雨ノ宮隼人の怪異事件簿 −天神小学校編−   作:unknown505

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第4話

黒い戦闘服に身を包み、対霊小銃を構えたまま、こちらを射抜いている。雨に濡れた銃身が、微かな光を反射していた。

その存在感は圧倒的で、廊下の空気が一瞬で張り詰めた。

 

隼人「自衛隊・・・っ!!」

 

結衣・繭「「えっ!?」」

 

3人が驚くよりも早く、床に倒れていた二体の子供の霊がビクンと痙攣しながら起き上がった。

首が不自然に折れたまま、耳まで裂けた口で笑いながら、隼人と結衣に向かって同時に飛びかかってきた。

霊の小さな手が二人に迫る。その瞬間――

 

佐伯「馬鹿者が。」

 

低く冷たい声と共に、佐伯の対霊小銃が火を噴いた。

パン! パン!

二発の銃声が廊下に響き渡る。

一発目は正確に子供の霊の心臓部に、もう一発はもう一体の脳天に命中した。

霊たちは甲高い悲鳴を上げ、身体を激しく震わせながら黒い霧のように崩れ落ち、跡形もなく消え去った。

静寂が戻った。

隼人は息を荒げながら、壁に寄りかかって立ち上がった。結衣も震える足で体を支え、佐伯を見つめる。

 

隼人「・・・助かりました。」

 

繭「あの、ありがとうございます・・・」

 

徹「気にするな、お前が、雨ノ宮だな?」

 

隼人「そうですが・・・何故俺の名を?」

 

徹「春日正広とパトロール中に行方不明になったと特務課から通報が入ってな。」

 

徹は対霊小銃を軽く下げ、二人に歩み寄った。表情は一切変わらない。結衣は本当に自衛隊の者なのかを問う。

 

結衣「あなた達は、本当に自衛隊なんですか・・・?」

 

徹「そうです、我々は自衛隊の中に所属する「対怪異特戦群」。天神市で発生する特殊事案を専門に扱う部隊です。「幸せのサチコさん」による行方不明事件が急増していることは、すでに把握しておりの特務課が無線で送った一方通信を受け、即座に突入しました。」

 

彼は一瞬、廊下の奥に視線を移した。

 

徹「状況は最悪だな。すでに複数の民間人が犠牲になっている。これ以上被害者を増やすわけにはいかん。」

 

徹は周囲を素早く見回し、廊下の少し先に「保健室」と書かれたプレートを見つけた。

 

徹「・・・あそこに移動する。」

 

彼は先頭に立って保健室のドアを開け、中を確認した。古びたベッドと薬棚が残る比較的広い部屋だった。

 

徹「ここを新たなセーフルームにする。保健室であれば、怪我をした際の応急治療や薬の使用も可能だ。ドアと窓に護符を張り、簡易バリアを展開すればしばらくは持つはずだ。」

 

徹はそこで一度言葉を切り、隼人の顔をまっすぐに見つめた。

 

徹「隼人・・・お前に残念な知らせだが、お前の同期である春日正広は、車内で死亡していた。すでに確認済みだ。」

 

隼人「正広が・・・」

 

佐伯は静かに頷いた。

 

徹「既に遺体は回収した、詳細は後で話すが今は生きている者を優先する。」

 

隼人は拳を強く握りしめ、唇を噛んだが、すぐに顔を上げた。

 

隼人「・・・分かった。」

 

結衣も隣で静かに息を飲み目を伏せ、徹は対霊小銃を構え直した。

 

佐伯「色々聞きたいことはあるが、今は行方不明者の発見を最優先にする。」

 

彼は結衣に向き直り、短く確認を取った。

 

徹「宍戸先生。如月学園の行方不明者の正確な名前と人数を教えてください。」

 

結衣「ええ・・・」

 

結衣は行方不明となっている生徒達の名前を伝え徹は即座に無線機を手に取り、各隊員へ伝えた。

 

徹「shadow1から各隊員へ通達する、持田由香、岸沼良樹、森繁朔太郎、篠崎あゆみ、持田哲志・・・以上6名。生存確認を最優先に発見次第即時報告せよ。尚、鈴本繭、篠原世以子、中嶋直美は既に発見した。」

 

無線から短い了解の返事が返って、徹は無線を切り、二人に向き直った。

 

徹「さて隼人、中嶋直美と篠原世以子はどこにいる?」

 

隼人「2人は3階の教室を簡易セーフルームにしてそこで待機させている。」

 

徹「よし。その二人もこの保健室まで連れて来い。

ここを本格的なセーフルームとして機能させて俺と宍戸先生はここで待機し、周辺の警戒を続ける。」

 

隼人「分かった、すぐに連れてくる。」

 

隼人は対霊拳銃を握り直し、素早く部屋を出て3階へ向かった。

 

その時鈴本繭が徹に問いかける。

 

繭「あの、自衛隊さん・・・私達ってどうなってるんですか・・・?」

 

徹は少し間を置いて、極秘情報に触れない範囲で答えた。

 

徹「この現象は「幸せのサチコさん」と呼ばれる呪術が引き金だ。天神小学校の怨霊が現実の空間を侵食し、人々をこの廃墟に引きずり込んでいる。要するに「死んだはずの学校が蘇り、生きている者を飲み込もうとしている」ということだ。我々はそれを食い止めるために動いている。」

 

結衣と繭は青ざめた顔で頷いた。

 

結衣「・・・わかりました。生徒たちを、絶対に助けてください。」

 

徹は小さく頷き、対霊小銃を構え直した。

 

徹「もちろんです。」

 

繭「(あゆみちゃん・・・)」

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