遊戯王ARC-V DIMENSIONAL WARS 作:白銀蟷螂
戦火に包まれたスタンダード次元において二名のデュエリストが対峙していた。
一人目は融合次元のデュエリスト。
仮面を付けたアカデミアの精鋭部隊オベリスク・フォース。
本来であれば三人一組の集団戦術を得意としているが一帯に空中散布されたIntrusion Disruption Chaff(乱入妨害チャフ)、通称IDCにより一対一または二対二のタッグデュエル以外はできない状況。
それ故に不本意ながらも単独対決を余儀なくされていた。
二人目はスタンダード次元のデュエリスト。
逆立った髪型に褐色肌の容姿をした髭面の中年男性、大門小五郎。
海馬コーポレーションの重役、BIG5の取り纏め役だ。
「卑怯な手段で我らの戦術を防いだところで崇高なるアカデミアのデュエル戦士に勝てると思っているのか? 低劣なスタンダードの身の程知らずめ! カード化してやる! さぁハンティングゲームの始まりだ!!」
「戦場において卑怯は誉め言葉も同然。アカデミアとはいえ所詮は子供だな。私が本当の戦争というものを教えてやろう」
両者のデュエルディスクが展開され、カードプレートがソリッドビジョンによって生成される。
OBELISK FORCE / LP4000
VS
DAIMON / LP4000
「「決闘!!」」
先攻をとったのはオベリスク・フォースだった。
「《古代の機械猟犬》を召喚」
《古代の機械猟犬》
効果モンスター
星3/地属性/機械族/攻1000/守1000
(1):このカードが召喚した場合に発動する。
相手に600ダメージを与える。
(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材とし、「アンティーク・ギア」融合モンスター1体を融合召喚する。
「このカードが召喚に成功した時、相手に600ポイントのダメージを与える」
DAIMON LP3400
「更に《古代の機械猟犬》の効果で融合召喚を行う。いにしえの魂受け継ぎし機械仕掛けの猟犬どもよ! その10の首混じり合わせ混沌にして絶大なる力とならん! 融合召喚! 現れろ! レベル10! この世の全てを形無き混沌に帰す 究極破壊神!《古代の機械混沌巨人》!!」
《古代の機械混沌巨人》
融合・効果モンスター
星10/闇属性/機械族/攻4500/守3000
「アンティーク・ギア」モンスター×4
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けず、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。
(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃でき、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
「カードを一枚セットしてターンエンド」
伏せたカードは《古代の機械蘇生》。
自分フィールド上にモンスターが存在しない時、墓地からアンティーク・ギアを特殊召喚できる永続罠。
高い攻守と魔法、罠耐性を併せ持つ《古代の機械混沌巨人》とそれが万が一破壊された場合でも蘇生により盤面を立て直す罠カードによる備え。
十八番の集団バーン戦術を封じられようと臨機応変に対応できるからこそオベリスク・フォースはアカデミアの精鋭部隊なのだ。
「私のターン、カードドロー。手札の《巨大戦艦ビッグ・コア》を公開することにより《巨大戦艦デリンジャー・コア》を特殊召喚!」
《巨大戦艦デリンジャー・コア》
効果モンスター
星10/光属性/機械族/攻1900/守3000
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札の他の「巨大戦艦」モンスター1体を相手に見せて発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、このカードにカウンターを3つ置く。
(2):自分・相手のメインフェイズに、このカードのカウンターを1つ取り除き、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●「ボスラッシュ」またはそのカード名が記された魔法・罠カード1枚をデッキから手札に加える。
●自分の墓地からレベル9以下の「巨大戦艦」モンスター1体を特殊召喚する。
「《巨大戦艦デリンジャー・コア》の効果発動。カウンターを一つ取り除き《ボスオンパレード》を手札に加える。更にデリンジャー・コアをリリースして《人造人間-サイコ・ショッカー》をアドバンス召喚!」
《人造人間-サイコ・ショッカー》
効果モンスター
星6/闇属性/機械族/攻2400/守1500
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにフィールドの罠カードの効果を発動できず、フィールドの罠カードの効果は無効化される。
「融合モンスターに遥かに劣る下等なモンスターの分際で姑息な効果を」
オベリスク・フォースが露骨に舌を打つ。
これにより伏せてある《古代の機械蘇生》は使用不能になった。
「永続魔法カード《ボスオンパレード》発動」
《ボスオンパレード》
永続魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「巨大戦艦」モンスター1体を手札に加える。
(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドのモンスター1体を破壊し、デッキから攻撃力1200で守備力1000以下の機械族・光属性モンスター1体を自分か相手のフィールドに特殊召喚する。
(3):墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分のデッキ・墓地から「ボスラッシュ」1枚を自分フィールドに表側表示で置く。
「《ボスオンパレード》の効果によりデッキから《超巨大戦艦メタル・スレイブ》を手札に加える。そして《巨大戦艦 ブラスターキャノン・コア》《巨大戦艦 ビッグ・コアMk-III》《巨大戦艦 カバード・コア》《巨大戦艦 ビッグ・コアMk-II》《巨大戦艦 テトラン》をデッキから墓地に送り特殊召喚!」
《超巨大戦艦メタル・スレイブ》
効果モンスター
星11/闇属性/機械族/攻3100/守3100
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札・デッキからレベル10以下の「巨大戦艦」モンスターを5体まで墓地へ送って発動できる(同名カードは1枚まで)。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、この効果を発動するために墓地へ送った数だけこのカードにカウンターを置く。
(2):自分・相手ターンに、このカードのカウンターを1つ取り除き、自分フィールドの「巨大戦艦」モンスターを含むフィールドの表側表示カード2枚を対象として発動できる(同一チェーン上では1度まで)。
そのカードを破壊する。
「墓地に異なるモンスターが五体以上置かれたことで、このモンスターの特殊召喚条件は満たされる!《影星軌道兵器ハイドランダー》!!」
《影星軌道兵器ハイドランダー》
特殊召喚・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻3000/守1500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地にモンスターが5体以上存在し、
それらのモンスターのカード名が全て異なる場合のみ特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動できる。
自分の墓地のモンスターのカード名が全て異なる場合、フィールドのカード1枚を選んで破壊する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
「デッキの上からカードを三枚墓地に送ることで《古代の機械混沌巨人》を破壊する」
「ば、馬鹿な。スタンダードごときのデュエリストに崇高なるアカデミアの兵器が」
《古代の機械混沌巨人》は魔法、罠に耐性があるがモンスター効果には無力。
侵略者の象徴たる巨人は衛星軌道からの砲火により木端微塵に爆散した。
「どうやらアカデミアの兵器よりも海馬コーポレーションの兵器の方が優れていたようだな。バトル!《影星軌道兵器ハイドランダー》で攻撃!」
OBELISK FORCE LP4000→1000
「《人造人間-サイコ・ショッカー》攻撃! サイバーエナジーショック!!」
OBELISK FORCE LP1000→0
リアルソリッドビジョンの衝撃によって吹っ飛ばされたオベリスク・フォースが地面を転がった。
「さて、最初に言ったな。本当の戦争を教えてやると」
大門は自らのデュエルディスクを操作してとある機能を起動する。
それはアカデミアの人間であれば知らない者はいないであろう機能。
「俺をカード化するつもりか!」
アカデミアのデュエルディスクにも常備されているデュエルに敗北した人間をカード化する機能だ。
もっとも大門はエクシーズ次元のレジスタンス達のようにアカデミアのデュエルディスクを鹵獲して使用しているわけではない。
海馬コーポレーションとレオ・コーポレーションは連携しながら次元戦争の準備を進めてきた。
戦争する上で必要なのは武器、次元戦争においてそれはカードとデュエルディスク。
当初人間をカード化するデュエルディスクの生産に両社の社長は難色を示していた。
だがアカデミアが使用する以上はこちらも同じ兵器を使う必要があるという前提の元、LDS理事長、赤馬日美香の強い後押しもあり量産に至った。
人間をカード化する機能だけでなくアカデミアの強制帰還装置をジャミングする機能も搭載された次元戦争用デュエルディスク。
「ま、待て!!」
これに狼狽したのはオベリスク・フォースだった。
彼はエクシーズ次元侵攻でも派兵され何人もエクシーズ市民をカード化したベテラン。
だが融合次元が侵攻した際、エクシーズ次元のデュエリストは人間をカード化するデュエルディスクなど所持しておらず、仮にアカデミア側が負けたとしても自分たちはカード化されない状況だった。
オベリスク・フォースにとってエクシーズ次元侵略は狩り、ハンティングゲームでしかなかったのだ。
「これが戦争だ、小僧」
無論、アカデミア兵の中には敗北したならカード化を受け入れるデュエル戦士もいる。
だがこのオベリスク・フォースはそうではなかった。
撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけとするならば、彼は人を撃つことはできても、撃たれる覚悟は微塵もなかったということ。
「やめろおおおおおお!!」
地面に倒れたオベリスク・フォースに向けて大門はデュエルディスクから紫色の光線を照射。
それを浴びたオベリスク・フォースの体は崩れた後、一枚のカードとなった。
これは現在、スタンダード次元のいたる所で起きている光景。
スタンダード次元と融合次元のデュエリストがデュエルを行い負けた側がカードになる。
それこそが次元戦争であった。