呪術廻戦二次創作一発ネタ集   作:かりん2022

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カースチェイン〜第22話・戦闘開始〜

 

 研究所の空気は重かった。

 

 元々明るい場所ではない。行方不明になった五条悟と優人を探し続け、夏油の体調も日に日に悪化している。誰もが焦りを抱えていた。それでも普段なら誰かが軽口を叩き、誰かがツッコミを入れ、どうにか空気を保っていた。

 

 だが今日は違った。

 脹相から送られてきた報告書が、あまりにも悪かったからだ。

 

『秘匿死刑候補、だそうだ』

 

 通信越しの脹相の言葉に会議室が静まり返る。

 最初に反応したのは黒瀬だった。

 

「えっ」

 

 素っ頓狂な声が出た。

 

「えっ?」

 

 もう一度言う。

 

「俺、凄いことしたよね? なんで秘匿死刑?」

 

 資料を覗き込む。

 

「むしろ技術を危険視されたのだろうな。表向き秘匿死刑で、総監部の元で研究を続けさせられる可能性もある」

 

 総監部の暗部を知るメカ丸が言う。

 

「なんでそんな事に……」

「非術師を術師にするんだぞ。当然だ」

「そんな、術師体験会で普通に配られる薬なのに……」

「あれは正直俺は反対だ」

 

 メカ丸が吐き捨てる。

 

「うそ!? すっごくいいじゃん!? 資金も集まるし!」

 

 メカ丸の殺気を感じて黒瀬は黙る。

 焦りもあってメカ丸の苛立ちは最高潮だった。

 しばしの沈黙の後、黒瀬は言った。

 

「俺、何も悪いことやってないのに、そんな……」

「人体実験で危険薬物制作は悪い事だろ」

 

 真希が即答する。

 だが研究所だけに、その是非は真っ二つに割れそうだった。

 一般社会では、もちろん完全アウトである。

 

 脹相にも監視がついており、今も部屋の外には人がいる。

 問答無用の拘束ではないが、救出を考えなければならない。

 出来れば黒瀬も助けたいし、その研究は接収したかった。

 どのみち、期限もない。

 脹相が続きを報告する。

 

『総監部はかなり本気だ。だが、一つわかる事がある。黒瀬に反応をしすぎる。五条悟を捉えたならば、五条悟から情報をとれたはずだ』

『高専にはいないと?』

『その可能性は高いと思う。明日、俺への聞き取りがある。この時、五条悟への言及がなければほぼ確定でいいだろう』

 

 新は決断を下した。 

 

「その聞き取りが終わった時刻に合わせて奪還作戦を行う」

 

 もう時間がない。

 夏油はここに来れてすらいない。

 終夜の切り離しも考えなければいけなかった。

 

「それと」

 

 新は、覚悟を決めた。

 今までは、それでもまだ理由があったからとごまかせた。

 でも、これは明確に悪い事だった。

 交渉という手もある。だが、今までの経験からすると、総監部にそれは自殺行為と言えた。

 

「お父さんの……いや。五条悟の誘拐をする」

 

 研究員達は頷いた。

 

 その時、脹相が告げた。

 

『呼ばれた。総監部だろう。行ってくる』

「俺の端末を連れて行け。総監部なら五条悟はいないだろう」

 

 メカ丸が言う。

 

『わかった』

 

 予定より早く、交渉は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 脹相は人目を忍んで呼び出された。

 

「脹相。カースフューチャー研究所を知っているか」

「知らないな」

「弟を探しているとの事だったが」

「そうだ」

「弟はこちらで確保している」

「鎌掛けだな。名前も知らないだろう」

「知っている。呪胎九相図の脹相だろう。弟の壊相と血塗はこちらで確保している。過去のお前自身もな」

 

 脹相は顔色を変えた。

 

「弟達に手を出すなら容赦はせん」

 

 違う世界とか関係なかった。弟は弟だ。

 

「やはり未来人か。技術情報を全て話せ。未来の情報もだ」

「未来など知らない」

『待ってほしい』

 

 メカ丸の端末が浮かび上がった。

 

『交渉をしよう』

 

 新の声。

 

「メカ丸の端末か。この声は誰のものだ」

『僕達は人探しをしている。見つかったら帰る。目的はそれだけ』

「夏油傑か」

『わかっているなら話は早い。脹相、壊相、血塗、夏油傑の身柄、五条悟の協力が欲しい。それら全てと交換で技術情報を譲渡してもいい』

「五条悟だと。何を考えているのだ」

『五条悟の呪力を認証キーとする金庫を開けたい』

「なるほど。そのキーの認証は封印具に封印した状態でも可能か?」

「五条悟を捉えているのか!? 貴様、どこまで……!」

 

 五条悟に邪魔されるかもしれないから、研究を奪うのは五条悟封印後にしたい。

 そう思っての言葉だったが、脹相は当然、五条悟を封印しているものととった。

 ただでさえ車椅子で、夏油ですら立てないほどの衰弱が起きている状態のはずの五条悟。それが冷たい封印に囚われている。最悪のパターンだ。

 それを想像しただけで、恐怖と怒りが巻き起こる。

 優人がそれを看過したはずがなく、優人の身にも何かあったことが伺える。

 弟達の危機に、脹相が呪力を高める。

 五条悟が囚われている。もはや時間がない。

 

『脹相、堪えて。父には一ヶ月ごとに薬の投与が必要です。もう時間がない。父を引き渡していただけますか? もちろん、生きた状態で父と弟が戻るなら研究情報は全てお渡しします』

「すぐには渡せない。薬だけよこせ」

 

 この瞬間。新は戦闘を決意した。鎌掛けかもしれない。でも真実だったら全てが終わる。何より、夏油の教えがあった。舐められたらぶん殴らないとダメだよ。

 研究所が舐められたのだ。ぶん殴らねばならない。

 それと同時に脹相が完全にブチギレ、術式を使う。

 正体がバレているなら、赤血操術を使っても問題ない。

 新もそれを止めなかった。予定が少し早くなるだけだ。

 研究所員達が走る。レギオンが起動していく。

 新は三体しか呪霊を出せない。

 でも、移動のできる特級呪霊を持っていた。それを使う。

 

 長い夜が始まった。

 




マシュマロ
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