美醜逆転の世界でレンタル彼氏をしてみた   作:主義

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マナ視点

 

私は今まで容姿の所為で男の人と話すこともほとんどなかった。話せたとしても罵倒をされるだけ。もちろん、私に対して優しく声を掛けてくれるような人は存在しない。それも仕方のないこと。

 

 

 

だって私は『ブス』だから。周りにどれだけ貶されてもそれに対して意見することは許されない。それにもし、意見したとしても意味がない。

 

 

 

 

 

そんな生活を20年以上続けていれば、当たり前。悪口を言われたぐらいじゃ気にならないし、何とも思わなくなっていった。

 

王国騎士として王国のために全てを捧げる。それだけでいい。もうこれから先の人生、ずっと王国のためにこの体や心を使っていけばいい。

 

 

 

 

 

 

 

街の掲示板を通りかかった時に…ある張り紙が目に留まった。いつもは適当に流していたのに、その日だけはちょっと見てみようと思って、真剣に見ていた。

 

 

「…れんたるかれし?」

 

 

見慣れない単語にクエスチョンマークが浮かぶ。それから張り紙の内容に目を通していくと驚くべき内容が書かれていた。

 

 

 

 

それはお金さえ払えば誰でも男の人がデートをしてくれるサービス。

 

こんなサービスが今まで存在していたの。

 

 

「…あ、あやしい…」

 

 

 

 

こんなサービスが存在していたのであればもっと話題になっていなければおかしい。だってこんなのブスな私たちにとっての希望の光になるもの。どんな男の人にも相手にされない私たちにとっての希望。

 

 

「で、でも…事実の可能性も…」

 

 

 

今の段階では判断できるだけのものが揃っていない。ここでただの怪しいサービスだと切り捨てるのは難しくはない。

 

でも、少ない可能性だったとしても本当にこういうサービスをしてくれるかもしれない。そう思ったら、無暗に切り捨てられないのが正直なところ。

 

 

 

 

 

そこでしばらく私は考えることにした。

 

どうするべきかと…。

 

 

 

 

その結果として私は張り紙に書かれている場所に訪ねてみることにした。

 

もちろん、お客さんとして。

 

 

 

 

私は王国騎士としてこの国の治安を守る責任がある。そのためにもまずは実態の把握をしなければいけない。であればお客さんとして、その場所に行って、サービスがあるのであればしっかりと利用させてもらおう。

 

 

それから全てを決めればいい。

 

 

 

 

 

――

 

 

訪ねてみると中肉中世の男性が出てきた。すごくイケメンというわけでもなければ、すごいブスというわけでもない。

 

 

本当に普通の優しそうな人。

 

 

 

でも、一つだけ他の人と違うところを挙げるとしたら、私を見ても眉一つ動かさなかったということ。こんな知らないブスが訪ねてきたのに、何も驚かないし、嫌な顔もしない。それだけでおかしいのだ。

 

 

 

 

少しお話をしてみると、どうやらあの張り紙に書かれていたことは本当のようだ。お金さえ支払えば、目の前の男性とデートができると。

 

 

まだ何か騙そうとしているのかと思う気持ちがあるものの、一回分の支払い額はそこまで大きなものではない。

 

これでもし騙されたとしても今、こんな男の人と話せているだけで全然十分。

 

 

 

 

王国騎士としてデートしてみることにした。

 

 

 

 

 

 

デートは本当に楽しいものだった。

 

ヒロさんはしっかりと私のことを一人の女性として扱ってくれて、いつも嫌な顔をしない。こんな御伽噺にしかいないと思うほどに紳士的な人で、いつも気遣ってくれている。

 

 

 

 

私が女の人たちに絡まれた時も助けてくれた。

 

こんな私と仲が良いと知られるのは嫌がるはずなのに、そんなこともない。あの時のヒロさんは本当に王子様みたいだった。颯爽と私のことを救い出してくれる存在。

 

 

 

 

 

 

あんな人がこの世界にもいるんだ。

 

私のことを女の子として扱ってくれる。

 

 

 

 

もちろん、お金のためだというのは分かっている。ヒロさんだってお金が貰えるから、私に対して優しく接してくれているんだと。

 

そう分かっていたとしても、あれだけの優しさに触れたら、そんなことはどうでもいいとさえ思ってしまう。お金の為でも、私はヒロさんとこれからもデートをしたい。

 

 

私に幸せという感情を思い出させてくれた、ヒロさんとはこれからも。

 

 

たくさんのことをしたい。

 

 

 

 

 

そのためにも私は王国騎士として今日も働く。

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