真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、動き出す告発者

ナホビノ、夏目煌。

 

座につける存在が一人だけではないと見抜いたあれは、明らかにこの世界だけの存在ではない。

 

そう告発者は見抜いていた。

 

この世界は特異点だ。

 

あらゆる可能性世界の中心点にある。他にも平行世界は幾らでも存在していて、前提条件が違う場所もまたあるのだが。

 

此処と条件が似ている世界の中では、この世界が特異点として集約点となっている。

 

それが原因だろう。

 

あの夏目煌には、明らかに平行世界の記憶が流れ込んでいる。今までマンセマットやデメテルを支援して夏目煌を見極めてきた告発者は、そう判断していた。

 

腕組みする告発者のところに、しもべが来る。

 

一神教の神魔が壊滅状態になった今。

 

もはや天使も悪魔も、生き残るためには力ある存在にすがるしかない。

 

それを示しているかのように。

 

そのしもべは、以前は大天使と呼ばれていたものの一体だった。

 

マンセマットのベテル離反に巻き込まれ、そして壊滅していく軍から命からがら逃げ出した一体。

 

その成れの果てである。

 

「サタン様。 状況を確認して参りました。 夏目煌はアブディエルと協力し、四大の復活を支援したようにございます」

 

「そうか。 それで」

 

「それだけにございます」

 

「分かった。 下がるように」

 

一礼だけすると、その大天使は下がる。

 

くだらん輩だ。サタンはぼやく。

 

一つ上の位相から様子を見ていた告発者……一神教におけるサタン。赤い肌を持つ、三つの頭を持つ巨大な存在。原天使とも呼ばれる、天使の中でももっとも古き存在。神すら告発することが出来る特異の者。

 

そうされたことで。

 

アティルト界にて、大顔役となった者こそが、サタンだった。

 

サタンは創世を幾度も見てきた。

 

主体的に関わったのは一番最近の一神教に寄る創世だけ。それ以前は、ずっとただの「サタン」だった。

 

本来サタンというのは、一神教でも大悪魔程度の扱いでしかなかった。神が全能なら、なぜ世界に悪がはびこるのか。その理由として、一部の天使が悪さをしているから。そういう理由で考え出された存在が、サタンである。

 

それから様々に解釈がされ、告発者だの悪魔の王だの。

 

七つの大罪の憤怒だの、色々と扱われたのだが。

 

一神教の四文字の神が座に着いた時に、存在に決定的な変化が生じた。

 

サタンなど、本来はそこまで強大な悪魔ではなかったのだ。

 

実際にイスラム教では、同じ立場のシャイターンが登場するが、これはサタンほどの圧倒的地位にある存在ではない。

 

数多ある聖典の解釈が滅茶苦茶に混在した結果、生み出された化け物。

 

それが今のサタンである。

 

だから、新しく創世が行われれば、その存在は消える。

 

だからこそに、まっとうな創世をして貰わないと困るのだ。

 

今まで平行世界を見てきた。

 

どこでもはっきりいってろくでもない創世が行われている。既に人類が滅んでしまったものもある。

 

少し離れた平行世界を見ていると、人間の身でありながら、普遍的無意識の深奥にたどり着き。

 

そこから地力で現実改変までした者がいた。

 

丸喜というそのものがやったことは、出力があまりにも足りなかったが、創世に極めて近しい行動だった。

 

出力があれば、世界を書き換えることが出来ただろう。

 

サタンとしては注目すべきテストケースである。

 

残念ながら丸喜の行動は失敗するか、成功してもそれほど長続きせず破綻してしまうようだが。

 

それは人間全部を、聖人に近い丸喜が審査して、それぞれの幸せな世界を作るという無理をしているから。

 

丸喜が人間を止める覚悟を最初からしていて。

 

それがなせていたのなら。

 

そしてこの世界にいたのなら。

 

サタンは喜んで、その前に膝を突いていたかも知れない。

 

夏目煌は、感情が希薄に見えるが、実際には極めて強い正義感を持ち、論理的にそれを実践していく存在だ。

 

そういう意味では、サタンとしては望ましい者だ。

 

後は、夏目煌の素質を、完璧に確認する作業を済ませておきたい。

 

確認を終えた時。

 

一瞥する。

 

其処にいる存在。

 

膝を抱えているもの。

 

体は新宿区にある巨大な蛇。だが、そのやつれた老人のような神格が、その魂である。

 

既に名前を失った神。

 

座というものが人間の精神世界であるアティルト界に作り出され。其処に最初におさまった者。

 

強いて言うなら究極的な意味での「神」。その名がふさわしい存在だ。

 

「夏目煌が近づいている。 今度の創世では、貴方も是非夏目煌に座の情報を渡してほしい」

 

「……分かった」

 

老婆とも老爺とも分からぬ声。少なくともその声は、納得しているようだ。夏目煌を気に入っているのかも知れない。

 

サタンは頷くと、夏目煌が仲間とともに、万古の神殿に来るのを待つ。

 

それがこれを最後の創世としたいと考えている、サタンの役割だった。

 

 

 

(続)







※サタン

近年のメガテンでは特に強大な存在ですね。真Ⅳではついに上限レベルを突破し、真VVではレベルキャップ解除のトリガーにもなりました。

発言通り本作の黒幕です。マンセマットやカディシュトゥ、デメテルらを裏から支援していたのは全て彼です。マンセマットが忠誠を誓っていたのも当然彼です。原作でもこれは恐らくそうです(マンセマットとの戦闘時、四文字神ではない存在の麾下に移っていることをほのめかすのですが、サタンとのイベント関連を見るとほぼ間違いなく相手はサタンでしょう)。

元々サタンは「神が全知全能ならなぜこの世に悪がはびこるのか」に対する苦し紛れの言い訳として作り出された理屈で、そもそも固有の存在ですらありませんでした。良くて上級の悪い天使、くらいの意味です。

それが一神教がキリスト教の時代になった頃には、すっかりルシファー閣下と同一視される悪魔王となっていったわけですね。

そんなサタンがどうして色々黒幕をしていたのか。

それはまもなく分かります。




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