この小説はピクシブにも投稿をしています。
今回からエースキラーの一人称を「おれ」に変更いたしました。
「淡色系とかいいんじゃないでしょうか?」
「ベースはイエローの秋かもだけど、ジャンルはストリートとかが似合うよね」
「うーーーーーーーーん……。じゃあ、これにしようかな……」
以前約束していた服選びにおれとバッキーとクロコで来ていた。
ファッションも選べないおれのために、二人がオススメを考えながら選択肢をしぼり、おれが最後に決めていく。
二人の助力も確かだが、その上で決定ができる今の自分に、成長を感じていた。
「悩みに悩み抜いたし、こんなところでいいかな……」
いくつかのコーデを決めてついにお会計というところで、ポロっとバッキーが口にした
「エスちゃんお金持ちなんだねっ?」
という言葉にハッとして、財布の中身と値札を確認。全くお金が足りなかった。
全身のコーデにいくらかかるかが分からない、初歩的なミス……。
ここからさらにしぼるのは無理として、二人にしぼってもらうことにした……。
「そこで待っててくださいねぇ」
二人に感謝しながら窓を眺めていると、なんと怪獣娘のモデルの広告があった。
名前はキングジョー、他にもローランとあった。
GIRLSが主導しているようだが、正直、怪獣娘と結びつかない。
そういう怪獣達なのだろうか? 単なる趣味だろうか? いずれにしても……
「やりたいことがあって羨ましいな。GIRLSはそういうのを探すんだろうか」
どうやら聞こえていたらしくこちらへ向かってくるが、その顔は笑顔ではなかった。
「確かにあそこは怪獣娘として、社会の生き方を探すところらしいよ。
でも、救助と指導する側の立場になれば、やらなくちゃいけないことも沢山出てくるんだって」
「怪獣娘として覚醒した方は、みんな最初はソウルライザーを持っていません。
ユーニさんのような不安定な方ばかりだそうですし、エスさん、貴方のように暴走して発見されることもあるとのことなんです」
組織に参加した時の義務、それは当然あるものだがユーニの件が珍しくないのであれば、その道は気楽なものではないのだろう。
「そういえば、スフィンクスがおれ達に本気で戦うなって言う理由、分かる?」
スフィンクスはおれ達に気楽でない道を歩んでほしくないらしい。
しかしその理由はあまり語りたくないようだった。
「超獣は怪獣より強いから、その分危ないからでしょ?」
「実際本気で戦うなんて今まで無かったんですよ。だからあまり気にしてなくて」
二人はあまり重く考えていないようだった。
「それに、相手は怪獣娘だけじゃないらしいよ?
シャドウ? っていうなんかおっかないのがいるらしくて……」
「怪獣よりも怖いのって、いるのかな?」
「怪獣娘よりはいるんじゃないんでしょうかねぇ」
「まぁスフィンクスってああ見えて
話を切り上げレジへ向かおうとしたところ、何やら外が騒がしい。
──窓から外を覗くと巨大な腕の怪獣娘が横切った。
「GIRLSのレッドキングだ」
バッキーはおれに下がるように手招いた。
「暴走した怪獣娘だってよ」
「あーやだやだ」
逃げて来たらしい人の会話を聞き、バッキーを無視してレッドキングを追いかけようとしたが、今度はクロコに手を掴まれた。
「エスさん、あたし達は表向きには一般人です。
今回は大丈夫なようですが、もし一大事となれば、
自分を落ち着かせ、今度こそ二人が選んでくれたコーデをレジへ持って行く。
「あっ、今更変えるとか言わないよね?」
「えっ? ……ちょっと悩んできた」
* * *
スカルゴモラの居場所はすぐに特定できた。
住民が避難している、おそらくスカルゴモラが暴走したのだろう。すぐにでも押さえなければならない。
この騒ぎに気がついたのかメカゴモラとも途中で合流し、向かおうとしたところ……なんと到着する前に騒ぎが収まっていた。
「う、うぅ……」
スカルゴモラは何者かに襲われたのか、ボロボロの姿で大人しくなっていた。
「どういうことだ、これは……?」
「レッド!」
現場に駆けつけてくれたのは同じGIRLSのメンバー、ゴモラとベムスターだった。
「レッド! シャドウは!?」
「シャドウ!? オレはそれらしき奴なんて見なかったぞ?」
シャドウ、人類の敵。もしスカルゴモラを襲ったのがそれなら、事は更に重大なことになる。
「ゴモラちゃんがシャドウがいるって言うから急いで来たんです」
「とりあえず、こいつはオレの教え子だ。暴走していたところを捕まえに来たらこうなってた。」
──スカルゴモラがシャドウに襲われたという可能性は有り得なかった。
シャドウは平和を脅かすことを目的としているかのように振る舞う。
つまりスカルゴモラを襲うだけでは済まないからだ。
もし相打ちをした、または──それこそ有り得ないが──第三者がまとめて倒したとなれば、それでもシャドウがいた痕跡が少なすぎる。
「ゴモラはシャドウが周りにいないか調査、ベムスターは避難した人から事情聴取。
オレは……こいつらを保護してやらないといけない」
スカルゴモラを抱えてすすり泣くメカゴモラを立たせ、GIRLS本部へ帰ることにした。
* * *
スカルゴモラをGIRLSの医務室に運び、様子を見てもらっている間にレッドキングは別室でメカゴモラと二人きりになった。
「そんなに泣くな、大丈夫だって言われただろ?」
「グスッ……はい」
暴走を止めるためとはいえやり過ぎに見えたそれでも、スカルゴモラは大丈夫とのこと。
レッドキングは何だか自分のことのように誇らしくなった。
「だが、お前に聞いておかなくちゃいけないことがある。妹と、そんなに仲が悪いのか?」
黙り込んでしまうメカゴモラに「無理はしなくていい」と落ち着かせながら、それでも見つめて促した。
「……私は常にメイの前に行こうと努力してきました。全部やれたと思ってます。
メイが怪獣娘だって知った時は本当にショックで、それができなくなるってことだから。
だから自分も怪獣娘だったのが本当に嬉しかったんです。でもメイは、それも嫌だったんですね……」
理由を聞く前に、一つ忠告しておかなければならないことがあった。
「怪獣と一括りに言っても色々ある。
同じゴモラでも、メカゴモラとスカルゴモラでは人間の時では考えられない程の差がどこかにある。
お前のやっていることは、これから想像もつかないほど厳しくなるんだ」
「それでも私は妹の前をいきます……! 私は親でも、友達でもない。姉なんです……!」
「姉に、一体何があるんだよ……」
「やらなくていいんだよそんなこと!」
会話を遮ったのはスカルゴモラだった。見るからにまだ大丈夫ではない。
「姉ちゃん……いやメカゴモラ! これからは姉妹じゃなくて、メカゴモラとスカルゴモラだ!
絶対に……絶対にあんた……から、抜け……出……」
言い切る前に倒れてしまうスカルゴモラを、レッドキングよりも先に抱えたのはやはりメカゴモラだった。
「お前ら、これから本気で行くぞ」
ただ事でない姉妹を見て、レッドキングは一人の人間として、本気で立ち向かわなければならないと覚悟を決めた。
* * *
──ゴモラとベムスターの調査の結果だったが、シャドウは見つからず、スカルゴモラは赤い怪獣娘にやられたということだけが判明した。
「うーーーーん……」
超獣娘の件に加え、本来頼んでいたはずのスカルゴモラの件もただ事ではない雰囲気になり、ピグモンの心配は限界を迎えようとしている。
「本来レッドたんに任せてたことだし、ピグモンちゃんがそんなに関わることでもないんじゃない?」
「もし助けが必要なら、私とゴモラちゃんがやりますから……ね?」
ベムスターの言葉にゴモラもうんうんと頷いた。
それでも心配になってしまうのが自分の性、しかし頼れる仲間がいることに感謝し次の指示を出そうとしたところに、GIRLS宛てで知らないところからの連絡が入った。
部屋のモニターに映ったのは、真っ赤な姿にビビットなサングラスを額にかけた怪獣娘。
「お初にお目にかかりますピグモンさん。シャドウジェネラルの件、見事でした」
「どなたでしょうか?」
「私はGIRLS調査部所属のヒッポリト星人。貴方の協力を依頼されご挨拶にと」
「ありがとうございます。しかし、どなたからですか?」
「調査部代表のゼットン星人氏から」
人間と怪獣娘を結ぶGIRLSには、各部ごとに人間と怪獣娘それぞれのトップとして、部長ともう一人
「……協力はありがたいですが、私には」
と言うところでヒッポリト星人は遮り話を始めてしまった。
「以前発見された暴走した謎の怪獣娘、いわゆる超獣娘のバキシムが匿った子ですね。
貴方達が保護したユニバーラゲスから話は聞いていると思いますが、名前はエースキラー。
名前や姿からして、やはりヤプールの超獣に似たものが多く、その派生した存在であるのは間違いないでしょう。
そのため非常に危険な超獣である可能性が高く…」
「いいえ、ユニバーラゲス本人からそんな超獣娘ではないと聞きました」
「……しかし先ほどのスカルゴモラの暴走の件。あそこで戦っていたのはエースキラーだったようですよ。
住民の証言からするとね」
赤い怪獣娘、確かにエースキラーは該当する。
「私が疑いにかけられないよう、今私のソウルライド履歴を送りました」
部屋の機器にヒッポリト星人の変身履歴とその位置情報が表示された。
スカルゴモラが暴走していた時に変身していたようだが、この位置では取り押さえに行くのは無理だろう。
「ずいぶんと用意がいいじゃん」
皮肉が混じっているような態度でゴモラが釘を差す。
「調査部というのはそういうものです」
「えっじゃあヒッポリトもグッズ目当てに万全の用意ができるタイプ?」
「最後に手に入れられればいいんですよ、そういうのは」
「……話が逸れましたが、そこまでは調査が行き届いています。どうです? 私と協力関係を結びませんか?」
ピグモンは少し考えたが、それでも首を横に振った。
「今回は信頼関係を築くためのご連絡だったとは思いますが、もう少しお時間をいただけないでしょうか。
調査そのものは止めませんので」
誰にでも優しくしてきたピグモンは、単なるお人好しではない。
その経験で培われた独特の勘が、保留と答えたのだ。
──そう返されたヒッポリト星人は、鼻で笑った。
「ではまた何か分かり次第ご連絡に上がります。……いや、言い忘れていたことが一つありました」
ヒッポリト星人は、ベムスターをチラリとだけ見て
「GIRLS内のスパイ、本当にいますよ」
ベムスターの顔に冷や汗がタラリと滴る。
「すみません、こちらからも一つ。
スカルゴモラが暴走した時、シャドウの反応を察知した子がいます。何か知りませんか?」
「……いいえ、何も」
通信が終わったことを確認し、ピグモンは振り返りゴモラに微笑んだ。
「やっぱり保留ですね。ゴモたんの勘を私は信じますよ」
その言葉に感涙したゴモラはピグモンに感謝のハグで応え、この場は収まった。
「いやーしかしユーモアがもう一声って感じの怪獣娘だったな〜」
「私はちょっと、怖かったな」
本部内の廊下を歩きながら、ベムスターはヒッポリト星人からの目線を思い出していた。
あれは偶然ではない、自分のことがバレ始めている……。
「まぁでも? もしあいつが悪いやつでも、このゴモたんが守ったげるからね!」
「ありがとう……その……」
ゴモラは本当にいい子だった。何も表に出せない自分に、唯一心を開いてくれる存在。
「スパイが見つかったら、どうする?」
「そんなやつだって! この尻尾でやっちゃったるわいっ!」
「……そう」
続く
この話の執筆後に補足が必要になったため、活動報告を投稿いたしました。
今後の展開のためにも、目を通していただけると幸いです。