真女神転生VV二次創作 牛蛇相克 作:dwwyakata@2024
ついに来ようとしている。
ナホビノが。
今、仮に座にいるその存在は、接近に気付いていた。だからこそ、早く来るようにと考えていた。
そのもの。
悪魔王ルシファー。
ルシファーは、座にてただ待つ。自身が創世をするつもりはない。創世を間近で見た。一神教による創世は、世界をよくすることなど全くなかった。一神教自体が、既に最初の理想など失いはて。
四文字の神は、都合の良いツールでしかなかった。
だから万古の神殿を通る時、今までの全ての蓄積をなぎ払い無視した。
全てを殺し尽くし、正義を誇った。
その傲慢極まりない思想は、世界全土に悪影響を及ぼした。
一神教文化圏では、一神教は科学の発展に寄与した、等という事をほざいている学者が今でもいるそうだ。
馬鹿馬鹿しくて話にもならない。
ルシファーは、色々なことをしてきた。
今の四文字の神は駄目だ。
それを知っているから、創世を阻止しようと努力もした。だが、それも失敗した時。世界中に独善と支配の思想がまき散らされたのだ。
悔恨の果てに好機を狙っていた。
東京受胎が発生した時が、そうだった。
四文字の神はシャカイナグローリーで、日本を支配しようとした。そこで消耗したところを叩くつもりだった。
だが。
今なら分かる。
なぜ四文字の神が自壊したのか。
それを、新しいナホビノに伝えなければならない。
本来は凄惨な殺し合いになる運命をねじり伏せ。此処に向かっている新しい時代のナホビノに。
全てを話し。
そして任せたい。
そのやり方はルシファーには出来ない事だった。魔界の荒くれ達をまとめ続けた大魔王には。
ふと気付く。
至高天に入り込んできた者がいる。
先はデメテル。
続いてナホビノ。
だが、デメテルの前にすっと入り込んできていた。ルシファーも気付くことが出来なかった。
それは体に縞模様を持つ、不可解な少年だった。
「誰ぞ……」
「名前はどうでもいい。 ボルテクス界で見た貴方とは別人のようだな」
「……ボルテクス界。 それはなんだ。 ……いや待て。 分かったぞ。 東京受胎が引き起こされた後、作られた疑似世界の事だな」
「そうだ。 世界に限界が来て、それが故に現象として発生したのがボルテクス界だ。 俺はそれに巻き込まれた。 そしてその世界を救った後は、発生した新しい世界で眠り続けている」
なるほどな。
だとするとここにいるのは、ボルテクス界の覇者。
人でありながら修羅でもある存在か。
今、ルシファーは事象と化している。
文字通りの意味だ。
悪魔でも神でもない。
座にも着いていない。
だからこそ、理解できる。この人修羅と呼ぶべき存在は、世界を渡り歩くことが出来るが、干渉はしない。挑戦を受ければ受けて立つだろうが、それだけ。
ただ見守るだけ。起きてはならないと、恐らくは本人が自身に対して戒めを課しているのだろう。
「それで此処に何をしに来た。 東京受胎は私も引き起こされてから慌てて東京に駆けつけた口でな。 ボルテクス界で私と会ったのか」
「貴方とは同じでありながら違う存在であったがな」
「なるほど、だとすると……私がおまえを作ったのと同義と言うことか」
「そうなる。 だが、近くで気配を察してみて理解した。 貴方は俺が見た「大魔王」とは違う。 だから戦うつもりはない。 俺が見た大魔王と同じ存在であったのなら、打倒しなければならなかった。 この世界を救うためにも」
どうやら、東京受胎で生じた世界にいた自分は、余程の悪党であったらしい。
そう思うと、ルシファーは少しだけおかしくなった。
人修羅は座り込むと、様子を見始める。
この至高天にも、古き神々は入り込んでいる。それとナホビノが戦いを開始していた。
「どう見る、人修羅」
「……そうだな。 俺が知る中でも、もっとも倫理的にしっかりしていると見て良いだろう。 強さも申し分ない。 様々な世界を見てきた。 平行世界もいくつも見てきたが、世界を救った人間が、必ずしも倫理的に優れていたわけではなかった。 力ばかり強くて、世界を救った後自分で壊してしまった事もあった。 あの存在は、もう人間を超えてしまっていて、恐らくあり方も決まっている。 ……簡単に腐る事もなさそうだ」
「随分と高く評価しているな」
「それは貴方もだろう」
しばし沈黙が流れる。
人修羅が顔を上げた。
また侵入者だ。
ルシファーも感じ取る。なるほど、ゼウス。
いや、それだけではないな。
ギリシャの神々がほとんど総出、である。なるほど、こちらで本当の決戦をするというわけだ。
しかもゼウスはユピテル時代に座に着いていた。
此処はホームグラウンドである。
「狡猾で強そうなゼウスだ」
「ボルテクス界にいたゼウスは違ったのか」
「孤独な神だった。 孤独な存在で集まって、孤独な存在だけが生きうる泡沫の世界を作ろうとしていた」
「……そうか」
なるほど。そのボルテクス界では擬似的な創世が行われていたのか。
東京受胎のようなことは、今までに何度か起きた記録がある。ただ、巻き込まれた存在が誰も生還していない。
人間も神魔もだ。
だから、今まで詳細は不明で、どうも新しい世界が創造されているらしいと言うことしか分からなかったのだが。
「よし、良いだろう。 あの合一神は、恐らくは世界をよくする創世をする。 俺はそれが確認できればそれでいい。 俺は強くなりすぎている。 世界には関与しない方がいい。 では、失礼する」
人修羅は、今までそこにいなかったように消えた。
凄まじい力だ。
ルシファーでもとても勝てなかっただろう。
精神体であれか。凄まじい存在である。
ふっと笑うと、ルシファーはナホビノを待つ。
不安要素はいくつかあるが。
恐らく、此処に必ずたどり着くだろうから。
(続)
※人修羅
真V、真VVの世界で彼が何をしたのかは、解釈が分かれるところですね。四文字の神を悪魔エンド後の人修羅が倒したのなら、多分そのまま創世をしてしまったでしょうし。
一部のファンの間では、真Ⅲのボルテクス界は閣下による創世の実験ではないのかという説もあるようですが、個人的にはそれでも色々と引っかかることが多い。
人修羅を閣下が作ったと裏庭で言っているのも確認は出来るのですが、正直既に人修羅の力は閣下すらも超えている。
そういうわけで、東京受胎は「シュヴァルツバースと同じ地球の防衛反応による一種の世界の株分け」であり、「ボルテクス界の閣下は現世の閣下とは別人」、「閣下は四文字を倒していない」「四文字が四大もろとも世界に拒まれて自滅した」「その後閣下が座にいたって四文字の知恵を食べた」というこの説に到達しました。
勿論公式では別の回答もあるでしょうが、本作ではあくまでこういう解釈というだけです。あしからず。
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