超獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜   作:虎々々

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原作である怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜の視聴を前提とした上で筆者オリジナルの設定があります。
この小説はピクシブにも投稿をしています。


超獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜第4-1話

「調査に使ったシャドウについて?」

ゼットン星人はヒッポリト星人本人に、一応の調査を行う。

「シャドウジェネラルがあくまでビーストから成長したものと突き止めたのは、実際にビーストを捕獲したからと言ったわね」

「はい、その証拠の写真も提出したはずです」

「そのビーストはどうしたのですか?」

この問いにヒッポリトはため息をついて答えた。

「当然処分いたしました。もっとも、跡形もなく消えるのでその証拠は提出できませんが」

 

「シャドウジェネラルが再び現れたとのことよ」

ヒッポリトは驚きながらも、あくまで冷静に

「一大事ですが、ここから援護に向かっても遅いでしょう。現地の怪獣娘に頑張ってもらうしかありません」

「何も知らないのね?」

「ジェネラルさえも元を辿れば雑魚、どこから生まれてもおかしくないと報告したはずです」

 

こう返されてはもう打つ手がない。

「そう。ところで貴方、今何をしているの?」

「ランダムグッズの中身当てです。人間では無理なことも、怪獣娘なら可能なこともありますよ」

 

* * *

 

 スケールの差は絶望的だった。

シャドウに片手で握り潰されないように必死に動き続ける中、シャドウは建物を崩壊させ下敷きにすればいい。

シャドウの周りの家々はすでに粉々になっていた。

──レッドキングとゴモラは今まで読んできた怪獣図鑑の写真を思い出す。

怪獣と共に写る、写そうと思わなければ消えてしまいそうな防衛隊員、それが自分達なのかと。

 

「メイ!」

正気を取り戻したメカゴモラは、妹に心配の声をかけながら、憎き事態の根源を睨む。

妹から出てきたそれは、認めたくないがスカルゴモラと似ていながら、その端々から邪悪な形を覗かせている。

何かが妹の力を取り込んだ、というのが率直な感想だった。

「今助ける!」

 

 シャドウの足元で気を失っているスカルゴモラを助けるため、メカゴモラは一直線で駆け寄る。

それを止めようとシャドウが右腕を振るうも「させるか!」とレッドキングとゴモラが二人がかりでなんとか抑え込んだ!

「まだヒダリウデがあるぞ!」

レッドキングとゴモラは間に合わない、メカゴモラ一人では防げるわけがない、絶体絶命の時。

ベムスターは、何もできないでいる……。

 

「やあっ!」

「とうっ!」

上空から二つの影がシャドウの左腕に襲いかかり、地面へ思い切り叩きつけた!

「受け取りますアギさん!」

影の正体はアギラとミクラスであり、反動で吹き飛んだアギラをウインダムがキャッチする作戦だ。

「助かったぞお前ら!」

レッドキングのその声から、とにかく大丈夫なことを察したメカゴモラは今度こそ妹の元へ辿り着けた。

「もう、もう大丈夫だから……ッ!?」

 

ドドオォーー……ン

 

──シャドウが、その場で座り込んだ。

ゴモラ姉妹はシャドウの臀部の下敷きだった。

 

 

 笑い声が響き渡る中、両腕にいた怪獣娘達が今度は顎に一斉に突進する。

シャドウが思わず倒れた下に姉妹はいたが、もう自分では逃げられそうもない。

「ベムスターさん、一緒に来てください!」

アギラに腕を掴まれハッとするベムスターに、ウインダムが心配そうに声をかける。

「難しそうなら、私と一緒に後ろから援護を」

その言葉に、彼女がいつも炊くキフィの匂いを思い出す……。

 

「自らの力を使ってはいけません。自分ではなく大切な者のためにです。

わたくし達は、本来ここにいてはいけない者達なのですから」

──情けないと自分でも思った。この期に及んで、動けない自分を。

「ベムスターさん!」

再度自分の名前を呼ぶアギラの瞳を見た時、それは、今まで見たことのないような光が差し込んだようだった。

「ミクちゃん達は手一杯だから、ボク達があの二人を助けなきゃ!」

 

──以前聞いたゴモラの話だった。

「アギちゃんってのはね〜いっつも寝ぼけ眼で」

大人しいのだろう、少しは仲良くなれるかもしれないと思った。

「美味しいもの口に寄せると勝手に食べちゃうような子で」

そういうところも似ている、親近感が湧いた。

「ちょっかい出すと面白いこといっぱいやってくれるんだ〜」

ゴモラちゃんの求めているのがそういうものなら、自分もそうなれたらと考える。

(なれない……!)

 

 寝ぼけ眼と聞いたアギラの目はとても据わっている。ただし、完璧ではなかった。

その奥に恐怖の色が見える。その上で、それを振り払う強さが広がっているのだ!

(ゴモラちゃんが言っていた子はこんなに立派な子だった。私はこんなになれる気がしない……)

しかし、それでも、今のままでいいとは全く思えなかった。

教えと心、両方のためにできること。今やれる最善の手……。

「わ……ま、待って……!」

「ベムスターさん? ……っわわ!?」

 

 ベムスターはなんとアギラを小脇に抱え、ウインダムの方へ振り返る。

「あの姉妹を助けます……。援護を、お願いします」

「あっ、はっはい!」

その返事を聞くとベムスターは姉妹の元へ飛ぶように翔けて行った。

 

()()()

 

──翔けるベムスターを見た全員が思う。

シャドウもそれに反応し、足で払って吹き飛ばそうとするが、それよりも早く上へ上へ飛んだ。

「アギラちゃん、頼んだよ」

その言葉にアギラが返事をする前に、ベムスターはシャドウの足元、姉妹の方へ思いっきりアギラを投げ飛ばした!

「えっえっうわああああああああっああっ!」

なんとか姉妹を潰さぬ所へ落ちたアギラは、とにかく素早く二人を抱えてウインダムの方へ走っていった。

 

「させるかよ!」

「ウインダムから見て左!」

アギラを両足で挟み潰してしまおうとするシャドウに、ベムスターとウインダムが片方ずつ光線で怯ませて阻止した。

「キサマらあああああああああああああ!!」

顔へ攻撃を続けていたミクラス達を無理矢理引き剥がし、アギラへ向けて光線を放つが

「やらせない!」

素早くアギラの元へ降りたベムスターは、なんとアギラの盾となった!

 

「あれが……ベムスター!」

ベムスターはなんと光線を腹で受け止めるばかりか、それを吸収し続けている!

「ベムあんなに強かったんだ」

「うっ……くくぅっ……! アギラちゃん!」

その声と目から察したアギラは、再びウインダムの元へ走る。

「このヤロウ!!」

攻撃を辞めたシャドウはアギラの方を注視するが、よく見ると姉妹を抱えていない。

「かかった!」

アギラは姉妹をそこに置き囮となり、攻撃が止んだ隙にベムスターが二人を抱えて逃げたのだった!

 

「……ッ!」

完璧だ、何も悪いことは起こっていない。私は必要なことを全てクリアした。

──勝った!

ベムスターがそう思うより早く、全ての羽が逆立ち咄嗟に抱えた二人を庇った。

「それでニげたつもりかァ!」

シャドウはベムスター目掛け先が見えない程長い尾を叩きつけた!

ベムスターが素早くとも、この長さから逃げられるのは時間がかかる。

一瞬の油断が、ベムスターから避けるという選択肢を奪ってしまったのだ。

「きゃあああああああああ!!」

 

「ベム!」

叩きつけられたベムスターは、逃げていた方向とは逆へ吹き飛ばされ、そのまま見えなくなった。

シャドウもそれを見て目くじらを立てていた。

逃さないつもりが、思い切り飛ばしすぎたのだ。怒りに任せて。

──怒っていた。感情もなく破壊だけを行うはずのものが。

「おマエら、カクゴはできいるんだろうな…!?」

その威圧にそこにいた全員が気圧されるが、レッドキングが

「お前ら……! 覚悟を決めろ!」

と言うとミクラスはすかさず構えを取る。

ウインダムもアギラに促され、立ち上がった。

ゴモラだけは、まだ心配が抜けていなかったようだった……。

 

* * *

 

「エスちゃん天才!?」

ファミレスにバッキーの声が響く。

今日は怪獣娘がGIRLSから教わる内容を、スフィンクスが独自にまとめたもので勉強していた。

テストの内容は良く、GIRLSの一員になれるくらいだ。

「いやぁ……。教わった内容を教わった通りにやって、その通りの結果が出ただけだよ」

「それで十分なんだって〜」

言われて嬉しいし恥ずかしいのだが、何故か出てきた言葉はこの通りだった。

「本当の天才っていうのは、何かを生み出せる人のことだよ。おれには無理」

「そんなに卑下しなくてもいいんですよ」

クロコはおれを慰め、バッキーは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。

 

ゴゴゴゴゴ……

 

小さい地震かと思い身構えたが、外の様子は揺れに合わない騒ぎ様だった。

「GIRLSより避難指示が発表されました。指示に従い避難を開始してください」

スマホから音声が流れる。どうやら訓練ではなさそうだ。

「二人とも、急いで避難しよっ」

バッキーに言われるまま勉強道具を片付け、外に出たところ……。

「何……あの大きいの」

黒く、禍々しく、巨大な人のようなものが多くで暴れている。

「シャドウだ……」

 

 以前少しだけ耳にした存在、自分が想像しているよりずっと身の毛がよだつものだ。

「あたし達も初めて見ました。あんなに大きいだなんて」

「あれ、何か戦ってない? 怪獣娘だ」

確かに不可解な動きだったが、バッキーは目がいいらしくそこまで見えたようだ。

それを知って、何かを思うよりも前に足がシャドウの方へ向かった。

向かったが、また咄嗟にクロコに引き留められてしまった。

「エスさん、避難しないとなんですよ!」

「あんな怖いところに行ったら、今度はスフィンクスの言っている……」

 

──言葉が耳から入っても、頭に響いてくれない。

「あの様子、間違いなくGIRLSは苦戦してる。行かなくちゃ」

クロコの手を振り払い、思いのままに走る。

「エスちゃん! 待って!」

 

──その声でようやく頭の中がハッキリした。

そうだ、あんなところへ行けば、スフィンクスの言っていたことが起こる。

間違いなく危ない。超獣娘でも、激しい戦いになる。

何が起こるか分からないが、とにかくダメだと。

超獣娘の本気を出してはいけないと。

……戻らないと。でも、足が止まってくれない!

とにかく助けなきゃと、心が叫び続けている!

誰か、おれを止めてくれ!!

 

「ソウルライド!」

 

続く

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