真女神転生VV二次創作 牛蛇相克 作:dwwyakata@2024
対ナアマ&グラシャラボラス戦です。
原作ではかなり厄介な状態異常を使ってくるボスなのですが、本作では戦闘場所が異なることもあり、かなり展開が変わります。
この戦闘の時点で既に浄増寺の結界は破られ、多数の悪魔が縄印を襲撃。
主に部活の生徒や、朝早くから学校に出ていた生徒や教員を襲撃しました。
その中には、寮より勉強しやすいという理由で看護師の勉強をしていたミヤズさんが含まれていたのです。
一方でいじめの問題が解決し、負傷療養をしていたサホリさんはこの事件に巻き込まれませんでした。
序、ビル街での連戦
ビル街の屋上。
ナアマにけしかけられたグラシャラボラスが、眷属を展開した煌に襲いかかってくる。東京とは思えない光景だが、現実。
そして、ここよりもまずい場所があると聞いている。
だから可能な限り最速で勝負をつける。
躍りかかってきたグラシャラボラスを迎え撃ったのは、中級三位パワーを主軸とする天使の軍勢だ。数体がかりで槍をそろえ、その突貫を食い止める。巨大なカイトシールドを装備したパワーが、グラシャラボラスを受け止める。
更に、左右から鬼とトロールが組み付く。それでも、グラシャラボラスのパワーの方が上だ。
ナアマが即座に広域攻撃の魔法を放とうとするが。
その時には、既に煌が動いていた。
「わっ!」
「きゃあっ! 何、何っ!?」
相変わらず、脅かすだけの妖怪に脅かされて、前とおんなじようにかわいい反応をするナアマ。
色気過剰の格好をしている割には、素は乙女なのかも知れない。
或いは、どこかで聞いたのだが。
人間は脳内の物質で恐怖や驚きを抑制しているらしく。
それがあまりうまくいっていないのかも知れなかった。悪魔でもそういう場合があるのかも知れない。
魔法の発動が中断。
更に、次の瞬間、アプサラスが放った氷の錐が、ナアマの周囲に立て続けに突き刺さる。完全にパニックになったナアマの懐に、煌が飛び込んでいた。
手刀で首をはねに行く。
愉快な相手だが、ここで倒す。
必殺の気合いを入れて振るった手刀を見て、完全に泣きそうな顔になるナアマだが。即座にグラシャラボラスが割って入ってくる。
全身傷だらけなのは。
押さえ込んでいた煌の眷属達を振り払ったからだろう。それも無理矢理だ。
がっと、手刀がグラシャラボラスの仮面のような顔面に突き刺さる。大量の鮮血が吹き出すようにして、マガツヒがあふれ出たのが分かった。
それで、やっとわたわたしながらナアマが飛び離れる。
だがこれでは、魔法を発動するどころではないだろう。
煌も飛び離れる。
グラシャラボラスの仮面状の顔が想像以上に堅い。
ただ、これは無事では済まなかったはずだ。
傷つきながらも、グラシャラボラスが下がる。
天使達が立体的に包囲網を組む。
更には、煌も手刀を振るうと、明確に弱気になったナアマへと歩み寄る。
「品川駅に向かっていたな。 あそこで人々を殺戮するつもりだったな」
「そうよ! 偽物の人間なんか、マガツヒにして回収して、創世に役立てるだけよ!」
「そうか。 ならば僕は貴方を倒さなければならない。 覚悟して貰う」
「グラシャラボラス!」
けしかけようとするが、仕掛ける方が早い。
一斉に天使達と、鬼が突貫。
鬼がダメージを受けているグラシャラボラスに組み付く。後輩鬼は鬼の中では弱い方だと自嘲していたが。
それでもかなりのパワーだ。
弱っているグラシャラボラスを、短時間抑えるくらいは出来る。
その瞬間、なんとか逃げ出そうとするナアマの前に、トロールが立ち塞がる。トロールを見て、ナアマがひっと声を上げた。
この間、格闘戦では論外である事をたたき込まれて。
それでPTSDになったのかも知れない。
悪魔もPTSDになるのだとすると。
ちょっとそれは興味深い事象だ。
即座に突貫する。あまり時間を掛けてはいられない。大量虐殺する気満々だった相手だ。そんな輩を、許しておく訳にはいかないのだ。
天使達が一斉に槍をそろえて突きかかるが、ナアマは必死に飛んでその包囲から逃れる。
だが、背後を煌が取った。
そして、そのままビルの天井に蹴り落としていた。
グラシャラボラスの方が強いな、これは。
トロールがナアマを押さえ込んで、ばたばたもがいているナアマに多数の槍が突きつけられる。
グラシャラボラスが後輩鬼を振り払ったが、もう遅い。
「終わりだ」
「……っ。 やむをえんか。 俺もカディシュトゥの目的自体は達成してほしいと考えている。 それにはナアマ殿を今失うわけにはいかん」
「僕も大量虐殺を許すわけにはいかない。 ここで倒れて貰う」
「そうだな。 貴殿は戦士としては優れているし、信念も優れている。 譲れないだろう。 だが譲れないのは俺も同じだ。 一神教に貶められ続けた我らが、やっと報われる時が来ようとしている。 そのためであれば」
グラシャラボラスが光り始める。
まずい。
アオガミが警告してくる。
「自爆するつもりだ」
「全員、グラシャラボラスを打ち上げろ!」
今まで力を温存していたマーメイドが詠唱を完了。
間欠泉のように、、水でグラシャラボラスを上空に打ち上げる。
天使達が一斉に光の魔法をたたき込み。打ち上げる瞬間。トロールと鬼も、全力で蹴り上げていた。
他の悪魔達も、手持ちの魔法を一斉にたたき込む。
ナアマに構っている場合じゃない。
悪魔の中には、核攻撃並の火力を振るう者もいる。
それを思うと、とてもではないが。百mやそこらの高度では、安全なんて確保できないだろう。
煌自身も、覚えたばかりの風の魔法を全力でたたき込んで、更に上空へと吹き飛ばす。
合一しているから見える。
グラシャラボラスが、にやりと笑った。
そして、炸裂する。
幸い、悪魔としての格が其処までではなかったからだろう。
核攻撃、とまではいかなかったようだ。
それでも凄まじい爆発が引き起こされ、衝撃波と熱がここまで来る。ビルの屋上にあったアンテナが吹き飛び、ガラス窓がいくつか粉砕されたようだった。
消し飛んだグラシャラボラスの気配が消える。
三次元世界から悪魔の世界であるアティルト界に戻ったのだろう。
ナアマを見る。
既に、かなり距離を取っていた。
だが、見た感じ、もう戦力は残っていない。
「よ、よくも……」
「貴方を守るためにグラシャラボラスは倒れた」
「……っ。 退くわ。 マガツヒを集めたかったけれど、仕方がない。 あたしだけでは勝てない」
心底悔しそうに吐き捨てると、ナアマがかき消える。
アオガミが越水長官に通信を入れていた。
「品川駅襲撃をもくろんでいた悪魔二体を撃退。 一体は撃破。 一体は恐らく魔界に逃走」
「よし。 逃走した悪魔は追わなくていい。 即座に座標を送った浄増寺に向かってくれ」
「煌、このまま合一して行くぞ。 消耗は問題ないか」
「どうにか出来ます」
魔石を具現化させると、それを使って自身を回復させる。
完全に回復は出来ないが、魔界でここ数日鍛錬している間にため込んでおいたのだ。いざという時のために。
奇しくも、想像以上に早くいざという時が来てしまった。
だから、今使う。それだけだ。
ビルから飛び降りる。
大爆発で、騒ぎになっているが。裏路地を使って、現地に向かう。なんだか明らかに空気がおかしくなっている。
スマホが鳴った。
ユヅルからだった。
「煌、話は聞いているな。 僕はイチロウとともに縄印学園にて戦闘を開始する」
「縄印学園に? なぜだ」
「悪魔が出現して生徒を襲い始めた。 既に被害者が出ている。 自衛隊と連携して、生徒の避難を行う。 東京を守る結界が破られた時、多数の悪魔がこちらに来たようだ。 君は東京の結界の穴となった浄増寺を頼む。 其処を塞がない限り、悪魔の増援が出続けるだろう」
「分かった。 タオさんとヨーコさんは」
二人はユヅルとイチロウと連携して戦ってくれているらしい。
それは良かった。
ならば、もはや心配はいらない。
駆ける。
時速100㎞は余裕で出ている。これで人と接触すると危険極まりないので、ビルの屋上を主に駆け抜けていく。
短時間だったら飛ぶ事も出来る。
そもそも移動時浮いているのだから、何かを踏み砕くこともない。
浄増寺という寺については、よく分からないが。
アオガミが教えてくれた。
「検索完了。 シャカイナグローリーが発生した時、東京の霊的な防御もまた全て破壊されてしまった。 そのままでは魔界から東京を守れない。 其処でベテル日本支部がベテル本部と交渉し、霊的防御の要として新たに再建したのが浄増寺だ。 ただしその再建を許可する代わりに、多数の天使が守りについたようだが」
「この様子だと、その守りの天使は」
「恐らくは無事ではないだろう。 急ぐぞ」
「分かりました」
力を使い尽くすのもまずい。
ともかく現地に急ぐ。
辺りに寺はいくつかあるが、どれも力みたいなのは感じない。シャカイナグローリーとやらが、本当に他信仰を排除したのだとよく分かる。
走りながら、そろそろ現地が見えてきた。
飛んできたのは、内臓をぶら下げた女の悪魔だ。けたけたと笑っているが。すれ違いざまに一刀両断。
悲鳴を上げながら、消えていった。情報を取り込んで、正体を知る。
鬼女マナナンガル。
フィリピンに伝承として伝わる邪悪な吸血悪魔であり、夜に上半身と下半身が分離して移動する。
グロテスクで恐ろしい存在である。
アジア系の悪魔はとにかく原初の恐怖に訴えかけるような存在が多いが、これもその一つだろう。
こんなのが、多数縄印学園に向かっているのか。
早朝で良かった。
もしも昼にこの事件が起きていたら、もっと酷い被害が出ていたはずだ。
銃撃音が聞こえる。
そのまま現地に移動。
自衛隊の装甲車が出てきていて、重機関銃で射撃を浴びせている。それをものともせずに、下半身が蛇の女悪魔が迫ってきている。
「くそっ! M2(重機関銃)の12.7mm、効果ありません!」
「怯むな、時間を稼げ! これでは24式の30mm機関砲も効くかどうか……」
「これでも食らえ!」
自衛隊員が手榴弾を投擲するが、女悪魔はそれを握りつぶす。爆発するが、手が砕けてもいない。
それを見て、明らかに腰が引ける自衛隊員達。
だが、着地した煌が、下がるように言う。
「現着。 後はお任せください」
「ベテルの! 頼む、浄増寺の方は滅茶苦茶だ! デビルサマナーは逃げ帰ってきて、天使はほとんどやられてしまったようだ!」
「分かりました。 善処します」
そのまま、迫ってくる蛇の悪魔に対して突貫。
特徴からしてラミアか。
ギリシャ神話に登場する下半身が蛇、上半身が女性の悪魔だ。ただ全てが悪というわけではなく、元々はギリシャ神話にいくらでもあるゼウスに見初められて酷い目にあった女性の悲劇である。
本来は別の信仰であったものを無理矢理ギリシャ神話に取り込んだ結果であったりと。
ともかく、悪の権化という訳ではない存在だ。
ただ、今は倒さなければならない。
煌を強敵と見て、襲いかかってくるラミアだが。
トロールが具現化すると、力尽くで押さえ込みに掛かる。
重機関銃でも手榴弾の直撃でもびくともしなかったラミアを押さえ込むトロールを見て、自衛隊員達がおおっと声を上げる。
更に煌が脇に潜り込むと、手刀でラミアを切り裂く。
悲鳴を上げて尻尾をたたきつけてくるラミアだが、その瞬間には天使達が一斉に前後左右から串刺しにしていた。
消えていく。
かなり戦闘で弱っていたようだ。
そのまま浄増寺に走る。
歓声が背中から聞こえた。今までよく頑張ってくれたのだ。その頑張りにも答えなければならない。
浄増寺が炎上している。
まだまだ雑多な悪魔が飛び出してくるが、片っ端から斬り伏せる。魔石の蓄積がどんどん減っていくが、惜しんではいられない。
かなり傷ついている悪魔が多いのは、浄増寺の守備をしていた天使達も相当な抵抗をした、ということなのだろう。
ただ、なんだろう。
とても妙な気配があるが。
いや、気にしてはいられない。そのまま突貫して、見かけ次第悪魔を斬り伏せる。
雑魚も多いが、かなり厄介なのもいる。
全身に模様を刻んだ悪魔。両手に剣を持っていて、いかにも荒々しい存在。
あれは、ジャターユの情報から分かる。
羅刹だ。
インドではラクシャーサと言われ、しばしば神々の敵となる存在。元は土着民か、もしくは土着民の信仰を悪魔化したものだろう。ランカー島に住んでいると言われるが、これはスリランカの事ではないかとも言われている。
要するにインド文化圏にとって極めて厄介で征服しづらかったスリランカの民を悪魔化した存在というわけだ。
激しい抵抗は、そのまま武勇の逸話にもつながったのだろう。
天使を斬り伏せた羅刹が振り返る。
ただ、無事ではないようだったが。
「ベテルの増援か。 天使ではないな」
「悪いがアティルト界に戻って貰うぞ」
「そうはいかん。 俺としても一神教が好き勝手している今の世界は気にくわないんでな」
ノータイムで斬りかかってくる。
それと同時に、境内にいた敵対的悪魔が一斉に姿を見せる。眷属を全て展開。乱戦に入る。
手傷を受けているとは言え、この羅刹、かなりの手練れだ。
雷撃をたたき込み、怯んだところに蹴りを打ち込む。吹っ飛んだ羅刹が呻くが、それでも致命傷にはならない。
マナナンガルが、頭上から奇声を上げながら襲いかかってくるが。
マーメイドの作った水の壁にぶつかって、困惑した様子で動きを鈍らせ。其処に息を合わせて、アプサラスが氷の錐をたたき込む。悲鳴を上げながら消えていくマナナンガル。踏み込んで、二刀で斬りかかってくる羅刹。剣撃を捌きながら、見る。
辺りには天使と、羅刹やマナナンガル、ラミアや他の雑多な神魔の死体が大量に散らばっている。
そして、浄増寺の辺りの空がひび割れていて、其処に巨大な気配がある。
羅刹と渡り合いながら、冷静に状況を分析。
アオガミに通信を送って貰う。
「浄増寺の天使達は壊滅。 現在、天使と交戦して浄増寺を制圧した悪魔達と交戦。 どうやらアティルト界への直通路があいている模様」
「了解した。 手すきのデビルサマナーは態勢を整え次第可能な限りそちらに送る。 自衛隊員は支援任務に集中。 避難を主体に活動させる」
「了解。 煌、あの空間の穴をできるだけ急いで無力化しないとまずい。 ここを制圧し返すぞ」
「はい」
羅刹が、鋭く二刀を構えると突貫してくる。
手刀で捌きつつ、雷撃を放ち。トロールに絡みついていたラミアの脳天を打ち砕く。更に、今度は火球を打ち込んで、煌の眷属の天使達のスクラムに群がっていたマナナンガルの群れを消し飛ばした。
羅刹が、よそ見している暇はあるのかと叫ぶが。
興奮させるのが狙いだ。
すっと退いて、それで態勢を崩したところを、横薙ぎに斬り伏せる。
羅刹が、無言で数歩歩いた後。
倒れ伏していた。
魔石を使う。これはためておいた分、使い切りそうだな。そう思いながら、気づく。気配が近づいている。
降り立ったのは。
以前魔界で一度遭遇した赤銅肌の筋肉質の僧侶、悟劫だった。
「むごい戦いだ」
「悟劫さん。 貴方は強いはずだ。 戦えるのであれば手を貸していただけますか」
「……拙僧はいずれかの勢力に与することはせぬ。 ただし、あのような明らかに全てを破綻させかねない穴については対処しよう」
そういうと、悟劫さんは読経を開始する。あの穴を塞いでくれると言う訳だ。
だが。
それよりも先に、何かが来る。
雑多な悪魔達はだいたい眷属達が片付けてくれたが。この気配、かなり大きい。
どうやら本命が姿を現したようだ。
「極めて危険な悪魔の気配だ。 煌、気をつけろ」
空間がきしむような凄まじい圧力。そして姿を見せたのは。
巨大な仮面というような雰囲気の悪魔だった。
気配がかなり強い。
以前戦ったジョカやアブディエルほどではない。だが、今の煌よりも力が上かも知れない。
しかもかなり煌は消耗している状態だ。
眷属も皆、周囲で残存する敵と交戦している最中である。
「くふうう……久方ぶりのアッシャー界だ。 ここに余の半身たる存在の憎悪と怨恨を感じ取ったぞ……あれ?」
不意に悪魔が困惑する。
強烈な威圧感はそのままだが。
何か当てが外れたという雰囲気である。
「おかしい! 我が半身は凄まじい憎悪と周囲への敵意で余を呼んでいた筈だ! なんだかむしろ満たされてしまっているではないか! どういうことだ!」
「……」
ハンドサインを周囲に。
仕掛ける。
此奴はかなり強力な悪魔だが、何かしらのハプニングで明確に混乱している。更に、である。
恐らく自衛隊が支援の攻撃を仕掛けてくれた。
剽悍な鷹のように飛んできたのは、恐らくF35ライトニングⅡだ。それがミサイルをたたき込み、離脱する。
明らかに右往左往していた悪魔はそれの直撃を受け。凄まじい爆発に、絶叫していた。
「お、おのれ、人間のからくりか! この余を、偉大なるバビロニアの母ティアマトの子ラフムと知っての狼藉か!」
巨大な隙が出来た。
一気に、煌はラフムと名乗った悪魔に襲いかかっていた。
※ラフム
古代バビロニア神話で始祖神ティアマトに子供世代の神々との戦いのために作り出された怪物の一体です。まあ兵隊みたいな立場なのですが、真Vではなぜか自分を王族のごとく余とか呼んでいます。
傷心の高校生一人たらし込むことも出来ず洗脳しようとするなど悪魔としての美学もなく、はっきり言って無能な三下ですね。ところがムービーだと妙に強いのでそこがまた不愉快というかなんというか。ちなみに見かけは大好きです。
本作で出現して慌てていたのは、サホリさんを目当てで此奴が出現したからです。
既にいじめ問題が解決して、タオさんと関係修復も出来たサホリさんはすっかり憎悪から解放されていました。だからそれをたどってきたラフムははしごを外されてしまい、サホリさんを見失ってパニックになった訳です。
これが彼の破滅につながります。