返坂高校ボードゲーム研究部によるエロボドゲプレイ記録   作:自宅戦闘員

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キャラシート作成

 

 

 部室に、遅れて我が幼馴染みがやってきた。

 

「ごっめーん、遅くなった!」

「おう、葵。ちょうど今から皆エロいことになるから大丈夫だぞ」

「なにも大丈夫じゃないよチカちゃん!?」

 

 それはそう。

 

 

 

 ────────

 

【淫魔の迷宮~エロトラップダンジョンTRPG~ スターターセット】

 

 ここは剣と魔法の世界。

 近年、各地の冒険者ギルドに不吉な報せがもたらされた。

 

 ――『淫魔の迷宮』の出現である。

 

 それは理性を蝕み、魂を蕩かす魔の領域。

 迷宮の最奥には、『淫魔の宝珠』と呼ばれる禁断の魔具が安置されているという。

 宝珠の魔力は人の心を歪め、欲望を解き放つ。

 理性を失い、淫蕩に耽り、やがては終わりなき狂宴へと堕ちていく。

 このまま放置すれば、災厄は迷宮の内に留まらないだろう。

 プレイヤーたちは冒険者となり、呪われた淫らな迷宮に挑む。

 目的はただ一つ。

 最奥へ至り、『淫魔の宝珠』を破壊せよ。

 

 ────────

 

 

 

 TRPG(テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム)は、テレビゲームのRPGのルーツとも言える対話型のアナログゲームだ。

 その基本は名前の通り、会話主体の役割を演じて遊ぶこと。

まずゲームマスター(GM)と呼ばれるゲーム全体の進行役が置かれ、GMの提示するシナリオに沿って、プレイヤーはそれぞれの役を担当して物語を進めていく。

 たとえば魔王を倒すというシナリオなら、プレイヤーは勇者やその仲間の役割を担当して演じて、GMの提示する課題をクリアしていく形になる。

 

 ここで重要なのは、TRPGはGMと戦うゲームではないということ。

 むしろGMは、NPC役を担当しイベントを起こし、プレイヤーと協力して物語を作っていく存在である。

 勇者が魔王に倒されても面白い物語になったなら、それはそれで成功。結果の勝ち負け以上に、過程を楽しむゲームと言ってもいい。

 だからTRPGでは1回のゲームを「バトル」でも「プレイ」でもなく、「セッション」と呼ぶ。これは争いでなく「みんなで集まって物語を創る会」なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「淫魔の迷宮はダンジョン踏破型のTRPGです。エロトラップダンジョンの入り口からスタートして、エロトラップやエロモンスターを退け、奥に辿り着けばクリアになります」

 

 なので、乃々はしっかり皆にゲームの説明をしてくれる。

 見た目清楚系なのにエロエロ連呼してて脳がバグりそう。

 

「ええと、乃々乃ちゃん……そ、それ、本当にやるの?」

 

 わりとビビり気味な葵がおずおずと聞くと、乃々は優しく微笑んだ。

 

「はい。私、水科さんや皆とエロトラップダンジョンやりたかったんです。こういうゲームに付き合ってくださるのは、ボドゲ部の皆さんくらいしかいませんから」

 

 内容はともかくまっすぐな友情が感じられる。

 乃々と葵、普通に仲はいいんだよな。

 なので葵は断り切れない。

 

「そっか、うん。ちょっとえっちなテーマなだけのボードゲーム。問題なし、遊ぶと決めたら全力で楽しむよっ!」

「ありがとうございます、水科さん」

 

 気を取り直してにぱっと笑顔。元気よく葵が答えると、乃々は本当に嬉しそうに息を吐いた。

 

「では説明の続きを。このゲームは、ゲームマスターと数名のプレイヤーでのプレイが基本となります。まずはマップシートを用意し、入り口と最奥を設定。「部屋」や「廊下」を1マスとした、ある程度行き先を自分で決められるスゴロクと考えていただければ。なので、必要なのはマップ、コマ、ダイス、筆記用具などでしょうか」

「なあ、乃々が用意してくれたコマ、わりとセンシティブな露出のガールフィギュアなんだけど」

「せっかくですので」

 

 よもやクラスメイトも真面目な優等生然とした乃々乃が学生カバンにミニサイズエロフィギュアを山ほど入れていたとは思うまい。

 

「最奥はGMが事前に設定しますが、プレイヤーに開示しません。プレイヤーはマップを探索し、GMが設定した最奥を探す。到達できればゲームクリアになります。途中で最奥を変更したと疑われないように、事前に紙に設定した場所を記しておくといいでしょう」

 

 ちゃんと探索しないといけないタイプか。

 悪戯好きな部長だから、ちょっと捻ったマップを用意してくるかも。

 

「さて、『淫魔の迷宮』において重要かつ一番のお楽しみポイントは、“エロトラップデッキ”です。プレイヤーは行動順が回ってくると、まずダイスを振ります。これが1・2・3だった場合セーフ、4・5・6だった場合はエロトラップが発動した判定になり、デッキからカードを一枚引きます。つまり、2分の1の確率でエロトラップの被害を受ける、ということですね」

 

 葵が微妙に頬を赤く染めている。

 元気なボクっ娘だけど純情な幼馴染です。

 

「カードの種類は“トラップ”と“モンスター”に分かれます。前者は媚薬ガス噴出、拘束ハンドなど。それぞれのカードには成功率が設定されており、回避値+ダイスでそれを上回れば回避成功。失敗すればエロトラップの餌食になります。中には対象がパーティー全員に指定されているトラップもあるので注意が必要です」

 

 それ、回避値の設定によっては確定エロトラップにならない?

 ああ、いや、そういうのを楽しむゲームだから確定でも問題がないのか。

 

「後者はTKBねぶりスライムや発情ゴブリンなど。こちらは戦闘によって敗北した場合、性的な意味で襲われることになります。なのでキャラメイクの時点で攻撃・防御・回避にうまくステータスを割り振る必要があります。ただし、戦闘の場合は同行しているプレイヤー全員で戦うことになるので、モンスターの方が対処はしやすいです」

「なるほど、強さメインにしたら罠が避けられないし、罠対策しすぎるとよわよわになっちゃうんだね」

 

 一度遊ぶと決めたら葵はわりと真剣に考えている。

 こういうキャラメイクはある意味TRPGのメインだ。

 

「大雑把にはこんなところでしょうか。後は進めながら説明を入れましょう」

「あ、久世くんも水科さんも慣れてないし、私がGMをやるわ。せっかくだし、一年生トリオでダンジョン攻略と行きましょう」

「いいんですか、来栖部長?」

「ええ、勿論。女体化久世くん見たいし」

「おい、最後」

 

 けらけら笑う来栖部長

 俺の言葉は当然のように流されました。

 

「では、キャラクターシートを作成しましょう。舞台はファンタジーなので、ステータスを割り振り剣士や魔法使いなどの職業を選択し、エロトラップダンジョンに挑む美少女を作るんです。あ、久世くんも女の子になってくださいね」

「うーっす」

「チカちゃんがチカちゃんになるんだねぇ」

 

 葵がめっちゃ笑ってる。

 お前は触手まみれになってしまえ。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 ちょっと時間をとって、それぞれプレイヤーキャラクターを考える。

 このゲームはエロメインのためか、それほど決める項目は多くなくスムーズにいった。

 

「できたっ!」

 

 まず初めに手を挙げたのは葵だ。

 ばばーん、小さな胸を張ってキャラクターシートを披露する。

 

 

 

 

 

【名前】アオイ

【職業】武闘家

【ステータス】

 [HP:11/11] [MP:10/10] [SP:5/5]

 攻撃:5 防御:1 回避:4

 

【状態異常】

 

【スキル】

・上段蹴り(属性:物理,攻撃値+7ダメージ)

・疾風脚(属性:魔法,回避値で敵にダメージ)

・精神集中(行動開始のダイスロールごとにMPを2回復)

 

【容姿・装備】

 黒髪ショートポニー。チャイナドレス。素手で戦う。

 

【人物解説】

 すごい強い格闘家! スピードが速くてキックが得意!

 

 

 葵は武闘家。

 防御を低くする代わりに回避も攻撃も高く設定し、スキルもバランスよく設定したようだ。

 容姿はショートポニー、ほぼ現実の葵と同じである。

 

「スライムなどの物理無効系魔法生物対策に疾風脚を選んだんですね」

「うんっ、ちょっと弱めだけど、どの敵とも戦えるようにしておかないとね」

 

 ……しまった! 俺そこ考えてなかった!

 いきなりちょっとミスった感がある。

 

「でもこの設定、たぶん容姿がチャイナドレスきた葵だよなぁ」

「あんまり凝ったキャラにしてものめり込めないしね」

「でもこれエロトラップダンジョンだぞ」

「う」

 

 つまり葵ちゃんがアレなことに……。

 

「では、次は私のキャラを」

 

 今度は乃々乃。

 普段の清楚お嬢様な落ち着いた表情ではなく、むふーっ、とどこか子供っぽい自信ありげな表情だ。

 

 

 

 

 

【名前】ノノーフィア

【職業】聖騎士

【ステータス】

 [HP:14/14] [MP:8/8] [SP:7/7]

 攻撃:4 防御:4 回避:2

 

【状態異常】

 

【スキル】

・シャインスラッシュ(属性:魔法,確定で命中、固定10ダメージ)

・ヒール(属性:癒,防御値+ダイス分HPを回復、MPを防御値分回復)

・不屈の闘志(HPが0になった時一度だけ生存する)

 

【容姿・装備】

 陽光を受けて煌めく長い金の髪と、透き通るような白い肌。ただそこにいるだけで人目を惹く絶世の美少女だが、自身の魅力には無自覚。

 武器は聖光の大剣リルキス。防具は大胆な白のビキニアーマー。露出過多な鎧を恥ずかしく思っているが、女神の加護を受けた聖なる鎧であるため仕方なく装備している。

 

 

【人物解説】

・聖堂教会に所属する聖騎士。優しく慈愛に満ち溢れているが、戦闘の際には鋭利な気迫を発する。

 聖堂教会は女神ユーマクルスを崇拝しており、悪霊を祓い人々を癒すことを勤めとする。ノノーフィアはかくあるべしと謳われる模範的な聖騎士だが、頑なで融通の利かない面も。

 浄化の魔法と治癒を得意としており、聖騎士の務めとして自らダンジョン攻略に志願。人心を惑わす淫魔の宝珠の破壊に心血を注ぐ。

 もともとは孤児であり、自分を拾ってくれた聖堂教会の司祭に感謝している。しかし美しく成長したノノーフィアに注がれる司祭の視線が熱を帯びていることには気付いておらず……。

 

 

 

 

「どうですか?」

「圧が強い。容姿と人物解説の圧が強い」

 

 思わずツッコんでしまった。

 教祖の視線とかダンジョン攻略ゲームに必要ありませんよね?

 

「え、よくないです? やはりエロトラップには騎士です、こういうのは作り込んだ方が楽しいですよ」

「いや俺も男なんで好きですが……その、こういう設定が乃々からお出しされること自体にですね? いろいろとアレでアレな感覚が」

「単に創作と現実を分けているだけです。現実にされたいわけではありませんので」

 

 そりゃそうだ。

 まあ本人が気に入ってるんならそれでいい、のだろう。

 

「まあ、実際いいよな。聖騎士キャラ」

「ですよね……」

 

 満足そうな乃々の笑顔が見れたのでヨシ。

 

「あはははっ、わっ、私が女神になってるっ。さあ水科さん私をあがめなさい!」

「ははぁ~」

 

 ちなみに来栖部長と葵はわちゃわちゃじゃれている。

 

 

「久世くんはどのようなキャラにしたんです?」

 

 

 

 

 

【名前】チカ

【職業】盗賊

【ステータス】

 [HP:11/11] [MP:5/5] [SP:10/10]

 攻撃:1 防御:1 回避:8

 

【状態異常】

 

【スキル】

・看破(エロトラップデッキのトップを確認する、回避値+2)

・投げナイフ(属性:物理,回避値で敵一体にダメージ、ダイスを振らずに確定命中)

・開錠(ダイスが1以外だった場合扉や罠、宝箱などを開ける)

 

【容姿・装備】

 青色のツインテールの小柄な娘。軽い皮鎧を身にまとい、ナイフで戦闘を行う。

 

【人物解説】

 多くのダンジョンで宝探しをしてきたトレジャーハンター。筋力が低いため攻撃力はないが、得意の投げナイフで敵を倒す。

 実は淫魔の宝珠をすごいお宝としか思わずに攻略に参加して、今になって自分の危機に気付いた。

 

 

「……チカちゃんずっこい!? これ完全にバトルはボクたちに任せてエロトラップ避けまくるためのキャラクリじゃん!」

「ちっ、違う! ダイスに命運をかけるより戦闘は投げナイフで確実に処理するタイプのビルドだよ!」

「でもエロトラップカードにはパーティ全員指定もありますから、どれだけ回避に全振りでも避けられないケースはありますよ」

 

 その可能性を考えてなかった。

 淫魔の迷宮やべえ。

 

「あ、二人とも確定命中スキル入れてるんだね。ボクもあった方がよかったかな」

「俺の場合、いざってタイミングでファンブルする可能性あるからな」

「あまりにもチカちゃんすぎる」

 

 うるせーわ。

 

「ですが聖騎士、武闘家、盗賊とうまくばらけましたね」

「鉄板の剣士も魔法使いもいないのは気になるが、乃々が回復できるし、バランスは、まあいいか?」

「だね。じゃあ、さっそく」

 

 葵がちらりと視線を送ると、来栖部長がこほんと咳払いをする。

 

「では、淫魔の迷宮のセッションを開始したいと思います。皆さん、よろしくお願いします」

 

 ぺこりと部長が礼をすると、俺達も「よろしくお願いします」と頭を下げる。

 これは部内の取り決めで、どんなに親しくなっても始める時にはよろしくお願いします、セッションが終わればありがとうございました、というもの。

 慣れてくると礼儀を忘れてしまう時も出てくる。そうならないよう、意識して周りに敬意を払うのだ。

 

「では、始めましょう」

 

 ゲームマスターは語る。

 突如として現れた淫魔の迷宮。恐るべきダンジョンに、三人の冒険者が挑む……

 

 

 

 

 

 

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