遊戯王ARC-V DIMENSIONAL WARS   作:白銀蟷螂

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スタンダード次元 其の参

 海馬コーポレーション本社にて侵入者を告げる警報が鳴り響く。

 その原因はオレンジ色のウェーブがかかった髪の青年、デニス・マックフィールド。

 LDSブロードウェイ校の留学生としてスタンダード次元に身を置いているアカデミアのスパイだ。

 

 デニスの目的は海馬コーポレーション本社に幽閉されている紫雲院素良を奪還すること。

 そのために数多の監視カメラを掻い潜りながら社内深部まで入り込んだが、流石に全ての監視システムから逃れることはできなかった。

 

 元より内部の協力者もなしに敵の本拠地に乗り込んで捕虜を逃がすというのは相当に無茶な任務である。

 通常であれば囚われた捕虜など切り捨てるのが常識。

 だが紫雲院素良は万丈目準と早乙女レイと並ぶエリートであり、同時侵攻の際には必要な戦力になるとアカデミア本部は判断。

 スタンダード次元潜入中のデニスに白羽の矢が立った。

 

「やれやれ、ここからは時間との勝負みたいだね」

 

 監視カメラを無視してデニスは駆け出す。

 こうなった以上、一刻も早く紫雲院素良を救出して海馬コーポレーション本社から脱出するしかない。

 

 廊下の突き当りを右に曲がったところで、突如として木刀を持ったスーツ姿の角刈り中年男性が現れた。

 海馬コーポレーション幹部BIG5の一人、工場の鬼軍曹と呼ばれる男、BIG4大田宗一郎。

 手に持った木刀を振り上げた大田はそれを容赦なく侵入者の頭蓋に振り下ろす。

 

 脳天をカチ割るべく迫りくる木刀をデニスはバックステップで回避。

 左側のルートに進路を変更して全速力で疾走した。

 そのまま直進していると正面の暗がりから緑色のスーツ姿の口髭を生やした中年男性が現れる。

 

「おやおや、どこに行こうというのですか」

 

 同じくBIG5の一人であり海馬コーポレーション人事担当、BIG2大瀧修三だ。

 大田宗一郎と比較すると愚鈍そうな見た目をしているため、そのまま横を通り抜けられるとデニスは判断。

 だが距離が近くなると大瀧修三の足元に複数の生き物がいることに気づく。

 

「っ……!」

 

 突如としてデニスの右足に激痛が走った。

 そこで目に入ったのは白と黒の鳥獣ペンギン。

 翼を持たない地を這う鳥と侮ることなかれ。

 鳥類の特徴である鋭い嘴でデニスの足の肉を抉り取ったのだ。

 

「さぁペンギンちゃんたち、やりなさい」

 

 大瀧修三の指示を受けてペンギン軍団がデニスに突貫。

 先頭の一羽が狙うは目玉。

 その鋭い嘴でデニスの右目を抉り取るべく飛び掛かる。

 鳥獣の一撃をデニスは身を屈めることで回避。

 纏わりつくペンギンたちに身体を啄まれながらも何とか大瀧修三の脇を通り抜けた。

 

「おっと、逃げられるとは思わないことだ」

 

 しかし間を置かず新たなBIG5が立ち塞がる。

 逆立った髪型に髭面の容姿の中年男性、大門小五郎。

 BIG5の取りまとめ役だ。

 

「時計型麻酔銃。海馬コーポレーションが開発した兵器の威力を思い知れ」

 

 大門小五郎が身に着けていた腕時計から麻酔針を射出した。

 命中すれば熊をも昏倒させる一撃をデニスは転がりながら回避。

 脇の通路に進路を変更して走り続ける。

 

 その先にいたのは白銀色のコートを着た茶色の髪の男性。

 

「っ! 海馬瀬人」

 

 眼前で仁王立ちしているこの男こそ海馬コーポレーション社長、海馬瀬人。

 スタンダード次元でも最強格の一人と言われているデュエリストだ。

 次の瞬間、海馬瀬人の背後のシャッターが封鎖される。

 誘い込まれたのだとデニスは理解した。

 

「段取り通りだな」

「追い詰めたようですね」

「アカデミアと言えど我々BIG5の連携の前では無力だ」

 

 追いついてきたBIG5の三名がデュエルディスクを起動する。

 

「ふぅん、余計な手出しは不要だ」

 

 だがあろうことか海馬瀬人はBIG5の助力を拒絶。

 

「デュエルは一対一でするもの。奴の相手は俺一人で十分」

 

 海馬瀬人の宣言を聞いてデニスは笑顔になった。

 

「流石は海馬コーポレーションの社長、中々に太っ腹じゃないか」

 

 この状況で数的有利を生かした集団戦術を使わない理由はない。

 仮に一対一でデュエルするとしても先に部下にデュエルさせて情報を引き出すのがデュエル戦争の基本。

 結局のところ海馬瀬人はお遊びのデュエルしか経験のないスタンダード次元のデュエリストでしかなかったということ。

 

 これで生還の可能性が見えてくる。

 海馬瀬人をカード化することができれば、それと引き換えに紫雲院素良の開放と自身の身の安全を要求できるはずだ。

 とはいえ海馬瀬人が劣勢になれば指示を無視してBIG5たちが乱入してくる可能性もある。

 故にこのデュエルは速攻で片を付ける必要があった。

 

 両者のデュエルディスクが展開され、カードプレートがソリッドビジョンによって生成される。

 

 

 DENIS /  LP4000

 

     VS

 

 KAIBA /  LP4000

 

 

「「決闘!!」」

 

 先攻をとったのはデニスだった。

 

「僕のターン。《古代の機械猟犬》を召喚」

 

 《古代の機械猟犬》

 効果モンスター

 星3/地属性/機械族/攻1000/守1000

 (1):このカードが召喚した場合に発動する。

 相手に600ダメージを与える。

 (2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 (3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

 自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材とし、「アンティーク・ギア」融合モンスター1体を融合召喚する。

 

「このカードが召喚に成功した時、相手に600ポイントのダメージを与える」

 

 KAIBA LP3400

 

「更に《古代の機械猟犬》の効果発動。手札、フィールドのモンスターを融合素材としアンティーク・ギアモンスター1体を融合召喚する。場の《古代の機械猟犬》と手札の《古代の機械猟犬》を融合。融合召喚!《古代の機械魔神》!」

 

 《古代の機械魔神》

 融合・効果モンスター

 星8/地属性/機械族/攻1000/守1800

 「アンティーク・ギア」モンスター×2

 このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):フィールドのこのカードは他のカードの効果を受けない。

 (2):自分メインフェイズに発動できる。

 相手に1000ダメージを与える。

 (3):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。

 デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「《古代の機械魔神》の効果で1000ポイントダメージを与える」

 

 KAIBA LP2400

 

「僕はこれでターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー! 俺はこのドラゴンの魂によって新たなしもべを導く! 現れろ! 青眼の亜白龍!!」

 

 《青眼の亜白龍》

 特殊召喚・効果モンスター

 星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

 このカードは通常召喚できない。

 手札の「青眼の白龍」1体を相手に見せた場合に特殊召喚できる。

 この方法による「青眼の亜白龍」の特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

 (1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「青眼の白龍」として扱う。

 (2):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる

 (この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない)。

 そのモンスターを破壊する。

 

「バトル!《青眼の亜白龍》で《古代の機械魔神》を攻撃! 滅びのバーンストリーム!!」

「《古代の機械魔神》の効果発動。戦闘で破壊された時、アンティーク・ギア一体を特殊召喚する。僕は《古代の機械飛竜》を特殊召喚」

 

 《古代の機械飛竜》

 効果モンスター

 星4/地属性/機械族/攻1700/守1200

 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「古代の機械飛竜」以外の「アンティーク・ギア」カード1枚を手札に加える。

 この効果の発動後、ターン終了時まで自分はカードをセットできない。

 (2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスターの効果を発動できない。

 

「《古代の機械飛竜》の効果により《古代の機械融合》を手札に加える」

「俺はカードを一枚セットしてターンエンド」

「僕のターン。魔法カード《古代の機械融合》を発動! 場の《古代の機械飛竜》と手札のアンティーク・ギアモンスター三体を融合!」

 

 《古代の機械融合》

 通常魔法

 (1):自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材とし、

 「アンティーク・ギア」融合モンスター1体を融合召喚する。

 自分フィールドの、「古代の機械巨人」または「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」を融合素材とする場合、自分のデッキのモンスターも融合素材とする事ができる。

 

「いにしえの魂受け継ぎし機械仕掛けの猟犬どもよ! その10の首混じり合わせ混沌にして絶大なる力とならん! 融合召喚! 現れろ! レベル10!《古代の機械混沌巨人》!!」

 

 《古代の機械混沌巨人》

 融合・効果モンスター

 星10/闇属性/機械族/攻4500/守3000

 「アンティーク・ギア」モンスター×4

 このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

 (1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けず、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。

 (2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃でき、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

「《古代の機械混沌巨人》で《青眼の亜白龍》を攻撃! クラッシュ・オブ・ダークネス!!」

 

 KAIBA LP900

 

「……ライフを残してしまったか。僕はカードを一枚セットしてターンエンド」

 

 デニスの顔が僅かに曇る。

 アカデミアの最強兵器《古代の機械混沌巨人》を出した以上、このままなら自分の勝利は確実。

 どのような伏せカードも《古代の機械混沌巨人》の前では無力だ。

 しかしこの場にいるのは海馬瀬人だけではない。

 

「劣勢だな。助力してやろうか、瀬人」

 

 そう提案したのはBIG5の取りまとめ役、大門小五郎。

 デニスは内心で舌を打つ。

 こうならないためには中途半端に追い詰めず一撃で勝負を決める必要があった。

 

「ほざけ、大門。貴様ごときの手助けなど俺には不要!」

 

 だがまたしても海馬瀬人は乱入を拒否。

 この期に及んでデュエル戦争の基本すら理解できていない様子にデニスは内心で失笑する。

 

「俺のターン! ドロー! 魔法カード《融合》を発動!」

 

 《融合》

 通常魔法

 (1):自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材とし、融合モンスター1体を融合召喚する。

 

「手札のブルーアイズ三体を融合! これぞ史上最強にして華麗なる究極モンスターの姿だ!《青眼の究極竜》!!」

 

 《青眼の究極竜》

 融合モンスター

 星12/光属性/ドラゴン族/攻4500/守3800

 「青眼の白龍」+「青眼の白龍」+「青眼の白龍」

 

「それが君の切り札か。まさかアカデミアの僕に融合で挑むとはね。見たところ攻撃力だけなら《古代の機械混沌巨人》と同じ。だが所詮は効果のない通常モンスター。僕たちアカデミアの最強兵器である《古代の機械混沌巨人》には遥かに劣る。トラップカード発動!《奈落の落とし穴》!」

 

 《奈落の落とし穴》

 通常罠

 (1):相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動できる。

 その攻撃力1500以上のモンスターを破壊し除外する。

 

「トラップ発動!《身代わりの闇》!」

 

 《身代わりの闇》

 通常罠

 (1):フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時に発動できる。

 その効果を無効にする。

 その後、デッキからレベル3以下の闇属性モンスター1体を墓地へ送る。

 

「《奈落の落とし穴》の効果を無効にし、デッキから《闇・道化師のサギー》を墓地に送る」

「……だけど《古代の機械混沌巨人》と《青眼の究極竜》の攻撃力は依然として同じ。相打ち狙いでもするかい」

 

 それはカードを兵器として扱うアカデミアのデュエル戦士としては当然の発想。

 

「ふぅん、貴様のモンスターと俺のブルーアイズを相殺するなどあり得ん」

「戦争のための道具であるカードに余計な思い入れを持つとはね。やはりスタンダードのデュエリストは僕たち融合次元、アカデミアのデュエル戦士には遠く及ばないようだ」

「これを見ても同じことが言えるか。魔法カード発動!《巨大化》!」

 

 《巨大化》

 装備魔法

 (1):自分のLPが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる。

 自分のLPが相手より多い場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の半分になる。

 

「な、何!?」

 

 《青眼の究極竜》

 融合モンスター

 星12/光属性/ドラゴン族/攻4500→9000/守3800

 

「いくぞ! 青眼の究極竜の攻撃! アルティメットバースト!!」

 

 リアルソリッドビジョンの衝撃によってデニスの身体が宙を舞いそのまま壁に叩きつけられた。

 

 DENIS LP0

 

「くっ、強制帰還装置は作動しないか」

「ふぅん。貴様に逃げ場はない」

「……保険はかけておくものだね」

 

 デニスの口元が僅かに吊り上がる。

 

「何?」

「そして僕は勇敢なるアカデミアのデュエル戦士。逃げも隠れもしないさ。アカデミアに栄光あれ!」

「貴様!」

 

 海馬瀬人が止めに入るよりも早くデニスはデュエルディスクを起動。

 カード化光線を自分に向けて照射した。

 アカデミアのスパイは崩れ去り、残ったのは一枚のカードのみ。

 

「詰めが甘いな、瀬人」

 

 背後から投げかけられた大門小五郎の言葉に海馬瀬人は歯噛みする。

 現在の状況全てが瀬人は気に入らなかった。

 デュエルを戦争の道具にする融合次元も、自らを躊躇なくカード化したデニス・マックフィールドも。

 BIG5も本来であれば瀬人が会社の実権を握った時点で閑職に追いやるつもりだった。

 

 だがデュエルで戦争をするアカデミアが現れたことで状況は変わった。

 スタンダード次元を守るためには戦争のプロフェッショナルであるBIG5を会社の重役として残すしかなくなった。

 会社自体も軍事産業からアミューズメント産業に方針転換をしたはずが、アミューズメント部門の中心であるデュエルモンスターズを戦争の道具として扱わざるを得なくなってしまった。

 人間をカード化するデュエルディスク工場の稼働など瀬人にとっては不本意極まりない。

 

 だが現実問題として融合次元という脅威が存在し、アカデミアが戦争を仕掛けてくるとなれば、綺麗ごとで次元を守ることはできなかった。

 

「そう言えばこの男、最後に気になることを言っていたな」

「ええ。保険がどうとか」

 

 大田と大瀧がそう指摘する。

 デニス・マックフィールドが自らをカード化する前に言った言葉。

 単なる負け惜しみともとれるが……。

 

「瀬人様! 大変です」

 

 慌てた様子で駆け付けてきたのはサングラスをかけた黒服の男、磯野。

 海馬コーポレーションの社員であり側近を務めている部下だ。

 

「紫雲院素良が脱走しましたっ!」

「何だと!」

 

 デニス・マックフィールドは紫雲院素良を軟禁していた部屋に近寄る機会はなかった。

 ならば他に協力者がいたということ。

 その正体はもう一人の部下である黒服、河豚田が捕縛して連れてきた人物だった。

 

「ヒーン、離せぇ! 俺はここに間違って迷い込んだんだぁ」

 

 おかっぱ頭の眼鏡をかけた少年、インセクター羽蛾。

 これこそがデニス・マックフィールドの保険。

 仮に自分が捕まっても使い捨ての売国奴であるインセクター羽蛾に紫雲院素良を解放させる。

 

「ギョェェェェ! デニスさんがカードに! こんなの人権侵害だピョー! 戦争反対! 融合次元の人たちを差別するな! スパイの人権を守れぇ!」

「ちっ、この男を軟禁しておけ」

 

 支離滅裂な言動を繰り返すインセクター羽蛾を部下に命じて別室に連れて行かせる。

 とはいえこれを尋問したところで有益な情報が得られるとは思えないが。

 

「瀬人、私は警告したはずだ。手段を択ばず紫雲院素良を拷問するべきだと」

 

 紫雲院素良から得られたアカデミアの情報はそう多くはない。

 相手が子供ということもあり、肉体に痛みを伴うような拷問は行わず尋問のみに留めたからだ。

 

 だが大門は瀬人の方針に異を唱えていた。

 年齢、性別など関係なくアカデミアのスパイである以上、もっと徹底的に痛めつけて情報を引き出すべきだと。

 危険薬物を混ぜたお菓子を与える、四肢が使い物にならなくなるまで暴行する、男児趣味の変態を集めて強姦させる。

 大門の出した案を瀬人は全て却下している。

 

「奴を廃人にするか、せめて四肢を潰しておけば自力で逃げられることはなかっただろう」

 

 結果論ではあるが大門の言っていることに理がないわけではない。

 手緩い尋問で済ませた結果、融合次元上位のデュエリストが解放されてしまった。

 

「情報を全て引き出した後なら、仮に死んだとしても大瀧のペンギンを使って鳥葬でもすればよかった」

「なっ! 私のペンギンちゃんで何てことを。そんなことせずとも今はカード化という便利な技術があるでしょう」

「それもそうか。海馬コーポレーションの兵器には劣るが融合次元の人間をカード化する技術は素晴らしい」

 

 大門と大瀧の会話は瀬人にとって不快でしかない。

 

「紫雲院素良が逃げたか。あの時、戦争でもう一度などありはしないとワシは言ったが、再び奴と相まみえる時が来るかもしれんな」

 

 一方で大田は紫雲院素良との再戦を予感していた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 時を同じくしてLDS が主催するデュエル大会、舞網チャンピオンシップが開催された。

 表向きはプロデュエリストを目指すためのデュエル大会であるが、裏の目的は次元戦争におけるLDS精鋭部隊『lance・difence・soldiers』、通称『ランサーズ』を結成すること。

 大会は無事に終了してデュエル戦士の選出もつつがなく行われた。

 

 レオ・コーポレーションの会議室にて、零児と会話しているのは、母でありLDSの理事長でもある女性、赤馬日美香。

 テーブルの上に並べられているのはランサーズのメンバーのリストだ。

 

 レオ・コーポレーション社長、赤馬零児。

 

 零児の弟、零羅。

 

 権現坂道場の跡取り、権現坂昇。

 

 舞網市の市会議員の息子、沢渡シンゴ。

 

 風魔一族の忍者、日影。

 

 日影の弟、月影。

 

 海野占い塾の塾生、方中ミエル。

 

 遊勝塾の塾生、柊柚子。

 

 英雄の息子、榊遊矢。

 

 以上、九名がランサーズの初期メンバーとなるデュエル戦士だった。

 

「それで零児さん。例の品は用意できているのかしら」

 

 日美香の言葉を受けて零児は部下の中島に指示を出し、海馬コーポレーションから届けられた物品を台車で持ってこさせる。

 それを見た赤馬日美香は満面の笑顔を浮かべた。

 

 台車の上に並べられていたのはランサーズ専用に特注された九台のデュエルディスク。

 それらには次元戦争での使用を想定した人間をカード化する機能が搭載されていた。

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