返坂高校ボードゲーム研究部によるエロボドゲプレイ記録   作:自宅戦闘員

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淫魔の迷宮その1

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 三人の冒険者は、最奥に安置された『淫魔の宝珠』を破壊するため、迷宮に足を踏み入れる……。

 迷宮内は独特の香気に満ちており妙に熱い。

 ただ歩くだけで肌が汗ばみ、息が荒れてくるほどだ……。

 盗賊チカは先頭を歩き、トラップを常に警戒している。

 武闘家アオイもまた少し不安そうに周囲を見回していた。

 聖騎士ノノーティアは聖堂教会に所属する女性だ。淫魔の迷宮踏破に対する意気込みは誰よりも強い。

 しかし、三人の冒険者はそれぞれ趣は違えど美少女。

 淫らな迷宮にとっては堪らなく魅力的な餌なのだ……。

 

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 ゲームを盛り上げる来栖まゆ部長の語り。

 部長と乃々はTRPGをする際はガチに役を演じる勢だ。それだけに結構迫力がある。

 俺と葵はTRPGのプレイ経験はあるものの、いまだ初心者の範疇。進行に際しては部長と乃々がフォローをしてくれる。

 

「淫迷はテンポよく進めることを重視しているため、ステータスが細かく設定されていません。なので回避は他のゲームで言う幸運や素早さを兼ねます。行動順はチカちゃん、アオイさん、私になります。そして複数人でセッションする場合、プレイヤーでパーティーを組みます。ダンジョンを移動する際は、パーティーをひと固まりと考えて動かします。今回は三人なので、1ターンで3マス進める、という感じですね。別行動する際はゲームマスターに進言してください」

 

 乃々乃解説に続けて部長から「マップの広さはそれに合わせて調整してるわよー」とのこと。

 俺達がキャラシートを作ってる間に準備は調えといてくれたらしい。さすがだ。

 

「うっす。じゃあまずは俺から、ダイスロール!」

 

 遊びって一人乗り気じゃない風の奴がいると途端につまらなくなる。

 だから俺はボードゲームする時は、常にパワー全開でダイスを振ることを心がけている。

 出目は……5! 4・5・6はエロトラップ発動。エロトラップデッキからカードを一枚引く。

 カードには、『カード名』と『成否判定の数値』、『効果』が記されている。

 引いたカードのエロい効果が、俺のキャラに向けられる。で、エロい目に合うか避けられるかをダイスで決めるって感じだ。

 

「【媚薬ガス噴出】カード! 成否判定は7! っしゃあ、確定でエロトラップ回避ぃ!」

 

 エロトラップは回避値とダイスの目の合計が、成否判定の数値を上回れば回避可能。

 盗賊のチカは回避値8なのでダイスを振るまでもなく避けられるのだ。俺のキャラクリの勝利である。

 

「……久世くん、今あなたは盗賊のチカちゃんです。ゲーム中の行動の結果は、もっと柔らかい口調にするべきです」

「えっ」

 

 乃々乃ちゃんから指導が入った。

 え、俺が女の子キャラやんの? 

 ……これを否定、するのは良くない。なぜなら、遊びとは以下略。

 俺は可能な限りきゃるるるーんキャハをする。

 

「やった、よー♡ 私、全然大丈夫っ♡」

 

 瞬間、部長も葵もボフゥッ! って吹き出しやがった。

 大爆笑ですよ。部長がバンバン机を叩いてるし、葵なんてもう年頃の女の子とは思えない笑い転げ方です。

 そんな中、乃々だけは「うんうん、素晴らしいです」と満足そうに頷いているのだけが救いだった。 

 

「ありがとうね、乃々……。オイコラそっちの二人、ゲーム盛り上げるために俺が必死に頑張ったんだぞ笑わないでください」

「きもっ、ち、チカちゃんが、キモいっ」

 

 ツボってるのか、葵が呼吸困難を起こしかけてる。

 部長も全然止まってくれない。

 

「てか部長はTRPG熟練者なんだから男が女を演じるくらい普通なのでは?」

「もちろん、女の子演技を笑ったりしないわよ? でも、だって、久世くん……女言葉のアクセントが、完全に水科さんと一致してるんだもの!」

「あ」

 

 そうか、小学校からずーっと葵といっしょなんだ。

 俺にとって女の子の喋り方で咄嗟に出るのは、彼女のモノに決まっていた。

 

「しゃーないじゃないすかっ!? 葵が一番距離近いから影響受けるくらい!?」

「そうね、仕方ないわよね」

「あたたかい眼差しやめて!?」

 

 ダイス一回振っただけでこの騒動。

 全然テンポ良くないよこのゲーム。

 

「も、もう、チカちゃんってば」

 

 笑いからようやく復帰して咳払い。ちょっと頬を赤く染めてるが、俺はめっちゃ笑われた恨みを忘れない。

 

「あーもう、とりあえず乃々。俺の行動順では何も起こらなかったけどどうするんだ?」

「でしたら、パーティのコマを動かしてマップを進みます。そして次はアオイさん、次はノノーティア。ゲームマスターがマップにイベントを仕込んでいますから、そのトリガーを引くまではエロトラップデッキを引きながら探索を進めます」

「じゃ、次はボクだね」

 

 葵がダイスを振るう。『6』またもイベント発生だ。 

 

「うわぁ、やっちゃった。カードは、トラップ【愛撫触手】だよっ……なにこの直接的なイラスト!?」

 

 葵ちゃん大慌て。

 カードに描かれてるの、女の子の服の下に潜り込んでいるイラストだった。

 デフォルメされてるけどわりとえっちぃ。

 

「大丈夫、成否判定は6。ボクの回避値は4……乃々乃ちゃん、上回るって同じ数字だった場合は?」

「セーフです。今回は合計が6以上になれば回避成功ですね」

「なら、1以外ならおーけーってことだね、らくしょーだよっ」(フラグ)

 

 そうして自信満々で振った葵のダイスは……

 

 

 

「“1”……っ! 圧倒的、“1”っ!」

 

 

 

 なおその言葉は俺ではなくガッツポーズするゲームマスター、来栖まゆ部長である。

 ボードゲームってGMもちゃんと楽しいんだなぁって変なところで理解してしまった。

 乃々もむふーっ、と満足そうである。

 

「はっ、あっ、はあああっ!? なんでここで1が出るのっ!」

 

 テンパる葵。

 大切な幼馴染の動揺する姿を見て、俺は……

 

「ああっ、チャイナドレスで戦う可憐で華奢な美少女武闘家アオイがエロトラップを踏んでしまった! すらりとした細い体に、ぬるぬるとした触手が這い回る! 葵のドレスに入り込んだ触手が、慎ましくも柔らかな胸に絡み付き、先端のピンク色の突起を」

「なに情感たっぷり込めて語ってるの!? 途中から発音が“葵”になってたし!?」

「うるっせぇ! 俺の盗賊チカちゃんを笑った罰だ!」

 

 葵は顔を真っ赤にして俺の暴挙に抗議する。

 対してGM部長は乗り気で応援してくれた。

 

「久世くん、ゲームにのめり込んで場面を想像するのもTRPGの醍醐味よ! ゲームマスター及び部長権限で命令するわ! もっとやりなさい!」

「しゃっすっ! 鍛えられながらも美しい葵の肢体を触手はくすぐるように、時に強く愛撫していく。触手は更に白の薄いえっちな紐パンにまで伸びて」

「勝手にえっちな紐パン履いてることにされたっ!?」

 

 苦しむがいい、俺のチカちゃんの供養だ。死んでないけど。

 そんな俺達の騒がしさを横目に、乃々と部長はひそひそお喋りをしている。ひそひそ仕種なだけで、実際には俺に届く程度の声量だけど。

 

「あの、部長。武闘家アオイの容姿は水科さんをそのまま設定しているから、これ普段から久世くんは水科さんを美少女だと思っていると自白しただけですよね?」

「そこに気付かず口走っちゃうから久世くんはかわいいのよ」

 

 ええい、うるさい。

 変なことを言わないでください。

 

「そして葵は触手の巧みな愛撫に甘く喘ぎぃぃぃぃぃ!?」

「もうそろそろライン越えてるからぁぁっぁぁぁぁぁ!?」

 

 そして最高潮、テンションMAXな俺とそれを何とか止めようとする葵。

 さすがにお互い疲れて肩で息をする。

 

「はぁっ、はぁっ…ね、ねえ、チカちゃん。と、とりあえず無駄な争いはやめない……?」

「はぁっ、はぁっ…そ、そうだな。これじゃあゲームクリアまでもたない……」

「じゃ、じゃあ仲直り」

「仲直り」

 

 ぎゅっぎゅと握手、軽くハグ。

 小学生の頃から変わらない、喧嘩した時の仲直りの儀式だ。

 

「ちょ、ちょっとこれは私も予想外だわ。距離が近すぎ」

「お互いにこじれないと確信しているからこその無遠慮さなんですね。幼馴染み、ちょっと羨ましいです」

 

 なんかかなり大騒ぎしてしまったが、改めてゲームを再開する。

 一度咳払いした乃々乃が、アオイのエロトラップに関するゲーム処理を教えてくれた。

 

 

 

【名前】アオイ

【職業】武闘家

【ステータス】

 [HP:11/11] [MP:7/10] [SP:5/5]

 攻撃:5 防御:1 回避:4

 

【状態異常】

・敏感(MP減少値が1増加、2ターン経過で自動解除)

 

【スキル】

・上段蹴り(属性:物理,攻撃値+7ダメージ)

・疾風脚(属性:魔法,回避値で敵にダメージ)

・精神集中(行動開始のダイスロールごとにMPを2回復)

 

 

「まず、ステータスの詳細を。このゲームにおけるHPは普通に体力ですが、MPはマジックポイントでなく“メンタルポイント”です。エロトラップやえっちなモンスターに襲われると、カードに記載された数値だけ減少します。0になると絶頂。1ターン分の行動不能に陥り、2ターン目にMP5で行動可能になります。スキルの使用はSPを消費しますが、どのスキルでも消費は1ポイントです」

 

 絶頂って言った……。

 乃々のお淑やかな美少女っぷりで絶頂って普通に言った……。

 

「さて、今回のトラップ【愛撫触手】によってアオイさんの華奢なカラダが全身愛撫されてしまいました」

「乃々乃ちゃん、言い方」

「なので、MPは3減少。さらに巧みな愛撫によってアオイさんは快楽を教えられてしまい、ぴくぴくと『敏感』な状態になっています」

「だから乃々乃ちゃん言い方」

「このように、トラップによっては状態異常が付与されてしまいます。ですが絶頂してもゲームオーバーにはなりません。むしろ、クリア時に何回絶頂したのかを集計するのが笑いどころですね」

 

 すげえ。葵のツッコミに一切反応してねえ。

 

「なのでMPの最大値を5に設定した盗賊チカちゃんは非常にイキやすい全身性感帯ということになります」

「こっちにまで被害か来た。いや、俺のキャラクリは当たらなければどうということはないスタイルなんで」

「もう、久世くんったら。そんな、クリなんて」

「おい淫乱ピンク」

「私の髪、黒色ですよ?」

「頭の中の話だよ」

 

 というかなんで淫乱ピンクって言われたのに嬉しそうなの?

 

「さっきの官能語りをやった久世くんに言われても……」

「ちっくしょう反論の余地がない」

「ふふ、ピンク仲間ですね」

「……わーい」

 

 何故か乃々とハイタッチ。

 お嬢さん微妙にいつもよりテンションが高いです。

 

 

「ピンキッシュフレンダリーを結んだところで続きを。ちなみに淫迷は、キャラシートが簡単かつ死亡での離脱がないので、そういう意味では初心者向けのTRPGと言えます。さて、次はノノーフィアの番ですね」

 

 ダイスは“2”、トラップ回避だ。

 なのに乃々はちょっと残念そう。

 

「いけませんね、私の時にはなにも起こりませんでした」

 

 そういやこの子、回避値を低く設定していたな。

 たぶん、トラップまみれで大騒ぎ、みたいなのを想定したキャラクリなんだろう。

 これもTRPGの楽しみ方というわけか。

 とりあえず全員ダイスを振り、GM部長が仕切り直す。

 

「一巡したわね。では」

 

 

 

 ────────

 

 三人の冒険者は淫魔の迷宮を進む……。

 武闘家アオイは触手によって淫らな責めを受けてしまった。

 だがそれはまだ序の口。

 淫魔の迷宮には恐るべき罠が仕掛けられているのだ……。

 

 ────────

 

 

 

 言いながら部長はエロトラップデッキにカードを足した。

 

「いきなりドギツイのに当たると変な感じになるし、一巡目は低レベルなトラップだけにしておいたの。ここから先はモンスターやヤバめのトラップが増えるわよ」

 

 どうやら、ここからが本番らしい。

 俺はごくりと生唾を飲み込んだ。

 

 

 

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