真女神転生VV二次創作 牛蛇相克 作:dwwyakata@2024
ヴィシュヌをゼウスが打ち破った。如何にヴィシュヌが弱体化していたとしてもだ。それを見届けたデメテルは、高台でしばし考え事をしていた。
策を練っていた。
ゼウスに創世をさせるつもりはない。
それもあって、早くから離反していた。
ゼウスはそれを知っていて放置していた。そもそもゼウスに創世をする気があるのかさえ分からないが。
ただ、少なくとも。
ろくでもない輩に創世をさせる気はない。
そういうようには見えていた。
無言で考え込んでいると、来るのはヘルメスだ。
ヘルメスはゼウスの使い走りのように動いているが、実際にはデメテルとも通じている。
北欧神話のロキと並び称されるほどのトリックスターだ。
此奴は気分次第で誰にでもつくのである。
「何用ですの?」
「父上がちょっと妙な動きをしていましてね」
「ほう?」
「黙示録の獣と、黙示録の笛吹きを従えたようです」
「……」
黙示録の獣。
一神教のヨハネ黙示録にて、世界の終わりに海から上がってくる怪物。多数の頭を持ち、背にはバビロンの大淫婦と呼ばれる存在を乗せている。
この獣はローマ帝国をそのまま悪の存在として神話化したものとして言われているという説がある。特にネロ帝を揶揄したものだという話がある。
これは一神教が乗っ取る前のローマ帝国が、一神教を迫害していたから、という事情からだ。
ゼウスからしてみれば、ユピテル時代に散々邪魔をしてくれた一神教の、しかも自分達の帝国を揶揄した怪物である。
だが逆に言えば。
それを従える縁もまたある、ということか。
考え込む。
日本支部の夏目煌が、シヴァを打ち倒したことはデメテルも知っている。
だがシヴァはルドラの秘法を発動していたところを、無理矢理戦闘形態に切り替えて弱体化していた。
それも考慮しなければならない。
ゼウスよりもシヴァが上、ということはないのだ。
どちらも世界の神話では屈指の強豪。
その事実だけがある。
強いて言うなら、日本では知名度でゼウスが上回るだろうか、くらいの差でしかないだろう。
現役信仰されているという観点では、シヴァの方に軍配が上がるかも知れないが。
「よりにもよって死の権化を支配するとは、ゼウスも何を考えているのですかしらね」
「さあ。 俺には分かりかねますが」
「はあ。 いきなさい」
一礼するとヘルメスが消える。
あいつは恐らくゼウスの狙いを知っている。その気になれば二重スパイでも三重スパイでもやる奴だ。
ゼウスは夏目煌に勝つために、黙示録の獣と、黙示録の笛吹きを配下にした。それがもっともしっくりする話だ。
だが、それだと不自然な点も多い。
夏目煌に勝つだけだったら、ゼウスがその気になればやれるはずだ。
デメテル対策は考えにくい。
ゼウスはデメテルを敢えて泳がせているし、それを承知でデメテルも動いている。だとすると、目的は何だ。
「いずれにしても死の化身は気にくわない相手ですわね。 ハーヴァストではありませんわ」
呟くと、デメテルは指を鳴らす。
用意しておいた切り札がいくつかある。
それらはイシュタルの力、バアル達の力もあり、普通に展開できる。何よりデメテルも、このときのために力を蓄えてきたのだ。
日本支部が分裂している様子がない。
ナホビノ候補を多数有していたのにだ。
それはつまり。
日本支部は、別に座なんか単一神格がつかなくてもいいと言う事実に気付いている可能性が高い。
だとすると、日本支部は総力を挙げてくる筈。
その総力が、どれほどになるか、まだデメテルは測りかねていた。
しばし考えてから、デメテルは姿を見せた者達に指示を出していた。
「A6地点、A8地点にそれぞれ布陣。 近づくものは全て排除せよ」
「承知」
短く答えると、それらは姿を消した。
さて、後は。
日本支部の動きを見ておくか。
恐らくだが、日本支部はゼウスに仕掛けると見ていい。ゼウスもそれを正面から迎え撃つだろう。
その時どう一神教のダークサイドを用いるか。
それが懸念点だ。
もう一つ、切り札を切るか。
デメテルは、幼い姿とはまるで似つかわしくない狡猾な頭脳を、フル回転させ続けていた。
(続)
背後でデメテルも動いています。
その目的は実はとても単純なことです。
他の存在からしてみれば、そんなことで……といいたくなるかも知れませんが。デメテルにとっては最大必須事項です。
人によって、ものごとの価値は違っている。そういうことですね。
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