僕は物心付いた頃に両親を鬼に殺され、その現場に駆けつけてくれた鬼殺隊の方に助けられた。それからはずっと鬼殺隊の方たちに育てられてきた。
まだ物心付いたばかりの子供だったのでかなり手間をかけてしまった。それでも捨てずに育ててくれた鬼殺隊の方々には本当に感謝しかない。鬼を退治するのが鬼殺隊の使命であるため、知らぬうちに昨日まで遊んでくれたお兄ちゃんが亡くなったりもした。
感謝はしています。
感謝はしています。
でも……少し過保護過ぎる気がする。
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僕は今年で12歳になった。しっかりと修行もしているし、鬼殺隊に正式に入隊もしている。僕なんか全然戦力にはならないと思うけど、鬼退治を含めてそれなりに経験を積んできたつもりだ。階級も『丙』というところまで来たみたい。あんまり意識していないと忘れてしまうが、どうやら丙になっていたみたいなんです。
だけど、いつまで経っても僕の周りの方々は僕のことを子供扱いをするんです。もちろん、隊の中でもかなり年下なので仕方ないとは思うのですが、皆さん赤子みたいに甘やかしてくるのでさすがにこれは困ってしまう。これは階級とか関係なくて、色んな人に甘やかされる。もちろん、物心付く頃から鬼殺隊の方々に育ててもらっているので知り合いばっかりですけど……。
「あ、あの…僕ってそんなに子供っぽいですか?」
「どうして?」
「だ、だって時任さんもいま頭を撫でて来ますし。他の柱の方やそれ以外の方からも子ども扱いされるんです!」
「撫でるのだめ?」
「…だ、だめというわけではないですが…。僕も今年で12歳です」
「僕は14だよ」
「そ、それは分かってます。時透さんは年齢も階級も上なのは分かっていますが、僕のことを赤ん坊だと思っていませんか?」
「~ん…どうだろう……」
え、そこは「そんなことない」って答えてくれるところじゃないんですか。
「…大人扱いをして欲しいわけではないですが、もう少しだけ大人っぽく扱って欲しいんです」
「むりかも」
「え…無理なんですか」
「うん、無理だと思う」
「…そうなんですか」
柱の方に無理だと言われれば諦めるしかないのかも。
「そ、それで時透さんはいつまで僕のことを撫でるのですか?」
「満足するまで」
「…それって具体的にはいつ頃ですか?」
「わからない」
「そうですか」
それから僕は時透さんにずっと撫でられて、解放されたのは1時間後だった。
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また別の日は冨岡さんと一緒にいた。
「あ、あの冨岡さん、今回はどのような用で?」
今日は任務もないので、鍛錬でもしようと素振りをしていたところに冨岡さんが訪ねてきた。冨岡さんは柱の皆様の中でもかなり寡黙な人なので表情を含めて感情が分かりにくいと思われがちな人。
とても良い方なので皆さんにもそれを理解して欲しく、前に胡蝶さんに熱弁した時に胡蝶さんは「冨岡さんのことがお好きなんですか?」と問われたので、もちろんずっとお世話になっていますし「好きですよ」と答えたら、胡蝶さんが笑顔で「私と冨岡さん、どっちが好きですか?」と問われた。
目の前の胡蝶さんは笑顔ではありますが、返答によっては怒らせることになってしまうかもしれない。胡蝶さんにもかなりお世話になっているし、怪我をする度にかなり心配を掛けてしまっている自覚もある。
なので、僕は優柔不断かもしれないですが「冨岡さんも好調さんも大切な方です」と答えた。これが現状では最善だと僕の中で判断してしまった。ここで冨岡さんを選んで胡蝶さんの機嫌を損ねるのもダメですし、いくら冨岡さんがいないからと言って胡蝶さんを選んでしまうのは申し訳ない。
胡蝶さんは「そうですか」と答えてくださってそこまで機嫌を損ねるわけでもなかった。
「…話をするために」
「お話ですか。冨岡さんが僕と話したいと思ったくださったのは嬉しいですね」
「そうなのか…?」
「はい。こんな風に二人きりで話すのはあんまりないですし。柱である冨岡さんはもちろん、僕も階級がちょっとだけ上がったこともあって任務に出ることが多くなってしまったので」
「…………そうかもな」
その後、冨岡さんと色々な話をしたのだった。