え、隕石逸らす為だけに転生させられたんすか?   作:饅頭の皮

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2. 協力取り付けから幼女がデカくなるまで

 

 

 

どうやら、俺の存在にドン引きして部屋に戻ったわけではないらしい。

 

戸を閉められた後にその場で意気消沈していたら、2分もしないうちにもう一度出てきてくれた。

 

がっつり寝起きだっため、乙女的にちょっと見せられないラインの状態で出てきてしまったらしい。

 

そりゃ寝起きに外の空気ちょっと吸いに行こうとしたら、部屋の前に一般成人男性がいるとは思わんよしゃーなし。

 

...文字に起こしたらちょっと外聞悪すぎるな。

 

いや~、俺がキモすぎるから対応拒否したとかじゃなくてよかった~...。

 

因みに後から聞いた話だが、ゲーミング電柱の下りは心当たりはあれど普通に意味不明でドン引きしてたらしい。

 

いや~...よかった~。(遠い目)

 

そんなひと悶着があった後、込み入ったことになりそうな話を外ではなんだし...とのことなので。

 

そのままの流れでJKの家に招き入れられてしまいました。

 

いやまてそれでいいのかJKよ。

 

危機感とか自衛の意識とか...なんかそういうの...薄くない?

 

こっちは出家した坊さんとかじゃなくて普通の成人男性なんですけど...もしもがあったらとか考えないんか?

 

因みにこれも後から聞いた話だが、そんな度胸なさそうだしなんかナヨっとしてて弱そうなので最悪どうにでもなりそうと思ったとか。

 

俺のみてくれってそんなに貧弱そうに見えるかね...?

 

あと部屋に上げてからその思考に思い至ったけど、一度上げた手前やっぱ外出ろっていうのもな~とのこと。

 

ぜってぇめんどかっただけだろそれおい。

 

とりあえずあらぬ疑いをかけられぬように、極力視線を動かさないようにした。

 

あんまりキョロキョロせず...そうだ!

 

話相手の顔だけ見てればええやん天才か俺。

 

...えっあ、別に顔に何かついるわけじゃないよ。

 

ごめんねジロジロ顔ばっか見る感じになっちゃっておじさんキモいよねごめんね...。

 

まぁまぁ茶番はさておいて話の本題に入ろう。

 

この期に及んでなんか良い感じのこじつけがないかと考える脳みそに喝を入れて口を開く。

 

ありのまま全部話した。

 

JKよりも先に光る電柱と出くわしていたこと。

 

俺の時も電柱が自動で開き始めたが、結局最後まで開かずに閉じてしまったこと。

 

未知への恐怖から一度その場を離れたこと。

 

JKが電柱から赤ん坊を取り出すとこをこの目で見ていたこと。

 

結局何もせずにその場を立ち去ったこと。

 

そのくせ寝覚めが悪すぎるという理由でヒーロー面してノコノコと戻ってきたこと。

 

本当に思っていること全部。

 

誰もやらないとか、たまたまそうだったで降ってくる厄介ごとなんて沢山ある。

 

その数だけ貧乏くじを引かされる「誰か」がいることも、くじを引かなかった「誰か」が助かっているのもわかってる。

 

でもそのくじを引く「誰か」が君みたいな子であっていいはずがないだろう。

 

だって君はまだ、こんなにも若いじゃないか。

 

たくさん学んで、たくさん遊んで、たくさん恋愛して、たくさん泣いて喜んで笑って怒って。

 

その権利が若い子にはあるし、それはどんな理由であれ奪われていいものじゃない。

 

奪われる理由が「周りの大人が役割を放棄した」なんてもってのほかだ。

 

君はまだ誰かに甘えていいし誰かを頼ってもいい。

 

「助けて」って言ってもいいんだ。

 

むしのいいこと言ってる自覚はあるし、信頼できるほどの関係でもないのはわかってる。

 

でも、君みたいな子が潰れてしまうのをもう見たくないから。

 

どうか、どうか俺にもその貧乏くじを引かせてほしいと。

 

途中から言ってることがぐちゃぐちゃになってるのが自分でも理解できた。

 

それでも今言いたいことは全部言えたはず。

 

問題はちゃんと伝わってるかどうかなんだけども...。

 

...やべぇ。JKが黙っちゃったよ。

 

あ、あのぉ...クサいこと言ってる自覚あるのでなんでもいいからレス欲しいんですけどぉ...。

 

そう問いかけるも、口を軽く開けたままぽかんとしてるだけで反応がない。

 

あれぇもしかして昨夜の出来事すべては疲れからくる幻覚だった感じか?

 

その場合、意味不明なこと言って育児用品片手にJKの部屋にエントリーする不審者になってしまうが、問題ないだろうか。

 

いや問題しかないですねハイ。

 

もう通報してもいいからなんか反応してくれ~と思いながらJKの目の前で手を振る。

 

 

 

途端にJKがぽかんとした顔のまま静かに涙を流し始めた。

 

 

 

えぇ!?!?!?!?!?!?!?!?

 

待って待ってなんで泣き出しちゃったの?

 

なんか気に障るようなこと言っちゃた?

 

ごめんねぇおじさんキモいよねぇクサいよねぇごめんねぇ...。

 

わたわたと腕を宙に躍らせながらとにかく謝罪しているうちに、JKも落ち着きを取り戻した。

 

泣き止んだJKの話を聞くに、どうもかなり限界だったとのこと。

 

詳細はわからなかったが、「一人前」や「自立」というものにかなり重きをおいているようで。

 

「ちゃんとやる」「一人でやる」「迷惑をかけない」と色々と張りつめていた生活。

 

既にギリギリなのに、突如として背負わされた小さな命。

 

にわかに信じがたい状況で渡されたために、しかるべき対処もできず寄る辺もなく。

 

孤軍奮闘を強いられるかと思った矢先に、事情を把握して協力を申し出てくれた大人。

 

その存在にホッと一安心したようだった。

 

...あっっっっっっぶねぇぇぇぇ!!!!!!

 

これ一日でも遅かったら最悪倒れてたんじゃねぇの!?

 

いやマジで夢に出てきてくれてセンキュー姉さん助かった。

 

妖怪の中でジバ〇ャンの次に好きだわ。

 

そんなことを考えていると、布団で寝ていた赤ん坊がぐずりだした。

 

ふと鼻先をアンモニア臭のような臭いがかすめる。

 

JKも近くによっては鼻をつまみだしたので、どうやらおしめ交換の時間らしい。

 

自身が持ってきた袋からオムツを取り出して、なんでそんなの持ってるんだという顔をしているJKに手渡す。

 

社内行事の余興の景品でもらったと説明すると、今度は何か疑っているような顔に変わった。

 

いや疑いたくなる気持ちはわかるけど本当なんです。

 

他に何が入っているかもざっと説明したら、より一層疑惑が深まったと言わんばかりの鋭い視線をぶつけてきた。

 

視線に気づかないふりをしつつ、今度は袋から離乳食を取りだした。

 

この離乳食はパックに入っていて冷蔵保存するやつなので、JKに冷蔵庫にしまっとくね~と声をかけながら冷蔵庫に向かう。

 

まぁちょっとここで一つ言い訳させてくれや。

 

珍妙な超常現象を目の当たりにし、夜も寝付けず寝覚め最悪。

 

朝だというのに熱すぎる日差しのもとじっくり2分さらされた俺は疲れていたんだ。

 

だから「他人の家の冷蔵庫を開けるのに許可を取る」っていう当たり前のことも忘れてたわけで。

 

なのでJKからの制止の声が聞こえた頃には冷蔵庫の扉は開け放たれ、そこには...。

 

えぁ...あっ...え、なんもな...えぇ...?

 

本人の名誉のために子細は伏せておくが、結構悲惨というか...哀愁漂う感じだった。

 

ひとまず離乳食は、若干心配していたスペースの問題など1ミリも気にせずに冷蔵庫に保管できた。

 

気まずそうにしているJK曰く、食費も切り詰めてるらしい。

 

にしたって切り詰めすぎじゃない?

 

鈍くなった俺の反応を悪い方に解釈したのか、自炊はちゃんとしてるけど材料がないだけですからと慌てて補足してきた。

 

そこ気にするくらいなら、成人男性をナチュラルに部屋に上げるような感覚を気にしてもらいたい。

 

え?...ナヨっとして弱そう...?アッ...ソウデスカ...。

 

JKのちくちく言葉によって不当に傷つけられた男の尊厳を引きずりつつ、話の本題に戻る。

 

突如電柱の中に現れた謎の赤ん坊のお世話。

 

奇妙奇天烈極まりないこの貧乏くじを引かせてほしいというお願い。

 

腹はくくったし、覚悟もできている。

 

後は君がどうするかだけだ。

 

その言葉を受けたJKは一度迷ったように視線を彷徨わせたが、意を決したように口を開く。

 

 

 

「お願いします。助けてください。」

 

 

 

風薫る季節が過ぎ眩い日差しが肌を射すいつものような7月。

 

何の変哲もないボロアパートの一室で、三人による不思議な生活が幕を開けた。

 

 

 

 

 

ぐぅぅぅ~。

 

それと同時に、そこそこ大きい音がJKの腹から部屋中に響き渡る。

 

間の抜けた音に思わず目を向けると、JKが耳まで真っ赤に染めながらお腹を抑えていた。

 

あー...昨晩買った総菜めっちゃ余ってるからさ、消費するの手伝ってくれるかい?

 

消え入りそうな声であのそのと要領の得ない弁明をしようとしていたJKも、食欲にはあらがえなかったのか小さくうなずいた。

 

なにか妹見てるみたいで思わず声を上げて笑ってしまった。

 

 

 


 

 

 

笑われたことに拗ねたJKによって、総菜を取りに行った後そのまま締め出しを食らうハプニングはあったものの。

 

ひとまず二人で朝食の用意をしながら、すごい今更だが自己紹介をお互いにした。

 

一年以上お隣さんとして過ごしてるのに、お互い名前も知らなかったんだよなそういえば。

 

ずっと心の中でJKって呼んでたわごめんな酒寄さん。

 

...あ、まぁそう呼ばれるよな俺。

 

いや別に嫌じゃないし普通そうなんけど、呼ばれるたびにトレンディなエンジェルの芸人がちらつくのがなんかね...。

 

そんな一幕があった後は、総菜をつまみながら今後どうしていくかを話しあった。

 

赤ん坊の世話そのものを巻き取るつもりでいたが、結果としては「酒寄さん主体で俺サポート」という形になった。

 

巻き取ってもらいたい気持ちは山々だが実際に拾ったのは自分だし、事情知っているとは言えど全部投げはちょっと...だそうだ。

 

なんだその高すぎる当事者意識。

 

会社員なったらめっちゃ評価高そうやね酒寄さん。

 

主体が酒寄さんに決まったこともあり、赤ん坊の基本的な生活圏は酒寄さんの部屋になった。

 

何か困った事や預かってもらいたいときは俺の部屋を使うって感じ。

 

また、よく問題に上がる夜泣きの対応に関してはお互いの連絡先を交換してカバーすることにした。

 

酒寄さんが無理ぃ~ってなったら俺のスマホに連絡を入れる。

 

それを受けた俺が酒寄さんから赤ん坊を受け取り、その日はそのまま俺の部屋で就寝して、翌朝に酒寄さんの部屋に赤ん坊を戻す。

 

今日の寝覚めは悪かったが寝起き自体はめっちゃ良い方なので、ヘルプを居眠りでスルーする心配もない。

 

あ、俺が楽しみにしてた蟹クリームコロッケ食われた。

 

心配といえば...まぁもちろんこの先の生活を送るうえでの心配事は多々あり...大きいものは二つ。

 

一つは平日をどう切り抜けるかだ。

 

俺は仕事だし酒寄さんは学校で、どっちも手が空いていない。

 

一応案がないわけではないのだが...。

 

その案というのが、俺が会社の育休制度を利用する案。

 

ぶっちゃけ利用できる可能性が低すぎる。

 

実際に結婚してるわけじゃないし、それをごまかせるかも相当怪しい。

 

酒寄さんもさすがにそこまでしてもらうのはちょっと...と申し訳なさそうにしていた。

 

とりあえずその場しのぎとして、三連休の後に追加で二日有給を取ったが、その間に何とか方法を考えないと...。

 

最悪仕事を辞めることも視野に入れとかないとなぁ...。

 

あちょっと待てそのメンチカツ半分こしよう半分こ。

 

なんでちょっと不服そうなんだ..デカい方あげるから機嫌直しなさいな。

 

そしてもう一つの心配事は、戸籍とかの身分証明にかかわることである。

 

本来であれば生まれてから出生届だしたり戸籍登録したり住民票もらったりなんだりが必要なんだが...。

 

もちろん暫定の母親がゲーミング電柱であるこの赤ん坊には、戸籍なんてもんはかけらもありゃしない。

 

そも赤ん坊が生まれた後の出生届って遅れると罰金食らうとかなんとか。

 

しかも保険証もねぇから病院とか行ったら、診察料が通常の3倍近くはかかる。

 

一人暮らしとはいえ稼ぎが一般的な会社員と、貧乏学生には耳の痛い話になってくる。

 

この手の話をしている時の酒寄さん、顔色とんでもねぇ位青ざめててちょっと面白かったことをここに記載しておこう。

 

え待って海老天三つあったのにもうないんだけど...俺一本も食べてないんだが???

 

まぁ...心配事は尽きないがうまいことやっていくしかない。

 

因みにこの後は二人で子育て用品の買い足しに行くことになっている。

 

現状は景品の中身だけで何とかなりそうだが、この先のことを考えると圧倒的に足りない。

 

離乳食の出番はまだあとだが、肌着なんか1着しかないからもう2~3着は欲しい。

 

粉ミルクとかオムツに関しては消耗品だから100パー足りなくなるし。

 

あ~というか買いに行く前に何が必要か色々調べないとな~。

 

赤ん坊レベルになるとさすがに世話したことないから勝手がわからんし。

 

一応確認だけど、酒寄さんは子育てしたことあったりは...あぁだよね無いよな。

 

きんぴらごぼうを物凄い勢いで食べてる酒寄さんに聞くと、当たり前だろと言わんばかりに首を振った。

 

...ていうかどんだけ腹減ってたんだ。

 

多めに買ってた総菜がすごい勢いで消えていってるぞ。

 

ほんでかたくなに大葉の天ぷらに手を付けないのは何なん苦手なんか?

 

星の〇ービィでもいるのかといわんばかりの速さで消えていく総菜を見ながらふと考える。

 

何かと出費がかさむことになるだろうから、自炊とか考えないとなぁ...。

 

幸い父方の実家が農家のため、ちょくちょく段ボールいっぱいの野菜が送り付けられる。

 

いつもだったら消費に困っていたが、この状況だと救いの手に早変わりだ。

 

幸い前世の記憶もあるから節約術とかには事欠かないし、酒寄さんもあんな生活してるぐらいだから何かアイデアあるでしょ。

 

てか、酒寄さんにおすそ分け(押し付け)すれば早急に解決できたのでは...?

 

...い、いやおすそ分けを理由に近づいてくる成人男性とか怪しさ満点だしやらなかったのは正解だよ!!!

 

そんなことは置いておいて、とりあえず今後かさむであろう出費については一旦俺の方で出しとくか...。

 

苦学生の財布を踏みつけるような真似はさすがにできないしね。

 

という感じで酒寄さんに伝えたら、「折半してください」と返ってきた。

 

冷蔵庫の中身がもやしとパンケーキの粉くらいしかない分際で何を言っているんだこの子は?

 

大人の財力をいかんなく振るう俺と、プライドと責任で応戦してくる酒寄さんとの無益な争いは、食後小一時間は続いた。

 

知識も経験も時間もないない尽くしの子育て生活。

 

はてさて一体どうなることやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、子育て用品の買い足しについては全額俺の方で負担した。

 

酒寄さんが万を超える会計額に面食らってる隙に、横からカードで支払いしてやった。

 

なんで負けたか、明日までに考えておいてください。

 

ほな(お会計)いただきます。

 

とか考えていたら、横から酒寄さんに脇腹を万力みたいなパワーでつねられた。

 

いぃたたたたた!!!えなんでどうした急に!?

 

え?心の中で煽ってそうだったし、なんかイラっとしたから?

 

...なんか俺に対する態度が結構雑になってきてんね君。

 

あなんも言ってないですすみません。

 

 

 


 

 

 

男子、三日会わざれば刮目してみよって言葉あるじゃないですか。

 

俺から言わせてみればあれってどうなんですかっていままで思ってたわけよ。

 

お前さぁ...たかが三日で人間変われるわけないでしょって。

 

それで変われるなら刑務所なんていらんしニートなんてこの世にいませんて。

 

そもそも「男子」で限定してんのがさぁ、昨今のコンプラ的にナンセンスだよ。

 

ん?その言葉ができたのは2000年近く前だって?

 

...そうやってすぐ揚げ足取ってくるあたりが掲示板に張り付いてる社不みたいだって言ってんの!!(言ってない)

 

まぁそんな他責思考ヒステリックバカ共は無視するとして。

 

なんでいきなりそんな古臭い言葉の話をしだしたのかっていうと...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日たったら赤ん坊が小学生くらいまでデカくなってたんすよ。

 

三日で人間劇的に変われましたはい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、「また」なんだ。済まない。

 

仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

 

意味不明なこと言ってるのは理解している。

 

てかむしろ理解に苦しむ現象に立ち会いすぎてる俺らのこと慰めてくれよ。

 

頼むよほんとに...。

 

三連休も終わって明日から平日って時にさぁ。

 

日付変わって丑三つ時くらいに、酒寄さんからヘルプのコールあってさぁ。

 

まぁ赤ん坊は泣くのが仕事だからしゃあないねって思いながら部屋を尋ねたらさぁ。

 

なんか見覚えの無い子供がいるんだけど。

 

あっらぁ~かわいいわねお嬢ちゃん。

 

それで酒寄さん?この子はどこのお子さんかしら?三丁目の佐藤さん?

 

正真正銘ゲーミング電柱産の赤ん坊だった奴?

 

やっだもぉう~酒寄さんったら冗談がお上手なんですからぁ~。

 

......えマジで言ってる?

 

死んだような顔で項垂れている酒寄さんが何よりも雄弁にその事実を語っていった。

 

転生とかいう超常現象を経験した俺でもさすがに受け止めきれなかった。

 

何がどうなってやがる?

 

ド〇えもんがビックライト使ったわけでもあるめぇし。

 

でもいや待てよ?そういえば三連休初日に酒寄さんがなんか言ってたような...。

 

なんか電柱から拾った時より一回り大きくなってる気がするとかなんとか...?

 

気のせいじゃね?って切り捨てたけどあれやっぱり本当にデカくなt

 

 

 

「ぐうぅぅぅぅ~...」

 

 

 

...。

 

軽く思考の海に潜っていたところを、場にそぐわない位間抜けな音によって中断される。

 

音の発生源はどうやら件のお嬢ちゃんらしい。

 

一瞬また酒寄さんかな?と思って目を向けたら恐ろしい形相でにらまれた。ごめんて。

 

お腹をさすったお嬢ちゃんはそのまま俺の袖を引っ張ってきた。

 

 

 

「ねぇねぇ~。お腹すいたぁ~。」

 

 

 

あ~!そっか~!お腹すいちゃったのぉ!!

 

ん~大丈夫だおぉ!!お兄さんがコンビニでなぁんでも買ってあげるからにぇ!!

 

なにが食べたい??おにぎり??パン??お菓子??それとm

 

 

 

「ふんっ!!!」

 

 

 

いぃっっってえぇ!!!!!

 

お腹がすいたと訴える幼女の頭を撫でまわして猫可愛がりしていたら、酒寄さんの鉄槌が頭に振り下ろされた。

 

前世で上司に殴られた時より痛いんだけどどういうこと?

 

とにもかくにも、腹が減っては戦はできぬという。

 

一刻も早くお嬢ちゃんのお腹を満たしてやりたいとこだが、如何せんここは酒寄の部屋。

 

腹を満たせるようなものがこの部屋にあるはずもない。

 

酒寄さんからの視線が一段と鋭くなった気がするがいったん無視させていただこう。

 

冷蔵庫に離乳食はあるものの、対象年齢からは外れてそうなので一旦コンビニへ向かった。

 

なお酒寄さんとお嬢ちゃんには部屋で留守番してもらった。

 

この深夜に女子高生や幼女を外に引っ張り出すわけにはいかんしね。

 

というわけで、お嬢ちゃんにはなんか好きそうだからという偏見のもとオムライスを買って帰った。

 

お嬢ちゃんのついでだし一個も二個も変わらないという理由で押し切り、酒寄さんにもご飯を買った。

 

できるだけ安いおにぎり一個というリクエストだったので、無視して900円くらいする「鮭とたっぷりいくらのはらこ飯」をチョイス。

 

九食分…ほげぇ…と面食らってる酒寄さんを尻目にドリンクゼリーを20秒で飲み切る。

 

なんでこんなに早くデカくなったのかはわからんが、それに関しては過ぎたこととして無視しよう。

 

状況は悪いことばかりじゃない。

 

特にでかいのが、当の本人であるお嬢ちゃんと直接コンタクトを取れることだ。

 

幸いな事に一通り喋ることもできるっぽさそうだし。

 

ということで、オムライスにがっつくお嬢ちゃんに色々と聞く事にした。

 

そしたらまぁなんというか破天荒というか好奇心旺盛というか、兎にも角にも活発な女の子だった。

 

オムライスを食べればうまいうまい!この黄色いの何!?赤いのは!?もきゅもきゅしてるのは!?と矢継ぎ早に聞いてきたり。

 

どこから来たの?と酒寄さんが問えば満月を指差したり。

 

何しに来たかと問われれば、生活おもんなさ過ぎてトンズラぶっこいてきたとか。

 

えもうファンキーが過ぎるなこのお嬢ちゃん。

 

間に酒寄さんが竹取物語について、心当たりがないかも聞いていた。

 

あー確かに、今日は満月でその日に大きくなったし光る竹(電柱)から出てきてるし。

 

とも思っていたが、本人は特に知らなかったようだ。

 

そして今は、酒寄さんから泣き落としでゲットしたはらこ飯を食べて舌鼓を打っていた。

 

いくらなんて暫く食べれてなかったのに…一口しか食べてないのに…と言いながら、冷蔵庫からバ先の賄いを取り出す酒寄さんに悲しき過去は…ないという事にしとこう。

 

竹取翁を指差して、これが彩葉なの?と聞いて酒寄さんの血圧をぶち上げるなどというハプニングはあったものの、取り敢えず皆食事を終えた。

 

ぷぷぷ…翁じゃなくてせめてばぁさんの方にしてやれよ…。

 

あすみませんお姉さんですよね太ももつねるのやめてください痛いです。

 

いってぇ…笑ってたのは正直ごめんだけど、そういうすぐに手をだすとこがもう更年期っぽいというか痛い痛い俺の指関節はそっちに曲がらなぁい!?!?

 

不当な暴力に泣き寝入りをしていると、竹取物語に興味を持ったお嬢ちゃんが話の結末を聞いてきた。

 

酒寄さんが竹取物語の結末をざっくり説明すると、お嬢ちゃんはどうやら不満なようだった。

 

バッドエンドやだ。

 

ハッピーエンドがいい。

 

両手両足を振り回して、挙句歌を歌いながら、全くもってめでたくないエンドに物申すお嬢ちゃん。

 

おぅおぅ、夜更けも過ぎた良い時間帯に騒ぐもんじゃないよぉ。

 

そう言いながら、持ち上げたお嬢ちゃんを胡座かいてる膝の上に下ろして頭を撫でながら宥める。

 

そうするとお嬢ちゃんは気持ちよさそうに目を細めた後、胸に顔を埋めてきた。

 

やっべ妹にやってた癖でつい頭撫でたりしちゃったけど不味くねこれ?

 

そんな不安を他所に、流しに背を預ける酒寄さんがアンニュイな表情で口を開いた。

 

どんだけ足掻いても決定事項は覆らない。

 

受け入れて覚悟するほかないんだと。

 

齢17でこの言葉が出るあたり、結構スレた育ち方してないかい君?

 

親御さんとそりが合わずに家を飛び出してきたとは聞いたけど、これ親御さんの育て方とかも大丈夫だったか気になるんだが…。

 

そんな事を考えていた俺を他所に、膝の上のお嬢ちゃんが高らかに宣言した。

 

自分でハッピーエンドにして、彩葉も連れていく。

 

…なんというか、すごく明るい子だなぁ。

 

見てるだけで笑顔になるっていうか、毒気が抜かれるっていうか。

 

天真爛漫っていうのはこういう子のことをいうのかねぇ…。

 

まぁ、まだ話したいこともあるかもしれないが、如何せん時間も時間だ。

 

明日また話そうという俺の一声で、その場は解散となった。

 

 

 

 

 

 

なお、お嬢ちゃんがどっちの部屋で寝るかで一悶着あったのはここだけのお話。

 

いや無茶言うなって酒寄さんの部屋で俺も寝るわけないだろ。

 

三人で寝るのは無理と言われたお嬢ちゃんは、渋々酒寄さんの部屋で寝る事にしたようだ。

 

いや酒寄さん、いくら連れてけと言われても本人が酒寄さんのとこで寝るって言ってるんです。

 

俺にはどうしようもないです。

 

うら若き女子高生が成人男性の足にしがみつかないで下さい。

 

いくら足を振っても離さない様子だったので、足の関節全てを外して拘束を脱する。

 

幼少期から何かと脱臼することが多くてねぇ…今では何処の関節でも自分で外したりはめたりすることができるんだ。

 

そう言うと酒寄さんだけでなくお嬢ちゃんからも化け物を見る目で見られたが、気にせず部屋の戸に手をかける。

 

んじゃおやすみーバイバーイ。

 

あ待ってご飯代渡してない!という酒寄さんの声を聞こえないフリでやり過ごし、足早に自分の部屋へと戻っていった。

 

 

 

 








ハッピーエンドに連れてくのが彩葉だけなら、主人公なんてどうなっても良いよね!!!!!^^

因みに彩葉は主人公に対して、血縁関係がない他人のため甘え方が分からない故に手がやたらと出ています。
ただ、限界な時に救いの手を差し伸べてくれたという吊り橋効果的なのもあり、今の時点で結構信頼値高めです。
手が出るのも愛情表現の一種みたいなもんです。

いうて吊り橋効果で擬似的に好感度上がったようなもんだし、だったら主人公なんてどうなっても彩葉的には大した問題にならんでしょ!!!!!^^
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