インフィニット・ストラトス 織斑家の二女   作:神ショー

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かなり間が空いてしまいましたね。

久しぶりの投稿です。



正体

 

 

 

あの後、皆でグラウンドに集まり、久々の実習をすることになった。

 

転校してきたシャルルさんは、お兄ちゃんに連れていかれ、ギリギリ授業開始に間に合ったので、お兄ちゃんが頑張ったんだと思う。

 

で、授業が始まると、鈴とセシリアがお姉ちゃんに呼び出され、真耶先生と戦うことになったんだけど―――

 

 

「流石にあれは駄目だと思うよ?」

 

「「うぐっ!」」

 

 

物の見事に負けてしまった。

 

ハッキリ言ってしまうとチームワークというものが出来てなかったのが原因だと、アルビオンが教えてくれたけど、真耶先生も加減をしてほしかったな。

 

それで、お姉ちゃんが先生たちには敬意をはらうようにしろって言ってから、授業に入った。

 

専用機持ちがリーダーになって、打金とラファール・リヴァイブ?っていう量産機に他の生徒を乗せて、基礎をやるっていう授業。

 

あのラウラさんの班になった人たちは一言も発して無かったし、始終私を睨んでたから、他の人達を全く気にしていなかった。

 

アルビオンがいなかったら殴り込みに行ってたかも―――。

 

そして、授業が終わると昼休み。

 

今日は屋上で、シャルルさんにいつものメンバーを加えた人達でご飯を食べている。

 

 

「ホントにボクがここで食べてもいいの?」

 

「ああ、遠慮すんなって」

 

 

シャルルさんがそう言うのも無理は無いと思う。

 

何せ、箒にセシリア、それと鈴が物凄くシャルルさんを警戒しているんだから。

 

何に警戒してるのか、分からないんだけど。

 

 

「(千春には近付いたら斬る)」

 

「(千春に少しでも触れたら殺す)」

 

「(千春さんに嫌らしい眼を向けようものなら、直ぐ様撃ち抜いて差し上げますわ)」

 

 

と、まぁ三人とも睨むではなく、殺気を飛ばしているんだが、千春はそれに気が付かない。

 

 

「お兄ちゃんお兄ちゃん、今日料理を作ってみたんだけど、何時ものように採点お願いしていい?」

 

「おう、いいぞ」

 

 

千春が差し出した弁当箱を受け取り、早速蓋を開ける一夏。

 

 

「それにしても久しぶりだな、千春の弁当って」

 

「ここ最近忙しくて、期間が空いちゃったもんね。腕が落ちてなければいいんだけど――」

 

「はは、千春は小さい頃から物覚えが良いからな。少し位間が空いたって、簡単に腕は落ちないって」

 

 

そう言って、弁当を食べ始める一夏。

 

千春の料理を食べるときは、毎度の如く真剣になるので、全部食べ終わるまでは千春が声を掛けない限り、反応することは無くなる。

 

 

「あ、そうだ――ねぇ千春さん」

 

「ん?何シャルルさん。後、呼び捨てで良いよ?」

 

「じゃあ、千春も呼び捨てね?」

 

「うん!」

 

 

シャルルは気になることがあったのか、千春に声を掛けるが、互いに呼び捨ては無しということになり、千春は笑顔になる。

 

それを聞いていた他三人はというと―――

 

 

「「「(((千春(さん)を呼び捨てぇ!?!?)))」」」

 

 

荒れに荒れていた。

 

そして、千春の笑顔を見たシャルルはというと

 

 

「(か、可愛い!)」

 

 

千春の笑顔に屈していた。

 

 

「(ッ!!千春に惚れた奴が増えた、だと!?)」

 

「(ッ!!私のはーちゃんに惚れるなんて、当たり前だけど気に食わないね)」

 

 

何処かの誰かさんたち二人は、シャルルが屈した事を直ぐ様感知していたりするが、この人達、ホントに人間?

 

 

「ハッ!そ、そうだった。ねぇ千春?」

 

「ん?」

 

「千春のIS?って変わってるよね?全身装甲(フルスキン)タイプのとは少し違うような気がするんだけど」

 

「ああ、あれはISじゃないんだよ」

 

「え?ISじゃないの?」

 

「うん、この機会だから言うけど、あれは装甲じゃなくて鎧なんだ。正式名称はセシリアの時にボソッと言ったけど(ディバイン)(・ディ)(バイディング)()(スケイルメイル)って言うんだ」

 

 

すると、ここで何かを思い出したのか、セシリアが千春に声をかける。

 

 

「そう言えばずっと忘れていましたが、千春さんのその力、それは我がイギリスの伝説に登場する二体のドラゴンの片割れ、白龍皇と称される白い龍アルビオンの物ではありませんか?」

 

「――――――」

 

 

それを聞いた千春は、何時ものように直ぐには答えず、眼を瞑ったままだ。

 

不信に思った鈴と箒、そしてシャルルが声をかけようとすると、先に千春が口を開く。

 

 

「その通りだ、イギリスの娘、セシリアよ」

 

 

千春の声、千春の顔をしているのに、直ぐに四人は目の前にいるのが千春ではないと気付く。

 

話し方は勿論、何よりも決定的なのが、千春の両目が"碧色"になっているのだから。

 

 

「あんた、一体誰よ?」

 

「中国の娘、鈴と言ったか?そこのセシリアが今しがた言っただろう?」

 

「で、では、貴様は!」

 

 

四人が驚愕している中、千春の体を借りたアルビオンは、優雅にお辞儀をして答える。

 

約一名はまだ、弁当の採点をしているが。

 

 

「始めましてと言うべきかな?我が名はアルビオン。千春に宿りし者だ」

 

「まさか、千春さんに、貴方のような者が宿っていたなんて、思ってもいませんでしたわ」

 

「ていうか、ドラゴンなんてのは本当に存在したのね」

 

「なんか、一気にイメージっていうか、オーラが変わったね」

 

「姉さんたち――千冬さんや姉さんはこの事を知っていたのか?」

 

 

一名を除いた皆が呆然としている中、箒は千春のことなら何でも知っている二人の事を聞く。

 

 

「簡単にバレたさ――確か千春が9歳の頃だな、二人して無理矢理出てこさせられた。何でも、千春が生まれた時から私の気配には気が付いていたらしくな――千春が眠ってしまった後に、薬を飲まされ、そしたら私が出てきてしまったのさ。まぁその薬のお陰で、私と千春はいつでも体の支配を交代出来るようになったのだが」

 

「ならば一夏は?それからどうなったのだ」

 

「後者の質問から答えよう――二人に千春に危害を加える者かそうでないかと問われた。無論、否と答えたがな」

 

「では、一夏は知っているのか?お前が千春の中にいることを」

 

「無論だ」

 

 

箒とアルビオン、この二人の会話を周りは静かに聞いている。

 

一夏は弁当を食べ終えたのか、眼を瞑ったまま考え込んでいる。

 

大方、採点をしているのと、感想、アドバイスを考えているんだろう。

 

 

「では、私だけ、知らなかったというのか。こんなにも大事なことを――ッ!」

 

「言わなかったのは束の頼みだからだろう。お前に知るには早すぎると、もう少し成長してからだと言ってな。頭まで下げていた」

 

「ッ!?な、何故姉さんがそこまで――」

 

「箒よ、お前はあの頃、まだ幼かった――それは一夏も同じこと――幼く未熟な心で、私を認められたか?その後の千春への対応はどうなる?」

 

「そ、それは、恐らく――」

 

 

箒は黙り込んでしまい、その顔は悔しそうに歪んでいる。

 

理解したのだ。

 

子供の頃の自分がその事を知れば、何をしてしまうのかを。

 

 

「この娘はとても優しい。そう言ったことには人一倍反応し、それが私にあると直ぐに気付くだろう――そうすればこの娘は私では無く、自分を責める。なんで自分が私の主になってしまったんだろう――自分が主になったばかりに、私に苦痛を与えてしまう。それならいっそ」

 

「そんなことは!」

 

「やるのだ!!」

 

「「「「ッ!!」」」」

 

 

アルビオンの本気の言葉に、一同は固まる。

 

一夏はまだ考えているのだが。

 

いや、逆にアルビオンの威圧に固まらない辺り、やっぱり一夏も千冬たちサイドなのかましれない。

 

 

「だから、私のことは中学に上がってから伝えようと話していたが、束がISを開発し、お前の家族は国の監視下に置かれ、当の本人は逃亡した――お前が知らないのは別に罪では無い。かといって、知らせないまま何処ぞへ消えた束にも、事情があったのだろう。そして今に至るわけだ」

 

「――――」

 

 

箒は黙ったままで、周りの皆は心配の顔で箒を見ている。

 

気持ちの整理が、まだ箒の中でついていないのだろう。

 

 

「分かった、姉さんのことを咎めはしない」

 

「――――」

 

「漸くこれで、一夏たちと同じ土台に立てたのだ。文句は無い」

 

「――ふむ」

 

 

箒の決意に、アルビオンは何かを見出だしたのか、納得したような、満足したような顔をしている。

 

 

「"成長"とは、良いものだな」

 

「ああ、そうだろう?」

 

 

すると、ここにはいないはずの声が聞こえてくる。

 

皆が入口のところを見ると、そこには千冬が立っていた。

 

 

「全く、授業のベルが鳴ったというのに来ないから来てみれば、お前が出てきていたとはな」

 

「だがお陰で、成長というものを思い出すことが出来たのだ――許してくれ」

 

「まぁ良いだろう――お前が学んでくれれば、千春にも良い影響がある」

 

「ふっ――やはり、"愛"というのは良いものだ」

 

「安心しろ――お前も既に貰っているだろう?」

 

「ああ、至高の物をな」

 

 

そこではじめて、アルビオンは笑みを見せる。

 

それに釣られて、千冬も笑みを見せる。

 

滅多にない千冬の笑みに、三人は唖然とするが、そこで漸く、最後の一人が声を挙げる。

 

 

「あれ?なんで千冬姉がいるんだ?――ん?それにお前アルビオンか?なんで表に出て来てんだよ。ってか!もう授業始まってるじゃねぇか!!」

 

「安心しろ、千春以外の者には、グラウンド10周だ」

 

 

それを聞いた皆は、一気に絶望の表情を浮かべる。

 

意見をしたところで、最早千冬の決定には逆らえず、したところで罰が増えるだけだ。

 

 

「ふ、大変だな――お前たちも」

 

「何を他人事のように言っている、貴様は明日一日中、千春との会話は無しだ」

 

「な、なに!?」

 

「さて、もたもたしていないで、さっさと走ってこい!」

 

 

千冬の声で一斉に一夏たちは走り出す。

 

残った千冬とアルビオンはと言うと

 

 

「どうしてもか?」

 

「当たり前だ、千春が眼を覚ましたら伝えておく」

 

「そうか――私はもう終わりか」

 

「さて、では千春に変われ――医務室には私が運ぶ」

 

 

それを聞いたアルビオンは、意気消沈したまま、千春と変わる。

 

千冬へと体を預けるように倒れた千春は、規則正しい寝息をたてながら眠っている。

 

その何者にも例えようのない可愛らしい寝顔に、千冬もまた、優しい笑みを浮かべながら、千春を医務室へと運ぶのだった。

 

 

 





色々考えていたら、遅くなってしまいました。

すいません。

そして急展開もごめんなさい。
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