彼女ら第六駆逐隊との昼食を済ませ、僕と電は提督になるための授業とやらをを受けに教室へ来ていた
僕は学校のような感じで授業を受けると思っていたのだが.....
「これは、学校というより個別指導の塾では?」
そう、何を隠そう広い教室にただ一人なのである
「これにはちゃんと理由があるのですよ」
「まず元君、君は幼すぎるのです」
「まず提督になるためには、いざというときのための体作りと、艦隊指揮のためのお勉強が必要なのです」
「これは本来海軍学校で行うのですが、元君は年齢的に海軍学校には入れないのですよ」
「だからその年齢になるまで、先に勉強を始めちゃうのです!」
ど正論で希望を打ち砕かれてなかなかショックだったが、確かに年齢というのは覆しようがない
どうやらある程度知識があればいいらしく、実践演習の艦隊指揮ができれば、海軍学校もすぐ卒業できるらしい
学校に行くということ自体はできるのだ、良しとしよう
「そうなんですね...ところでその知識も電さんが教えてくれるんですか?」
「いえ、これに関しては...」
電がそう言いかけたその時、勢いよく扉を開けて入ってくる者がいた
「ここかぁっ!ちっこい提督候補がいるってのは!」
「天龍ちゃぁ~ん、少し落ち着きましょうねぇ」
入ってきたのは活発そうな眼帯女と天使の輪っか?がついてる怖そうな女だった
「このお二方が今日から元君の先生なのです」
「俺が天龍型1番艦 天龍だ!」
「天龍型2番艦 龍田よ、よろしくねぇ〜」
「今日から3年間、元君には司令官さんになる為のお勉強をこのふたりに教えて貰うのです」
「船戸元です、今日から3年間よろしくお願いします」
「おぅ、よろしくな!」
何かあるのか、ウズウズしてしょうがない様子で天龍は聞く
「早速授業始めていいか?電」
「お願いするのです、私は司令官さんに今日の報告に行ってくるのです」
「今日は色々ありがとうございました電さん」
電は嬉しそうに笑って
「こちらこそなのです、また明日なのです」
そう言ってルンルンという効果音が聞こえそうなほど上機嫌で教室から出ていった
「よっしゃ!そしたら授業を始めるぜ」
「今日は最低限度の常識だけ覚えて帰って貰えたらいいから、励めよ!」
「ちゃんと覚えて帰るのよぉ〜」
龍田うれしそうな天龍に満足するかのように笑う
そうして失意と期待を抱えながらも授業は始まった
授業は大まかな説明、解説、確認の三段階に分かれており、今回は最初の授業ということで提督生活で最も重要な存在である「艦娘」と「深海棲艦」について学んだ
10年ほど前に唐突に現れた深海棲艦は人類に対して明確な敵意を抱いており、人類が所有するあらゆる兵器が通用しない、これは人類史上最悪の発明である核だろうと関係はない
敵意を抱いていることや、兵器が通用しない原因は未だに判明していない
深海棲艦の出現に対し少し遅れて現れたのが艦娘だ
今のところ女性しか確認されておらず、彼女らは特殊な兵装である「艤装」を持って生まれてくる
彼女らの扱うこの艤装は深海棲艦に対して極めて高い効力を持っており、皆人類に対して友好的であるという特徴がある
こうして相反する生命体が出現したこの世界は出現前と出現後で大きく変わった
深海棲艦と艦娘の出現した際のタイムラグ、これによって人類は三割減ったと言われている
人類の交易の主要であった海洋航路は深海棲艦によって壊滅、艦娘の護衛があったとしても、長距離の航海は未だ不可能である
せいぜい近海での漁業くらいが限界だろう
このように様々な被害を被った人類だが、それによって人類間の戦争や紛争などはすべて停戦し共通の敵として深海棲艦を見据え協力関係を築いたり、海洋資源に頼ることができなくなったことによってバイオシステムの最適化やリサイクル率の上昇などの恩恵も受けたらしい
艦娘出現当初被害を防ぎきれるほど数が充実していなかったため死傷者も多数だったらしいが、現在は艦娘の数も増え、鎮守府の設置も全国的に完了したため死者率はかなり下がったという
深海棲艦と艦娘 新たに発見された生命はこの二つだけではない
新たに発見された生命体、それは妖精さんである
なんだ妖精さんって、馬鹿にしてんのかと思ったことだろう
しかしこの妖精さん超々超重要な存在であり、提督になるに当たっての絶対条件が妖精さんが見えることなんだとか
この妖精さんは艦娘の艤装の操縦に関与しているらしく、未知の技術をつかい艤装の調整ができるとのこと
また、艦娘と非常に密接な関係があり妖精さんがいないと力の半分も使いこなせなくなるらしい
こんな小さな子たちにそんな力があるとは、感謝しなければならないな
そんなこんなで授業は終わり外は真っ暗だ
やることもなくなったので、とりあえず提督に会いに行くことにした
ー提督室前ー
コンコンとノックをする
「船戸です」
すると「入ってよいぞ」と返事が返ってきた
ドアを開け中に入ると、提督と眼鏡をかけ書類を手に取っている女がいた
「今日はどうだったかね」
「忙しくも充実した日でした、知り合いも増えましたしね」
「それはよかった、鎮守府の説明に授業といろいろ情報が多いと思うが、これから頑張ってくれたまえ」
「はい、そういえば僕はこれからどうすればいいですかね」
「来賓用の部屋が空いていたのでそこを君の部屋として使ってくれ」
「たしか必要最低限の物の準備は終わっていたはずだ、大淀君からそう聞いているが」
「はい、生活に必要な衣類や消耗品はすべて搬入が完了しています」
大淀はまるでロボットのように無感情な声で答える
「部屋に風呂とシャワーがついているので、入浴はそちらを使ってください」
「こちらが部屋の鍵になります、なくさないでくださいね」
そう言って僕の部屋の鍵を手渡して作業に戻っていった
「今日は疲れただろう、ゆっくり休むといい」
「はい、提督さんも」
「それじゃあ、お休みなさい」
こうして僕の人生のターニングポイントである一日は終了した