真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、分裂と対立

ゼウスが腕組みして様子を見守っていると、来たのはヘルメスだ。

 

報告のためである。

 

「ご報告です」

 

「うむ」

 

「天使どもの残党の動きを追跡し、万古の神殿の位置を特定しました」

 

「良くやった」

 

別にそんなものは通らなくても至高天には行ける。昔行ったのだ。二度行くのも難しくはない。

 

わざわざ万古の神殿の現在位置を特定するのは。

 

恐らく至高天に行ったことがない日本支部の行動を掣肘するためである。

 

さて、仕掛けるか。

 

わざわざ日本支部が回復するのをまってやる必要などない。

 

すぐにオリンポスの神々を集める。

 

やはりデメテルの親類は出てきていない。まあ、それはいい。デメテルの造反は、もはや確定事項だ。

 

それにアルテミスも、あの日本支部のナホビノに明らかに惹かれている。

 

男……ではないなあれは。ともかく、人としての存在に惹かれているようだ。それもあって、アルテミスは戦力としては数えない。

 

「これより日本支部に仕掛ける。 当面奴らは攻勢に出る暇がないだろう。 インド支部も動けない今、仕掛けて先に叩き潰す」

 

「おお!」

 

「相手にはクロノス様を一蹴したナホビノがおりますが……」

 

不安そうに言ったのはアレスだ。

 

ゼウスは、ツラだけしか取り柄がない戦神を鼻で笑った。

 

「タルタロスに閉じ込められてすっかり弱体化しきった父上を倒した程度の事で、何を恐れる。 ナホビノはこの国の最高神と合一しているが、その座はもったいないな。 俺が貰ってやるだけの事だ」

 

「失礼します」

 

ふっと姿を見せたのはアルテミスだ。

 

まさか堂々と正面から来るとは。

 

今までは公認スパイとして、時々書状を使いのニンフにもたせて送ってきていたのだが。

 

本人が来るとは、何かあったか。

 

「どうした。 ナホビノの監視を命じていた筈だが」

 

「それが、この書状が届きまして」

 

「……なんだと?」

 

困惑する様子のアルテミスから、蜜蝋で封をされた手紙を渡される。この蜜蝋、なんだ。見たこともない印鑑だが。

 

ともかく雷で器用に焼き切って開く。

 

目を通していくと、ゼウスは見る間に眉間にしわが寄るのを感じた。

 

「なるほどな……」

 

「ゼウス様?」

 

「ん? ああ。 ベルゼバブからの手紙だ。 どうやらシヴァの野郎が動き出しやがった。 恐らくは、ルドラの秘法を始めるつもりだ」

 

「!」

 

神々がどよめく。

 

シヴァの戦闘力は極めて高く、ベテル本部が健在な時代ですら、うかつに手を出せないほどだった。

 

ベテル本部が自滅した今。

 

シヴァが出てくると面倒なことになる。

 

ベルゼバブは何を考えているか分からないが、日本支部にも同じ手紙を送ったと見て良いだろう。

 

争っている暇があったら、まずはシヴァを片付けろ。

 

そういう催促なのは間違いなかった。

 

「まったく仕方がねえなあ」

 

「父上」

 

「あん?」

 

「私は夏目煌に以降は味方します」

 

ゼウスが黙り込む。アルテミスは、順番に話をする。

 

夏目煌は、あのオーディンに打ち勝った。

 

それも念入りに張り巡らされた罠を打ち破って、最後まで冷静なままで。

 

自分には絶対に出来ない。

 

ローマ神話のミネルヴァでも無理だ。

 

そうアルテミスは言う。それで、夏目煌について行くべきだと判断したというのだ。

 

ゼウスは黙り込む。

 

此奴がここまで言うのは何時ぶりか。腕っ節は優れているが、オツムはてんで駄目だったのに。

 

此奴を決意させるほどの傑物か。

 

それは、興味が湧いてきた。

 

偵察はしてきたつもりだ。だが、まだ観察が足りなかったかも知れない。

 

そして、ますます。

 

興味が湧いた。

 

創世なんぞはっきりいってどうでもいい。

 

ローマ時代の理なんてこの世界に引いたところで、何一つ意味がない。

 

むしろ奴を試したい。

 

どれだけ出来るのかを、だ。

 

少し考え込んでから、ゼウスは書状を二枚持たせる。

 

一枚は夏目煌に向けてのものだ。

 

もう一枚は。

 

指先を向ける。

 

「あの辺りにデメテル姉上がいる」

 

「知っているのに放置していたのですか父上」

 

「まあ姉上には色々と苦労を掛けたからな。 多少の反発くらいだったらなんとも思わぬさ。 俺も身勝手で欲深いことは自覚しているが、相手のことくらいは考えるんだよ。 意外か?」

 

ゼウスが言うと、アルテミスは黙り込んで考えた後、首を横に振る。

 

アルテミスはこれでもかわいい娘だ。

 

だからそれについて、どうこう言うつもりはない。

 

「その手紙は姉上に届けろ。 とりあえず他の者は陣触れだ。 インド支部を叩く」

 

「インド支部をですか」

 

「シヴァの馬鹿野郎がアホなことをしたら創世をするもしないも、それ以前の問題になるからな。 俺たちはヴィシュヌとガルーダを始末する。 シヴァはナホビノに当たらせる」

 

はっきりいって、勝てるとは思っていない。

 

ただし、ナホビノと日本支部、エジプト支部が総力を挙げれば話は別になるとも思っている。

 

それをやりやすいようにわざわざ動いてやるのだ。

 

そして、アルテミスが行くのを見送ってから、皆に指示。

 

「ローマ神話の神格を取り込んでおけ」

 

「というと……」

 

「創世についてはどうでもいい。 俺は夏目煌とやらを見届ける。 そのためには、腑抜けたローマの神格よりも、戦闘向きのギリシャの神格の方が好ましい」

 

「は……!」

 

神々が準備を始める中。

 

ゼウスは軽くストレッチをする。

 

さて、ここからが本番だ。

 

デメテルの邪魔を一時的に封じた後は、まずはインド支部から始末する。鍵なんぞナホビノにくれてやっても構わない。

 

まずは優先事項として。

 

シヴァのルドラの秘法を阻止する。

 

 

 

(続)







状況急転。

シヴァがルドラの秘法実行に向けてアップを開始しました。

ゼウスが動きます。

不本意ながら、ギリシャ支部との半強制的な対インドの一時的連携開始です。





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