影使いの大空   作:黒ソニア

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万宵様
霧ケ峰リョク様
高評価ありがとうございます。
お陰様で更にこの作品に対しての意欲が高まりました。
それから誤字報告して下さった方々、ありがとうございます。




標的13:『覚悟と黒い火花〝黒閃〟』

 

 

 

「あれは、アンビダの奴と同じ現象が起きてやがる!」

 

「聞いてた話では『晴』の活性に効果だと聞いてますが…。

これは活性にしては異常な気がします。」

 

 

獄寺とえっちゃんが敵を見て冷静に分析する中、俺は葉桜に下がる様に指示する。

 

 

「さ、沢田くん…あ、アレって…!」

 

「…葉桜、さっきえっちゃんが他言無用で、と言ったけど…こんなのを見ちまったら事情を聞きてぇよな。

でも、悪い…説明は終わった後にさせてくれ。」

 

 

ツナの説得に何とか葉桜は頷き、少し離れた所へと避難する。

 

 

「10代目や謎野が手を出すまでもねぇ!

コイツは俺が…! 果てろ!」

 

 

獄寺がボムを相手に放つ。

 

 

「僕の愛の力をぉおお!!」

 

 

ストーカー男は膨張した腕を叩きつけ、ボムが爆発する前に粉砕した。

 

 

「なぁ!?」

 

「火薬に火が点火する前に叩きつけて無力化しましたね。

…とんでもないパワーですね。」

 

 

冷静に分析する謎野にストーカーが飛び上がって殴り掛かる。

それを武器のサーベル(本人談)で防御するも、相手の馬鹿力に直撃はしなかったが、大きく吹き飛ばされて数回のリバウンドによるダメージを負う。

 

 

「謎野! クソッ! 俺の失態で…!」

 

 

獄寺は再びボムを投げつけるが、先程と同じ様に点火する前にボムを叩きつけて無力化される。

 

 

「キミは馬鹿だなぁあ!!」

 

「…いいや、お前がな!」

 

 

次の瞬間、ストーカー男の頭上にボムが現れて爆発する。

 

 

「よしっ! でも、いつの間に?」

 

「さっき奴に放ったボムのワンテンポ遅れたタイミングで上の方に投げといたんっす。

目の前のボムに油断して上から落ちてくるボムに気づかなかったって事っすよ!」

 

 

な、成程…獄寺は勉強が出来るから、こういう頭脳戦が出来るのか。

 

 

「…少しはやりますね、獄寺。」

 

「へっ、リングが使えないからって戦い方はあんだよ。」

 

 

えっちゃんが少しよろめきながらもこちらに歩み寄って来たタイミングで───

 

 

「僕と清楚ちゃんのぉぉおお!!

愛は無敵なんだぁぁああ!!」

 

 

ストーカー男が叫びながら煙から凄まじい勢いで突進して来た。

 

 

「ぐぁっ!」

 

「くっ…!」

 

 

その突進で獄寺とツナは吹き飛ばされる。

 

 

「ヒッ…!?」

 

「させません…!!」

 

 

恐怖によって怯える清楚は尻餅を突いてしまい、謎野が雷のリングによるシールドを展開する。

しかし…。

 

 

「僕と清楚ちゃんの邪魔をする者はぁああ!!

誰であろうと許さないぃぃいい!!」

 

 

ストーカー男は怯まずに突進し、謎野の雷のシールドにぶつかる。

雷のシールドは強力で一度ストーカー男を止める…が、徐々に力が上がって行き、謎野はトラックに撥ねられた様に吹き飛ばされ、石壁に叩きつけられるものの、石壁が壊されたと同時に倒れる。

 

 

「清楚ちゃぁぁあああんっ!!」

 

 

ストーカー男が清楚に目掛けて押し倒そうとする勢いで進む。

それを───

 

 

「…な、何だぁあ!? これぇえ!?」

 

 

ストーカー男のお腹周りを後ろにいた蝦蟇が長い舌でぐるぐる拘束していた。

そこに、清楚の前まで走り込んで、ストーカー男から庇う様に立ったツナが呪力を浴びた拳を力一杯殴った。

 

 

「ごばあっ…!!」

 

 

ストーカー男は殴り飛ばされ、離れた所まで倒れ込んだ。

 

 

「はぁ……くたばったか、この野郎…!」

 

「…っ、お、お見事です、10代目…。」

 

「獄寺、大丈夫か?」

 

「へ、平気っす。」

 

 

見た限りではあまり大丈夫そうには見えない。

…だが、今優先すべきは壁の方で倒れている謎野と尻餅ついて倒れている葉桜だと判断するツナ。

 

 

「…獄寺、えっちゃんを起こせるか?」

 

「了解っす。」

 

「…葉桜、大丈夫か?」

 

 

少しでも葉桜を安心させようと優しく語りかけ、手を伸ばすツナ。

対して葉桜は怯えながらも、ツナの手を取って立ち上がる。

 

 

「だ……大丈夫…。

私、よりも……沢田くん達の、方が…。」

 

「俺達はここ最近、ああいったバケモンとやりあってるから多少は耐性がある。

…だが、肩と腰を痛めたのはいてぇな。」

 

 

ツナと獄寺はそれぞれ反対側の肩と腰を痛めていた。

 

 

「おい…謎野、お前…意識、あるか…?」

 

「………一瞬、意識が飛びかけ…ましたが、何とか…。

すみません…1人では…歩き辛いので、肩を…貸していただけると…。」

 

「…わーってる。それより救援を求めるのが先だな。

10代目、リボーンさんに…連絡をしましょう。」

 

「だな。」

 

 

ツナはリボーンに連絡を入れるが…。

 

 

「…可笑しい。連絡がつかねぇ。」

 

「えっ…!? そ、それは、どういう…?

ま、まさか、これも修行の一貫だと…!?」

 

「…いや、流石の鬼畜のアイツだろうと、そこまでの事は考えて無いはず…。

何となくだが…アイツの方も何か、起きてる様な気がする…。

…今度は、家にいるユニとビアンキに連絡を───」

 

 

連絡を入れようとした途端、倒したと思っていたストーカー男が立ち上がって来たのだ。

 

 

「せ、せせせ清楚ちゃちゃちゃんは、ぼ、ぼぼぼ僕のぉぉおお…!!」

 

 

ストーカー男はボロボロの状態でありながら、首筋に注射器を当てていた。

 

 

「不味い…!!」

 

 

逃げなければ、と思った瞬間…ストーカー男は奇声を上げながら肉体が変貌していく。

先程までは上半身だけがムキムキの姿だったが…。

体が一回り大きくなっていくと、顔が小さくなったレベルで全身が膨れ上がった。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「……ちっ、厄介な事になっちまってんな。」

 

 

リボーンは銃を構えながら愚痴を溢す。

今彼の目の前には数人の男達が倒れており、1人1人が体の変化をもたらしていた。

 

片腕、両腕、両足、顔と…それぞれの部分が筋肉が膨れ上がった姿で倒れている者達の屍。

屍達は全員、リボーンが銃でヘッドショット仕留めていたのだ。

 

 

「早くツナ達のいる所へ向かってやりたいが…!」

 

 

リボーンの帽子に隠してあるスマホが鳴り響き、対応しようとする度にまだ立ちはだかっている者達が襲いかかって来る。

 

 

「…こうも、タイミングを計らって攻撃して来ると、流石の俺も連絡が取れねぇな。

にしても、さっきの()()()()は一体何処へ消えた…?」

 

 

リボーンは再びヘッドショットを決め、次々襲い掛かる者達の攻撃を躱わす。

 

 

「早ぇとこ駆けつけてやりたい所だが…。

ツナ、気をつけろよ。」

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「笑えねぇレベルで気色悪くなりやがったな。」

 

 

この段階まで来ると、蝦蟇による拘束は通じないだろう。

タイミングを計らって玉犬の攻撃で削る。

 

ツナは蝦蟇の顕現を解いた。

 

 

「…葉桜、悪い。もう少しだけ待っててくれ…。

後、出来れば理性も保っててくれると助かる…!

行くぞ、〝玉犬〟!!」

 

 

ツナは玉犬を顕現させる。

 

 

「獄寺! ボムを奴の近くに…!」

 

「…! 了解です!」

 

 

獄寺はツナの考えを読んで、言われた通りボムをストーカー男の間近で爆発させて目眩しの煙を発生させる。

 

その隙に呪力で視力を強化し、隙を突いて渾身の拳を…放った。

だが…。

 

 

「きききき! 効かなぁぁぁあいいいい!!!!」

 

 

煙が晴れると、ツナの渾身の拳を受けていたストーカー男は口から血を流していたが、受けた部分の筋肉が異常な動きをしており、それによって何も無かった様に素早くツナに殴り掛かる。

 

 

「ぐあっ…!!」

 

「10代目ぇええ!!」

 

 

ツナは思いっきり殴られて壁へと叩きつけられる。

痛みに耐えながらも辛うじて動こうとするツナに…再び剛拳が襲い掛かろうとしていた。

 

 

「やべっ…!」

 

 

間に合わない…!!

…と、再び強烈な痛みを連想するも、ストーカー男の背後にいた玉犬がツナを救い、返しに爪による迎撃で腕を掻き切った。

 

 

「い"だぁぁぁぁああああ!!!」

 

 

ストーカー男は玉犬の攻撃で激痛と筋肉が抉られた事で悶え、その隙に玉犬はツナを獄寺達の元へと下がる。

 

 

「助かった…玉犬。」

 

「10代目! ご無事ですか!?」

 

 

ツナは玉犬の頭を軽く撫で、獄寺が駆け寄る。

 

 

「……何とか、な。」

 

 

息が荒くなっているツナを見て獄寺は自分の無力差に悔しさを覚える。

 

ストーカー男は最早理性が無くなりつつあり、筋肉が膨張して玉犬につけられた傷を粘土の様にこねるよう伸縮を繰り返して無くしていた。

 

 

(…10代目は奴の攻撃を受け、大分息が上がっている。

謎野は碌に戦える状態じゃない。

…そんな中で俺が率先して戦わないと行けないのに…!

どうして、リングに炎を灯せれないだ…!

俺の覚悟はこんな物なのか…!?)

 

 

獄寺は日本に来るまでの事を振り返る。

 

幼い頃にピアノを教えてくれた人が自分の母であり、その人を死に追いやったのが父の部下だと噂を耳にして、家を飛び出してヒットマンの道を歩んだ。

 

数年後、リングの力が裏社会に影響を与え始めた頃に父の部下にとっ捕まり、再び父の恩恵化に置かれ…リングを手にした。

リングを手にしたものの、力を使えこなせず…アンビタが言ってた様に父のこぼれに甘んじまっていた。

 

母を失った悲しみと父に対する苛立ち、ヒットマンになってからも周りから卑下され続けて…1人で生きていた。

…そんな俺が、人生で初めて誰かの為に戦いたいと思えた人に出会えた。

 

 

(…俺は10代目の…沢田綱吉の右腕だ。

その右腕が、大切な主人の役に立てないようじゃダメだ…!

俺は、俺は───)

 

 

獄寺はリングに強い決意を示す。

 

 

「俺はもう以前までの俺じゃねぇ!

俺の覚悟を…今こそ見せてやる!」

 

 

獄寺は赤い鉱石のリングに赤い炎…『嵐』の炎を灯した。

 

 

「…獄寺? あっ、その炎って…!!」

 

「……間違い、ありません…。

それは、嵐属性の死ぬ気の炎です…!」

 

「お待たせしました、10代目!

獄寺隼人、今こそ共に敵を倒します!

喰らやがれ、ストーカー野郎! 果てろ!」

 

 

嵐の炎を導火線に点火させたボムをストーカー男に放つ。

放たれたボムが今までと比べ物にならない爆発と、荒々しい炎がストーカー男の肉体を喰らい尽くす様に燃え残っていた。

 

…これが、嵐の炎による『分解』。

スゲェな。

俺も…負けてはいられないな…!!

 

 

「…まだ、死ぬ気の炎を灯せる感じはしねぇ。

だから…今の俺の持てる全てを、この拳に乗せる…!」

 

 

全身から凄まじい呪力を放出させる。

 

 

「…! ツナ!

嵐の炎の分解は少し触れるだけでも影響を及びます!

炎に触れないように気を付けて下さい!」

 

「悪い、えっちゃん。

俺頭悪い…いや、それは関係ねぇな。

今の俺が出来るのは…これしか出来ねぇからさ。」

 

 

…とはいえ、仲間からの忠告を無碍にしない様に玉犬へ攻撃したら直ぐに引き戻す様に指示を送る。

 

ツナが悶えているストーカー男の腹あたりに…()()()()()拳が炸裂する。

そして、その拳による一撃が()()()()()

 

 

「───〝黒閃〟…!!」

 

 

無意識に告げた技だが…妙にしっくりくる。

まるで知っていたかのように。

 

ストーカー男はツナの放った黒閃により、全身に影響を及ぼして…風船に穴が空いたように筋肉の至る所から衝撃が飛び出し、萎んでヨロヨロの姿となって倒れた。

 

 

「やった…! やりましたね、10代目!」

 

「………っ、ああ、やったな…。」

 

 

ストーカー男を倒したとはいえ、ツナの体力は限界だった。

現に玉犬がツナを引き戻した後、影に溶けてしまったからである。

 

 

「…どうやら土壇場で…やり遂げた様ですね。」

 

「………終わっ、たの?

本当に、もう…襲って来ないよね…?」

 

 

葉桜はこれで本当に終わったのか、疑心暗鬼だった。

 

 

「ああ…終わった。

だからもう…安心して良いよ、葉桜。」

 

「…!! よ、良かったぁ…。」

 

 

ひと段落はついた。

だが、今回の一件で葉桜は裏社会の事を知ってしまった。

これからどう説明したものか…。

 

 

「ある程度説明すりゃ良いじゃねぇか。」

 

 

いつもの様にツナの心境を読んだリボーンが現れた。

 

 

「リボーン…お前、もしかしてだけど…誰かと戦ってた?」

 

「ああ、よく分かったな。

実は、お前が家を出た後に俺も直ぐに向かったんだが…妙な奴のせいでお前達のヘルプに行かなかったんだ。」

 

「…妙な奴?」

 

「ああ、白衣の格好をした派手なメイクをした奴をな。」

 

 

…誰の事だろうか。少なくても俺は知らないし、リボーンも知らなければ誰も知らないだろうな。

 

 

「にしてもボロボロだなお前等。

…んっ? 獄寺、お前もしかして…遂にリングに炎を灯せるようになったのか?」

 

「へへ…! はいっ! 10代目のお陰っす!」

 

 

俺何もしてないんだけどな…。

 

 

「よくやったな。差し詰め、獄寺のボムに嵐属性の死ぬ気の炎を合わせた爆撃で倒したんだな。」

 

「いえ、俺の攻撃で弱らせて、最後は10代目の〝黒閃〟という素晴らしい大技で仕留めたんっす!」

 

 

仕留めたって…一応完全には息の根を止めた訳じゃないんだから、普通に倒したでいいだろうに…。

 

 

「フッ、そうか…。

それについて後で詳しくとしてだ。」

 

 

リボーンは呆然としている葉桜にニヒルな笑みを浮かべる。

 

 

「ちゃおっす。俺はリボーン、ツナの家庭教師だ。」

 

 

 






今回の敵は死茎隊を連想していただければ分かりやすいかと。

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