返坂高校ボードゲーム研究部によるエロボドゲプレイ記録   作:自宅戦闘員

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人間関係カードその2

 

 

 来栖部長と古池副部長も来て、ウチのリビングで勉強会が始まった。

 お二人ともちゃんとしているので、母さんはまたもびっくりしていた。どうもボードゲーム研究部の部長は「でゅふふふ」と笑う男性だと考えていた節がある。

 

「久世くんのお母さんが何か期待しているみたいだからオタク笑いの一つもしようと思ったけど、一応やめておいたわ」

「部長のお気遣いに感謝します」

 

 いつもの悪ノリは控えてくれるみたいだ。

 みんな勉強道具を広げて、各々テスト範囲の復習を始める。

 俺と乃々は葵を挟む形で座った。なにせこの勉強会のメインは葵みたいなもんだからね。

 

「じゃあ、この葵用テスト対策問題集を解いていくとしようか。問題が解けたらお菓子が待ってるぞ」

「うぃっす、頑張るっす……!」

「葵さんの語尾がおかしなことになってますね」

 

 お菓子は前もって用意していた片手で食べられる小さなパウンドケーキとクッキー。飲み物はアイスのコーヒーと紅茶、冷房入れてる関係で体が冷えるかもしれないのでホットのお茶も出せるようにしている。

 

「あ、副部長。これ、れんこんチップスです。副部長そこまで甘党でもないし、塩味ほしいかなと。ジンジャークッキーとか、甘さを控えたプレーンの一口パウンドケーキとか、食べやすそうなの用意してますよ」

「ありがとう。いや、助かる……うまいな、れんこんチップス」

「でしょ? 切って水気を拭き取って揚げて、あつあつのうちに塩を振るだけなんですけどね」

 

 副部長はポリポリとチップスを食べて頷く。ジンジャークッキーもお気に召してくれたようで、そこそこ手が伸びている。

 

「しかし本当に久世は料理が上手いな」

「お褒めに預かり光栄です。いやー、でも菓子作りは乃々が上っす」

「そうなのか?」

「ですよー、味付けもいいしデザインもかわいくて綺麗。俺にはその手のセンスがないもんで」

 

 だよな、と乃々に話を振れば、彼女は小さな照れ笑いを見せた。

 

「古池副部長、話半分に聞いてください。彼は過剰に私を褒め過ぎるところがあるので」

「そんなつもりはないんだけどな、マジで」

「はは。なら、どちらも上手いでいいだろう」

 

 和やかに副部長が締める。

 そんな俺達を見て、来栖部長がからかうように笑った。

 

「これだけ女子がいて一番特別扱い受けてるのが古池くんってすごいわよね」

「俺は助かったぞ。甘いものも嫌いじゃないが、好みはれんこんチップスの方だ」

「どもっす。女性陣は普通にお菓子食べるますしね。皆が楽しめるようにするのはホストの役割です」

「さすがCHI・KAさま」

 

 部長は時々変な話で俺を様付けして呼びます。

 さて、お菓子談義ばかりしていても仕方ない。ちゃんと勉強もしないと。

 

「ねえ、チカちゃん、これは?」

「ああ、その範囲の英単語ならこっちにまとめておいた。どうしても英語は覚えた単語の量に左右されるから、もうここは頑張ってしか言えない」

「この勉強会開いた時点で久世くんはテスト勉強終わっていません?」

 

 乃々のツッコミが事実過ぎる。

 葵用の問題をまとめるため、事前俺テスト範囲を総ざらいしているのだ。

 

「ていうか、葵以外の皆の成績ってどんなもなの?」

「ボクは除外ですか?」

「え、だって……ねえ?」

「そうですよー、放っておかれたら確実に赤点補習で夏休みが潰れるレベルでーす」

 

 元気なのか捨て鉢なのか、妙に明るく笑う葵。

 素朴な部長の疑問にそれぞれ答える。

 乃々は上の上、俺は上の中から下。どちらも中間ではいい点を取っている。

 

「ちなみに意外にも私より古池くんの方が成績はいいわ」

「自分で意外というのか……」

 

 副部長がちょっと困ったような顔になった。

 正直俺も部長は成績優秀なタイプだと思っていたので驚いている。

 

「はっきり言うと、来栖と俺はテストの点だと教科によって勝ち負けがあるだけで、大きな差はない。成績と言うのは、単に教師の覚えがめでたいのは生徒会に所属する俺と言うだけだ」

「授業をサボってボドゲのイベント行ったりするので内申点の低い部長・来栖まゆです」

 

 奇妙な自己紹介をされた。

 頭が悪いとかじゃなく、ちゃんとしていないタイプらしい。 

 

「葵さん、その問題はこちらの公式に当てはめるんです」

「ありがとー、乃々乃ちゃん。これを解いたら、ドライフルーツのパウンドケーキがボクを待っている……!」

「ふふ、そうですね」

 

 あっちはいい感じで問題集を進めている。

 部長がこそっと俺の耳元で呟く。

 

「成績悪いわりに、真面目に勉強はするのね?」

「前にも言いましたが、葵は人の好意を無碍にするヤツじゃないんで。自分だけだと面倒の一言で終わらせますが、周りの人がお世話をすると“報いなきゃ”ってなるんです」

「そのための勉強会なのね」

「ですね。今後は乃々にも任せられそうで安心しました」

「……ふうん?」

 

 俺も負けていられない。

 改めて教科書を読み、苦手気味な古文を重点的にやる。

 時折くる部長からのちょっかいを耐えつつ、勉強会は順調に進んでいった。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

「ふひぃー、疲れたぁ。チカちゃん、冷たいアップルティーにバニラアイス添えてぇ……」

「はいはい」

「なんで既に用意されているんですか?」

 

 人間の集中力には限界がある。

 詰め込み過ぎても効率が悪いので、90分間集中して勉強したら、その後の20分間休憩をとるという形にした。

 ので、葵のご注文の品を用意。他の皆も各々お菓子をつまみつつリラックスしている。

 

「あー、紅茶アイスおいひぃ」

「けっこう進みましたね」

「うん、乃々乃ちゃんのおかげ。ありがとうごぜえますだ」

 

 クラスメイトからも頼りにされているだけあって、乃々は本当に教え方が上手い。

 二年生のお二人は互いに得なところでフォローし合っていて、わりと相性は良さそうに見えた。

 そうしてちょっと休んでから、部長がパンっと柏手を打って注目を集めた。

 

「ボドゲをしましょう」

 

 いきなりのことで一瞬反応が遅れた。

 それも織り込み済みだったようで、部長はそのまま話を続ける。

 

「勿論長丁場のじゃないわよ? 二十分の休憩の間に出来る簡単なものをね」

 

 それなら、まあいいか?

 しかし、ウチにボドゲってないんだよな。あるのは百人一首とトランプくらいだ。

 俺はちらりと、いつもプレイするボドゲを用意してくれる乃々を見る。しかし彼女は首を横に振った。

 

「今日は持ってきていませんよ。リビングでエロボドゲとかご家族からの久世くんの評価が下がるじゃないですか」

「乃々、君は本当に気遣いのできる優しい子だ」

「いえいえ」

 

 マジでありがとう。

 ゾンビパンデミックの時からちょくちょく俺の好感度を上げてくれるね。

 

「だと思って、今日は私が準備したわ。“人間関係カード”……数分程度で終わるゲームだから息抜きにちょうどいいでしょう?」

 

 それなら助かる。

 じゃあ皆でやるか、といった流れになり、部長は満足そうに頷いた。

 

「ちなみにこれもエロボドゲよ」

 

 どうしてそんなひどいことがデキるの?

 

「まず初めに、軽く説明しましょうか。エロボドゲって結構幅が広いの。乃々乃が好きなのはロールプレイ要素の強いエロTRPG。でも、大喜利系やコミュニケーション系のエロボドゲを好む人も多いわ」

 

 俺と葵と古池副部長の三人はまだまだ初心者なので、今一つピンと来ない。

 すると乃々がちょっと困った顔で付け加えた。

 

「私は、“エロ系シチュを演じるゲーム”が好きなんです。ですがパーティーゲームだともっと直接的なものもあります」

「そ。たとえば、ダイスを転がして出た目が6なら、隣の女の子の胸を揉む、とか。山札から引いたカードに書かれた“えっちなお題”をクリアする、とか。合コン向けの、実際の行為が伴うタイプのゲームね」

 

 あぁ、なるほど。

 王様ゲームのボドゲ版ってことか。

 元々が羽目を外す目的の合コンなら、ゲームの名目で接触を楽しむのもアリ、みたいな話だろう。

 でも、どうやら乃々はそういうのは好んでいないらしい。

 

「さすがに、触られるのは遠慮したいです」

「俺は今、心の底から安心した」

「久世くんは私をどう思っていたんでしょうか……」

 

 乃々乃ちゃんは、とってもいい子だと、ぼくは信じていました。

じとーっとした視線を感じたので目は逸らしました。

 俺達のやりとりを見て小さく笑い、来栖部長がカードの山をテーブルに置く。

 

「で、私が持ってきたのは人間関係カード……ロールプレイ要素の強いコミュニケーション系パーティーゲームよ」

「え、それって乃々乃ちゃんがあんまり好きじゃないっていう……」

 

 エロい接触のあるヤツなのでは、と俺も思ったがどうやら違うらしく、部長が説明をしてくれた。

 

「まあ、合コン向け、は合ってるけどね。でも直接的な接触はないから大丈夫。このゲームの肝はずばり、人間関係を演じること」

 

 部長はダイスとタイマーもテーブルに置き、これで準備は整ったらしい。

 

「人間関係カードは、まず初めにダイスでもクジでもいいので“メイン人物”を決めます。続けて“サブ人物”を決めます。サブ人物は山札からカードを引き……」

 

 言いながらカードを引き、皆に提示する。

 そこには「妹」という文字と簡素なイラストが描かれていた。

 

「カードに書かれた役割を演じるの。今回は、妹。例えば古池くんがメインだった場合、私は古池くんの……康太おにいちゃんのぉ、いもうとになるんだよー♡」

「はうっ!?」

 

 いけない、副部長がまゆちゃんの甘々ボイスに打ち抜かれた。

 俺は姉趣味のおかげで助かったぜ。

 

「まさにロールプレイ特化のパーティーゲーム、ですね。エロボドゲということは」

「エロい人間関係もあるわ」

 

 乃々の質問にきっぱりと答える

 だが部長は悪戯っぽく笑って俺を見る。

 

「大丈夫よ。久世くんの家だもの、“色々問題になりそうなカード”は事前に抜いてあるわ」

「さすがっす、部長」

「基本のルールは、ダイスでメイン一人とサブ二人を決めて、演じる時間は二分でどうかしら。これなら数回やれるでしょ。ダイスロールとカードを配るのは、慣れている私がやるわね?」

 

 気楽に出来そうだし悪くない。

 他のメンバーも同意し、ゲーム開始と共に部長がダイスロール。

 さらに山札からカードも配られた。

 結果、

 

・メイン人物:能登乃々乃

・サブ人物:久世友近(乃々乃の性奴隷)

・サブ人物:来栖まゆ(乃々乃の家庭教師)

 

 

 すみません敬愛する部長ヤバそうなのは抜いたって話どこに行きましたか?

 初手から地獄なんですが。

 

 

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