美醜逆転の世界でレンタル彼氏をしてみた   作:主義

6 / 6
街の変質者

俺がマナと一緒にいるところを見た者は多かったようで、街の中で俺は『変質者』として呼ばれつつある。

 

この世界の価値観において、俺がマナとデートをしていることがおかしいからだろう。

 

 

 

 

だが、元の世界でブスとイケメンが付き合っていてもさすがに『変質者』とは呼ばれないのではないだろうか。この世界が少しおかしいというところを物語っているのかもな。

 

 

別に変質者と呼ばれることに対して抵抗はない。多くの人から好かれたいと思っているような人間ではないし、レンタル彼氏をする時点で周りから奇怪な目で見られるのは分かっていた事だしな。

俺はしっかりとレンタル彼氏でお金を稼いで、最終的に余生を田舎で過ごせたらそれ以上は何も求めない。

 

 

 

 

 

レンタル彼氏をして、美女と仲良くなりたいわけでもなければ、この世界で迫害されている女を助けたいと思っているわけでもない。あくまで俺が楽しく生きるために必要な金を稼ぐ手段としてレンタル彼氏をやるだけ。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

今日も街に繰り出すことにした。

 

宿屋に戻ってもやることがないし、少しでも外に出ることでアピールする方がいいだろうと思ったのに…。

 

 

進行方向を数人の女たちに塞がれた。

 

 

「あんたって…おかしいの?」

 

街中を歩いていると色んな奴から見られるのは分かっていたが、絡まれるところまでは予定していなかった。   

 

 

「おかしい?」

 

 

「だってあんな奴と一緒にいるなんて」

 

 

「それは俺が決めることだ。誰かに指図されるようなことをされる筋合いはない」

 

こういう連中が出ることは分かっていた。俺の基準だとブスの部類に属すような奴ら、この世界の基準的には美女に分類される奴ら。自分よりも他の奴がモテることが許せないのだろう。

 

 

どうでもいいが、あんまり巻き込まれたくはない。

 

 

「そういう態度が腹立つんだよ!」

 

 

「腹立てばいい。俺はお前たちのことなんて眼中にない」

 

なぜなら、こいつらはこの世界の基準的に美人だからだ。美人は男に困っていないだろうしな。そんな奴らから金を巻き上げられるはずもない。

 

商売にならない人間と仲良くなっても意味がない。

 

 

「男の癖に!」

 

 

「よく私たちの美貌を見て、そんなことが言えるわね」

 

 

「言える。俺はお前たちに興味はないんでな。だから、お前たちも俺に関わろうとするな」

 

こっちも変に騒ぎを起こして、悪評が付くのだけは勘弁したい。そっちが関わろうとしなければこっちも関わろうとしない。

 

 

 

 

これ以上、ここで時間を潰すのはさすがに無駄だ。何より今までのやり取りで周りの注目を多少なり集めてしまっている。

 

ここに長い間いるのはもっと変な噂を広げられる危険もあるからな。

 

 

 

 

 

 

後ろから何か声を聞こえてきた気はしたものの、面倒なので振り返ることもしなかった。お互いのためにも関わらない方がいいというのが分からないのか。俺は別にあいつらの男を取ろうとしているわけでもないんだからさ。

 

 

 

その後、張り紙を張った掲示板にきた。剥がされたりしているわけでもないし、落書きがしているわけでもないことに安堵する。

 

 

「だけど、さすがにお客がマナだけというわけにはいかない」

 

やはり前に考えた通り、値段の引き下げを一旦行うことにするか。

新規が入りやすい金額にすることで、新規層を取り込み、最終的にはマナと同じ位の金額を支払ってもらう方法。

 

 

翌々考えればこの世界でマナは特出な人間のはずだ。容姿がある程度の基準になるような世界で差別を受けたりするのは当たり前。そうであればこの世界でブス扱いを受けている人間は金銭に余裕がない可能性の方が高い。

 

 

そうなるとやはり金銭を安くする方向で行こう。

 

 

 

 

そうと決まれば、この張り紙を剥がして新しいものに張り替えないと。張り紙を剥がそうと手を掛けたところで後ろから「あ…」という声が聞こえた。

 

 

 

振り返るとそこには…ケモ耳を携えた中学生ぐらいの子が立っていた。

 

 

そこで俺は思い出した。

 

 

 

「この世界って異世界か」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。