呪術廻戦二次創作一発ネタ集   作:かりん2022

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カースチェイン〜第6話・転移〜

 研究所全体が揺れていた。

 警報は鳴りっぱなし。

 防衛結界は既に第三防壁が破られ、格納庫側ではレギオン部隊が交戦を開始している。

 モニターには赤い表示が溢れていた。

 

『高密度呪力反応』

『特級相当個体を確認』

『研究区画Bブロック損壊』

『負傷者発生』

 

「五条さん!」

 

 伊地知が叫ぶ。

 

「第三呪力炉が不安定です!」

「真依はまだなの?」

「今、配置につきました!」

「繋げて。防壁構築」

 

 悟は端末を操作しながら答えた。

 視界の隅では六眼システムが膨大な情報を処理している。

 敵。

 味方。

 結界。

 レギオン。

 呪力炉。

 そして終夜。

 

 全てが繋がっていた。

 

 そして。

 

 敵もまた理解している。

 

 この研究所の急所を。

 

「嫌な感じだなぁ」

 

 悟は呟いた。

 

 偶然ではない。

 

 明らかに調べられている。

 

 内部構造も、防衛機構も、終夜の存在も。

 

 全部。

 

「羂索か」

 

 誰にも聞こえない声でそう呟いた時だった。

 

 電源が一瞬落ちて、非常用電源がすぐに稼働して電気がついた。

 

「五条さん、夏油さんとシェルターへ」

 

 護衛であり自分の武に自信のある傑は悔しそうな顔をするが、終夜は夏油の生得領域、つまり内部にある。それに五条は下半身が動かない。避難が必要だった。

 

 指揮権をエリオットに任せて移動を始めようとした時、警報が鳴った。

 

『侵入反応』

 

 空気が凍った。

 

「傑」

「下がってくれ、悟」

 

 傑は即答した。

 大量の呪霊が展開される。

 

 終夜が呑気に笑うのを感じる。

 赤子に状況を理解しろと言っても無理だ。それより、さすが自分の子だ、胆力が違うと思う。

 だが終夜が狙われている以上、ほんわかしてもいられない。

 

「無理するなよ」

「誰に言っている」

「傑に」

「それは無理だな」

 

 傑は笑った。

 

 そして消える。五条悟の術式を借りて転移したのだ。

 呪霊の群れを引き連れて。

 悟は少しだけ息を吐いた。

 

 ああいう所だ。

 

 ああいう所が好きなのだ。

 

 本当に困る。

 

「お父さん!」

 

 制御室へ飛び込んできたのは優人だった。

 顔が真っ青だった。

 

「何してるの。先に避難してなかったの」

「手伝う!」

「駄目」

「でも!」

「駄目」

 

 即答だった。

 

 優人が何か言い返そうとする。

 

 その時。

 

 研究所全体が大きく揺れた。

 

 今までとは比べものにならない。

 

 轟音。

 

 衝撃。

 

 そして。

 

 六眼システムの表示が一斉に乱れた。

 

「何だ?」

 

 悟の顔色が変わる。

 六眼が理解する。

 理解してしまう。

 だからこそ。

 背筋が冷えた。

 研究所全域。

 終夜。

 東京結界。

 呪力炉。

 六眼システム。

 

 それらが同時に接続されている。

 

 そして今。

 

 終夜が暴れている。

 子供の笑い声が脳内に直接響く。

 

「まさか」

 

 悟は身じろぎした。

 しかし、悟の下半身は動かず、それが精一杯だった。

 

「終夜!」

 

 モニターに映る胎児の顔。

 くすくすという笑い声。

 大量の呪力。

 完全にホラーである。

 まだ生まれていないはずの子供が、遊んでくれるのかとはしゃいでいる。

 

「傑!」

 

 まずい。そう思って声を上げた。

 その時、呪霊が飛び込んでくる。攻撃。

 

「お父さん!」

 

 優人が飛び込む。

 

 反応したのは優人だけではなかった。

 

「駄目だ!」

 

 遅かった。

 いや、間に合っていたとしても、赤子に言葉など通じない。

 終夜が持つ膨大な呪力。

 東京結界。

 研究所。

 六眼システム。

 父と兄の危機。

 全てが共鳴する。

 

 世界が軋む。

 

 空間が裂ける。

 

「お父さん!」

 

 優人が叫ぶ。

 

 空間が裂けて、悟と優人と車椅子を飲み込んでいく。

 

 20年前に分たれた、最も近い世界へ。

 

 知らない座標。

 

 知らない世界。

 

 あり得ない場所。

 

 パラレルワールド。

 

「最悪!」

 

 悟は優人だけでも逃そうとする。だが、優人は悟にしがみついて離れない。

 

 間に合わない。

 

 裂け目が修復される。

 

「優人! お父さん!」

 

 制御室へ駆け込んできた新が、絶句する。

 

 空間にわずかな残滓を残して、世界にできた傷は閉じていた。

 

   ◇

 

「……え?」

 

 新は立ち尽くしていた。

 

 制御室の中央。

 

 何もない空間を見つめる。

 

 そこにいたはずだった。

 

 悟が。

 

 優人が。

 

 いたはずだった。

 

 なのに。

 

 いない。

 

 跡形もなく。

 

 消えている。

 

 呪力がひび割れの形にこびりついて、それも風に流され消えていく。

 

「お父さん?」

 

 返事はない。

 

「優人?」

 

 返事はない。

 

 周囲では警報が鳴り続けている。

 

 研究員が走っている。

 

 誰かが叫んでいる。

 

 理解できない。

 

 理解したくない。

 

「新くん!」

 

 伊地知が肩を掴む。

 

「しっかりしてください!」

 

「……」

 

「まだ終わってない!」

 

 終わっていない。

 

 確かに。

 

 終わっていない。

 

 終夜もいる。

 

 研究所もある。

 

 敵もいる。

 

 だから。

 

 立たなければならない。

 

 でも。

 

 それでも。

 

 新は初めて思った。

 

 研究なんてどうでもいい。

 

 補助演算も。

 

 会議資料も。

 

 六眼システムも。

 

 全部どうでもいい。

 

 ただ。

 

 取り返したい。

 

 お父さんを。

 

 優人を。

 

 家族を。

 

 その想いだけが残った。

 

 そして。

 

 それが後に、

 

『五条救出プロジェクト』

 

と呼ばれる計画の始まりになる。

 




五条と夏油がしていたペアリング

基本機能
・術式共有
・呪力共有
・命共有
・ 相互テレパシー
・負ったダメージの分割
・一度嵌めたら外せない

その他の効果
・無下限の影響により、互いの場所に転移・呼び寄せ可能
・ 呪霊取り込みは夏油のみ

制限
 夫婦関係が前提
 最低一か月に一度、呪力を互いに供給しなければならない。
 体液を介して行う。
* 唾液
* 血液
* 精液

など。怠ると衰弱していき最終的に死に至る。





マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
返信不要の場合は返信不要と書いておいてください。


https://odaibako.net/u/karin2022v
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