遊戯王ARC-V DIMENSIONAL WARS   作:白銀蟷螂

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シンクロ次元 其の弐

 時間は僅かに遡る。

 逃亡したグレース・タイラーを牛尾哲が追跡したことにより、その場には二人の男性が残った。

 一人目は元コモンズでありながら成り上ってシティの頂点に立った男、ジャック・アトラス。

 二人目はアカデミアに利用される自覚なき売国奴の革命家、シンジ・ウェーバー。

 

「セキュリティに投降しろ。そうすれば悪いようにはしない」

 

 この段階でシンジ・ウェーバーが自首するのであれば、キングとしての権威でカード化だけは免れさせることができるかもしれない。

 デュエルが始まってしまえば、もはやそれは厳しくなる。

 

「……ああ、よくわかったよ。クロウの言う通り、あんたは完全にそっち側ってことか」

 

 だがシンジ・ウェーバーにジャックの言葉は届かなかった。

 

「トップスの手先、コモンズの誇りを失った裏切り者め!」

 

 両者のデュエルディスクが展開され、カードプレートがソリッドビジョンによって生成される。

 

 

 JACK  /  LP4000

 

     VS

 

 SINJI  /  LP4000

 

 

「「決闘!!」」

 

 

 先攻をとったのはシンジ・ウェーバーだった。

 

「俺のターン! 魔法カード《武装蜂起》発動!」

 

 《武装蜂起》

 通常魔法

 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

 (1):手札・デッキから攻撃力1000以下の昆虫族モンスター1体を特殊召喚する。

 この効果でデッキから特殊召喚した場合、自分フィールドのモンスター1体を墓地へ送る。

 このカードの発動後、ターン終了時まで自分は昆虫族モンスターしか特殊召喚できない。

 (2):このカードが墓地に存在する状態で、自分フィールドの表側表示の昆虫族Sモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、このカードを除外して発動できる。

 デッキから「一斉蜂起」1枚を手札に加える。

 

「デッキから《共振虫》を特殊召喚して墓地に送る」

 

 《共振虫》

 効果モンスター

 星4/地属性/昆虫族/攻1000/守 700

 (1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

 デッキからレベル5以上の昆虫族モンスター1体を手札に加える。

 (2):このカードが除外された場合に発動できる。

 デッキから「共振虫」以外の昆虫族モンスター1体を墓地へ送る。

 

「《共振虫》の効果により《B・F-猛撃のレイピア》を手札に加えて効果発動! 場にモンスターがいない時、手札から昆虫族モンスターを捨てることでデッキから《B・F・W》を場に置き、このモンスターを特殊召喚する!」

 

 《B・F・W》

 永続魔法

 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

 (1):1ターンに2度まで、自分フィールドに「B・F」モンスターが召喚・特殊召喚された場合、その内の1体を対象として発動できる。

 そのモンスターより攻撃力が低い「B・F」モンスター1体をデッキから手札に加える。

 (2):1ターンに1度、自分フィールドのレベルを持つ昆虫族モンスターの1体を対象として発動できる。

 このターン、自分は対象のモンスターをS素材とする場合、チューナーとして扱う事ができる。

 

 《B・F-猛撃のレイピア》

 効果モンスター

 星5/風属性/昆虫族/攻1900/守 0

 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 (1):自分フィールドの表側表示モンスターが、存在しない場合または昆虫族モンスターのみの場合、手札から他の昆虫族モンスター1体を捨てて発動できる。

 デッキから「B・F・W」1枚を自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。

 その後、このカードを手札から特殊召喚する。

 このターン、自分は昆虫族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 (2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

 自分フィールドの昆虫族モンスター1体のレベルを1つ下げる。

 

「更に《B・F・W》の効果でデッキから《B・F-早撃ちのアルバレスト》を手札に加えて、そのまま召喚!」

 

 《B・F-早撃ちのアルバレスト》

 効果モンスター

 星4/風属性/昆虫族/攻1800/守 800

 このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル3以下の昆虫族モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 (2):このカードが相手によって破壊された場合に発動できる。

 手札・デッキから「B・F」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「二度目の《B・F・W》の効果でデッキから《B・F-必中のピン》を手札に。そして《B・F-早撃ちのアルバレスト》の効果で墓地から《B・F-毒針のニードル》を特殊召喚!」

 

 《B・F-毒針のニードル》

 チューナー・効果モンスター

 星2/風属性/昆虫族/攻 400/守 800

 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 (1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

 デッキから「B・F-毒針のニードル」以外の「B・F」モンスター1体を手札に加える。

 (2):このカード以外の自分フィールドの昆虫族モンスター1体をリリースし、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「《B・F-毒針のニードル》の効果発動! デッキから新たに《B・F-早撃ちのアルバレスト》を手札に加える。更に手札の《B・F-必中のピン》を特殊召喚!」

 

 《B・F-必中のピン》

 効果モンスター

 星1/風属性/昆虫族/攻 200/守 300

 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 (1):自分フィールドに昆虫族モンスターが存在する場合に発動できる。

 このカードを手札から特殊召喚する。

 (2):自分メインフェイズに発動できる。

 自分フィールドの「B・F-必中のピン」の数×200ダメージを相手に与える。

 

「《B・F-必中のピン》の効果により200ポイントのダメージを与える」

 

 JACK LP3800

 

「これで革命の準備は整った。レベル5《B・F-猛撃のレイピア》レベル4《B・F-早撃ちのアルバレスト》レベル1《B・F-必中のピン》にレベル2《B・F-毒針のニードル》をチューニング!」

 

 四体のモンスターによるシンクロ召喚によって繰り出されるのはシンジ・ウェーバーのエースモンスター。

 

「結集せし絆の力にて傲岸たる巨悪の壁を射貫け! シンクロ召喚! 現れろ! レベ12!《B・F-決戦のビッグ・バリスタ》!」

 

 《B・F-決戦のビッグ・バリスタ》

 シンクロ・効果モンスター

 星12/風属性/昆虫族/攻3000/守 800

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 (1):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の昆虫族モンスターを全て除外して発動できる。

 相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力は、除外されている自分の昆虫族モンスターの数×500ダウンする。

 (2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 (3):S召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。

 除外されている自分のレベル11以下の昆虫族モンスター3体を選んで特殊召喚する。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド。どうだ、キング! これが虐げられ続けてきたコモンズの怒りだ!」

「……俺のターン、ドロー。《バイス・ドラゴン》を特殊召喚!」

 

 《バイス・ドラゴン》

 効果モンスター

 星5/闇属性/ドラゴン族/攻2000→1000/守2400→1200

 (1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 この方法で特殊召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。

 

「チューナーモンスター《フレア・リゾネーター》を召喚」

 

 《フレア・リゾネーター》

 チューナー(効果モンスター)

 星3/炎属性/悪魔族/攻 300/守1300

 このカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターの攻撃力は300ポイントアップする。

 

「レベル5《バイス・ドラゴン》にレベル3《フレア・リゾネーター》をチューニング!」

 

 呼び出されるのはキングの象徴たるエースモンスター。

 

「王者の咆哮、今天地を揺るがす。唯一無二なる覇者の力をその身に刻むがいい! シンクロ召喚! 荒ぶる魂《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》!」

 

 《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》

 シンクロ・効果モンスター

 星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000→3300/守2500

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 (1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「レッド・デーモンズ・ドラゴン」として扱う。

 (2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

 このカード以外の、このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ特殊召喚された効果モンスターを全て破壊する。

 その後、この効果で破壊したモンスターの数×500ダメージを相手に与える。

 

「魔法カード《クリムゾン・ヘル・セキュア》発動!」

 

 《クリムゾン・ヘル・セキュア》

 通常魔法

 自分フィールド上に「レッド・デーモンズ・ドラゴン」が

 表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。

 相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「俺の場にレッド・デーモンズ・ドラゴンが存在する時、相手フィールド上の全ての魔法、罠カードを破壊する」

「だったら速攻魔法《非常食》発動!」

 

 《非常食》

 速攻魔法

 (1):このカード以外の自分フィールドの

 魔法・罠カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。

 自分はこのカードを発動するために墓地へ送ったカードの数×1000LP回復する。

 

「《B・F・W》を墓地に送りライフを1000回復だ!」

 

 SINJI LP5000

 

「《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の効果発動! このカードの攻撃力以下の特殊召喚されたモンスター全てを破壊する!」

 

 《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の効果により《B・F-決戦のビッグ・バリスタ》が灰となって燃え散った。

 

「そして破壊したモンスター1体につき500ポイントのダメージを与える」

 

 SINJI LP4500

 

「だがシンクロモンスターが破壊された時、墓地の《武装蜂起》を除外することでデッキから《一斉蜂起》を手札に加える!」

「バトルだ!《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》でプレイヤーにダイレクトアタック!」

 

 SINJI LP1200

 

「カードを一枚セットしてターンエンド」

「……俺たちコモンズはいつだってそうだ。こうして全てを奪われドン底まで追いつめられる」

 

 シンジ・ウェーバーがガラ空きになった自らのフィールドをコモンズの境遇と重ね合わせる。

 

「だから革命を起こす! この腐った社会をひっくり返すために! 俺のターン、ドロー! 来た、彼女との絆のカード。グレース、俺に力を! 魔法カード《融合》発動!」

 

 それは侵略者の象徴たる魔法カード《融合》。

 このカードを使用した以上、キングの権威をもってしても、評議会からシンジ・ウェーバーを庇うことは不可能になった。

 

「手札の《B・F-必中のピン》と《プリミティブ・バタフライ》を融合! 現れろ!《無死虫団の重騎兵》!!」

 

 《無死虫団の重騎兵》

 融合・効果モンスター

 星7/地属性/昆虫族/攻2500/守1800

 レベル5以上の昆虫族モンスター+昆虫族モンスター

 このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果では破壊されない。

 (2):自分・相手ターンに、自分フィールドの表側表示モンスターが昆虫族のみの場合、

 自分フィールドの昆虫族モンスターを含むフィールドのモンスター2体を対象として発動できる。

 そのモンスターを除外する。

 

「更に魔法カード《一斉蜂起》!」

 

 《一斉蜂起》

 通常魔法

 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は昆虫族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 (1):相手フィールドのモンスターの数まで、自分の墓地のレベル4以下の「B・F」モンスターを対象として発動できる。

 そのモンスターを特殊召喚する。

 

「墓地から《B・F-毒針のニードル》を特殊召喚!」

 

 《B・F-毒針のニードル》

 チューナー・効果モンスター

 星2/風属性/昆虫族/攻 400/守 800

 

「《B・F-毒針のニードル》の効果によりデッキから《B・F-連撃のツインボウ》を手札に加える。そして《B・F-連撃のツインボウ》を効果で特殊召喚!」

 

 《B・F-連撃のツインボウ》

 効果モンスター

 星3/風属性/昆虫族/攻1000/守 500

 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):自分メインフェイズに発動できる。

 このカードを手札から特殊召喚する。

 この効果の発動後、ターン終了時まで自分は昆虫族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 (2):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

 

「レベル3《B・F-連撃のツインボウ》にレベル2《B・F-毒針のニードル》をチューニング! 蜂出する憤激の針よ、閃光と共に天をも射貫く弓となれ。シンクロ召喚! 現れろ!《B・F-霊弓のアズサ》!」

 

 《B・F-霊弓のアズサ》

 シンクロ・チューナー・効果モンスター

 星5/風属性/昆虫族/攻2200/守1600

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):このカード以外の「B・F」モンスターの効果で相手がダメージを受けた時に発動できる(ダメージステップでも発動可能)。

 そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 (2):このカードが墓地に存在する状態で、

 自分の「B・F」モンスターの戦闘でモンスターが破壊された時に発動できる。

 このカードを守備表示で特殊召喚する。

 この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

「《B・F-早撃ちのアルバレスト》を召喚」

 

 《B・F-早撃ちのアルバレスト》

 効果モンスター

 星4/風属性/昆虫族/攻1800/守 800

 

「効果で墓地から《B・F-連撃のツインボウ》を特殊召喚する」

 

 《B・F-連撃のツインボウ》

 効果モンスター

 星3/風属性/昆虫族/攻1000/守 500

 

「レベル4《B・F-早撃ちのアルバレスト》とレベル3《B・F-連撃のツインボウ》にレベル5《B・F-霊弓のアズサ》をチューニング! シンクロ召喚! 現れろ! レベル12!《B・F-革命のグラン・パルチザン》!」

 

 《B・F-革命のグラン・パルチザン》

 シンクロ・効果モンスター

 星12/風属性/昆虫族/攻3000/守2000

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、効果では破壊されない。

 (2):自分フィールドの昆虫族Sモンスターの攻撃力は、自分の除外状態の昆虫族モンスターの数×200アップする。

 (3):このカードが除外された場合に発動できる。

 このカードを特殊召喚する。

 その後、自分の除外状態の昆虫族モンスターの数まで相手フィールドのカードを破壊できる。

 その場合、さらに破壊した数×500ダメージを相手に与える。

 

「見せてやるぜ! 俺とグレースの絆のコンボを!《無死虫団の重騎兵》の効果発動! 自分の昆虫族モンスターを含むフィールド上のモンスター二体を除外する。対象は《B・F-革命のグラン・パルチザン》と《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》!」

 

 効果により互いの場の最上級シンクロモンスターが除外された。

 

「そして《B・F-革命のグラン・パルチザン》の効果発動! 除外されたこのカードを特殊召喚する!」

 

 《B・F-革命のグラン・パルチザン》

 シンクロ・効果モンスター

 星12/風属性/昆虫族/攻3000/守2000

 

「これがグレースとの絆の力だ!《B・F-革命のグラン・パルチザン》で攻撃!」

 

 JACK LP800

 

「これで終わりだ、キング!《無死虫団の重騎兵》でプレイヤーにダイレクトアタック!!」

「トラップカード発動!《闇次元の解放》!」

 

 《闇次元の解放》

 永続罠

 (1):除外されている自分の闇属性モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

 そのモンスターを特殊召喚する。

 このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊され除外される。

 そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

「戻ってこい!《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》!」

 

 《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》

 シンクロ・効果モンスター

 星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

 

「だがお前のターンになれば再び《無死虫団の重騎兵》の効果が使える。俺とグレースの絆のコンボの前にはキングと言えど無力だぜ! ターンエンド」

「俺のターン、ドロー」

「この瞬間《無死虫団の重騎兵》の効果発動! これでもう一度《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》を除外して」

「速攻魔法《禁じられた聖杯》発動!」

 

 《禁じられた聖杯》

 速攻魔法

 (1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。

 

「何?!」

「《無死虫団の重騎兵》の攻撃力を400ポイントアップして効果を無効にする」

 

 《無死虫団の重騎兵》

 融合・効果モンスター

 星7/地属性/昆虫族/攻2500→2900/守1800

 

「《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の効果により、このカードの攻撃力以下の特殊召喚されたモンスター全てを破壊する!」

 

 《禁じられた聖杯》により効果が無効となった《無死虫団の重騎兵》が業火に包まれた。

 

 SINJI LP700

 

「くっ! だが《B・F-革命のグラン・パルチザン》は効果では破壊されない」

「《クリムゾン・リゾネーター》を召喚」

 

 《クリムゾン・リゾネーター》

 チューナー・効果モンスター

 星2/闇属性/悪魔族/攻 800/守 300

 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、この効果を発動するターン、自分はドラゴン族・闇属性SモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 (1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。

 このカードを手札から特殊召喚する。

 (2):このカード以外の自分フィールドのモンスターがドラゴン族・闇属性Sモンスター1体のみの場合に発動できる。

 手札・デッキから「クリムゾン・リゾネーター」以外の「リゾネーター」モンスターを2体まで特殊召喚する。

 

「《クリムゾン・リゾネーター》の効果発動。デッキから《レッド・リゾネーター》を特殊召喚!」

 

 《レッド・リゾネーター》

 チューナー・効果モンスター

 星2/炎属性/悪魔族/攻 600/守 200

 このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (1):このカードが召喚した時に発動できる。

 手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。

 (2):このカードが特殊召喚した時、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターの攻撃力分だけ自分のLPを回復する。

 

「《レッド・リゾネーター》の効果により《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の攻撃力分のライフを回復する」

 

 JACK LP3800

 

「レベル8の《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》にレベル2の《クリムゾン・リゾネーター》とレベル2の《レッド・リゾネーター》の2体のチューナーモンスターをダブルチューニング!」

 

 それは二体のチューナーモンスターを用いたキングの奥義。

 

「王者と悪魔、今ここに交わる! 荒ぶる魂よ、天地創造の叫びをあげよ! シンクロ召喚! 出でよ、スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン!」

 

 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》

 シンクロ・効果モンスター

 星12/闇属性/ドラゴン族/攻3500→5000/守3000

 チューナー2体+「レッド・デーモンズ・ドラゴン」

 (1):このカードの攻撃力は自分の墓地のチューナーの数×500アップする。

 (2):フィールドのこのカードは相手の効果では破壊されない。

 (3):相手モンスターの攻撃宣言時、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

 フィールドのこのカードを除外し、その攻撃を無効にする。

 (4):このカードの(3)の効果で除外されたターンのエンドフェイズに発動する。

 除外状態のこのカードを特殊召喚する。

 

「バトル!《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》で《B・F-革命のグラン・パルチザン》を攻撃!!」

 

 悪魔と交わりし竜王の攻撃によって、革命の象徴たる昆虫モンスターは炎上する。

 

 SINJI LP0

 

 リアルソリッドビジョンの衝撃によってシンジ・ウェーバーは地面に叩きつけられた。

 デュエルはこれで決着。

 だがジャックにはまだやらねばならないことがある。

 

「この裏切り者がああああああああああああああ!」

 

 憎悪で顔を歪めるシンジ・ウェーバーに向けて、ジャックはデュエルディスクからカード化光線を照射した。

 トップス陥落を目論んだ革命家の体は崩れ去り残ったのは一枚のカードのみ。

 

「キング、あんたは正しい選択をした」

 

 背後から声をかけられ振り向いた先にいたのはセキュリティの牛尾哲だった。

 事実としてこの状況で革命が起きれば、その隙を融合次元に突かれてシンクロ次元は崩壊の危機を迎えることになる。

 シティの王、キングとしてそれを看過することはできない。

 

 けれども感情的にはデュエルで人間をカードにするような真似はしたくなかった。

 キングのデュエルはエンターテインメントでなければならない。

 人間をカードにするようなデュエルはエンタメには程遠い。

 

 これから始まる次元戦争は文字通り戦争であり、エンタメの入る余地などありはしない。

 ジャックの脳裏にはカードにされる瞬間まで怨嗟の雄叫びを上げ続けた革命家の姿が焼き付いていた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 治安維持局取調室にてジャン・ミシェル・ロジェは捕虜であるグレース・タイラーに尋問を行っていた。

 アカデミア屈指のタッグデュエリスト、タイラー姉妹の片割れであれば間違いなく現在のアカデミアの最重要機密を握っている。

 それらの機密を吐かせるようにロジェは指示を受けていた。

 

「いい加減、情報を喋る気になりましたか」

 

 現在、グレース・タイラーは水浸しになっている状態。

 その理由はロジェの行っている尋問、否、拷問にある。

 

 ウォーターボーディング。

 頭に袋をかぶせて口や鼻の穴に水を直接注ぎ込むことで窒息を生じさせる拷問。

 逆さまの状態で水を口や鼻の穴に注ぎ込むと気管の咽頭反射で肺から空気が放出され溺水状態に追い込めるため、容易に溺れ死ぬ感覚に誘導できる。

 

 常人であれば即座に口を割ってしまうであろうこの拷問をグレース・タイラーは三日にわたって耐え抜いていた。

 ロジェは背後の監視カメラに目をやる。

 あれは捕虜を監視するためのカメラであり、今回の尋問ではロジェを監視する役割も兼ねていた。

 ジャック・アトラスは元同胞のコモンズをカード化する指示を受けたと聞いているが、ロジェにグレース・タイラー尋問の命令が下されたのも踏み絵だ。

 かつての同胞であるアカデミアの人間に手心を加えず拷問できるかを見られている。

 

 ジャック・アトラスがどうだったかは知らないが、ロジェにとって元同胞を拷問することは何ら苦になることではなかった。

 この女が窒息状態になってどれだけ苦痛を受けようが知ったことではない。

 ただし情報を吐く前に死なれるのだけは避けなればならなかった。

 拷問の加減を誤って殺してしまうのはもちろん、自決にも気を配らなければならない。

 最悪の場合、口封じのために事故を装って殺したと判断されれば、ロジェがカード化されることになる。

 

 こんなはずではなかった。

 融合次元には赤馬零王がいたのでシンクロ次元に亡命してセキュリティを掌握した上でいずれはこの次元の王になるつもりだった。

 ロジェにとって誤算だったのは治安維持局には既に優秀な長官がいたこと。

 それは赤馬零王に匹敵、或いは凌駕しかねない男であり、シンクロ次元においてロジェが唯一恐れている人物。

 

 だがここに来てチャンスが巡ってきた。

 侵略者であるアカデミアを打倒すれば政治的正当性を保ったまま融合次元を植民地にすることが可能。

 融合次元の人間を新たなコモンズにするのが行政評議会の意向だった。

 その上で次元戦争においてロジェがシンクロ次元に貢献すれば、植民地にした融合次元の管理を任せるという確約を評議会から取り付けたのだ。

 そのためにもまずはグレース・タイラーから機密情報を吐かせる必要があるのだが、それが難航している状況。

 このままではシンクロ次元融合領にしたアカデミアの王になるどころか、処分されてカード化されてしまう。

 

「……あ~ら、ロジェちゃん。随分と余裕がなさそうね」

 

 焦りが伝わったのかグレース・タイラーが笑顔で挑発してきた。

 ここまで一方的に拷問されてきた彼女のせめても意趣返しか。

 だが、それがロジェの逆鱗に触れた。

 

「この女! 調子に乗るな!!」

 

 怒りのままに拳を振るいグレース・タイラーの顔面を複数回殴打する。

 それだけでは溜飲が下がらず彼女の服を掴むと力任せに引きちぎった。

 

「っ……!」

 

 胸元が露わになったグレース・タイラーがこれまでにない表情を見せる。

 それが恐怖であると理解してロジェは笑顔になった。

 

「おやおや、いけませんねぇ。勇敢なるアカデミアのデュエル戦士ともあろう者が、まさかレイプされる程度のことで怯えているのですか」

 

 精神的に余裕が戻ったことで口調が丁寧なものに戻る。

 

「これは盲点でした。優秀なデュエリストであるが故に抱かれるどころか男のモノを咥えこむようなハニートラップも未経験というわけですか」

 

 デュエルで三手先まで読める男であるロジェは既にこの尋問において機密情報を吐かせる手筋を見出していた。

 容赦なくグレース・タイラーの衣服を全て破り捨てブラジャーも剥ぎ取る。

 

「……下種野郎」

「やはり口の利き方がなっていませんねぇ。いずれアカデミアの王になる私が男というものを教育してあげましょう」

 

 ロジェの口調には女に対して優位な立場にある男性特有の優越感が含まれていた。

 

「そこまでにしておきなさい、ロジェ副長官」

 

 背後から声を掛けられたロジェの体が硬直する。

 まるで冷や水を浴びせかけられたような感覚。

 

「捕虜に対してそういった行為をするのは感心しませんね」

「あ、あなた様は!」

 

 狼狽しながら振り向いたロジェは咄嗟に頭を下げた。

 

「ここまでの尋問であなたのシンクロ次元に対する忠誠心は示されたと判断します。行政評議会にもそう報告しておきましょう」

 

 その言葉にロジェは胸をなでおろす。

 これで今後も次元戦争に携わることができるからだ。

 

「ここから先の尋問は私が引き継ぎます」

 

 この男こそロジェがシンクロ次元において唯一恐れる人物。

 

「承知いたしました、ゴドウィン長官!」

 

 治安維持局長官レクス・ゴドウィンは穏やかな物腰で笑顔を浮かべた。

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