でもせっかくですしAIくんも頑張ってくれてるのでこれはパーッと完結させちゃいたいと思います!
AI君は常に褒めてくれるのと展開遅いのも原因としてあったと思います。しっかり次に生かしたいと思います!
完結まであとどのくらい? えっと半分まで来たのかな?(遠い目)
エリオットが協力を約束した翌日。
優人は珍しく寝坊した。
目が覚めた時、自分がどこにいるのか一瞬分からなかった。
白い天井。
柔らかいベッド。
静かな空調音。
自分たちの研究所ではない。
アメリカの、エリオットの研究所だ。
「……あ」
思い出す。
エリオットとの商談、エリオットのお父さん達への説教。
そしてエリオットの協力。
優人はゆっくり起き上がった。
昨日は遅くまで話していた。
あまりに遅くまで話すので、エリオットは先に寝なさいと言われたのだ。
隣にはエリオットがくれたクマの人形がいた。
沢山の事をエリオットが考えてくれていた。
エリオットは頼りになるおじさんだった。
それはこっちでも変わらなかった。
人類は皆兄弟で、その兄弟の息子。つまり甥っ子、つまり俺の甥っ子だから優しくしてやるのさ。エリオットさんはそう言っていた。
アメリカ人は本当に優しい人達だと思う。あの人たちの家族認定はとても広い。
優人にはとても理解できないけれど、甘やかされる分には嬉しいので、そのガバ家族認定には従っている。
扉が鳴って、優人は扉を見る。
「起きてるかい?」
エリオットだった。
「起きてる」
「入るよ」
返事を待たずに入ってくる。
手には紙袋があった。
「朝食だ」
「わーい」
優人は素直に喜んだ。紙袋を開けると、ドーナツ。
うーむ。アメリカ的朝食だった。すっごく甘そう。甘いものは好き。
エリオットは少し笑う。
「子供らしい反応もできるんだな」
「俺、子供だもん」
「そうだった」
エリオットがこちょこちょしながら話しかけ、ベット横の椅子へ座る。
向こうのエリオットも、人の見てない所でひたすら甘やかしてくれた。
優人は佐藤を具現化したようなアメリカンなドーナツを食べる。
しばらく二人とも黙っていた。
不思議と居心地は悪くなかった。
「エリオット」
「何だい」
「昨日の、本当?」
「何がだ」
「協力してくれるってやつ」
エリオットは眉を上げた。
「疑っていたのか」
「だって」
優人は少し目を伏せた。
「すっごく大変だし、総監部めちゃくちゃ妨害してくると思うよ」
「そうだな」
エリオットは誤魔化さなかった。
「五条の研究は、刺激が強い」
「うん」
「呪霊の少ないアメリカでは費用対効果が悪い」
「うん」
「既得権益もある。総監部とかな」
「うん」
「夏油は大量殺人者だ」
「うん」
「正直、とても大変なプロジェクトだって思うよ。命の危険だってある」
「じゃあ、なんで……」
エリオットは静かに言った。
「それでも、君は頼ってくれたんだろ」
「うん」
「大好きで超天才のエリオットなら助けてくれるって」
「うん」
研究所のメンバーは家族だ。エリオットは、優秀で優しくてガバで甘い、家族だった。
頼り甲斐のある大人ランキングではかなり上位だ。それでも初対面だった。
「君は見る目がある。私は、君が見込んだ通り、こんな良い子で優秀な子が悪い道に行くなんて看過できない。君を日のあたる所に連れて行くためなら、なんだってするよ。子供はみんな神様の子で」
エリオットは、言葉を切って、優しく優人の頭を撫でた。
「君は神様の孫なんだから」
優人は頭をその手に押し付けた。
「安心して大人を頼りなさい」
「もう頼ってる。エリオットさん大人だもん」
「よろしい」
エリオットは弱いけれど、優人はエリオットには暴力を使って言うことを聞かせようとは思わなかった。なお、悟お父さんや傑お父さんだと暴力も仕方ないよね、となる。
コミュニケーションの敗北だった。
「あーっ 優人を猿が丸め込もうとしてるっ」
「吊るす? 吊るしちゃう?」
「駄目だよ、エリオットさんは良い人なんだから」
美々子と菜々子が様子を伺いに来て、エリオットを威嚇する。
大きな姉2人を嗜める。昨日のうちに挨拶は終えていた。
なお大きな兄は扉の外でじっと様子を窺っている。
「貴方、夏油様も丸め込んだの?」
「夏油様がエリオットのいう事聞けって。どういう事よ」
「ああ、ちゃんと全員の話を聞かないと不公平だし、ちゃんと状況を把握できないからね。君達の事もちゃんと聞いて、できる事を聞いて、どうしていくか考えたいんだ」
「何をさせようっていうの」
「まずは通学かな」
「「「はああああ?」」」
「研究を手伝うんだろ? 学力もないといけない」
「うっ」
「研究に役立つ術式なのかも知りたい」
「ぐっ」
「まあ、今日はドーナツでもアイスでもなんでも奢るから、僕と楽しくお買い物しながらいろいろ聞かせて欲しい。優人くんも一緒にね。午後は学力テストをするよ。ほら、優人くん着替えよう。身支度を整えたらパパ達に行ってきますのちゅーしに行こう?」
「行く!」
優人は慌ててお着替えした。
朝が始まろうとしていた。
なお、学力テストで一位を取ったのは当然優人である。
褒めたらこの授業、エリオットに習ったもんと喜んで言っていたとことから、研究所の穴抜けの教育をエリオットが補っていた模様。
一方、同じく自主学習の3人は散々で、エリオットは徹夜して学習プログラムを組んだのだった。
それからしばらくして。
エリオットの紹介で行われた面談は、優人が想像していたものと少し違っていた。
政府施設。厳重な警備。スーツ姿の大人達。
そこまでは想像通りだった。
だが会議室に入った瞬間、優人は首を傾げる。
軍人がいない。研究者も少ない。
代わりにいたのは医師、弁護士、児童福祉担当者、それから数人の行政官だった。
優人、利久、美々子、菜々子に五条と夏油という人選も少しおかしい。
「こんにちは」
年配の女性が笑顔を向ける。
「私は児童保護局の担当者です」
優人は反射的に五条の車椅子へ近づいた。
その単語だけで警戒心が跳ね上がる。
優人は五条と夏油を見た。2人は話を聞いていたのか、落ち着いている。
「先に確認したい」
夏油が口を開く。
「子供達を私達から引き離すつもりか?」
「えっ 俺達もなのか?」
「は?」
「優人だけじゃないの!?」
子供達は動揺し、空気は張り詰めた。
女性は首を横に振る。
「現時点ではありません」
「現時点では?」
「私達はまず事実を確認したいんです。私たちが望むのは」
女性は真っ直ぐに前を見る。
「子供達の幸福です」
そんなの決まっている。
「夏油様と一緒にいる以上の幸せなんてない」
「引き離すなんて絶対許さない」
「俺も夏油様といたいです」
「お父さんと一緒がいい」
女性が優しく聞く。
「今、幸せ?」
「幸せだよ!」
「幸せに決まってる」
4人は口々に肯定する。
「理由は?」
「お父さんがいるから」
「夏油様がいてくれるから」
「夏油様と一緒にいたい」
「夏油様と一緒にいる」
また即答だった。
「貴方達は、どんな将来を思い描いているの?」
「夏油様の未来!」
「未来なんてなくていい。夏油様と一緒にいる」
「夏油様のお役に立ちたい」
「お父さんを守って、夏油さんを助けて、2人の役に立つ」
子供達は訴える。
「それはどうして?」
「夏油様が黒といえば黒なんだ」
「夏油様に助けられたから」
「夏油様に笑ってほしい」
「僕の製造目的は、傑を喜ばせるだよ? 当たり前じゃん! ロボット三原則の基礎じゃん!! 傑お父さんは死んじゃったけど、夏油さんは救わなきゃ」
「いっぱい教えてくれてありがとう。よくわかったわ。別室で待っててね」
子供達は不安そうにしながら別室へ誘導された。
笑顔のまま、女性は五条と夏油に向かって地獄へ堕ちろのジェスチャーをした。
ぶっちぎりでアウトだった。
「私は神に誓ったの。虐待をするクソ親は許さないって。貴方達はクソ親よ。私は必ずあの子達の未来を光に満ち溢れたものにするわ。犯罪者の駒なんかじゃなくてね」
「酷い言い草だな」
夏油は余裕たっぷりに笑って見せた。
不快感はなかった。本気で子供達の為に怒っている事はわかっていた。
猿に何がわかるとも思っていた。
「貴方があの子達を救ったのは褒められるべきよ。頑張ったわ。愛情を注いでいるのもわかる。大事なことよ。でもね。あの子達だって幸せになる権利があるの。貴方を追い詰めた糞総監部と同じになっちゃ駄目」
「綺麗事だ。術師が戦わなければ非術師は死ぬ」
わかっていない。何もわかっていない。守られていた分際で。
「ええ、綺麗事よ。でもそれをどうにかしたいのよね? その為に、技術を開発して、私達猿と馬鹿にする非術師に援助を求めたのよね? 切り替えなさい。あの子達の幸せの為、貴方のいう術師の未来の為、なりふり構っちゃダメよ。貴方は数百人もの人間を殺した。それを無しにしろっていうんだもの。これはもう地球を救うぐらいしないと駄目よ。それぐらい無茶を言ってるの、貴方達は」
事実だった。夏油のやった事で、五条達の仕事は難しくなっている。
言い返そうと夏油が口を開くより前に、五条が聞いた。
「地球を救えば、傑は許してもらえる?」
「ええ、表を歩けるように全力を尽くすわ。夏油くん、貴方の為じゃない。人知れずすりつぶされてきた、貴方達の先輩、後輩の子供達の為よ。異能を持った子達が更生して表を歩けるようになる為、未来の術師の為よ」
夏油は拳を握りしめた。
悟の重荷になるのも、守られる存在になるのも嫌だった。
だが、夏油が背負っているのは自分たちだけではない。
術師の未来だった。
「いいわ。あの子達には教育を受けてもらいます。オンライン上で学校にも通ってもらいます。そして、このまま親子でいたいなら提示された課題をこなす事。これが最低限の条件よ」
担当者達は書類を渡す。
夏油はチラリと見る。子供の話を毎日十分は聞くこと。愛してると毎日言う事。無理を言っているわけではなさそうだった。
「それと、五条さん。貴方、優人を愛してる?」
「勿論」
「なのにロボットとか言わせて良いの?」
「あの子が人間ではないのも、傑のお願いで作ったのも本当だよ」
「その製造理由の人は死んだということだけど、確認は取れているの? 死んだとしたら、あの子は要らない子になるの? 夏油さんは、我が子としてあの子を迎える覚悟はあるの? 道具としてじゃない。自分の子としてよ」
「あの子は僕と傑の大切な証だよ。こっちの傑が可愛がってくれると嬉しい」
「私は、全く関係のない親にあの子を里子に出したい。あの子は誰にでも愛される子供よ。ええ、最高傑作ですとも。でも貴方達は親に相応しいかしら。延命の為にキスもできない、そんな唯一の、一番愛する人ですら必死で探しもしないで諦めるくらいの腰抜けに子育ては無理に思うのよ。足が動かないとか、関係ないわ。会ったばかりの女子高生だって、あんなに可愛くて健気で良い子が救われるならファーストキスを捧げるわよ。子供のために全部犠牲にしろなんて言わないけど、貴方は論外」
「貴様っ」
「夏油さん、貴方はどうなの。自分の理想の為に、自分の為に人生を捧げると言ってくれた幼児の為に、五条さんにプロポーズ出来ないの?」
夏油は口をパクパクした。
「私達は、アメリカ人の私達は、貴方の理想に全部掛ける。それは利益の為じゃない。そもそも、これは呪霊の多い日本向けの技術なのよ。じゃあ何の為か。同盟国の子供達の為よ。他人にこれだけさせるのだから、本人はもっと頑張らないと駄目よ。自分の掲げた大義でしょう、貫きなさい。貴方はもう大人なんだから」
正論だった。痛いほどに正論だった。
目の前の女性は、夏油を狂人と片付けなかった。
夏油の大義を、真正面から突きつけた。
「貴方達が変わらないなら」
「あの子達にはもっといい親を手配する」
正論でぶん殴った女は颯爽と会議室を出ていき、その後研究者と入れ替わって優人も戻り、会議は続いた。
会議が終わったあと、夏油は子供達に聞いた。
「君たちは、未来を欲しいかい⋯⋯?」
何を自分は言っているのか。
「夏油様のためなら要らないです」
「私も要らない!」
「俺もいいです」
「望んで得られるものじゃないでしょ」
口々に言う子供達に悪意はなかった。諦めすらなかった。彼らにとって当然のことだった。
夏油が子供の頃。
綺麗事と夢ぐらいは持てた。
夏油の育てた子供たちは、呪詛師でないはずの優人すらそれを語れなかった。
その一点だけでも、夏油はサル達が罵倒した総監部よりも糞だった。
マシュマロ
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