返坂高校ボードゲーム研究部によるエロボドゲプレイ記録 作:自宅戦闘員
葵から派閥カード、【街からの脱出メンバー】の誘いをもらった。
しかし既に俺はまゆ太郎の【セフレ】であり、俺自身も乃々彦をセフレに誘った。
現状は【セフレ】が三人、対して【脱出メンバー】はおそらく副部長を含めた二人。だが、重要なのは副部長。彼は、地道に『行動カード』で派閥ポイントを稼ぐスタイル。今後もそれが変わらないのなら、意外と3対2でも負けるかもしれない。
いや、ボドゲ巧者である部長と乃々がそこら辺を把握していない訳がない。当然、対策はとるはず。
派閥カードのルール。
受け取ったその瞬間に捨てる代わりに、カードを一枚引ける。
今ココで【派閥・脱出メンバー】を捨てればカードアドバンテージはとれる……が、明確に派閥を拒否した事実が公開情報となるため、今後葵と副部長は「チカ子は敵である」という前提で動いてしまう。
ならば今は静観が正しい。
そう考えた時、部長が動いた。
「ゾンモラのルール。ゲームクリアの規定ターンを迎える前に、自分の派閥を確定しなくてはならない。カードは自分のターンなら、自分の意思で好きに捨てていいが、規定ターンに複数枚の派閥カードを有していたプレイヤーは“どっちつかずのコウモリ野郎”として、派閥ポイントがマイナスされる……よ」
だから、派閥カード自体は好きに手札に入れられるが、増やし過ぎても意味がない。
部長は自らの手札からカードを一枚手にして、場に伏せる。
「ゆえに私はここに宣言する。派閥は、既に確定した。まゆ太郎は揺らがないわ」
「な……!」
あれは、後から手札に加えたカードじゃない。
つまり十中八九【セフレ】。副部長、葵のラインが濃厚になったことから、俺を確保しようと自身が【セフレ】派閥でいくことを明言したのだ。
なら俺のとる道は一つ。
性感は変わらないが、行動カードで積極的に派閥ポイントを積み上げることだ。だが葵たちと直接敵対はしない。
チカ子は、まゆ太郎と乃々彦とセッ〇スしながら、脱出派の面々とも波風立てずに生きて行く女だ。
「葵、なにか返した方がいいか?」
「いいよー別に」
すまん、葵。
内心ですでに俺はお前を裏切っている。だが、このショッピングモールは既にまゆ太郎によるセフレグループが多数派となった。
「なあ、乃々。ルールというか、プレイの質問。食糧カードって、自分ターンなら行動消費せずに使えるんだよな。食糧保管庫にチップを置くのと、そのままカードを手札に抱えておくのとどっちが有利?」
「場合によりますが、保管庫が0の時にプレイヤーの番が回ってくるとリタイアになります。ですが、手札に食糧カードがあれば餓死を回避できます。代わりに、そのカードは破棄することになります。ただしカードとして使えば20チップ分、というものも多いので、ゲーム的には使った方が有利です」
ああ、今回だとチップ10枚以上追加ならそっちの方が得か。
「ただ、行動カードの中には【つまみ食い】などの、保管庫のチップを減らして発動する類のカードがあります。これによって、強制的に保管庫0を押し付けてくるケースがあるので、基本は使って1枚か2枚は隠しておく、のがいいんじゃないでしょうか」
「なるほど、ありがと」
「いえ、お礼は体でいいですよ」
「なに言ってんだキミは……ってああ、そうか、うん」
セフレだもんね、チカ子と乃々彦ら。
敢えてその話題を振って、俺も否定しなかった。これでまゆ太郎さんにも乃々がセフレだと伝わったはず。そこら辺も駆け引きか。
ともかく、葵の一手によりショッピングモールにさざ波が立った。だがこれは序の口。
おそらくこの先、更に混迷の度を深めていくことになるのだろう。
※ ※ ※
「す、すごい……よかったよ、チカ子」
私は乃々彦さんと同じベッドで気怠い時間を過ごしていた。
既に彼とは何度もカラダを重ねた。もう、自分の女だと思っているのだろう。いつの間にか私のことを呼び捨てするようになっていた。
「なあ、今日は朝まで」
「えと、ごめんなさい。一度戻らないと」
「そ、そうか……」
最後に触れるようなキスをして、私は彼から離れた。
夜のショッピングモール内には嫌な静けさが響き渡っている。
それでも、ゾンビのうめきよりはマシだろう。
多くの人々が突如感染したゾンビは、旧来通りの死者が復活するモノではなく、特殊なウィルスに感染した結果ゾンビのような存在になる。
問題は、一度感染しても治らない訳ではない、という点だ。もしかしたら助けられるのでは……そんな希望が駆除の初動の遅さに繋がった。
そして感染すれば理性を失い、人を襲い始める。
それも性的な意味で。男女を問わず犯す、恐ろしい化け物になってしまう。(※拡張パックにてエロウィルス感染による内部崩壊シナリオが好評発売中)
「なんでこんなことになったんだろう……」
つい数日前までは、確かに日常を過ごしていたのに。
今はショッピングモールの中だけが私たちの生存圏。
「でも、絶対に生き残る。たとえこの肢体を差し出しても」
まゆ太郎さんのセフレとなり、乃々彦さんとも寝たのはそのため。
葵さんや康美さんは、街の脱出を考えているようだ。でも、彼らのセフレとして安全に過ごす方がいい。
今は、このままで。
「あれ、どうしたんだ?」
考え事をしながら歩いていると、作業中の康美さんと出会った。
どうやら彼女はショッピングモール内の使える施設を増やそうと頑張っているみたいだ。
「また、新しいなにかをみつけたの?」
「ああ、冷凍庫が使えるようになってな。これで食糧問題が大分緩和された」
冷凍庫、それはいい。
でも、ふと私には……いけない考えが芽生えた。
私は、このショッピングモール内での安定を望んでいる。そのためには、脱出派に力をつけさせるのは良くないんじゃないだろうか。
マジメで地道な、康美さんには。
どこかで、遠慮してもらわないといけなくなる。
なら……と、私は、自然にナイフを手にしていた。
それを、彼女の首に突き付ける。
「なっ、チカ子、なにを!?」
「ねえ、康美さん……その冷凍庫、私に譲ってくれない?」
※ ※ ※
古池副部長の行動カードは【冷凍庫の確保】、派閥ポイント20増加+餓死を三回まで回避しその後は破棄という破格の食糧系。
俺は、そいつが欲しい。
だから提案カード【ナイフによる脅迫】を使用した。
「俺の、ターンっ! 交渉はしない。副部長……いや、康美ちゃん、この提案カードはナイフを突きつけ強制的に二択を選ばせる。場に出ている対象の行動カード一枚を強制奪取します!」
「なん、だと……っ!?」
これで脱出派のポイントマイナス20、俺らセフレグループにプラス20、合計40点の働きだ。
「よくやったわ、ナイスよチカ子ちゃん!」
「へへっ、私めはあなたの雌犬ですっ」
部長とハイタッチ、これでセフレは俄然有利だぜ。
「な、なんでチカちゃん!?」
「ああそっか。まあ、そういうことだよ」
代わりに俺が脱出派じゃないことはバレた。
だがもういい、ここからは真っ向からの殴り合い。派閥ポイントを稼ぎ切って勝利を手にしてやる。
さらに白熱していくゾンモラ。
仕返しとばかりに、葵が提案カードを使ってきた。
「対象はチカちゃん、【食糧庫管理の効率化】! 手札の食糧カードを強制的に使わせる、使用しない場合手札を開示して一枚カードをボクが選んで捨てる、だよ!」
「ぐっ、隠してた食糧が……保管庫にチップ二十置きます」
「わー、いいヤツもってたんだね」
してやられた、だがまだまだ負けない。
闘志を燃やす俺、しかし部長がぽつりと呟く。
「まずいわね、ああいうカードもあるのかぁ……。ねえ、乃々乃、食糧カード余ってる?」
「ええ、一応はありますよ」
「なら、もらえない? 私のターン、交渉。はい、派閥カード」
部長は最初に配られた、ゲームに加えていなかった派閥カードを乃々に渡す。
あ、そっか。交渉は二回できるんだった。
「はい、では派閥カードを捨てて山札から一枚引きます」
「じゃ、改めて手札から。これと交換で、食糧をちょうだい」
「意外といいカードをくれましたね。お返しをどうぞ」
「ありがと。助かるわ」
おそらく、乃々がセフレだという事実を察したのだろう。
こんなんもう事実上の3Pである。てか、派閥カードってそんな使い方もできるのか。
まてよ、だとしたら。
「俺のターン、交渉。二枚の派閥カードをまゆ太郎に」
「あら、じゃ速攻で捨てて二枚山札から引くわね。ありがとう、チカ子ちゃん。でも、今回だけでいいわよ。ルール上、食糧以外のカードは交渉したターンには使えないし、1ターンに1枚しか置けない。この方法でカードアドバンテージをとっても、ポイントで競り勝てなくなる可能性が高いの」
「そっか、すんません」
そこまで考えてなかった。
古池副部長も今の話を聞いて居住まいを直す。
多分彼も俺がミスらなかったら同じことやってたな。
「俺のターンだ。行動カード、【百円ショップの確保】」
やはり副部長は堅実に行くらしい。
やってて分かったが、行動カードは基本場に出す系、提案カードはプレイヤーに干渉する系っぽい。だから脅迫なんかも提案カード扱いらしい。
続く葵も行動カード、そんな中乃々も仕掛けてきた。
「提案カード、【執拗な愛撫】です。」
忘れてた。これエロボドゲだったわ。
「ねえ、乃々。絶対ロールプレイのためにそれを使ったよね?」
「いいじゃないですか、効果は相手の手札を三枚見せてもらい、その中から欲しいカードを選んで入手する、です。ふふ、乃々彦の指がチカ子の乳首と、クリ〇リスをとらえていますよ……?」
「ノッテきたな……」
やめてあげて、副部長が顔を赤くしてるから。
まあ普通にカード盗られたよ。
多少のアクシデントはあるが、もはやここまで来たらヒラの打ち合い。
そうして、刻一刻と規定ターンが近付いていた。
※ ※ ※
ゲームは最終盤を迎える。
規定ターンの前、確定した派閥を皆に提示をしなくてはならない。
「じゃあ皆、余ってる派閥カードは捨ててね。じゃあ順番に……と言いたいところだけど、今回に関しては私から公開させてもらっていいかしら?」
部長は手札でなく場に自分の【派閥・セフレ】を置いている。
全員が納得して、まず最初に部長がカードを公開した。
「なっ……!?」
そして、俺は驚愕した。
「【街からの脱出メンバー】……!?」
そう、彼女が場に置いていたのはセフレではなかったのだ。
何故、かなり早い段階で部長は派閥を確定していた筈。なのに、どうして。
動揺する俺に、古池副部長は小さく笑う。
「……久世よ、俺は柔道部で、生徒会役員だ。腹芸ができないと、思っていたのか?」
「え、でもコスプレックス・カードの時は」
「アレはどう考えても別だろう!?」
腹芸は出来ても自分の性癖開示は恥ずかしい様子。
それはそれとして、彼の言葉に、俺は先程のやりとりを思い出す。
『うーむ。すまん、誰か行動カードを持ってないか。食糧と交換してくれ』
『康美ちゃん、俺あるよ。食い物があるんならくれよ』
『お、助かる、まゆ太郎さん。……はぁ!? ち、違うぞ!? これ、提案カードじゃないか!?』
……あの、タイミングだ。
古池副部長は、食糧と交換してくれと言いながら、部長に派閥カード【街からの脱出メンバー】を渡していた。
それを悟られないよう、演技までしていた。
「そういうことよ、ごめんなさいねチカ子ちゃん」
完全に、上級生コンビにやられた。
俺が戦略を立てる前に、このラインは確定していたのだ。