返坂高校ボードゲーム研究部によるエロボドゲプレイ記録   作:自宅戦闘員

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くノ一調教カードその2

 

 

 くノ一調教カードのルールは簡単だ。

 シンプルに、「目指す数値が21じゃないブラックジャック」。

 乃々乃頭領が並べた【くノ一カード】四枚のうちから1枚を選び、それに性行為が記された【数字カード】を重ねて既定の快楽値を目指す。

 快楽値は「くノ一が快楽堕ちする限界」であり、この数値に近い方が勝ち。逆に快楽値を越すとバーストで負け扱い。……快楽漬けにして人格崩壊とかだろうか。

 で、勝利した場合はチップではなく【くノ一カード】そのものを入手し、その枚数で勝敗を決する。

 特殊ルールとして、それぞれのくノ一は1ゲーム中1回まで、カードに記された援護値を数字カードの代用とできる。

 よし、ルールは把握した。

 

「では久世くん調教師。牢に閉じ込められたくノ一から一人を選び、調教してください」

「うぃっす」

 

 ひとまずは……やはり【氷華のくノ一・葵】だろう。

 名前はウチの幼馴染と一緒だけど、容姿は全然違います。

 氷の忍術を扱うクール系の美少女で、胸のボリュームなんて比較にもならない。

 

「じゃあ葵で」

「次はくノ一に、数字カードを重ねていきます。まず頭領が置きます」

 

 そう言うと乃々乃頭領は、先程のエロカードいっぱいのやつとは別の山札を持ち出した。

 

「それは?」

「頭領用の数字カードです」

 

 山札から引いたカードを葵に重ねる。

 そのカードはあまり肌色面積の多くない、むしろほんわかした絵柄だった。

 

「1枚目、【お団子を一緒に食べた(5)】。2枚目はルール上必ず裏側にして隠します。そして3枚目、【添い寝をした(9)】ですね。ここで私は止めます」

 

 くノ一と頭領の思い出カード、と言ったところか。

 つまり……。

 

「久世くん調教師は、性行為によってくノ一と頭領の思い出を上回り、快楽堕ちさせて奪う……という設定ですね」

「わりと尖ったゲームね、これ」

 

 来栖部長がそんなこと言っちゃうレベルでセンシティブ。

 だが一緒に遊ぶ約束をした以上、俺は躊躇うわけにはいかない。

 

「分かった、じゃあ勝負と行こうか」

「ヤる気ですね、久世くん。では、調教開始です」

 

 このゲーム、くノ一自身は数字を持っていないので、普通のブラックジャックよりも引くカードの枚数は多くなる。

 数字の上限は、元のブラックジャックと同じ10だ。

 俺は数字カードを引く。

 

「はぁはぁ……♡ こ、こんなの、恥ずかしすぎる……♡ もう、久世くんも好きですね。いきなり【全裸で犬散歩(8)】なんて……」

「山札から引いただけだよ選んだとしたらカードの神様だし吐息止めて甘い吐息ぃ……!?」

 

 くそぉ、エロティカル。

 でもとりあえず数字は『8』。続けてカードを引いていく。

 

「【秘所への愛撫(5)】……」

「はぁ、あっ♡」

「【正常位(7)】……」

「んあぁっ、ち、チカちゃああん♡」

「くノ一・葵にチカちゃんと呼ばせないで!?」

 

 いや普通に喘ぎもヤバいけども。

 クールになれ、久世友近。

 今で合計は『20』。葵の快楽値が27だから、8以上の数字カードを引いたらバースト……精神崩壊だ。

 

「乃々乃頭領、数字カードの分布ってどうなってるんだ?」

 

ブラックジャックでは絵札を10として扱う関係上、10を一番引きやすい。

そこら辺の割合を把握しておかないと引くべき退くべきかの判断がつかない。

 

「1から8までの数字カードが各四枚ずつで32枚、9と10が各八枚ずつで16枚、合計48枚が数字カードになります。これは頭領用のものも変わりません」

「ってことは、大きい数ほど引きやすい、か」

 

 でも20だと勝つには微妙な数字。

 乃々のカードは見えている部分は合計14。隠した者が7以上で頭領側の価値となる

 ここは、危険を承知でもう一枚カードを引かないといけない。

 

「……【執拗なディープキス(5)】! ここでストップだ」

「はん、むぅ……♡ 合計は『25』。お見事です、久世くん調教師、では頭領の思い出を開示します」

 

 隠れていたカードは【月下の誓い(10)】……合計で24。

 危なかった、引いてなかったら負けだった。

 

「つまり、くノ一・葵は乃々乃頭領と一緒にお団子を食べたり、添い寝したりと仲睦まじく過ごしていました。そしてあの遠い月夜、彼女は乃々乃頭領に“私はどんな時でも、あなたに寄り添い、あなたのために在ることを誓います。この忠誠を、どうか受け取ってください”と身も心も捧げたのです」

 

 なんかめっちゃ設定生えてきた。

 

「しかし悪代官に捕まり地下牢に閉じ込められた葵は、久世くん調教師に秘所を愛撫され、全裸で犬のように首輪をつけられて羞恥責めを受け、正常位でアレをされ……トドメに執拗なディープキスの快楽によって墜とされました。どうぞ、今回は久世くんの勝利なので【氷華のくノ一葵】を受け取ってください」

「想像以上に俺がクソ野郎……っ!」

「プレイヤーが調教師なんだからそれは避けられないわよね」

 

 部長からのまっとうなツッコミ。

 趣味のエロボドゲをプレイできているからか、乃々乃ちゃんはホクホク顔です。

 

「次は私、この子にしようかしら」

「【見習いくノ一・あずさ】ですね。ちょっと幼い肢体が魅力ですが、快楽値が低く19になっています」

「ルール上数字カードは二枚目までは強制で引かないといけないから、快楽値が低いと初手でアウトの可能性がある。でもくノ一を所有した状態なら、援護で調整もできる。援護ありきのくノ一……って認識であってる?」

「仰る通りです」

 

 そこまで分かってて部長は敢えて、援護ができない状況で選んだ。

 不思議に思っていると、にこりと優しい笑みを見せてくれる。

 

「ガバが起こって初手から快楽精神崩壊とか面白くない?」

「超ドS!」

「あくまでゲームの中だけよ、せっかく調教師なんだから多少は悪辣にならないと」

 

 今の優しい笑みなんだったんだよ。

 

「数字カードは、【種付けプレス(10)】に【公開プレイ(10)】。あっちゃー、やっちゃったわー。初手から限界振り切っちゃったわねー」

「棒読みが過ぎる」

 

 俺のツッコミなど華麗にスルーして、ゲームは流れるように進む。

 

「では今回は、まゆ調教師がまだ未成熟なくノ一・あずさに無理やりな調教を敷いて、結果快楽による精神崩壊。しかし乃々乃頭領の手のものが回収し、忍びの里で療養を受けて今では元気に戻っています」

 

 ああ、ルール上援護値を使ってサポートに回るから、里に戻ると復活するのね。

 

「私の勝ちで、あずさを貰います。これを複数回繰り返して、プレイヤーのくノ一獲得数が頭領を上回れば勝利です」

 

 ゲームとしてはシンプルなのに、中々厄介だぜこいつはよぉ……!

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 既に複数回くノ一の奪い合いが行われた。

 一回のゲームの決着が早いので、とんとん拍子にくノ一が快楽堕ちしていく。

 

「俺が選ぶのは【幻艶のくノ一・紫苑】だ。快楽値は31? 凄いな」

「妖艶な、遊女のような姿をしたお姉さんくノ一です。快楽に対する耐性も強いのでしょう。では、頭領との思い出を……【幼い頃の約束(10)】、【一緒にお風呂(9)】、【野山を駆ける(3)】。色っぽい女性ですが、頭領とは幼馴染みで小さい頃から共に過ごした、といった感じでしょうか?」

「おっと、またもや俺がクソ野郎展開だぜ」

 

 とりあえず数字カードを重ねていく。

 でも今回に限って、なんか数値の低いカードばかりが出てくる。

 

「そ、そんな風に絆そうとしたって、無駄……やっ♡ 変なとこ、触らないで。口付けは、頭領と……んっ♡」

「く、ぅ。【軽い口づけ(1)】、【抱きしめる(2)】、【胸を揉む(2)】とかばっかりのせいで、俺が頭領の幼馴染をじっくり墜とそうとするみたいな展開になってる……あ、【獣のような後背位(10)】」

「ああっ、激しいっ♡ なんでしょう、一転して墜としにきましたね。ちゃんとストーリーの流れが出来ていますよ」

「カードの神様ってこえー」

 

 順当に俺は【くノ一・紫苑】を入手。

 なにを隠そう、ここまで全勝です。

 

「すごいわね、久世くん。調教師の才能があるわ」

「ありがとうございます、部長。内容はあんまり嬉しくないけど、部長のお褒めの言葉というだけで心に沁みます」

「あら、私まで調教するつもり?」

「断じてねえです」

 

 だから悪戯っぽい笑顔で体を隠すのは止めてください。

 部長も新しいくノ一を入手。

 というか、ですね。

 

「なあ乃々、なんでそっちは平常運転なの?」

「…………?」

「えっ、待って。そんなきょとんとした顔されるとか意味分からない」

 

 乃々は、部長の時には喘ぎがそんなに激しくなかった。

 とぼけているのか意識していなかったのか、彼女はこてんと小首を傾げている。

 

「あっはっはっ、よかったじゃない。特別扱いだって」

「そう、それですね。久世くんには恥ずかしいところも見せられますから」

 

 嬉しいのかそうでないのか。

 まあ、友達として親しんでくれている、と自分を納得させることにした。

 

 

 そんな風にくノ一を調教して続けて、しばらく。

 不意に乃々が問いかけてきた。

 

「久世くんは、胸の大きいくノ一ばかりを狙いますね。好みですか?」

 

 同級生の女子にこんなド直球ぶっこまれる機会はなかなかないですぜ?

 

「あー、んー、どっちかというと逆? 胸の大きい子を選ぶというより、見た目幼い感じの子を選ばない、というか」

「ああ、年上趣味がここでも発揮されていましたか」

「言い方。だけどまあ、そうだな。どっちかっていうと大人びたタイプの方が好きだわ。お、【逆駅弁(9)】で、合計25。快楽値ぴったりだ」

「あっ、やっ、きもひいぃぃぃっ♡ では【ハイカラくノ一・ケイト】を久世くん調教師が墜としましたね。……ケイトは、くノ一の中でもトップクラスの巨乳ですが」

「……“ない”と“ある”なら、あるの方がグッときます」

 

 乃々が満足そうに頷いている。

 恥ずかしい話題ではあるんだが、部長も乃々もドン引きしたりはしないので助かる。

 いや、助かってるか、これ? そもそもこの手の話題はいっつも女子側から振られてるぞ?

 

「なんかいっつも俺ばっかじゃね? こういう話ん時。逆に乃々や部長はどうなんよ」

「私の好みのタイプは、私にドン引いたりせず、かといって勘違いから興奮して迫ってきたりもしない殿方です」

「わりと切実なヤツきた……」

 

 そりゃそうか。

 まずこのエロボドゲ趣味をあるがままに受け入れてくれるのが前提というのは当然だ。

 

「後は、一歩引いて周りを見ることのできる、落ち着いた方はいいと思いますね。逆に押しの強い男の人は、少し苦手かもしれません。外見は、よほど特異でなければ」

「なるほどなぁ」

 

 カードをしながらも会話するだけの余裕がある。

 俺も慣れたもんだ。

 

「ちなみに部長は?」

「イケメン、スタイルがいいと尚良しよ」

「これまたシンプルな」

「性格なんて分からないじゃない。良さそう見えても深く接してみると、なんてケースだってあるもの。だったら最低限容姿の担保は欲しいわ。性格がアレでも顔が良ければ耐えられる可能性もあるもの」

 

 ある意味さっぱりとしたご意見である。

 俺はこっそり乃々に耳打ちをする。

 

「なら、古池副部長にもチャンスあるかね?」

「どうでしょう、男前ではあると思いますが、まゆ部長の好みのイケメンかは分かりません」

 

 確かに、微妙に範囲からズレている、みたいなこともあるのか。

 深く突っ込んで想いを暴露というのも気が引けるし、とりあえずこれ以上は追及しないでおくべきだろう。

 

「次、久世くん調教師の番ですよ」

「おっと、【霊刀のくノ一・瑠璃】を選ぶ」

「瑠璃は刀使いと、凛とした和風美少女ですね。胸も大きいです」

「イラストの雰囲気のわりに、快楽値22って低めだな」

「強気な剣士は快楽に弱いものです」

 

 どや顔な乃々ちゃん。

 部長が「処女が何か言ってるわ……」とツッコミをしていたが、拾ったら火傷するので聞こえなかったふりをする。

 

「こちらは【花畑の一幕(7)、【激しい修行(5)】ですね。剣士系だけに、修行に付き合ったりその後は花畑でデートをした、というところでしょう」

 

 合計は12。

 ってことは隠した二枚目は、10に近い数字カードだろう。

 俺は一枚目を引き、瑠璃に重ねる。

 

「【立位(8)】だ。ごめん、乃々乃頭領。決めにかかるわ」

「と、いうと」

「数字カードを引く代わりに、葵とケイトと紫苑で援護」

「数値代用で……ああ、ぴったり22になるんですね」

 

 そういうこと。

 同数値の場合、優先は調教師側。なので、自動的に俺の勝利である。

 

「つまり、和風美少女くノ一・瑠璃は、久世くんに立ったままアレをされながら、仲間であるはずの葵とケイトと紫苑に性感帯を弄られ、なすすべもなく快楽堕ち、と」

 

 乃々は一度コホンと咳払いをしてから、

 

「あっ、ああっ♡ そんな、いっぺんになんて、むりぃぃっ♡」

 

 甘く甲高い喘ぎ声が部室に響く。

 これ誰かに聞かれたらもう一巻の終わりじゃねえかな。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

「ふぅ、満足がイきました……」

 

 終了後。

 くノ一調教カードは、ゲームとしては乃々乃が最下位だった。

 しかしご満悦と言った感じで頬を赤く染めている。

 

「ていうかこのゲーム、久世くんが強かったわね」

「や、俺も予想外に引きが良く」

 

 ちなみに一位は俺。ほぼほぼすべてのくノ一を調教して快楽堕ちさせてきた、尋常でない調教師みたいになっとる。

 

「ええ、まったくです。私がどれだけ久世くんの手管に喘がされたことか」

「乃々ちゃん、他で絶対そんなこと言ったらダメだぞ」

「いえす、ますたー」

 

 茶化した返答だったが、その辺りはちゃんと乃々も心得ている。

 彼女は俺の隣に座り、ふんわりと優しい笑みを浮かべた。

 

「付き合ってくれてありがとうございます、久世くん。葵さんとは仲良くなりましたし、古池副部長とも交流は増えてきました。ですが、やはりあなたやまゆ部長と気兼ねなくプレイするのは、楽しくてキモチいいです」

 

 たぶん心からの感謝を伝えてくれているんだと思う。

 でも、このタイミングでキモチいいは控えていただきたい思春期男子です。

 

「やっぱり、久世くんは特別なお友達です」

「あー、うん。ありがとう……。俺も、な。乃々と遊ぶの、楽しいぞ?」

「ならよかったです。また、お付き合いしてくださいね」

 

 その笑顔があんまりにも綺麗だから、つい俺は頷いてしまう。

 

「そろそろ下校時間ですし、片付けましょうか」

「あ、待って乃々乃。その前にジュース買って来るから付き合ってもらえる?」

「はい、構いませんよ。久世くんは……」

「勝者はどーんと構えていてもらいましょう」

 

 部長はスムーズに女子二人でジュースを買いに行く状況を作ってしまう。

 

「久世くんは何がいい?」

「一番好きなのは部長特製レモネードっすけど、今はコーラで」

「おっ、ボドゲとコーラの相乗効果に気付き始めた? なら行ってくるから、少し休んでて」

 

 ウィンクをして、部長と乃々が部室から出ていく。

 一人残された俺は、小さく溜息を吐いた。

 

「あんだけエロに寛容で造詣が深いのに、どうして男子の生理反応は意識しないんだ……」

 

 とりあえず、戻ってくるまでに平静さを取り戻さないといけない。

 初手は、耳に残る乃々の甘い喘ぎを消すところからだろう。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 廊下を歩く女子二人。

 乃々乃はメモ帳に何かを書き込んでいた。

 

「ねえ、それはなに?」

「久世くんの嗜好メモです。せっかく遊ぶなら彼の趣味に合ったエロボドゲをやりたいですし、『胸はないよりある方がグッとくる』『大人のお姉さん系が好み』も記しておこうと」

(大変よ、久世くん。あなたの性癖が着実に、この子に把握されていってるわ……!?)

 

 部長として、かわいい後輩が心配になるまゆだった。

 

 

 

 

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