雨ノ宮隼人の怪異事件簿 −天神小学校編−   作:unknown505

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第5話

隼人は3階の簡易セーフルームに戻ると、直美が不安げに立っており、世以子はまだ気絶したまま床に横たわっている。

 

直美「隼人さん・・・!」

 

隼人「救援が来てくれてな、保健室に移動する。篠原さんをおんぶできるか?」

 

直美は頷き、世以子をおんぶした。気絶した世以子の身体がぐったりと重く、直美の足取りは少しふらついている。

 

隼人「(世以子の意識がまだ戻らない・・・。この気絶の仕方は普通じゃねぇな・・・。)」

 

隼人は対霊拳銃を構え、直美と世以子を護衛しながら慎重に3階から降り、保健室へと移動し徹と結衣が待つ保健室のドアを開けると、徹が短く頷いた。

 

徹「無事か、入れ。」

 

三人は無事に保健室のセーフルームに入り直美は結衣と繭との再会に喜んだ。

 

結衣・繭「「直美ちゃん!」」

 

直美「先生!繭ちゃん!」

 

結衣「中嶋さん、良かった・・・!」

 

徹「再会を喜んでいる所すまないが自己紹介させてもらおう。私は陸上自衛隊対怪異特戦群の隊長、佐伯 徹だ。

今は君たちを守るためにここにいる。安心してくれ。」

 

直美「っ!自衛隊さん!自衛隊の人もいるんだ・・・!」

 

隼人は佐伯に近づき、低い声で報告した。

 

隼人「篠原さんが……まだ目を覚まさないんだ。何か方法はないか?」

 

徹は頷き、背中に背負っていた黒いバッグを床に下ろした。中から小さな金属製のケースを取り出す。

 

隼人「なんだその注射器・・・。」

 

徹「対霊用の覚醒剤だ。

怨霊による精神干渉で意識を奪われている場合に有効なんだ。」

 

徹はケースから一本の注射器を取り出し、世以子と繭の腕に素早く打ち込んだ。

数秒後、二人のまぶたが微かに動き始めた。

世以子が小さくうめき、繭がゆっくりと目を開けた。

 

世以子「・・・う・・・ん・・・ここは・・・」

 

直美は世以子が目を覚ましたのを見て、喜びの声を上げた。

 

直美「世以子! よかった……! 起きたのね!」

しかし、その喜びも一瞬だった。

世以子は目を開けた瞬間、直美の顔を見て突然パニックを引き起こした。目を大きく見開き、身体を震わせて後ずさろうとする。

 

世以子「いやっ!離して!来ないでぇ!いやぁぁっ!」

 

直美は驚いて手を伸ばしかけたが、世以子は怯えて縮こまる。隼人は世以子に問いかける。

 

隼人「篠原さん、どうしたんだ?何があった?」

 

世以子「私、直美に殴られて、気がついたら・・・首を吊らされていた!

笑いながら・・・「ずっと一緒だよ」って・・・!」 

 

繭「えっ?直美ちゃんが・・・!?」

 

隼人「なに・・・?」

 

結衣は思わず強い口調で直美に振り返り問い詰める。

 

結衣「中嶋さん何故そんな事を・・・!?」

 

直美は涙を浮かべながら、震える声で答えた。

 

直美「私、記憶にないんです・・・!突然こんなことに・・・」

 

隼人「記憶にないなら一体何故・・・!」

 

部屋に重い緊張が広がった。しかし徹は冷静にその様子を観察し、静かに口を開いた。

 

徹「・・・恐らく霊による洗脳術だろう。」

 

彼は世以子に向き直り、落ち着いた声で説明した。

 

徹「世以子さんだったか。君が直美さんが君を殴って首を吊らしたという内容を推察するに霊が意図的に直美さんを操り、君を殺そうとした可能性がある。だが安心してほしい。俺達怪異特戦群がいる限り怨霊共に手出しはさせん。ゆっくり深呼吸して落ち着くんだ。」

 

世以子は徹の言葉を聞きながら、少しずつ息を整え始めた。

 

世以子「はぁ・・・はぁ・・・」

 

徹「君は恐らく一番辛いトラウマを植え付けられたかもしれない。だが、直美さんを恨まないでやってくれ。」

 

世以子「はい・・・」

 

徹「これは早急に「核」を潰さねばならんな・・・。」

 

隼人は徹に視線を向け、真剣な表情で尋ねた。

 

隼人「核・・・?その核って何なんだ?」

 

徹は短く頷き、冷静に説明を始めた。

 

徹「核とは、この怨霊現象の中心となる「核となる霊体」のことだ。天神小学校の惨劇で死んだ子供たちの怨念が凝縮した存在で「サチコ」と呼ばれる霊がその核の元となっている。核を破壊しない限り、洗脳術や空間侵食は止まらない。ただし、核は非常に強力で直接攻撃しても簡単には倒せない。我々は核の位置を特定し、弱点を突いて破壊する作戦を取る。」

 

隼人はその説明を聞き、拳を握りしめた。 

 

隼人「それが、この元凶か・・・!」

 

徹「そうだ。だからこそ、まだ行方不明になっている学生達を助けなければならない。核が完全に目覚める前に、できるだけ多くの生徒を救い出し、核の力を削ぐ。

それが我々の最優先任務だ。」

 

部屋に緊張した空気が満ち、隼人は深く息を吸って佐伯の目を見て力強く頷いた。

 

隼人「・・・わかった、俺も全力であんた達と協力しよう。」

 

徹は小さく頷き、背中に背負っていた黒いバッグを開けた。中から軽量の対霊アーマー(胸部・腕部プロテクター)と追加の霊子弾マガジンを取り出し、隼人に手渡した。

 

徹「これを着用すれば最低限の防御力は上がる。俺は暫くこの保健室を守る。お前は再び行方不明者の捜索に向かえ。生存者を発見したら、すぐに無線で連絡を。」

 

隼人「わかった。」

 

隼人はアーマーを素早く装着し、追加のマガジンをポケットに収めた。結衣と直美に短く目配せをし、改めて対霊拳銃を構えた。

 

隼人「すぐに戻ってくる。」

 

徹は対霊小銃を構え直し、保健室の入口に立つ。

 

徹「気をつけろよ。」

 

隼人は静かにドアを開け、再び暗い廊下へと踏み出す。天神小学校の闇は、まだ多くの試練を彼に待ち構えていた。

 

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