呪術廻戦二次創作一発ネタ集   作:かりん2022

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連続投稿2話目です。
ついに結ばれました。

そろそろマシュマロとかお題感想とか欲しいです。


R18の29.5話はこちら

https://syosetu.org/novel/415951/1.html


カースチェイン〜第30話・大丈夫〜

 アメリカ出発当日の朝。

 研究所は妙な緊張感に包まれていた。

 出発準備そのものは昨夜の時点で終わっている。

 装備の確認も済んだ。

 移動経路も確保した。

 高専側との調整も終わっている。

 問題は何もない。

 

 はずだった。

 

「父さんが起きません」

 

 新の一言で全てが吹き飛んだ。

 食堂にいた全員が顔を上げる。

 

「もう10時だぞ」

 

 脹相が言う。

 

「朝食の時間も過ぎています」

「体調は」

「分かりません。医療班を向かわせるつもりです」

 

 新の顔色は悪かった。

 夏油はつい最近まで死にかけていた。

 呪力供給が再開したとはいえ、安心できる状態ではない。

 

「その必要はないよ」

 

 軽く言ったのは朝食を食べ終わった悟だった。

 

「大丈夫だよ」

 

 気楽な声。

 全員が振り向く。

 

「疲れてるだけだから」

 

 五条は断言した。

 

「なんで分かるんですか」

 

 新が食い気味に聞く。

 

「分かるから」

「根拠は」

「なんとなく?」

 

 新はキレた。

 

 真依が吹き出す。

 脹相が天井を見た。

 メカ丸が額を押さえる。

 高専の伊地知が顔を覆った。

 黒瀬は察した。

 エリオットも察した。

 

 察していないのは新だけだった。

 

「笑い事じゃありません!」

「いや本当に大丈夫だから」

 

 五条は妙に自信満々だった。

 その様子に逆に新は不安になる。

 

「何でそんなに確信してるんですか」

「大丈夫だから」

「だから何で」

「うーん」

 

 五条は少し考えた。

 

「勘?」

 

 再び新はイラッとした。

 

 新が更に何事か言おうとした時、通信端末が起動した。モニターへ映し出されたのは夏油だった。

 

 全員が固まる。

 

 生きているし、顔色もいい。

 

 ただし。

 

「父さん!」

 

 新が立ち上がる。

 

「大丈夫?」

『大丈夫』

 

 五条傑は断言するが、顔が赤かった。

 

「熱ですか?」

『違うよ』

「体調悪い?」

『元気だよ』

「本当に?」

『本当』

 

 実際、体調は悪くないし、呪力も安定している。

 呼吸も楽だし、身体も軽い。

 

 ただ、足腰が立たないだけだ。

 

「父さん?」

 

 新が不安そうに首を傾げる。

 

「じゃあ何で食堂に来ないんですか?」

 

 沈黙。

 

「父さん?」

 

 さらに沈黙。

 

 真依が吹き出した。

 脹相は遠い目をする。

 メカ丸が天井を見る。

 高専の伊地知は完全に顔を覆った。

 新だけが分からない。

 

「父さん?」

『本当に大丈夫なんだ』

 

 全然大丈夫そうに見えない。

 夏油は画面の向こうで視線を逸らした。

 昨夜を思い出していた。

 思い出したくもない。

 いや。

 思い出したくない訳ではない。

 

 むしろ逆だった。

 

 だから困る。五条傑の顔は真っ赤に染まる。

 

 あまりにも。

 

 あまりにも五条が熱心だった。

 

 必要以上に。

 

 異常なほど。

 

 人命救助という言葉を盾に。

 

 そして。

 

『僕も怪我しとけば傑に置いていかれずに済んだのかな』

 

 寂しそうだった。正直キュンと来た。

 

 五条傑は顔を覆った。

 

 まさか。

 

 そんなはずはない。

 

 悟が。

 

 自分を。

 

 いや。

 

 ない。

 

 絶対にない。

 

 思い上がりだ。

 

 それに。

 

 悟には悟の人生がある。

 

 こちらの悟ではない。

 

 だから。

 

 そんなはずはないのだ。

 

 だが。

 

 昨夜のことを思い出す度に顔が熱くなる。

 結局どの世界でも五条悟と夏油傑は惹かれ合う運命なのかなんて考えたくなる。

 

「父さん?」

 

 新が心配そうに覗き込む。

 

「本当に大丈夫?」

『大丈夫だ』

 

 五条傑は何とか答えた。

 

 五条だけが妙に満足そうにニヤニヤしていた。

 

 そして、その後ろ。

 

 研究所の大人組は別方向で頭を抱えていた。

 

「なぁ」

 

 黒瀬が小声で言う。

 

「何だ」

 

 エリオットが答える。

 

「所長、生きてたらどうなると思う?」

 

 沈黙。

 

「修羅場だろうな」

 

 エリオットは即答した。

 

「どっちの?」

「両方だ」

 

 黒瀬は頷く。

 

 研究所勢はもう知っている。

 原作五条が夏油へ惚れていることを。

 

 そして。

 

 もし所長が生きているなら。

 

 一ヶ月以上経過した今。

 

 原作夏油との間に何もない方が不自然なことも。

 

 だから。

 

 もはや修羅場は前提だった。

 

 問題は規模である。

 

「帰って来たら胃が痛そう」

 

 真依が言った。

 

「生きて帰ってくれるなら何でもいい」

 

 新が即答する。

 

 全員が黙った。

 

 それは本音だった。

 

 修羅場だろうが何だろうが、生きていてほしい。

 

 それだけだった。

 

 出発時刻が近付く。

 

 研究所のメンバーが集まる。

 

 見送りに来られたのは夏油だけ通信越しだった。

 

 ベッドの上。

 

 それでも穏やかに笑っている。

 

『気を付けて』

「うん」

 

 五条が答える。

 

 妙に機嫌がいい。

 

『無理はしないでくれ』

「しないよ」

『本当に?』

「本当に」

 

 夏油は少しだけ笑った。

 

 その顔を見て五条も笑う。

 

 高専側通信。

 

 夜蛾が頭を押さえる。

 真希が顔をしかめる。

 七海は深いため息を吐いた。

 

「帰って来ますかね」

 

 夜蛾が聞く。

 

「来ませんね」

 

 七海が即答した。

 

 全員が頷いた。

 

 そして飛行機はアメリカへ向かう。

 

 誰もまだ知らない。

 

 その旅路の先で。

 

 羂索が既に動き始めていることを。

 




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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