真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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ナホビノ夏目煌くんの眷属達は、その願いを叶えるために様々な平行世界に飛ぶことになります。

その中の一人が、拙作「もう一人の東京守護者」で活躍したマーメイドですね。






1、平行世界への救済へ

至高天が美しい花園に変わりつつあるのを見つめながら、煌は主だった眷属達に依頼をする。

 

座に着いたことで、平行世界が見渡せるようになった。

 

ある平行世界では、核兵器が世界中を焼き尽くして。東京だけが残った。しかもこのパターンは複数あった。

 

その一つでは、TOKYOミレニアムなるディストピアが作られ。

 

一神教の理によって、人間が選別された挙げ句、想像を絶する残虐行為が繰り返されていった。

 

四大天使すら、それらの行動に加担している有様だ。

 

別の一つでは、東京を守護者将門公が守ったが。その結果東京を包み込んだ巨大な天蓋となった将門公は、東京から光を奪ってしまった。

 

地獄と化した其処では、わずかな生き残りが、悪魔に脅かされながら、破滅の時を待つばかりだった。

 

それらの平行世界は、「大きな流れ」を主軸とし。

 

様々な可能性世界へと分岐していく。

 

巨大な星がいくつも存在していて。

 

衛星がたくさん浮かんでいる。

 

そういうイメージだ。

 

だから中枢点にある星を変えなけばならない。

 

それらの平行世界の中で、いわば太陽系における太陽とも例えられるこの世界は、もう大丈夫だ。

 

今度は平行世界を苦しめているマントラの理を、どうにかしなければならない。

 

この世界では地球が堪忍袋の緒を切った。

 

だが世界によっては、地球がそうすることすら出来なかった。

 

一瞬にして地球の生命力が全面核戦争などで奪い尽くされた結果だ。

 

それらの世界は、一神教の理によってむしばまれ。

 

人間の進歩など期待すら出来ない状態になっていったのだ。

 

「それで主よ。 俺たちに、それらの世界を救ってほしいというわけだな」

 

「そうなる。 厳しい仕事になる。 平行世界での抵抗も受けるだろう。 まずは、悪魔王ルシファーに知恵のコピーを渡すところから始めてほしい」

 

「あるじさま。 それを成し遂げたら、喜んでくれますか」

 

「ああ。 このような事、どこでも起きているというのがおかしいんだ。 勿論、詰んでいない世界も観測する範囲では存在している。 そういった世界には、干渉する必要はないだろう。 皆が行くのは、そういった詰んだ世界だけだ」

 

それだけでいい。

 

実際問題、そうすることで、どれだけの存在が救われるか分からない。

 

そして中心点となっている詰んだ世界を救うことで、その派生した平行世界も、全て救うことが出来るだろう。

 

取り返しがつかないほど詰んでしまっている世界もある。

 

だが、そういった世界であっても。

 

今の煌の眷属達なら。

 

座に到達した煌の力を受け。

 

そして数限りない平行世界の知識を受け取り。

 

救えなかった世界の悲しみや。

 

失敗してしまった世界の嘆きを背負った煌の力を共有している皆だったら。

 

それをなせるはずだ。

 

「分かった。 どうしようもない騎士だった俺も、これでやっと世界を救う英雄となる事が出来るかも知れないな」

 

「私は、あるじさまが喜んでくれれば、それだけで幸せです」

 

「煌が喜んでくれるなら、あたいは行くよ! よ!」

 

フィンもマーメイドもアマノザコも、それぞれ嫌がる事もない。

 

ただ、アマノザコは少し力の制御が不安定か。

 

フィンと組んで貰うことにする。

 

マーメイドは大丈夫だ。

 

とてもしっかりしている。

 

欠片でありながら、ほぼ伊弉冉尊としての力を取り戻しているわーは此処に残って貰いたい。

 

天地の神々のバランスがとれていて、やっと座は成立する。

 

どちらかと言えば天よりのユヅル。

 

地よりのイチロウ。

 

それに中立の煌。

 

皆がそろっていて、やっとこの座は安定するのだから。

 

「数多の平行世界を渡ると、力は落ちる。 まずは回復するところから始めるようにしてくれ」

 

「分かりましたあるじさま」

 

「それと、現地の協力者を募ってほしい。 どれだけ力に渇望していても、正義や秩序を望んでも。 それらはほとんどの場合、感情が先に立ってしまっている事を忘れてはならない。 どんなに荒れ狂った乾いた魂であっても、客観性を持てば、それがおかしいことは理解できる事もある。 諦めずに、丁寧に接してほしい」

 

フィン。マーメイドとアマノザコ。それぞれが、先に旅立つ。

 

他にも神魔を募る。

 

ともに戦ってきた神魔の中から、希望するものを送り出す予定だ。

 

まず第一陣として、三人を送り出した。

 

ミヤズが地上に帰る、少し前のことだった。

 

 

 

フィンとアマノザコは、TOKYOミレニアムと呼ばれる場所にたどり着いていた。

 

圧倒的な暴力によって、一神教の理が支配した世界。

 

世界中に核が墜ち、TOKYOミレニアム以外の土地は汚染され尽くされ。ほとんど何も生存できなくなった地獄絵図。

 

フィンは酷いな、と思った。

 

フィンが……正確にはフィンのモデルとなった人間が生きていたのは、西暦三世紀前後である。

 

勿論その人間の記憶がフィンに全てある訳ではない。フィン自身は伝説的な存在であり、あくまで幻魔だ。

 

悪魔が荒野を徘徊しているが、どれも体が崩れている。

 

「フィン、こいつら、もうどうしようもないんじゃないのかな」

 

「ああ。 信仰する人間が少なすぎるんだ。 とりあえずは協力者を見つけなければ話にならないな」

 

「とにかく、やっつけよう」

 

既に囲まれている。

 

世界を渡ったことにより、かなり力は落ちている。主のところにいた時の十分の一程度か。

 

座に着いた時は、ヘラクレスを超えるくらいまで力が増していたのだが。

 

今では義経が一蹴したクラトスに勝てるかさえ怪しいだろう。

 

それでも、この程度の悪魔どもなら、どうにでもなる。

 

唸りながら襲いかかって来る悪魔を、片っ端から斬り伏せ、火炎の魔法で焼き払う。更にそれをアマノザコが増幅して、火炎竜巻に仕上げる。

 

アマノザコは煌のところですっかり力を取り戻して。

 

その正体がなんだったかも理解してからは。

 

もう月の光を見た程度で、暴走することもなくなったようだった。

 

体が崩れた、もはや悪魔とも呼べない存在達を一蹴。

 

これでよし。

 

そして見上げる。

 

あれがTOKYOミレニアムか。

 

感じるのは。

 

いや、妙だ。

 

アマノザコが言う。

 

「四文字の神の力、なんだか凄くいびつだね。 どっちかというと堕天使に近いんじゃないのあれ」

 

「ああ。 どうやら天使どもはこの世界でも腐りきっているようだな」

 

「ろくでもな。 しょうもな」

 

「しかし……かといってこれは」

 

悪魔達のマグネタイトを吸収して理解する。

 

これはこいつらも大差がないと見て良いだろう。

 

魔界の悪魔達も、すっかり邪悪に染まりきっている。こんな荒れ果てきった世界だ。主が詰んでいると判断したのも納得である。

 

主は手が届く範囲は救いたいと考えた。

 

自身の世界では、ついにそれを成し遂げた。

 

数限りない試行錯誤の末だ。

 

もしも倒された場合は、主の方で察知する。そして再構築して、また送り込んでくれると言うことだ。

 

ただ、その間に平行世界が一つ二つはなくなるだろう。

 

幾らでも平行世界はあるから、で許される話ではない。

 

それなりに重いものを背負った、厳しい戦いなのだ。それは常に理解しないとならないだろう。

 

巨大なTOKYOミレニアムに近づいていくと、みすぼらしい格好の人々を見かける。彼らは地霊や妖精とともにあるようだった。

 

警戒する彼らに名乗る。

 

フィンと名乗ると、博識らしい老人がおおと声を上げた。

 

ただ彼の顔は崩れきっていて、額に頬にも目があった。

 

激しい汚染で、体が完全に崩壊してしまっている。TOKYOミレニアムに住むことさえ許されず。

 

それでもなお生きている人々の姿がこれだ。

 

いつ悪魔に襲われてもおかしくない。その悪魔だっていつでも殺し合っている。

 

酷すぎる世界だと、フィンは思った。

 

「ケルトの英雄騎士どの! ありがたい。 我らの助けになってもらえるのだろうか」

 

「ああ。 こちらはアマノザコ。 我らがそろって、貴殿等を可能な限り救おう」

 

「ありがたいありがたい。 戦える妖精達は決して多くないし、皆が我らに友好的な訳でもない。 貴方のような幻魔であれば、或いは」

 

「大丈夫。 我らは貴方達の味方だ。 それと……」

 

フィンとしても、此処に骨を埋めるつもりはない。

 

やるべき事は、この詰んだ世界を打開することだ。

 

それにはフィンだけでは駄目だろう。

 

この世界を変えうる存在を見つけ出さなければならない。

 

主は観測してくれていた。

 

この世界では、メサイアプロジェクトなどというものを立ち上げている。

 

救世主が現れないのだったら、作ってしまえ。

 

そういう乱暴極まりない計画だ。

 

四大天使どもが主導で行ったこの計画だが。これが発動してしまうと、だいたいの場合はろくでもない結末に終わる。

 

TOKYOミレニアムに住んでいる人間だけが救われるのでも。

 

この虐げられた人々だけの世界が来るのでも、それぞれ意味がない。

 

荒れ果てた地上を新しく耕し。

 

そしてこれだけの事をしでかしておきながら、のうのうと居座っている四文字の神を叩き潰す。

 

どちらもやらなければならないのが難しいところだ。

 

それにルシファーと接触しないといけない。

 

ルシファーに知恵の実のコピーを渡さなければ、それこそ地上全てを吹き飛ばすような計画を立ててもおかしくない。

 

それほどに、この世界は荒れ果てているのだ。

 

やれやれ、困難だな。

 

フィンはそう思いながら、まずは出来る事からやっていくことにする。

 

地底に追われた人々を更に殺戮する悪魔を、片っ端から仕留める。同じようにして戦ってくれているクーフーリンを見つけた。

 

この世界でも雄々しい立派な妖精騎士だ。

 

話を打ち明けても良いが。

 

あくまで平行世界の別存在である事も忘れてはならない。

 

それに日本でのクーフーリンは、存在が歪んでいてもおかしくない。今は肩を並べて戦う、くらいでいいだろう。

 

手当たり次第に人々を襲う悪魔を退治して、力を少しずつ取り戻していく。

 

そして、アマノザコと、休憩中に相談しておく。

 

「ええと、救世主が現れる十年くらい前が此処なんだっけ」

 

「そうだ。 その計画が始まる頃には、更に状況は悪化している。 この時間線から三年以内が勝負だ、ということだ」

 

「手分けする?」

 

「そうしたいがな。 残念ながら、今の我々では、それも難しいだろう」

 

そう一瞥した先には。

 

転がっている巨大な悪魔、カトブレパスの死体があった。マグネタイトになりつつあるが。

 

同時に雑多な悪魔が群がって、むさぼっている。

 

地獄絵図だ。

 

今の実力ではこれくらいが精一杯。

 

しかもこの世界では、こんな有様だから、マグネタイトの絶対量が少ない。神魔はどちらもとても強くなりづらいようだ。

 

「どうにかしてルシファーに接触できれば良いのだが。 その前に、まずは力を蓄えよう。 アマノザコ、貴殿もその力ではまだ心許なかろう」

 

「うん。 精神の制御はもう完璧に出来ると思うけど、この世界のマグネタイトだと、最上位の魔法は簡単には使えないと思う」

 

「そうだな。 それは俺もだ」

 

「他の世界にいったみんなも、うまくやれているかな……」

 

アマノザコが弱音をこぼす。

 

だから、フィンが励ます。

 

腐っていたフィンを救ってくれたのは、誰よりも正しくあり続けた主だ。誰もが妥協して腐っていくのに、主は最後まで全く折れなかった。

 

人間の騎士として、どれだけ情けない存在だったか。

 

フィンはそれを思う度に、主のことがとても誇らしくなる。

 

同時に主が嘆くような真似だけは、絶対にしてはならないとも思うのだった。

 

「よし、次だ。 まだ大物が近くをうろついている。 理性すらなくしてしまったような者もいる。 全部仕留めて回ろう」

 

「そだね」

 

立ち上がると、次に取りかかる。

 

まだまだ。

 

この程度で、弱音など吐いてはいられなかった。そして気弱になりがちなアマノザコを、フィンが励まさなければならなかった。

 

 

 

マーメイドは浮上すると、酷いと思った。

 

あまりにも、荒れ果てている。

 

この世界について、少し調べて回った。

 

核兵器が世界中に落ちてから、25年ほどが経過したようだ。将門公が東京だけを守って。それで。

 

東京の外と内で、ドーム状の天蓋になった将門公が壁となり。時間の流れの差が出来てしまった。

 

時間の流れの差は、60倍くらいだろうか。

 

天蓋の内側は地獄だ。

 

秩序も何もなく、東京都民は悪魔に怯えながら、絶滅寸前にまで追い込まれてしまっている。

 

しかも四文字の神はこの世界でも君臨していて。

 

天使が勝とうが悪魔が勝とうがどうでもいいと、座から高みの見物を決め込んでいるようだ。

 

天蓋の上には東のミカド国なる帝政国家が生じており。

 

そこは天使が管理した、文字通り飼い慣らされた豚と化した人々が、ただ役割だけを与えられ。

 

その通りにだけ生きている。

 

どうにもならないな、これは。

 

確かにあるじさまが送り出すわけである。

 

マーメイドはまずは頼りになる存在を探すことから始める。

 

マーメイドは元々たいした強さの悪魔種ではない。それもあって、道を泳いで進んでいると、かなりの頻度で悪魔が襲ってくる。

 

その全てを返り討ちにして、マグネタイトを吸収していく。

 

それらの悪魔の中には、理性を失ってしまっている存在も決して少なくはなかった。

 

しばらく無心で周囲を探す。

 

あるじさまの指示で、辺りを偵察してくることも多かった。

 

支援戦闘のイロハは一緒に戦ってたたき込まれたし。

 

それであるじさまと一緒に勝ってきたというプライドも今はある。

 

何より、今なら、ある程度の存在とは素の状態で戦う事が出来る。支援戦闘が主体だったとはいえ、今では水の魔法はほぼ使いこなすことが出来る。

 

膨大な戦闘経験に加えて、あるじさまの持っていた圧倒的な知識。それらがマーメイドにも力を与えている。

 

それに加えてアナーヒターをはじめとする神格から魔法も教わっている。

 

あれだけ戦い続けたのは、無駄ではなかったのだ。

 

大きめの気配。

 

この東京では、異色なほどの強い気配だ。

 

ともかく、近づいてみる。

 

見ると、巫女服に身を包み、赤いリボンで髪をまとめている目つきの鋭い女性と。

 

陣羽織を身につけ、鋭い剣捌きで縦横無尽に悪魔を斬り倒している女性を見かけた。

 

手助けは必要ないだろうか。

 

そう思っていたら、近くの地面を割って、巨大な悪魔が現れる。

 

あれは、見覚えがある。

 

ミニョコンだ。

 

いもしないUMA。体長50mにも達する巨大なミミズ、であったか。

 

二人が流石に驚いたようだ。

 

特に巫女の方は、明らかに慌てている。

 

あれは知識がないと慌てるタイプだろうか。いずれにしても、あの二人は、何かしらの縁を感じる。

 

助けた方が良いだろう。

 

高速で地面の下を泳いで接近。

 

近くに多数の悪魔がいる。

 

マーメイドがいた魔界の東京よりも遙かに獰猛で皆飢えている。向こうでは神様は魔と比べてある程度行儀が良かったのに。こっちでは神様でも、平気で人間を食い散らかしそうだ。

 

それほど心がすさんでいるし。

 

人間が減りすぎて、おかしくなってしまっているのだ。

 

あの最終的に花畑になったアティルト界の光景も、此処では荒野に等しいだろう。それを、一から再建する。

 

あるじさまとともに戦った時を思うと。

 

あの人への思慕を思うと。

 

それもまた、全然ありだ。

 

ミニョコンの攻撃を、多数の札を展開して巫女の方が防ぎ止める。剣士の方は何やら半身悪魔化して、ミニョコンの巨体をつかんで放り投げていた。

 

思ったよりずっと強い。

 

だが、背後から迫る翼ある悪魔。

 

それがミニョコンの大質量攻撃を防いで隙が出来た巫女を、背後から襲う。巫女が気付くが、反応がほんの一瞬遅い。

 

そのほんの一瞬が。

 

死につながる。

 

マーメイドは躍り出ると、冷気の魔法を展開。

 

翼ある悪魔を、瞬時に凍り付けにし。そのまま粉砕していた。

 

どおんと、ミニョコンが地面に打ち倒される。激しい地響きで、悪魔達が逃げ散っていった。

 

いや、あれは。

 

地響きに怯えたのよりも。

 

恐らくは、おこぼれに預かれないからだ。卑しいな。そうマーメイドは、昔は自分だって似たようなものだったことを思い出して悲しくなる。

 

あるじさまと出会わなかったら。

 

野垂れ死にするか。

 

マガツカの一部になって、無差別に辺りの神魔をくらい続けていたのだろうから。

 

「西洋の人魚ねえ……」

 

すっと、側に巫女が降り立ってくる。

 

息をするように空を飛ぶことが出来るようだ。年齢は17から18くらいだろうか。あるじさまと同じくらいの年に見える。

 

それはそうと、分かる。デビルサマナーでもなければ神魔の半身でもない。ただ本人が、超常の能力を持っていて。それを使いこなしているというだけだ。

 

「助けてくれたのは礼を言うわ。 かなり危ない場面だったし。 それであんたはどこの誰かしら? 感じる力、あたしたちのどっちよりも強いんだけど」

 

「私は最近ここに来たばかりです。 ある目的があって、此処の人達を助けるために来ました」

 

「西洋でも人魚は船乗りを沈めて殺したり食らったりという存在だと聞いたのだけれどね。 貴方も声に呪いが含まれているようだけれど。 まあいいわ。 こっちも目的は同じよ。 あたしの故郷を滅茶苦茶にしてくれた連中が、この天蓋の上に住み着いているらしくてね。 そっちの子と一緒にたどり着いたは良いけれど、さてどうしたものかと途方に暮れていたのよ」

 

そうか、それでは利害は一致している。

 

巫女は何か虚空に指を走らせていたが。それが占いだと気付く。占いが得意な眷属は、何人かいたのだ。

 

「こちらが吉、か。 でも強力な悪魔の気配もするわねえ」

 

「……」

 

陣羽織の剣士がこくりと頷く。

 

そしてマーメイドを見ると、持っていた短刀を少しだけ抜いて見せた。

 

其処には「秀」と書かれていた。

 

それから、それぞれに名乗り会う。

 

あるじさまと一緒に旅をしてきて、強運も身についた自負がマーメイドにはある。この二人は、まだマーメイドには及ばないが、とてつもない潜在能力を身に秘めていると見て良い。

 

かなり遠い平行世界に来たから、あるじさまと一緒に最高位クラスの神魔と戦っていたほどの力はない。

 

それにマグネタイト中心で具現化している此処の悪魔は、マガツヒ中心で具現化していた東京の魔界の悪魔とはだいぶ勝手が違う。

 

そこから慣れていかないといけないだろう。

 

進んでいくと、凄まじい業火が上がった。

 

あれは堕天使アドラメレクだな。気配で分かる。一度自分の世界で倒した相手だ。どうやらこの平行世界でも、好き勝手しているらしい。

 

多数の手下を引き連れているが、ここにいる面子の敵じゃあない。

 

頷きあうと、囲まれている人間達を助けに向かう。

 

もっとも、囲まれている中にとんでもなく強いのが一人混じっている。気配がわずかに森可成と似ている。同じ時代の人かも知れない。

 

その割にはとても幼い、白い不思議な女の子だが。

 

あれは何かしらの存在が憑依しているのかも知れなかった。

 

ともかく、全ては助けてからだ。

 

この世界での戦いは、今始まったばかりである。

 

あるじさまの願い通り、全ての世界を救う。勿論既に終わってしまった世界はどうにもならない。

 

それでも出来る範囲で出来る事はする。

 

それが、今ではマーメイドの願いでもあった。







マーメイドがこの後どういった戦いをしていくのかは、「もう一人の東京守護者」をご覧ください。

いずれにしても、まだまだ戦いは始まったばかりです。





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