⦅未完⦆【祝・可愛い賞】ゴミ山の上の極彩&三島由紀夫とコンソメ味の恋をしたら、世界が404エラーになった件 作:夏目陽光
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「……くっ、この忌々しい『ポテトチップスの結界』、物理的な強度設定を間違えているのではないか? 我輩の細い指先を、これほどまでに弄ぶとは……ッ!」
三本の金色の尻尾が、我輩の意思に反して焦れったそうに私の太ももを撫で、しなやかな曲線を描いて絡みついてくる。ようやく袋が弾けたかと思うと、数枚のチップスがデスクに無惨に散らばった。
「いいかい、君。我輩が今から掲示板に刻み込むのは『整理整頓』なんだ。……もっとも、キーボードの隙間に破片を供物として捧げるのは、我輩の予定には含まれていなかったけれど」
我輩は、細く白い指先にこびりついた粉末と塩分を見つめた。それを慈しむように、ゆっくりと唇を割り、口に含む。熱を含んだ舌先で、指の節を這うようになぞり、粘りつく脂を丁寧に、そして深く絡めとっていく。
ちゅぱり、と湿った音が静かな部屋に響き、官能的な吐息が紫の瞳を潤ませる。その指先を濡らしたまま、我輩はキーボードを叩き始めた。
画面には、宇宙の深淵に潜む「這い寄る混沌」がいかに現代社会を侵食しているかという、恐るべき真実が綴られていく。
「人類は、自由意志でリーダーを選んでいると信じている。滑稽だろう? 実際には、魂を啜るタイミングを窺う異星の主たちが、前菜の盛り付けを変えているに過ぎないのに。……ああ、ちょっと待ってくれ。ここで通信が途切れるのは宇宙の干渉か?」
「……いや、違うな。単にこのアパートのプロバイダが、我輩の魔力に耐えきれず根を上げただけか。回線業者め、這い寄る混沌よりも呪わしいよ……」
ようやく投稿ボタンを押し、真理という名の毒をデジタルな海へ放流する。どこかの誰かが、賞味期限の切れた牛乳を飲んだ時のような絶望に襲われるのを想像しながら、先ほど舐めとった指の湿り気を唇に残し、二枚重ねのチップスを噛み砕く。格別の味だ。
「ああ、忌々しくも美しい。我輩という『個』も、いつかは闇に呑み込まれ、溶かされる。だがその前に、世界というスープに不純物を垂らしてやるのさ。……きゃっ!? ちょっと、尻尾! 変なところに潜り込まないでくれ、くすぐったい……!」
三本の尻尾が、まるで意思を持つ同居人のように、我輩の太ももの付け根に執拗に絡みついてくる。金色の毛並みの柔らかさと、宇宙の冷徹な真理、そして指先に残るコンソメ味の微かな熱。その境界線が、蕩けるように曖昧になっていく。
「ふふ、宇宙の深淵を覗く者が、これほどまでに矮小な『熱』に絆されるとは、我輩も焼きが回ったものだね。……実は、さっきからこの部屋の隅にある古びた電気ストーブを、どうしても消すことができないでいるのだよ」
「論理的に考えれば、宇宙の真理に触れる者が電気代を食うだけの安っぽい熱に執着するなど滑稽の極みだ。だが、あの橙色の光が、この冷えた肌をどうしようもなく甘やかす。滅びゆく世界のために警鐘を鳴らす我輩が、今、たった数千円の電気代とこの暖かさを天秤にかけて負けている。この『矛盾』こそ、最高に愛おしい不条理だと思わないかい?」
我輩は、潤んだ瞳でデスクの端を這い、ようやく見つけた獲物を手に取る。
「さて、次の投稿だ。次は『なぜ、特定の信号機だけが異常に長く赤のままなのか』について。……おっと、その前にウェットティッシュはどこだったかな。このままではキーボードが、我輩の愛液とコンソメの脂でベタついてしまう。これも、宇宙的な不条理のひとつだと思わないかい?」
実験作 追加
「くっ、物理強度の設定ミスではないかッ!」
金色の尻尾を焦れったそうに揺らし、袋を弾けさせる。
指の粉を、熱い舌でなぞる。節を這うように、脂を深く絡めとる。ちゅぱり、と湿った音が響き、瞳が潤んだ。
そのままキーボードを叩き、宇宙の真理を投稿する。
「回線が我輩の魔力に負けただけか。この矛盾こそ愛おしい不条理だ」
尻尾が太ももに潜り込み、コンソメの熱に蕩けそうになる。
我輩は、潤んだ瞳でウェットティッシュを探す。
「キーボードが我輩の愛液とコンソメでベタついてしまう。……これもまた、宇宙的な不条理だ」