真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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原作真Vでは助かるルートがなく、真VVでは創世を巡る戦いから脱落した八雲ショウヘイ。

本作では早めに創世を巡る戦いから降りたこと。更には和解を果たせたこともあり。

つきものがようやく落ちて、人の世の平和を守るべく。第二十代目葛葉ライドウとなって活動を開始しました。





2、先に進む世界

八雲ショウヘイは命令を受けて出る。新生八咫烏は人員を再編成している最中だ。既に第一線を退いた平塚ツバメ……師匠が今は後進の育成をしている。たまに医師になった敦田ミヤズも呼ばれて訓練を指導しているようだ。

 

デビルサマナーの需要は急増している。

 

それもそうだろう。

 

今や、世界各地に神魔が普通にいる。

 

人間との摩擦もどうしても起きる。

 

人間側が変わったから、神魔の方も態度が柔らかくなったが。それでもどうしても摩擦は生じる。

 

それを解決するためには、専門家が必要で。

 

18年間で失われたデビルサマナーの組織を再建しなければならない。

 

幸い、ガイア教団もファントムソサエティも、ともに破綻したまま再建のめどは立っていないし。

 

今更そんなもの、再建しても意味がないことは誰もが理解しているようである。

 

だったら八雲ショウヘイの仕事もある程度楽にはなる。

 

今日の仕事は、交渉だ。

 

ある山に出向く。

 

目覚めたばかりの山の神が、地元の住民とどうしても折り合いがつけられないらしい。

 

昔だったら斬り捨てて終わりだっただろう。

 

今は側にいるジョカが、出来るだけ穏便になとしつこいこともあるし。八雲ショウヘイ自身も、あの夏目煌が約束を守った事に、思うところがある。

 

それもあって、仕事をこなすことに不満はなかった。

 

現地に出向くと、既に自衛隊が出ていて。八雲ショウヘイが顔を見せると、敬礼を受ける。

 

和解が成立したのは、直接両親を加害した連中以外は八雲ショウヘイとジョカが殺さなかったから、である。

 

それに以降は、不要な殺生もしていない。

 

最近は少しずつ、人間味が戻りつつあるとも言われている。

 

訓練指導に加わることもあるのだが。

 

デビルサマナー候補生から、少しだけ笑ったと言われることもあって。八雲ショウヘイ自身が驚くこともあった。

 

人間性を失わないまま、頂点にまで行った夏目煌と違い。

 

頂点を諦めた結果、八雲ショウヘイは人間性を取り戻しつつあるのかもしれない。

 

皮肉な話だ。

 

惰弱と断じていた人間に戻りつつあるのに、不快感はない。

 

両親の死に対して、正式な調査と裏で行われていた陰謀が公表され。

 

非常に残虐な事件として死後告訴、有罪判決も出ている。

 

両親は魂ごと砕かれてもはや輪廻に戻ることすらかなわない事態には変わりはないのだが。やることはやってくれたと判断すべきで。

 

これ以上八雲ショウヘイが、ああだこうだという問題ではない。

 

今はそう判断していた。

 

田舎道を歩いて、現地に到達。

 

荒れ果てた廃棄された田んぼに、小山のようなその神が鎮座していた。文字通り生きた小山という容姿である。

 

国津神クエビコ。

 

スクナヒコナと同一視される事もある田の神で、案山子の神でも知恵の神でもある。

 

クエビコは不満そうにうなりを上げて、八雲ショウヘイを見る。

 

刀には手を掛けない。

 

「不満ごとがあると聞いてきた。 一応場の全権は任されている。 俺は八雲ショウヘイ。 国津神クエビコで間違いないな」

 

「そうだ。 この土地を見ろ。 何という田に対する敬意の欠如か。 あまりにも嘆かわしい光景だ」

 

「そうだな。 それで人間達を追ったか。 既にアティルト界が改革され、この世界は変わりつつあるのは分かっているだろう。 目覚めたばかりで実感がないか」

 

「それもあるが、それをもってしてなお不快だ。 この地に人間を近づけたくない」

 

そうか。

 

だがそうなると、田はもはや存在しなくなる。

 

そうなれば、クエビコの存在意義そのものがなくなる。

 

クエビコはスクナヒコナと被る神格であり、海の向こうから来たと言う逸話が存在している。

 

だとすれば、稲作の神格と判断しても良く。

 

ウカノミタマなどのもっとも信仰されている豊穣神とも系譜は被る。

 

それがこのように人間と敵対していては勿体ないだろう。

 

「それならば、一度今の人間と神魔の関わりを見てみてはどうか。 足は俺が用意しよう」

 

「ほう……」

 

「目覚めたばかりだというのであればなおさらだ」

 

「そうだな。 其方が従えているのは道教の最高神であろう。 だとすれば、其方ほどの力の持ち主が言うことには意味があると判断して良さそうだ」

 

クエビコの言葉に、ジョカが少しだけ眉をひそめたが。

 

まあジョカも他意はないと判断したのだろう。

 

そのままクエビコを、持ち込んでおいたトラクターに乗せて運ぶ。トラクターの運転くらいは出来る。

 

これでも警官を目指して勉強していたのだ。

 

全てが台無しになる前も、デビルサマナーとして活動範囲を広げるために、運転免許も取った。

 

トラクターの運転免許は後から取ったが。

 

別にこれくらいは難しくもない。

 

黙々とクエビコを乗せて運んでいく。クエビコは、様変わりした世界を見て、驚いていた。

 

空を舞う多数のドローン。

 

役割がそれぞれ違うが、今や当たり前の光景となった。この国ではドローン産業が復活し、今ではすっかり稲作を手伝っている。

 

「あれは鳥か」

 

「稲作用のドローンだ。 農家の人間が減っているから、国がそれぞれに作業量軽減のために供与している」

 

「なんと。 それで人間は働かなくなったのか」

 

「そうでもない。 アレを見ろ」

 

クエビコに促す。

 

あそこで話をしているのは、ひょうすべと農家の男性だ。ひょうすべは河童の一種ともされる存在だが、いずれにしても水妖の一種である。田畑には詳しく、細かい専門的な話をしているようだった。

 

「わしがいた頃は、ひょうすべと農民が話をして、それで稲作をするなど考えられぬ事だった」

 

「ああ、一方的に信仰するされるの関係だっただろう。 ひょうすべもそうだが、稲作に関連する神魔は今やああやって人々とともにあり、稲作に加わっている」

 

「で、ではなぜわしの田は放置されていたのか」

 

「それはな、国による再建の途中だからだ」

 

高台に出る。

 

クエビコが手を伸ばして見ているのに、説明をする。

 

あの辺りまで、現在再開発が進んでいる。

 

田畑は手が入っていなかった。

 

其処に国が支援して、人材と神魔を手配して、耕作地をよみがえらせている。かなりの長期間放置されていた耕作地だ。

 

今は少しずつ、田畑をよみがえらせている。

 

飛んでいったのはヘビトンボだ。

 

非常に獰猛な昆虫だが、水質汚染に弱く、数が減る一方だった。それはタガメも同じである。

 

今ではタガメも数が回復しつつある。

 

田畑に適応した生物を、無闇に農薬で殺さなくても良いように、研究が進んでいるのである。

 

「忘れ去られたわけではなかったのか……」

 

「そうだ。 後三年ほどで貴様の田まで開発が戻る。 放置されていた田にも、人も神魔も来るだろう」

 

「三年……そうか」

 

「三年を待てないなら、どこかに越す先を見つけよう。 国にはその程度の裁量を任されているが」

 

しばらく考え込んでいたが。

 

クエビコは、いらないと言った。

 

八雲ショウヘイにも見えている。

 

今の田畑には、失われた八百万の神々や、魔がたくさんいる。悪戯をするような魔もいるし。それを懲らしめる神もいる。

 

人が危険な場所に足を踏み入れないように。

 

やってはいけないことをしないように。

 

魔が見張り、人はそれを恐れる。

 

田畑がもたらす富は、神に感謝して食べる。

 

そうして古くからこの国ではやってきた。そして今では、失われたそれが戻ろうとしているのだ。

 

神魔はただの信仰の存在ではなく。

 

人間の側にあるようになったからだ。

 

「わしはあの田畑がまた耕され、敬意が払われるのであればそれで構わぬ。 また、元の場所に戻ってくれるか」

 

「心得た」

 

「創世が行われたことは知っておる。 だが、今までの創世は、どれもたいした影響などわし等には与えなかった。 それが、これほどの影響を与えるとは。 相当に凄まじいナホビノが尽力したのであろうな」

 

「そうさな。 俺もナホビノを目指していたが、最終的には降りた。 あのものには、どのみち勝てなかっただろう」

 

トラクターで、元の田畑に着く。

 

三年は待つと言って、クエビコは土に戻っていった。

 

また眠るのだ。

 

それから、八雲ショウヘイは先に手配しておいた、地鎮祭専門の神主とデビルサマナーを呼ぶ。

 

越水……正確には前の越水の後継者だが。ともかく越水総理に連絡して、三年以内にこの辺りの再開発を済ませるように頼む。

 

クエビコの方でも、約束を反故にされれば良い気分はしないだろう。

 

今の時代は簡単に荒神になるような事はないだろうが。

 

長い間放置されてしびれを切らして出てきたのだ。

 

これ以上約束を破るのは好ましいことではない。

 

それらを説明すると、越水は受けてくれた。

 

「承知した。 再開発計画を半年ほど前倒ししよう。 いずれにしても、クエビコはそれなりに荒神になると厄介な神格だ。 今のうちに鎮められたのであれば良かった」

 

「それでは俺は撤収する」

 

「うむ……」

 

後はトラクターを帰すと、帰路につく。

 

帰路でジョカが言う。

 

「その警官の制服、ずっと着続けるつもりか」

 

「そうだな。 もうこれがしっくりあっているからな。 他の警官に出会った場合でも、身分証を見せれば良いだけの事だ」

 

「そうか」

 

「もはや魂すら存在しないとはいえ、これは俺にとっての鎮魂の形だ。 それくらいは、いいだろう」

 

ジョカは何も言わない。

 

自宅に着くと、仏壇に線香を供える。

 

成仏も何も魂ごと砕かれたとしても。それでも、これには意味がある行為だと考えるからだ。

 

今日はクエビコを鎮めた。

 

そういう話を、二人の位牌に向けする。

 

この位牌も、後から作ったものだ。二人の遺体はほとんど形もまともに残っていなかった。

 

状況が状況だから、遺骨すらなかった。

 

だから、こうして位牌を作り。

 

それを今では、大事にしている。

 

後は夕飯を食べて、情報を入手しておく。八咫烏の長になった師匠が連絡を入れてきていた。

 

「ショウヘイくん。 九州の方で面倒な祟り神の復活の兆候があってね。 明日から出張してきてくれるかな」

 

「了解」

 

「じゃ、頼むよ。 ボーナスははずむ。 ああ、そうそう。 二人それなりにできが良い新人がいるから、研修も一緒によろしく」

 

研修か。

 

ついに部下を任されて、現地に出向くようにまで信頼されたと言うことか。前のままでは、あり得ない事だった。

 

「俺の創世は、結局のところ俺自身の人生に縛られたものだった」

 

「そうだな」

 

「あいつが現れてくれて良かった。 夏目煌の強さは、俺も認めるものだった。 あいつが創世をしたのだから。 俺は納得できる」

 

「ああ」

 

八雲ショウヘイは、ずっと感情が凍っていた。

 

少しずつ、感情が戻っているのが分かる。

 

ジョカは恐らく、近いうちに側からいなくなるだろう。

 

八雲ショウヘイは人に戻るべきだ。そういう話を、何回かされた。それを、八雲ショウヘイも理解している。

 

ジョカは母代わりであったかも知れないが。

 

それ以上でも以下でもなかった。

 

ただ、二人はそういう関係だった。

 

 

 

平塚ツバメは、整体で治療を受けた後、八咫烏の本拠に出向く。まだギリ三十路なのに、長年の無理がたたってガタが来ているのだ。

 

十四代目のような超人ではないので、どうしてもこういう無理が出てきている。

 

既に前線を退いたのも当然である。

 

この状態では、肝心なところで戦力を出し切れない。

 

八咫烏の本拠は、怪しい和屋敷でもなんでもない。今は普通のビルであり、表札も出ている。内部の見学も、申請があれば可能だ。

 

以前は完全な秘密結社だったが、今はすっかり開かれた場所になっている。それでいいのである。

 

秘密結社なんて、どうせ血がよどんでろくでもない場所になるのはわかりきっている。

 

旧八咫烏の生き残り達の秘匿していた文書などを解析したところ、十四代目葛葉ライドウの残したものが発見されたのだ。

 

それには、遠い未来の葛葉ライドウとの交戦の記録があった。

 

経緯についてはぼかされていたが。ともかく時代を遡ってきた別世界線の未来のライドウと戦ったらしい。その未来のライドウはもはや衰えに衰え、腐りきった政治体制の近衛兵の一人、みたいな存在にまで落ち果てていたようだった。

 

それはそうだ。

 

秘密結社なんてものを続けているから、いずれ外圧に対応できなくなる。

 

だから今では、八咫烏は政府の正式な組織として、情報公開もしているし。人員についても公表していた。

 

恐らく創世が起きる前は無理だっただろう。

 

今では、それが出来るくらい、国際情勢が急速に安定しつつあるのだ。

 

本拠の会議室には、越水総理と秘書官。あと何人かの閣僚が来ていた。ツバメにとっては全員が顔見知りだ。公安の幹部も来ている。既に公然と連携が出来るようになっていた。

 

軽く秘書官が説明をする。

 

現在解決していない神魔の問題。

 

それが日本地図に多数記されていた。深刻度が高いものから順番に片付けて行っているのだが。

 

まだまだ問題としてくすぶっているものも少なくない。

 

それらの説明を一つずつされて。

 

それから現状についての進捗を説明する。

 

八雲ショウヘイが一番危険度が大きいものを対処していたが、最近はやっと育ってきたデビルサマナーにも任せられるようになってきた。

 

また北米が技術提供してきたデモニカという装備が実験段階にあり、これが実戦配備されたら。

 

自衛官も神魔と同等に渡り合えるようになる。

 

厄介な祟り神や、人間を殺すことしか考えていない有害な魔などは今でもどうしても存在する。

 

そういうのには、専門のデビルサマナーだけではなく、デモニカを着込んだ自衛官も当たりたいという話を受けている。

 

夏目煌の創世には残念ながら実戦投入が間に合わなかった。

 

だが今は、宇宙開発について急速に各国の意見がまとまりつつある状態だ。

 

宇宙での開発でもデモニカは期待されており。

 

今までは悪魔召喚プログラムは適正のある存在しか使えなかったのだが。デモニカが実用化すれば、それも過去になる。

 

またデータ蓄積が進めば、下級の神魔くらいだったら、一般人が危険なく接することが出来る時代が来る。

 

それが来るまで。

 

ツバメは踏ん張らなければならない。

 

「では、今の時点で即時対応必須の問題はありませんね」

 

「そうなります。 現在四十名ほどのデビルサマナーが動いていて、候補生として二百名を育成しています。 彼らが一線に立てるようになった頃には、更に状況は安定すると見て良いでしょう」

 

「分かりました。 次の件ですが……」

 

ケツアルコアトルをはじめとした、創世の時に同盟を組んだ神々。既に信仰する神殿もない彼らを、神社にて祀る話が本格化している。

 

現在順番にやっているのだが、ともかく異国の神を神社に祀るのはそれなりに大変であり。

 

通訳もいる。

 

現時点では、厄介なことに専門の巫女や神官を要求してくる神格もいて。魔になると更に対応が面倒だ。

 

それらについての対策が、より大変かも知れない。

 

「現在専門の教育をしている神主や巫女を育成中ですが、こちらも需要に供給が追いつくまでは後数年はかかります。 神社に祀った神魔は良いのですが、まだ神社が用意できない神魔が不満を口にしており……」

 

「合祀ではだめなのかね」

 

「嫌がる神魔がどうしてもいます。 同じ文化圏でも仲が悪かったり、ルーツとなる神が仲が悪かったりすると、どうしても……」

 

「厄介だな。 神魔が実際に与えてくれる良い影響は、目に見えて分かる。 無碍にはできない」

 

閣僚の誰かがぼやく。

 

実際問題、右肩下がりに減っている犯罪だが。それでも犯罪を犯すような輩はまだいるのだ。

 

そういうのを警察に突き出しに来るのは。

 

魔だったりする。

 

ただ、そういう魔は、ちゃんと捕まえてきたんだから、供えなり信仰なりしろと不満げだと警察が報告してきている。

 

悪を戒めるという観点で、魔は確かに仕事をしているが。

 

確かにまだそれに対する敬意が足りていないと感じられるのかも知れない。

 

日本の外の神も同じだ。

 

現在は神社でそういった神を受け入れる事を始めているが。彼らも張り切って人間を良い方向に導いてくれている。

 

くれてはいるが、見返りが少ないと感じている者は少なくないようである。

 

そういった不満は全て受け取って、処理している。

 

精神生命体は、今やともに歩む存在だ。

 

だから神魔ともに、ないがしろにはできないのである。

 

「ツバメくん。 何か意見はあるかね」

 

「神社の建造を早める、巫女や神官を増やす、供え物を増やす。 後はそれぞれ、神社で祀り方を説明して、神魔にフィードバックが行くようにする。 それらが必須となるでしょうね」

 

「それは分かっているが、予算には限りがある……」

 

「現在宇宙開発事業や、死んでいた産業の復活もあって景気は上向きになりつつあるが、それでも出せる予算には限度があるぞ」

 

口々に言われるが。

 

そんなことはツバメも分かっている。

 

越水長官は、咳払いすると。

 

秘書官に予算案を提出させた。

 

「予算案を見ての通り、出せる予算には限度がある。 今はどこの国でもほぼディベートや賄賂や談合が通じなくなってきているが、だからこそ予算はこれ以上出せないという事情もある。 ツバメくん。 君には悪いが、若手のサマナーを連れて、神魔のところを回って説得を続けてほしい。 供え物や菓子折などはこちらで用意しよう」

 

「やれやれなんですが……」

 

「それと例のものがそろそろ完成する」

 

「……」

 

例のもの。

 

技術の発展が、創世以来どんどん進んでいる。

 

馬鹿げた政治闘争がなくなったのが要因だ。

 

政治は文字通り政で国を治める事が主体になった。それもあって、馬鹿げた内輪の争いや思想で、予算の振り分けが行われなくなった。

 

その結果、ついに人類はクローンと、人工子宮の作成に王手を掛けている。

 

数年以内に遺伝子データを人類は全員が登録し。そこから無作為に子供を人工子宮で作り出し。

 

それをこれまた進歩が進んでいるロボットや。

 

或いは子育てに向いている神魔が人間の支援をして育てて行く時代が来る。

 

ツバメはもう年齢的に子供を産めそうにもないのだが。

 

そのシステムで生まれる子供の第一世代の遺伝子データを提供してほしい。そう言われていた。

 

あまり自信はないが。

 

これでも、創世を影で支えたメンバーの一人だ。

 

他にも敦田ミヤズなども同じように遺伝子データを提供するらしい。ミヤズについては事情も聞いている。

 

あの子は結婚はするつもりはないだろう。

 

今では既に医師として最前線でバリバリ働き、昔と違って機能している国連に招かれているようだし。

 

相当にモテるようだが。

 

男にはほとんど見向きもしないらしい。

 

まあコンスの事もある。

 

本人がそう考えているのなら。遺伝子データだけ貰って、子供は別口で育てれば良いのだ。

 

後はいくつか確認して、会議を終える。

 

越水長官の秘書官から、不満を口にしている神魔のリストが出たので、回れるところから回ることにする。

 

国籍も様々だ。

 

日本の古い神魔や国津の神もいる。

 

創世が行われて、復活した国津の神も多く。そういった神々は、あまりにも様変わりした状況に混乱もしているようだし。いちいち話をしに行かなければならないのだ。

 

車を回して貰って、近場から。

 

今日は六件くらい回る感じだろうか。

 

途中で訓練中のサマナーを拾っていく。

 

サマナー育成のための学校として、縄印は生まれ変わっているのだが。その縄印に、磯野上タオと尋峯ヨーコがどちらも教師として赴任しているのは、ある意味皮肉な話であるだろうか。

 

創世の女神の意識を失い。

 

人間としての意識から、受肉した二人は。

 

以前のことを半分以上忘れてしまっているが。

 

根の性格は変わっておらず。

 

快活で誰にでも優しいタオと、冷静で理論屋のヨーコは、職員会議で火花を散らすことも多いが。

 

概ね今は仲良くやれているそうだ。

 

今つれているのは、そんな二人の教え子達でもある。

 

「ツバメ司令官。 それで今日これから会いに行くのはどんな神様なんですか」

 

「テスカトリポカ」

 

「えっ……」

 

「早速のくせ者だけれど、気をつけてね。 南米神話のトリックスターにて、創造神だった時期もある存在だよ」

 

南米での信仰も少しずつ復活しつつあるのだが。

 

その間は、ケツアルコアトルもろとも日本で面倒を見ることになっている。

 

そして、案の定不満をぶーたれているらしいので。今から説得をしに向かうのである。

 

幸い、血を見るようなことはないだろう。

 

そうなった場合でも、まあどうにかなる。このまだ半人前のサマナー達を守るくらいの事だったら。

 

今のツバメでも、出来る自負はあるのだった。







本作では先達としてとても苦労させた第十九代目葛葉ライドウ、平塚ツバメさん。

彼女もまた。新しい世界で平穏とは遠くしかし希望とともに生きていくことになります。


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