真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、侵食が始まる

寮を出て、縄印学園に向かう。

 

品川駅を今日も通るのだが。その途中。アオガミから通信があった。

 

「緊急事態だ。 すぐに合流する」

 

「!」

 

「東京を守っている結界にほころびが生じて、悪魔が東京に侵入した。 中でも二体、強力な悪魔が品川駅に向かっている。 後47秒で合流する」

 

「分かりました」

 

品川駅から、寮の方に戻る。怪訝そうにサラリーマンが見てきたが、構っている場合ではない。

 

最悪、ここに大量に人を食い殺すような悪魔が乱入してくることになる。そうなったら、悲惨なんて事態ではすまない。

 

やはり煌の運動神経は上がっている。

 

前は女子並とまで言われていた足の速さが、明確に男子の水準近くになっている。

 

アオガミはサラリーマンのようにスーツを着ていたが、見えた。側で、即座に合一する。光がほとばしって、周りの人々が目を覆った瞬間。

 

空中でナホビノになった煌は、外に躍り出ると、ビルの天井に上がり、跳ねて進む。

 

こうしてみると、東京のビル街はかなり出っ張りや階段があって上りやすい。ともかく、ナホビノになったことで気配が分かる。近づいてきているのは。

 

間違いない。

 

ナアマとグラシャラボラスだ。

 

大きめのビルの屋上にて待ち受ける。相手も、煌に気づいたようだった。

 

グラシャラボラスが降り立つ。

 

ナアマがその背から降りると、ふんと鼻を鳴らしていた。

 

「ナホビノ、まるであたし達を防ごうとでもいうかのようね。 偽物の人間どもを守って何か役に立つのかしら?」

 

「シャカイナグローリーの話は聞いた。 たとえ神の奇跡とやらで選別された人々であっても、人々に変わりはない」

 

「ハッ、とっくに神は死んで、その終わりが近いとしてもかしら」

 

む、と呻く。

 

確かに今までの情報を総合する限り、大魔王が一神教の神を殺したという話をしていた。一神教の神が死んだのなら、その作り上げた奇跡が消え去っても不思議ではないだろう。それについては、後で越水長官に確認する。

 

それよりも、まずい気配がある。ナアマが出てきたのとは、別方向からだ。

 

「煌。 かなり事態は混乱している。 ナアマとグラシャラボラスも放置できない」

 

「分かっている。 できる限り一瞬で決める」

 

「偽物の人間なんて、どうせ消えるのよ! だったらせめて、糧にして創世の礎にしてやるわ!」

 

「仮にそうであったとしても、今生きている人たちを手に掛けていい理由にはならない。 それに一神教の神がやったというのなら、他の存在に出来てもおかしくないのではないか」

 

感情的に、勝ち誇ったようにいうナアマに。

 

煌はそう静かに返す。

 

それでまた、ナアマは即座に頭に血が上ったようだった。グラシャラボラスが呆れている。

 

「ああ言えばこう言う! かわいい顔しているのにかわいくない!」

 

「別に僕の顔などどうでもいい」

 

「えーそうでしょうよあんたみたいにかわいいとそういうのよ! あたし達なんてね、ユダヤ神秘主義だかで900年前くらいに作られてから、毎回化け物みたいな顔にされたりで、ぶさいくにされたりで、アッシャー界に出てくる度に顔の調整とメイクが本当に大変なんだから! 衣装だって研究して最新のを一生懸命取り入れているの! なーにが女の悪しき面よ! 一神教自体が女性に人間としての地位を認めていない欠陥信仰じゃないの! なんでそんなものにあたし達が縛られなきゃいけないのよ! かわいい顔と格好で、こっちに出てきたいわよ!」

 

「一神教が天空神系統の派生信仰であり、父系信仰主体で、大地神信仰系統の母性信仰を否定し、女性を軽視してきた歴史はその通りだろう。 だがそれは僕の顔には関係がないと思う」

 

同感だと呆れ半分にグラシャラボラスまでいうので、ナアマが完全にヒスを起こした。顔を真っ赤にして頭から湯気まで本当に出している。ちょっと面白い。

 

これでいい。

 

少しでも精神を乱してくれれば、それだけつけいる隙が生まれる。

 

それに、ナアマは大火力の面制圧が危険だが、それは既に見ている。問題は、まだ実力を見せていないグラシャラボラスの方だろう。

 

通信が入る。越水長官からだ。

 

アオガミが代わりに応答する。

 

「そちらに強力な悪魔が向かった。 無事か」

 

「今、人気がない場所にて交戦中」

 

「いい対応だ。 だが、できるだけ早く勝利してほしい。 非常に危機的な状態が迫っている」

 

眷属を展開。

 

天使達の姿もある。彼らも今回は戦って貰う。

 

総力戦だ。状況からして、力を惜しんでいられない。

 

越水長官が言う。

 

「東京を守護している結界が破られようとしている。 恐らくそれが本命の戦力だ。 座標を送る。 今交戦中の相手に対処し次第、即座に向かってくれ」

 

「了解……」

 

ともかく、ナアマもグラシャラボラスも、大量虐殺を容易に出来る実力の持ち主だ。

 

それ以上の存在が現れうるとすると。

 

今、ナアマが言った奇跡の時間切れという言葉も気になるが。

 

まずは、やることをやらなければならない。

 

グラシャラボラスをけしかけてくるナアマ。

 

仕方がないという風情で、グラシャラボラスが躍りかかってくる。

 

今度は加減もなしと見ていい。更に言うと煌には以前のようなユヅルやヨーコの支援もない。

 

だが、前に戦った時より大分力を上げている。

 

負けるつもりはなかった。

 

 

 

(続)







本作は復讐の女神編の要素を取り込んでいる事もあり、品川駅にナアマさんとグラシャラボラスが襲来……する前に煌とアオガミが対応に入ります。

対応が早くなる結果、いくつもの事態に影響が出ることになるのです。





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