真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、動き出す諸勢力

女神アルテミスは、手をかざして状況を見ていた。

 

ベテル本部の拠点に正面から喧嘩を売った上に、一方的に蹂躙している奴がいる。

 

四文字の神が倒れたのはもはや周知の事実だ。

 

それに18年前の戦いで、大天使のほとんどが倒れ。ベテル本部の力は一気に衰えた。その結果、各地の押さえ込まれていた神々が、活動を開始している。

 

現時点で有力なのは、エジプト、ギリシャ、北欧、インドだが。

 

それ以外の支部の神々も、非常に強力な神魔を有している。

 

今まで眠っていたり封印されていた神魔もおきだしているようだ。

 

特に古代バビロニアの神々が目を覚まし始めていたり、その兆候があると聞いている。

 

古代バビロニアは、記録に残る最古の神々。

 

更に古くの神々も存在したが。

 

それらは人間の記憶から消えてしまっている。

 

精神生命体としてはそれが致命的で。

 

そうなってしまうと、もはやまっとうな形のある存在としては、アッシャー界に具現化出来ないのだ。

 

側に降り立ったのは。

 

そんな別勢力の神だった。

 

「アルテミス。 其方も来たか」

 

「お久しぶりです」

 

「……凄まじい戦いが行われているようだな。 ベテルの天使達では勝ち目はあるまい」

 

側で荘厳な雰囲気を放っている鎧姿の美しい女性は女神ミネルヴァ。

 

ローマ神話の神であり、ギリシャ神話ではパラスアテナに相当する。

 

ギリシャ神話では思いっきり役割が被る戦神アレスと戦神パラスアテナは対立する存在であり。粗暴で力ばかり強いアレスと、知恵が回るパラスアテナの諍いは、常にパラスアテナの勝利に終わるのが常。

 

これはギリシャの民の力関係が影響している。

 

ギリシャ神話はギリシャの民のそれぞれの信仰を持ち寄って、強引にまとめたものであり。

 

アレスをあがめていた民族は、あまり立場が強くなかった。

 

その結果、そういう扱いを神話で受けた。そういうことである。

 

これがローマ時代になると、役割が変わり。

 

アレスは純粋な軍神マルスになり、粗暴でツラの良さだけしか取り柄がなかった性質も変わった。行儀が良いまっとうな神になったのだ。

 

知恵が回る反面大人げなくて残虐だったパラスアテナも、ミネルヴァになることで。こちらは知恵の神として、とても行儀が良い存在になった。

 

それらローマ時代の神々は、ほぼ名前を変えただけでギリシャ神話の神々と同じなのだが。

 

不思議なことに、人間には残虐で粗暴なギリシャの神々の方が好かれた。

 

そういうこともあり。

 

神話の界隈では、ゼウスの方が、ローマ神話で最高神であり同じ役割だったユピテルよりもどうしても影響力が強い。

 

ミネルヴァも然り。

 

パラスアテナよりも、どうしても影響力が落ちる。

 

それもあってなのか。

 

こうして、今はむしろ威厳を取り戻そうと、積極的に動いているようだ。

 

これに関しては、一神教がローマを乗っ取った時に、徹底的にローマ神話が弾圧されたのも要因かも知れない。

 

ギリシャ神話は物語として好かれ、残されたが。

 

ローマ神話は明確な一神教の敵として、排除されたからだ。

 

また側に降り立つ者がいる。

 

それは翼ある蛇だった。

 

すぐに姿を変じる。

 

全身に入れ墨をした、褐色肌の男性だ。羽根飾りと、蛇の意匠を身に纏っていた。

 

「貴方はケツアルコアトルどの」

 

「ローマの者とギリシャの者か。 強い気配を感じてきてみたが……」

 

ケツアルコアトル。南米神話、特にインカ神話の主神である。

 

翼ある蛇として描写され、太陽神としての存在感が大きい。

 

南米神話はとにかく徹底的に一神教徒に弾圧され、信仰する民もろとも偏執的なまでに破壊され、奪い尽くされたが。

 

今では生き残りが蠢動しており。

 

その中でもケツアルコアトルは、各地で精力的に活動しているようだった。

 

「古くに文化を分かったとは言え、蛇と牛の概念は私の土地でも存在していた。 あれは蛇の頂点に近い神だ。 私とその点では同じではあるが……」

 

「信仰を失った今としては、あそこまでの力は出せない、でしょうか」

 

「そうだな。 だがあの者も、その点では同じであろうな」

 

冷静に分析するケツアルコアトル。

 

他にも様々な神魔が偵察に来ているようだ。

 

この辺りで、ベテルの天使も。それと真っ向から対立していた堕天使も、片っ端から殺されていた。

 

他の神魔も見境なし。

 

そう聞いて、どんな跳ねっ返りが動いているのだと、興味を持って見に来た勢力の者達は多い。

 

だが高位神格は、アルテミス達だけのようだ。

 

後は使いぱしりばかりである。

 

「あれはナホビノであるな。 どうやら既に禁が解かれているというのは噂通りであるらしい」

 

「禁が解かれているというのも嘘だと父上が言っておられましたが」

 

「ふっ、その通りだ。 正確にはナホビノたる可能性がある者は、片っ端から潰されてきた。 天使どものやり口よ。 天井の座など、実は其処までの絶対的な影響力など持ってはいない。 所詮この星に、一万年程度しか文明を構築していない生物の思念から生み出されたものにすぎん。 世界の全てを作り替えるほどの影響力などあるものか」

 

ケツアルコアトルは鼻で笑うと、すっと去る。

 

もう充分、と判断したのだろう。

 

ミネルヴァも、同じように無言で消えた。

 

ナホビノがいる。

 

それを確認できただけで充分、というのだろうか。

 

アルテミスは棒状の構造物……何に使うのかは分からないが。それの上にちょこんと座ったまま、様子を見る。

 

建物なんか透過して内部を見ることが出来るが。

 

ナホビノは、本当に一人か。

 

もう一人いまいか。

 

奥で天使を片っ端から切り伏せている一人。

 

あいつの戦闘力、いくら何でも高すぎる。確かに神を打倒するような人間は度々現れるが、それにしても異常だ。

 

ジョカと交戦しているナホビノは、恐らくなりたてだろう。

 

まだとてもジョカに勝てるとは思えないが。

 

それでも、相当な実力者であるのは間違いない。多数の眷属を展開し、見事な戦闘を見せていた。

 

すごいな。

 

アルテミスは狩りの女神である。

 

処女神として名高いが、実際のところは強い男には心も惹かれる。

 

だが、あのナホビノは。

 

天使と戦っている方は、強いには強いが、どうにも食指が動かない。あいつはなんというか、殺戮しか考えていない雰囲気だ。破壊の権化。そういう形容しか出来ない。

 

ジョカとやり合っている方は。

 

強大な相手に、必死に食らいついていく様子、本来なら興味を持てる筈なのだが。

 

あれは、本当に男か。

 

疑念が湧く。

 

他の偵察の使いぱしり達が撤退していく中、アルテミスはじっと目をこらす。

 

勿論父ゼウスに命じられたと言うこともあるが。

 

それ以上に、どうもおかしな事ばかり起きているように思うからだ。

 

ともかく、情報は少しでもほしい。

 

いっそのこと。

 

いや、まだあの実力では、眷属になってみるのは駄目だな。はっきり言って物足りない。ともかく、今は観察が第一だった。

 

 

 

(続)







原作では脳筋ガールで聖○士風の格好をしているアルテミスさんですが、本作では冷酷な狩りの女神としての視点を持ち合わせています。

いずれにしても議事堂の戦闘は複数勢力が監視している状況。

誰もがナホビノには熱視線を送っている状況なのです。






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