受ける。

 

兎に角これからの目標は、セシリアさんに勝つことかな。

 

 

 





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