真女神転生VV二次創作 牛蛇相克 作:dwwyakata@2024
というわけで、煌君と眷属の数柱VS本気モードのゼウスです。
前回は加減していたゼウスですが、今回は煌君を半身としてほしいと本気で考えている事もあり、完全なガチモードです。
しかしながら、其処に最強の二柱が立ちはだかります。
ゼウスが全身に雷をまとって迫ってくる。マーメイドとアマノザコに全力で支援してもらい、パラスアテナとヘルメスをテュールや天使部隊に相手して貰うが、これは凄まじい。全力を出したゼウスは、これほどに速く強いのか。
半笑いのまま、腕に生やしたケラウノスの刃を連続でたたき込んでくるゼウス。ほとんど残像が残る一撃が、秒間五百は飛んでくる。煌もそれを弾きながら、加速していく。
シヴァやオーディン、更には太古の神々のマガツヒを取り込んで力を増している。それでもなお、本気のゼウスはこれほどだったのかと驚かされる。
首を刈り取りに来た。
かがんでかわしつつ、皆の戦況を見る。
フィンや義経公はアリスと一緒にヘラクレスと激戦の最中。イズンはミヤズの支援。つまり眷属達は手一杯だ。
ゼウスの猛烈な蹴り技、更には踏みつけを紙一重で回避しつつ、下がる。
アオガミが解析を進めてくれているが。
それでも厳しい相手だ。
「全力のゼウスの実力は恐らくシヴァと同等かそれ以上だ。 万魔会談にいた神魔で最強だろう。 解析を進めるが、以前との戦闘時とは比較にならない戦力だ」
「前は手を抜いていたようですね」
「そうだな。 ともかく解析する。 守りに徹して好機を待て」
「分かりました」
まるで全身が凶器だ。
薄ら笑いを浮かべたまま、ゼウスが猛攻を続ける。力の差を楽しんでいるのではない。まともに戦える相手と出会えて嬉しい。
そういう笑顔だ。
こちらも、そろそろ切り札を切りたいところだが。
まだゼウスは切り札を切っていない。
以前とは出力が違う全力ケラウノスを出させた方が良い。
激しい攻撃を応酬しながら、少しずつ下がる。押されているが、ゼウスもこちらが守りに徹しているのは承知の上だろう。それくらいは分かっていてやっている。そして、王者だから。
策を踏み砕いてこそとも考えているようだ。
いきなりゼウスが、煌の頭の上で両手をはたき合わせた。
同時に、空気が破裂して、辺りに衝撃波がほとばしる。
至高天を凶悪な風が抉るが、アマノザコが必死に押さえ込んでくれる。アマノザコが叫んでいた。
「まずいよ! 支えきれない!」
「相手は雷神であり天空神だ。 流石のパワーだな」
「この程度で驚いて貰っては困るなあ」
すっとゼウスが手を伸ばすと、其処に巨大な鎌が握られていた。
あれは。
クロノスの使ったアダマスの鎌。
対神必殺の武器だ。
まずいな。
えぐり取りに掛かってくる。あれを食らったら、眷属でも簡単に蘇生はできないだろう。それくらいまずい代物だ。
連続して刈り取りに来る。
煌も手刀で応じるが、重い。
一撃が速い上に途轍もなく重く。一発受ける度に戦車でも突撃してきたかのような衝撃だ。
ワハハハハと笑いながら、ゼウスがアダマスの鎌とケラウノスの二刀流で攻め立て続けてくる。
更には其処に蹴り技も飛んでくるのだから、たまったものではない。
ゼウスの手足は長く、肉体美を極限まで詰めたかのような立ち姿だ。芸術的な美しさだが、それはギリシャ時代の彫刻がそうだからだろう。
こちらの切り札は二枚。
ゼウスは一枚。
やむを得ない。やるしかないか。
「わー、いけるか」
「任せて!」
振り下ろされたアダマスの鎌を、飛び出したわーが白羽取りする。ゼウスがむっと呻いた。
びりびりと、拮抗する二者。
欠片とは言え死を司る伊弉冉尊。
神の機能を滅ぼすアダマスの鎌。
その力が拮抗するのは当然だ。ましてやわーは、歴戦で主神クラスの神のマガツヒを取り込んで、煌とともに強くなっている。
だが、その拮抗も一瞬。
ケラウノスで粉砕しに来るゼウス。
其処に、煌が呼び出した巨影が立ち塞がると、ケラウノスを組み付いてとめていた。
「なっ……!」
「世界でもっとも有名な雷神どうしだ。 少しばかり楽しませて貰おうか、ゼウス」
「そうか、トールを従えられるほどにまで成長していたか!」
ゼウスが嬉しそうに笑う。
そう、まずは第一の切り札。
雷神トール。
他化自在天と酒呑童子がベースになり、暴と武を極限まで極めた結果、呼び出す事に成功した北欧神話第二世代の主神。
オーディンに主神の座を追われる前の。主神だった状態のトールである。
トールが、ゼウスのケラウノスを押し返す。ゼウスは両手が塞がった状態で、側面に回った煌を見て、まずいと判断したのだろう。
飛び退いて、煌の天叢雲剣の一撃を回避する。
だが一撃は直撃さえしなかったものの、ゼウスの脇腹を深々と抉った。
その間にマーメイドに指示。
煌は走りながら、一転して攻勢に出る。それを見て、パラスアテナが不意にこっちに盾を向けてきた。
いうまでもなく、パラスアテナの盾には、メデューサの首がついている。見た相手を石化させる凶悪な武器だ。
ちなみにイージスという。
現在では海上戦で必須とされるイージス艦の名前の元となったものである。
盾に対して、即座に煌も八咫鏡を展開するが。
盾と鏡で干渉し合って、石化の力は相殺される。
パラスアテナに、天使部隊がざっと襲いかかる。パラスアテナは舌打ちして、その迎撃に移るが。
その間にゼウスは距離を取ると、胸の前で印を組み。全力での詠唱を開始していた。
総力でのケラウノス。
トールを見て、格闘戦だけでは無理と判断したか。
だが、こちらがそう思考するように誘導したのも、恐らくはゼウスは読んでいると見て良いだろう。
だとすると、ここからが勝負だ。
トールがミョルニルを出現させると、全力投擲の姿勢に入る。
わーには下がって貰う。
問題はオデットだ。
オデットは、そろそろ転化出来るはず。今、ミヤズの側で増幅を続けてくれている筈だが。
かなりギリギリの勝負になるだろう。
文字通り雷撃の塊となりつつあるゼウス。それに対して、踏み込みながら、全力でトールがミョルニルを投擲する。
ゼウスが己をケラウノスとして打ち出すのと、トールのミョルニルが炸裂するのはほとんど同時だ。
閃光が辺りを蹂躙する。
同時にマーメイドが氷で壁を作り、その衝撃波を相殺するが。それでも、氷の壁は一瞬で砕け散っていた。
氷の壁にはアマノザコも手助けしていたが、衝撃波で吹っ飛ばされて。床でむぎゅっと声を上げて動かなくなる。
限界だろう、これは。
煌も必死にガードして、顔を上げる。
トールが片膝を突いている。
それに対して、ゼウスは第二射の準備に入っていた。
「流石のパワーだなトール! だが、俺の方が遙かにその逸話での破壊力は強力でな!」
「確かにそれはそうだ。 だがこちらも、最強の武勇を持つ雷神としての名を辱める訳にはいかん!」
立ち上がるトール。
そして、第二射の準備に入るが、流石に間に合わない。更に言えば、煌を支援するマーメイドもアマノザコも限界が近い。
煌自身が倒れたらおしまいだ。
アオガミが言う。
「ゼウスのケラウノス、出力上昇! 逆にトールはパワーが落ちている! 次の一撃は、確実にトールのミョルニルを上回る! 退避を推奨する!」
「いや、ゼウスはあれが最後の切り札です。 こちらも切り札を切ります」
「……分かった! ならば、総力戦を、此処で制する!」
アオガミもその気になった。
それならば、煌も覚悟を決めるだけだ。
ぱんと手を合わせると、詠唱。
この存在を呼び出すには、それだけの準備がいる。
ゼウスがなんだ、と一瞬動きを止めたが。だが、すぐに更にパワーを増幅させていく。ワハハハハと高笑いしながら、更に雷撃がパワーを増していく。
しかし、煌は舞う。
同時に、隣で。
わーも舞を終えていた。
たんと、二人同時の舞が終わる音がする。
それと同時に、「扉」が開かれていた。
「何……っ!」
ゼウスが呻く。
そう。
煌の最後の切り札。それは、この国の東京受胎が起きる少し前から失われていた最高神。理由は分からない。
だが、ガイアとホルスをベースにして、ようやく呼び出す事に成功したこの国最大の神格。
「降誕せよ、天照大神!」
「……久方ぶりの復活か。 まあいいだろう。 よりにもよって愚弟に呼び出されるのは癪であるがな」
文字通り空間の門を開けて現れた、衣を纏った威厳ある女性。古い時代の髪型だが、決して見苦しくもない。
この国の三貴神の長にして、最高位の女神。
光を煌々と放つ天照大神に、明らかにゼウスが怯む。
「マーメイド! アマノザコ!」
「はい! あるじさま!」
「うーん……うわっ! 天照大神様! わ、わかった! 全力で行くよ、よ!」
二人が、フルパワーで煌の力を増幅。
更にはトールが、ミョルニルの力を、半端な状態ではあるが投擲して解き放つ。ゼウスもこれ以上のためは不可能だと判断したのだろう。ミョルニルに対して、全力でぶつかっていく。
激しい競り合いの末に。
アオガミが読んだとおり。ゼウスはミョルニルを正面から打ち砕く。
だが、無傷で済むはずがない。
其処に、周囲にばらまかれた雷撃も吸収。
暴風神として最大限のパフォーマンスを得た煌が突貫。その背中に、天照大神が力を付与してくる。
ケラウノスが、見る間に迫ってくる。
そして、激突していた。
ゼウスが凄まじい雄叫びを上げる。
歓喜と闘気に滾った声だ。
だが、それをじりじりと押し込んでいく。ゼウスは笑いながら、その猛烈な攻撃と競り合ってくる。
「いいぞ! いい! この国の最高神すらも眷属とした今の貴様夏目煌! 俺が見てきた中で、最高のナホビノの器だ! おまえなら、人間を無意味に持ち上げる無責任な人間賛歌の時代を終わらせられる! この座とか言うものを巡る馬鹿げた戦いに終止符を打てる! そして、その先に人間を連れて行くことが出来る!」
「ゼウス。 僕は心は人間のままのつもりだ。 どれだけ欠陥があるとしてもな。 勿論その先に行くのなら、僕自身も変わらなければならないだろう。 それを受け止める器であるのだとしたら。 甘んじて受けよう」
「ちいっ。 やっぱり貴様を半身としてほしいなあ。 だが、これはまあ決めたことだ。 俺に勝ったんだ。 必ずや……やりとげろ!」
「そうさせてもらう」
ゼウスが、はじけ飛ぶ。
ケラウノスの全火力を、天照大神の支援も受けたフルパワーの暴風神としての力で、粉砕したのだ。
それは、ケラウノスそのものとなっていたゼウスの粉砕も意味していた。
マガツヒになって飛び散りながら、なおもゼウスは満足と歓喜の笑いを挙げていた。
「ギリシャの神々に告ぐ! 俺は負けた! 約束通り、この夏目煌が次の座に着くことを認める! 戦闘を中止しろ! 逃げ散るなり、このものの眷属になるなり、それぞれ好きにすると良いだろう!」
「……っ」
パラスアテナがテュールの剣と競り合っていたが。悔しそうに下がる。
まだ無事だった神々は、ヘラが声を掛けて、撤収していくようだった。ニンフなどの下級の神々には、イチロウやユヅルに降参を申し出る者もいた。
煌は、疲れ切って座り込む。
傷ついた眷属達を戻す。天照大神は特に真っ先に戻した。今までの眷属で、もっとも消耗が凄まじい。呼び出しているだけで消滅しかねなかった。
ミヤズが回復に走り回っている。越水長官も、ミヤズも、イチロウも、ユヅルも。皆無事だ。
勝った。
恐らく軍勢を相手とする戦いでは、これが最後だと見て良いだろう。
問題は、回復をどうするかだが。ミヤズが奔走してくれているが、これは間に合うかどうか。
「煌様」
オデットが来る。
体が淡く輝いていた。
そうか、転化か。
ケルトの女神然とした姿だったオデットが、柔らかいローブに身を包んだ姿に変わっていく。額に月桂樹らしい冠を被り、上品なサンダルで足下を固めていた。手足に輪をいくつかつけている。
仰々しい飾り物で全身を飾り立てているわけではない。
まだ子供の容姿のままだ。
だが、其処にはうかつに触れてはならない明確な神性が生じていた。
「オデット、その姿は」
「恐らくは地母神そのものの概念だと思います。 デメテルさんが至高天に戻り、原初の地母神という概念が復活しました。 恐らくは、それらの地母神の一柱。 もはや名前も残らない、豊穣の権化だと思います」
「そうか。 今までにない力の増幅が出来そうか」
「はい」
頷くと、オデットが力の増幅を始める。イズンが、驚いた顔で周囲を見て。それで回復を始めた。
残った物資を全て使うようにと、越水長官が手配。
イチロウやユヅルの生き残った眷属達が、回復班に回し始める。
後方から来た神魔はまだいるようだが、煌達の力を見て、そのままきびすを返して戻っていく。
戦っても勝てない。
そう判断してくれたようだ。
煌としても力を使い尽くす寸前だった。だから、そう判断して戻ってくれたのはとてもありがたいが。
ミヤズが煌の回復も始めてくれる。
ソーマという、インド神話の一種の酒を使っていた。酒というか麻薬に近い代物であるのだが。
何でも恐ろしいほど貴重な品であるらしく。
旧八咫烏の幹部の屋敷から押収したもののなかでは最大の値打ち品であるらしい。これ一つで、2兆円くらいするらしいのだが。越水長官は、此処でなければいつ使うのかと、利用を許可してくれた。
それで皆の力が戻っていく。
ただ、オデットによる回復効果もまた途轍もなく大きかったか。
というよりも、これは。
至高天の踊り場が緑に満ち、草木が生え始めている。一部は花咲き始めていた。泉が生じ。様々な蝶が舞い踊り始める。
無機質だった至高天が、美しい場へと変わりつつある。
なんとなく、理解できる。
これは、恐らくはデメテルが本当に求めていた、人間の世界の深奥の姿。
殺し奪い蹴落としあう。
そのような心の世界が、階段がずっと続いていて、頂点に座がある今の至高天。
だとすると、本来の至高天は。
こうであるべきだと、考えていたのではないのだろうか。
「今のオデットは、聖母マリアやイナンナ、ダヌーなどの類例に近い存在であるのかも知れないな」
「剣はもう持てません。 戦いには役には立てません」
「いや、それでも充分すぎるほどだ。 短時間で陣容を立て直せるだろう。 後は……」
煌の眷属も、回復が進んでいる。
傷だらけだった皆も、テキパキとミヤズが手当を終えていく。
まだ何か控えているかも知れない。
座には今は四文字の神はいないだろう。
だが、其処に何かしらの防衛システムや、試練が存在している可能性も否定できないし。それに。
様々な証言を聞く限り、大魔王ルシファーが居座っている可能性もある。
ただ、ルシファーが創世したとはとても思えないのだ。
まずはともかく、体勢を立て直す。
それからだ。
ギリシャの神々の総力を退けた。それで充分すぎるほどである。しばらくは座禅を組んで、回復に専念する。
もう、座は近い。
全てを巻き込んで、下手をすると世界を滅ぼしかねなかった存在。
そしてうまく活用できれば、世界の破綻を回避させられるかもしれない存在。
それはもう、側にある。
創世の女神二柱は、既に人間としての自我を失い、システムと化していた。
自我は完全に眠りについている。
そういうものだからだ。
磯野上タオと呼ばれていた存在は、本来は創世のために、ある人間の体の中に宿った集合的無意識の先兵。
それは昨今は尋峯ヨーコと呼ばれていた存在も同じ。
二柱は飛ぶ。
座までの物理的距離はあまり意味がない。
此処は強いて言うなら、二次元の世界と三次元の世界の合間。本来三次元存在が入れない二次元世界に、無理に三次元世界が入れるようにした世界だ。
神魔は決して人間に比べて高位の存在などではない。
人間に依存して出現し、人間の信仰心を得て力となす。
これは一神教の神だろうが、その辺りの祠の神だろうが同じだ。所詮は人間に依存する精神生命体が、人間より高位の筈がない。
人間が高位の存在だと創造したからそうなっているだけ。
創造した人間が破綻すれば神魔など滅びてしまうのである。
それなのに、神魔は創造主である人間に似過ぎた。
野心的で暴力的で残虐で。
そのあり方は邪悪ですらあり。
冷酷でもあった。
最初は違ったかも知れない。
いや、確実に違った。
だが人間が技術を高め、他の生物よりも遙かに強い存在となった時。その傲慢は爆発した。
原初の願いであった全てに対する純粋な好意は。
欲望と暴力によって蹂躙されたのである。
だから原初の神は作り出した。
神魔と人間を導く創世の女神の仕組みを。
タオとヨーコだったものは、座への道を作り出す。それは物理的距離など関係ない、人間の集合的無意識の中枢へとつながる道。
それでありながら、その全てに影響を与えられる場所。
人間は所詮主観でしかものを見られなかった。
客観を旨とすべしとする信仰……例えば仏教などもあったが。それも支配のツールとして使われるばかりだった。
それでもなお。
原初の神の願いはまだこうして生きている。
四文字の神は、創世の女神の導きさえ拒否した。
創世の女神が現れた時、四文字の神は天使達に命じてずたずたに引き裂かせた。
おかしなものだ。
最大の罪を傲慢とし。
万物への愛を自称する四文字の神が。
もっとも傲慢で。
神魔で一番愛に近い存在が作り出した創世の女神のシステムを、完全に正面から拒否したのだから。
それでも創世の女神は、人が人である限り何度でも現れる。
それはそういうモノだから、である。
「道の構築完了」
「完了」
「これより座にナホビノを導く」
「創世が行われる」
タオとヨーコだったものから漏れる言葉は、ただのシステム音声だ。其処には感情は何一つ残っていない。
だが、それでいいのだ。
此処に不公正があってはならない。
この体を用いた人間は、そもそも死ぬ定めにあった。
磯野上タオは、本来は重度の小児癌を患っていて。創世の女神に覚醒しなければ、八才まで生きられなかった。
尋峯ヨーコ……と後で名乗った存在に至っては、無能な親と周囲のせいで「健康的な食事」を強要され続けた結果、五才で死に瀕したほどだった。
それらが生きているのは、創世の女神の力が宿ったが故。
だが、システムが死からすくい上げたからといえ。
元の人格を消したり、魂を奪い去って良いものなのだろうか。
それが世界のためであったとしても。
磯野上タオだったものの手が、一瞬だけ止まる。
「どうした」
「……なんでもない」
また作業を磯野上タオだったものが再開する。まもなくして創世が行われる。そしてそれは、あの夏目煌が行う。
だとしたら、今までにない最高の創世が行われるはずだ。
それを拒む理由は、ない。
ついにゼウスが屈服。
そして、創世の女神となったタオとヨーコが創世の座へと皆を導きます。
その心が既になくなっているとしても。
もはや、後は創世のみです。