影使いの大空   作:黒ソニア

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今回はタイトル通り調伏の儀をします。
多分、まこーら以外では描写は今回限りになると思います。




標的11:『修行と調伏の儀』

 

 

 

本日は土曜日…学生にとって土曜日と日曜日は自由な時間。

好きな時に寝て、起きて、食べて、遊んで…と、5日間の地獄から解放される一時の至福を味わうのが2日間の休日な訳なのだが───

 

 

「何で………俺は、はぁ…はぁ…。

折角の休日を…こ、こんな命懸けに潰されるとか…。」

 

「一々弱音吐いてねぇで、さっさとこの崖を登りやがれ。

これは修行の準場運動だぞ。」

 

「はぁ……はぁ……いやいや…。

ここに来るまで走らされて……。

そこから崖を登れ、とか……鬼畜の所業じゃねぇか。

ていうか準備運動のレベルじゃねぇよ…。

本格的な修行じゃねぇか!!」

 

「男の癖にネチネチ言ってんじゃねぇ。

見てみろ、謎野奴なんか黙々と登って後少しだぞ。」

 

 

謎野…()()()()()の方を見る。

確かに黙々と登っている…様に見えるが、耳を澄ませれば「おはぎ…おはぎ…この崖を登ったらおはぎが…!」…って、言ってるけど…。

お菓子の為に登ってんの?

 

因みに『えっちゃん』っと言うのは、彼女がそう呼んで欲しいと言われたからだ。

最初は恥ずかしくて呼ばないと思ったが…何やら上目遣いで「嫌…ですか?」って言われちゃったらね、断れないよね。

ただその後に平常運転の謎野…えっちゃんに戻っていたから、女の子の気持ちは本当によく分からない。

 

その事をユニに相談されたら何かそっぽ向かれたし…マジで分かんないわ。

 

 

「それから獄寺、お前もツナ同様に早く登れ。

お前とツナは素の身体能力はまだまだだからな。

今のままじゃ、クロロ以上のヒットマンに狙われちまったら直ぐにお陀仏だぞ。」

 

 

ぐぐっ、耳が痛え…。

 

 

「…とは言え、ここの崖…結構高いんだよなぁ…!」

 

 

必死で登っているツナに…頂上にいるユニがツナに声をかける。

 

 

「沢田さん頑張って下さい! 後少しです!」

 

 

…やれやれ、ユニに応援されちゃぁね。

 

 

「やってやんよぉお! おおおお!!」

 

 

ツナは死ぬ気で崖を登る。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……の、登りきった…。」

 

「………自分も………登りきったっす。」

 

「たくっ、お前達はダメダメだな。

この程度で疲れてる様じゃ次にヒットマンがやって来たら殺されるぞ。

こりゃ、平日の学校でも帰りにこの崖を登る様にさせるか。」

 

 

…おい、それ鬼畜の所業じゃねぇか。

 

 

「鬼畜じゃねぇぞ。

俺はお前達の事を真剣に考えて言ってんだ。

モンガーン、アンビダは自体は元々そこまで大した事のねぇ連中だったが。

それでもリングの力を発揮されて苦戦を強いられた。

オマケにこの前のクロロは元々ヒットマンとしてはそこそこ名の売れていた奴だ。

真正面から戦って勝てたのはハッキリ言って奇跡だ。」

 

 

人の考えを勝手に読むなよ…たくっ。

だが確かに、クロロを倒せたのは奇跡だ。

それは戦った俺達が分かってる。

 

 

「…はぁ、んじゃ…もう一回降りて崖登りをすれば良いのか?

でもせめて呪力を使わせてくれ。

素の身体能力を上げる考えは賛同だが、それは呪力を使って回数をこなせば自然と身につくだろう。」

 

「…ふむ、ツナの癖にある意味的を得た事を言うな。

だが、素のスペックを上げる為にも最初は何も無しでやってもらうがな。」

 

「ちっ…!」

 

「まぁ、この話はここで一旦終わりだ。

これから本格的に修行へ入ってもらうのだが…。

先ずはリングに炎を灯せる様になってもらうぞ。」

 

 

そうか、それをやれる様にしないといけないか。

 

 

「今お前達の中でリングの炎を使えるのは謎野だけだからな。

ツナと獄寺は今日明日中にリングを使える様にしろ。」

 

「……あの、リボーンさん。

リングの力を使うのには、かなりの時間がかかると言われていますよ!」

 

「最低でも獄寺は使えようになれ。

お前はここに来る前からリングを貰っているだろうが。」

 

「うっ…。」

 

 

そうか、そういえば獄寺は赤い鉱石のリングを持っていたな。

 

 

「あっ、そうだ。クロロやえっちゃんが雷のリングでシールドを作ってたけど、リングにはそんな事が出来るんだな。」

 

「おっ。そう言えば、リングの属性は教えたが、その特徴までは説明してなかったな。」

 

「では、簡単に説明致しますね。」

 

 

ユニ曰く…俺の大空は『調和』、炎を受けた対象の周囲にある環境や物質と同化し、更には正常な状態に整える…つまりは実質的な死ぬ気の炎を無力化にするって事なのだろう。

 

そしてみっちゃんの雷は『硬化』、言葉通り高い硬度を誇って防御に優れ、貫通力もある攻防に優れたバランスの良い炎らしく、炎だが電気に近く丸コゲに出来るらしい…ヤベェな。

 

んで獄寺の嵐は『分解』、炎を受けた物体を浸食しつつ破壊する攻撃能力に特化してるが雷の様に防御にも適してる事だ…ふむ、これも恐ろしいな。

 

ついでにリボーンは晴れで『活性』、炎を受けた対象の潜在能力や成長に作用し、身体強化・治癒能力が出来るサポートに適してるらしい…これも中々だな。

 

残る3つ…雨の『鎮静』、炎を受けた対象の攻撃力・防御力・肉体機能の低下、抑制の効果を持つデバフを掛ける事が出来、圧縮した雨の炎を用いれば、相手の動きを限りなく停止に近づける事も可能で、更に雨は雷に似て炎だが水に近く痛みを弱める事が出来るらしい…一見、自身には恩恵は薄いようで相手からすれば厄介だ。

 

2つ目の霧の『構築』、幻覚を見せる或いは生み出す炎で、7種の炎の中で一番硬度と威力が低いらしい…うん、一見一番弱い様に見えて他の炎と違って幻覚という固有能力が使えるのは凄いな。

 

3つ目の雲の『増殖』、一つの物質や攻撃を多方面に増やして拡散、膨張させられる炎らしい…ほうほう、こっちはこっちで使いようには厄介性のある力だな。

 

………これらを聞いた率直な感想としては───

 

 

「大空が一番パッとしない上に難しい能力で弱く見える…。」

 

「いえいえ! そんな事は無いですよ10代目!

無力化出来るとなれば凄い事っすよ!」

 

「でもさ…それはあくまでも俺個人の感想であって、厳密には違うんだろ?」

 

 

はぁ………大空って少ない上に弱いんじゃ無いの?

 

 

「そんな事は有りませんよ。

大空以外の6種の属性はそれと同じ属性の匣しか開けられないのですが、大空は唯一全ての匣を開けられるんです。」

 

 

へぇ………でもねぇ…。

 

 

「まっ、大空以外の匣を開けても、一致してない分その匣の性能を100%引き出せないらしいがな。」

 

 

ほら見たことか。

 

 

「お、おじ様…。」

 

「まっ、自分の持つ波動…死ぬ気の炎を変える事は出来ねぇからな。

切り替えて先ずは大空の死ぬ気の炎を使える様にしろ。」

 

「……それもそうだな。

嘆いてたって変わらないんだし、そもそも俺には呪力を持ってるからな。」

 

「あ、沢田さんのあの力は呪力というんですね。」

 

「ん? ああ、なんかアンビダとの戦いで、何でか知らないけど呪力って言うのが何となく分かったんだよな、何でだろ?」

 

「…それは恐らく、沢田さんの超直感でしょうね。」

 

「超直感…?」

 

 

簡潔に言えば、超直感は勘の鋭いを遥かに超越した凄い力だそうだ。

 

 

「へぇ、大空の調和にはそんな力があったのか…。」

 

「いえ、あくまでもそれは沢田さんのブラットオブボンゴレによるものです。」

 

「え? そうなの?

でも、ユニだって持ってるんだろ?」

 

「え………あ、それはこの前の事ですね。

それはその…。」

 

「別に隠す必要ないだろ?

ユニは俺に似て───人の気持ちを感じ取る力を持ってるだろう?」

 

 

ツナの発言に、リボーン達は驚愕した。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

リボーンからリングに炎を灯すには『覚悟を炎に変える』しろとの事らしい。

 

 

「覚悟を炎に……覚悟を……炎に…!」

 

 

それっぽく、敵に負けない力をって思いながら力を込めてみるが、呪力と違って中々上手くいかない。

どうやら死ぬ気の炎は呪力と違ってプラス面によるものかもしれない。

 

呪力は逆にマイナス面、初めて使えた時は…小学生4年の頃か、柄の悪い並中生に絡まれて嬲られていた時だ、あの時は本当に相手をぶっ殺したいと言う気持ちが昂って全身から黒いオーラ…呪力を展開して並中生を全員をボコしたんだよな。

 

 

「ああくっそう…! 全然上手くいかねぇ…!」

 

 

愚痴を吐いた後、獄寺の方を見ると獄寺も上手くいかなくて苦戦していた。

 

そして、みっちゃんは雷の炎を灯せるからか、今はイメトレしながらセーバー(本人呼称)を振り回していた。

 

リボーンはと言うと、ユニと何か話し合ってるし…。

 

炎を灯すにも時間かかるし…ここは呪力を展開して動き回ってみるか。

 

 

「ふぅ…やっぱこっちの方が扱い慣れてる分良いよな。

アンビダとの戦いで死ぬ気弾を撃たれて『死ぬ気モード』になった時、今の呪力を全身に流してる時とあんまり変わらなかったけど、あっちだと違和感あったんだよなぁ。

それもこっちのが使い慣れてるからだろうけど。」

 

 

ツナはバク転をしながら移動し、崖から降りて難なく着地する。

そして、崖の壁を容易に登った。

 

 

「凄いっすね10代目!」

 

「ん? まぁね。」

 

 

獄寺が尊敬の眼差しを向けて来る中…話を終えただろうリボーンが歩み寄る。

 

 

「ツナ、この前言ってた調伏の儀をやってみろ。」

 

「え? 調伏の儀?」

 

 

ふむ………手数を増やすという意味ではアリだな。

なら、次に調伏する式神は…。

 

夢で見た残る式神達は今の俺では厳しいのが多い。

実際、勘が…超直感って奴が大分厳しいと悟ってるからな。

…だが、それでも今の俺でも倒せる式神が1体いる。

 

 

「すぅ……ふぅぅぅ………やるか。」

 

 

瞳を閉じて呼び出す式神の掌印を…片手で形取る。

周りが陰にかかった様に暗くなり……地面から大きな蛇が出現する。

 

 

「今の俺ならやってやる! 来い〝鵺〟!」

 

 

鵺の印を結んで顕現させて鵺に乗って空中から紫電を飛ばして攻撃していく。

 

このタイプは生半可な打撃ではダメージを与えられないからな。

鵺で弱らせてから───

 

大きな蛇が『シャアアア!』と口を大きく開けて噛みついてくる。

しかし、鵺は容易に躱して電撃を飛ばして着実にダメージを与えていく。

 

ダメージを与えていくと、次第に…異臭を放つ紫色の塊を飛ばして来た。

塊が付着した木が溶かされる様に分解されて消滅した。

 

 

「あれは…毒か。」

 

 

やはり毒か。

ありゃまともに喰らっちゃダメなやつだったな。

 

 

「見た感じ、毒を扱えるのは口から放つ訳だから口を塞げば良いんじゃねえか?

来い 〝蝦蟇〟!」

 

 

俺は2体目に蝦蟇を顕現させる。

 

 

「おっ、アレが蝦蟇か。

これでツナの扱える式神4種が明らかになったな。」

 

「蝦蟇! 奴の口を塞げ!」

 

 

蝦蟇の長い舌が蛇の口を塞ぐ。

俺の蝦蟇は舌を使った拘束には唾液による強力な粘液が含まれてるから力づくでは解けないぞ。

 

案の定、蛇は蝦蟇の拘束によってジタバタと暴れていた。

 

その隙に…鵺の電撃を纏った体当たりを炸裂させる。

そこへ更に溜めていた渾身の呪力の鉄拳を蛇に放つ。

 

攻撃を受けた蛇は大きく倒れたものの、まだ倒せていないので俺の影に来ない。

 

さて、どうやって大ダメージを与えられるか…。

………ん? 大きな岩がある。

拘束され暴れていた時に地面が抉れたのか…よしっ!

こいつに呪力を纏わして叩くか。

鵺の調伏の時にも役立ったからな。

 

ツナは両手で大きな岩を持ち上げ、呪力を灯して頭部に炸裂させる。

 

もう一押し…!

 

ツナは思いっきり飛び上がり…渾身の踵落としを脳天に炸裂させた。

 

これにより、暗い雰囲気が消えて蛇は影になってツナの足元に吸われ…調伏完了の証として〝大蛇〟の名を覚えた。

 

 

「調伏完了、呼び出すのは…確実に回復されている明後日辺りで良いかな。」

 

 

そう呟くと、リボーン達が駆け寄る。

 

 

「沢田さん! 大丈夫ですか!?」

 

「ああ、大丈夫だよユニ。

心配してくれてありがとう。」

 

「無事に成功したのは良かったが。

やはり、身体能力の強化とリングの力をモノにする必要があるな。

見ていてギリギリだった。」

 

「…そうだな。」

 

 

素直に褒めて欲しいものだ。

 

 

「ツナ、こいつを念の為渡しておく。」

 

「…ん? これって、確か……モンガーンの匣か。」

 

「ああ。お前には得物を持ってないからな。

念の為そいつを持っておけ。」

 

 

リボーンが奴の匣とリングを持っていたのは今の裏社会ではリングと匣の奪い合いだから、倒した相手から抵抗力を奪う為にも回収しろって言われてたな。

 

 

「まぁ、斧なら良いか。

クロロの奴の武器は使いにくそうだし。

獄寺は良いの?」

 

「あ、自分は大丈夫っす。

リングは予備として頂いたんで!」

 

「まっ、炎を灯さないんじゃ意味ねぇがな。」

 

 

そんなこんだで調伏の儀を終え、大蛇を新たに仲間にして今日明日は崖登りなどでトレーニングしながらリングを灯せる特訓をしたが…2人共、リングに炎を灯せなかった。

 

 

 






▼解説シリーズ
『〝蝦蟇〟』
パワー『B』スピード『D』スタミナ『A』
十種の式神の中でも、攻撃も防御も高くないが拘束する力に長けている。
そこへ更に粘液を使って拘束を強化出来る。

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