真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、隠れ潜む天津

天津の神々は十八年前に致命的な打撃を受けた。人間達が東京受胎と呼んでいる事件のためだ。

 

それをかろうじて逃れた神々もいたが。

 

三貴神のうち、どうにか月夜見だけが逃れたらしいことは分かっているが。素戔嗚尊は絶望的。

 

更には天照大神は何かしらの事件に巻き込まれたらしく、姿を見せていない。

 

絶望的な状況だ。

 

それ以前の神々は信仰を受けておらず、既にもはや名前だけの存在に過ぎない。ただでさえ日本では八幡神や稲荷の方が信仰は盛んだったのだ。

 

仏教系の神々が日本でも動いてくれているが、霊的防御に関してはベテル本部の横やりが長らく入り続けたせいもあって、構築できず。

 

幻の都にかんしても、天津の神々が戻ることさえ出来ない状態だった。

 

困り果てた生き残りの神々は、砂漠の中にわずかな水場を作り、其処に潜むしかなかった。

 

幸い信仰は枯れていない。

 

時間さえあれば、月読尊を主軸にして戦力を再編することも出来る。

 

都合が良いことに、一神教の勢力が目立って弱っているという話もある。

 

最悪の場合、混沌と言われる悪魔達と手を組む手段すらあるが。

 

それは最終手段として考えたかった。

 

天津の神の一柱、威厳ある老翁の姿をしているオモイカネは腕組みして嘆息していた。

 

神としては三貴神より前の世代にあたる神なのだが、それはそれとして天津としての席次は其処まで高くない。

 

砂漠化した東京でかろうじて残存戦力を集め。

 

国津の神とさえ協力して、どうにか生き延びることに腐心してきた。

 

外来種の悪魔達から身を守るだけで現在は手一杯だ。

 

この間、ようやく月読尊と連絡が取れたのだが。

 

それもまだ援軍をよこすのは厳しいということだった。

 

砂漠の中にひっそり作られたオアシスに出向く。この辺りはビルの残骸一つすらもない。

 

一説には、東京受胎が起きた爆心地だから、という話がある。

 

新宿と昔は呼ばれていた場所には、地元の人間ですら迷う、世界最大の人間が行き交う駅が存在していたのだが。

 

それも跡形もない。

 

戻ってきたのは、スクナヒコナ。

 

本来は国津に属する存在で、基本的には天津の支配下にあるのだが。

 

今はそんなことを言っていられない。

 

小さな船に乗った小人の姿をしたスクナヒコナは、国津の長である大国主との連携に必須だった。

 

「伝令です。 神田明神に東京から伝令が到着。 ただ……」

 

「まだ援軍の到着まではかかる、か」

 

「は……」

 

「やむを得ん。 現時点では身を守るので精一杯だ。 何かしらの大物と出くわしてしまったら、此処を守り切ることなど出来ん。 逃げるしかないだろうな」

 

仮に援軍が来ても、戦神である素戔嗚尊の助力はかなり厳しい状態だ。この国の戦神で間違いなくトップである素戔嗚尊は、この国であれば文字通り最強。一神教の神とも互角以上に渡り合える。

 

勿論万全の状態であれば、だが。

 

神々に集まって貰う。

 

まず、口を開いたのは、色っぽい薄着の女神だ。

 

天岩戸事件で活躍し、後に猿田彦と結婚したアメノウズメである。

 

「偵察の魑魅を動かしているけれども、生還率が低いわね。 今混沌の悪魔もベテル本部の連中も新宿から離れているらしいけれど、それでもなお厳しい状況よ」

 

「天使どもは我らを隙を見て殺しておきたいでしょうからな」

 

「よろしいでしょうか」

 

そう挙手したのは、クシナダヒメ。

 

素戔嗚尊の妻である。

 

それほど強い力は有していないが、この国最強の戦神の妻だ。相応に知名度がある存在であり。

 

知名度は力に直結する。

 

信仰とはそういうものだ。

 

「あの人の力を微弱に感じます」

 

「! それは本当か」

 

「ええ、しかし微弱です。 18年前の後の大戦で、何があったか一斉に沈黙してしまったあの人の分霊達。 それがどうしてか、今動いているようなのです」

 

「それはもしも合流できれば心強い話だ」

 

三本足の鴉がよろしいですかと聞いてくる。

 

八咫烏。

 

日本に存在した対魔組織ではなく、太陽神としての八咫烏だ。太陽神としての格はそれほど高くはないが、仮にも太陽神である。

 

その実力は決して低くない。

 

太陽に関する干渉力だけであったら、今日本で具現化している神の中では最強だろう。

 

「素戔嗚尊様はともかくとして、天狗達が不審な動きをしておりましてな」

 

「それはまた、どういう」

 

「まだ突き止めたばかりでなんとも言えませんが、独自に指導者を作り出そうとしている節があります。 流石に三貴神が動けない現状、妖怪達にもそういった動きをするものが現れても不思議ではないかと」

 

「……そうだな」

 

オモイカネはまた一つ嘆息した。

 

厄介なのは、この辺りでどうもベテル本部の天使どもが、何かしらを守っている節があるということだ。

 

もしも上手に月読尊と連携して、それを突き止め。

 

ベテル本部の天使どもをたたき出すことが出来れば、一気に形勢を逆転できる可能性がある。

 

衰えたりといえども、日本の支配者神格だ。

 

外来種の神魔に負けることはなくなる。

 

ただし、態勢を立て直さないと厳しい。

 

今は下手に動いても、各個に撃破されてしまうだけである。

 

しばしいくつかの情報を交換した後。

 

アメノウズメがえっとつぶやいていた。

 

「どうかしたのか」

 

「え、ええ。 魑魅達によると、ナホビノが立て続けに強力な悪魔を倒しているという話があるとか。 土蜘蛛がそういう話をしていたと聞いてきたそうです」

 

「ナホビノか……」

 

「創世などといっても、所詮は多少のルール変更に過ぎぬ。 そんなもののために、どれだけの血を流し続ければ皆気が済むのか……」

 

ぼやいたのは八咫烏だ。

 

元々ナホビノに関する事件は、古くは中東が主だった。

 

だが、ローマ帝国とやらが滅んだ後、それが一度アジアに来た。

 

アジアの創世の主は強大だった。

 

あまりにも強すぎたので、一神教はその影響力を徹底的に排除した。四文字の神は、バアル達を敵対視したが。

 

その存在には、敵意ではなく恐怖心を覚えたのだ。

 

蒼天と呼ばれる草原の主に。

 

だから今回の件では、一神教の神が滅んだ後、思い切り東洋が巻き込まれている。

 

今まではそんなもの静観していたインドですら事態を無視していないほどだ。

 

故に、天使達も創世に関しては過敏になっている。

 

もっとも新しく創世をしたものだから、だろうか。

 

一万年程度しかない人間の歴史の中で、創世は七度起きた。

 

七度目の王座の主である四文字の神は。

 

あまりにも臆病で偏狭だった。

 

故に今の状況があるとも言える。

 

ともかくだ。

 

今は、生き残る事を考えなければならない。

 

「引き続き情報収集を各自徹底。 神田明神にいる国津の神々と我らで連携して、まず生き残る事を最優先する。 月読尊と合流できたら反撃について考える。 それまでは耐えよ」

 

「は……」

 

皆が散り、気配を消す。

 

今はただ。

 

虫のように潜んで、ただ嵐をやり過ごすしかない。

 

 

 

(続)







国津神と同時に潜んでいた天津神の生き残りも動き始めます。

ベテル日本支部と合流できれば状況はかなり好転するからです。

ちなみにこの話でちらっとオモイカネが本作の肝となるちょう重要な話をしています。覚えておいてください。


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