真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、カディシュトゥの集い

魔界。新宿区の奥。

 

一面砂漠化している新宿区だが、それも東京受胎が発生した爆心地から離れると話が変わってくる。

 

特に都庁の辺りは、明確にビルも残っているし。

 

多数の悪魔が、独自の生活圏も構築していた。

 

殺戮の天使数体が、蹴散らされてそのまま倒される。それをやったのは、全裸に蛇を巻き付けた妖艶な女。

 

リリスだった。

 

マガツヒになって消えていく天使。

 

髪を掻き上げるリリスに、飛んできたナアマが話しかける。

 

「すみませんお母様。 接近を察知できなくて」

 

「貴方はいつまで経ってもポンねえ」

 

「うっ……ごめんなさい」

 

「格好ばかり先行させても駄目よ。 今時の人間社会の流行りを大胆に取り入れるセンスは素晴らしいのだけれどね。 見かけや身内に受けが良いことばっかり磨いても、中身が伴っていないと悲惨よ。 もう少し色々と経験を積みなさい」

 

返す言葉もないナアマがしゅんとしている。

 

ちなみに親子の設定は後付けだ。

 

だから、あくまでカディシュトゥ頭目に対する敬称として、母と呼ぶようにリリスはさせている。

 

設定的にはユダヤ神秘主義でサマエルの妻とされているが。

 

これも後付け。

 

一神教はそもそも、元は一神教ではなかったし。

 

ゾロアスター教や様々なバアル信仰、憎んでいた大地神信仰の要素まで取り込んで、今の形に至る。

 

ユダヤ神秘主義に至っては、迫害者として徹底的に忌み嫌ったローマ時代のギリシャ哲学から着想を得ているほどだ。

 

信仰は習合を繰り返していくものだが。

 

カディシュトゥはその極北集団と言えるだろう。

 

音もなく姿を見せるのは。

 

腕が回復したばかりのエイシェトだった。

 

「戻ったぞ母上」

 

「エイシェト、それで如何に」

 

「見た感じ、スルトをベテル本部の戦力で攻略するのは不可能じゃな。 この様子だと、戦力を消耗しているベテル本部の天使どもは、近いうちに支部への強制力をなくすだろうて」

 

「いい気味だ。 どうせ支部の連中も、戦力の消耗を最小限に、様子を見ているだけだろう」

 

こくりと頷くエイシェト。

 

リリスはこれでもバビロニア神話からの時代の存在だ。

 

一神教に取り込まれて毒婦呼ばわりされたが。そんなことは知るか。老獪さには相応に自信もあった。

 

「東京駅近辺はそれでいいだろう。 問題は偽りの都から、どれだけマガツヒを回収できるか、だが」

 

「アグラトはこざかしい。 うまくやれているじゃろうて」

 

「さあどうかしらね」

 

「一番情けないおまえに言われたくはなかろうよ」

 

ナアマは幻の都の方で、ナホビノにこっぴどくやられている。

 

それを揶揄するエイシェトだが、エイシェトだってナホビノどころかその仲間のデビルサマナーに腕を一本持って行かれているのである。

 

どっちもリリスから言わせれば、たいした差はなかった。

 

「くだらん喧嘩はよせ。 おまえ達はどちらも私の大事な娘だ。 これから行わなければならない大事は、仲間割れなどしていて出来るものではないぞ」

 

「……分かっていますわよ。 でも、あのナホビノ、どうも考えるとイライラして。 手強いのは事実よ。 気をつけないと」

 

「そうだな。 私が対峙した時も、報告より腕を上げているようだった。 今も……」

 

「ご注進!」

 

アグラトの配下の悪魔だ。空間を飛んで現れた。

 

そのまま報告を受ける。

 

バエルが倒れた。

 

近いうちに幻の都からのマガツヒ略奪システムは破綻する。

 

それを前提に動くべし。

 

そういう内容だった。

 

リリスはふむと腕組みする。現時点でも別に問題はないか。サマエルはどうも最後の最後に出てきて美味しいところだけ持って行くつもりのようだし、元々の目的は蛇の神の祖とも言える偉大な神格の復活だ。

 

弱体化しきった今の天の玉座を粉砕するもよし。

 

或いは、その玉座を修復して座に着いてしまうもよし。

 

いずれにしても、天空神系統の神が始めた創世などと言う馬鹿馬鹿しい事を終わらせるには、それが必須なのだ。

 

それにはこの馬鹿な娘どもをどうにか統制しなければならないか。

 

リリスにも頭が痛い問題だった。

 

「ナアマ、エイシェト」

 

「はい」

 

「なんなりと」

 

「アグラトの方に加勢は無用。 今のうちに、可能な限りベテル本部の戦力を削り取れ。 ナホビノが現在二人活動しているが、どちらに出くわしても即時撤退。 今戦う必要はない」

 

不満そうにするエイシェトと、ほっとした様子のナアマが対照的だ。

 

ナアマはどうもこれはナホビノに気があるな。

 

随分とかわいいことだ。

 

まあ、サマエルの妻という設定も設定だけ。

 

サマエルなんぞよりもずっと古い神格であるリリスには、そんな設定など笑止でしかないし。

 

サマエルが蛇の神の王などと名乗っているのも、滑稽極まりなかった。

 

カディシュトゥというこの組織は、形式的にサマエルを上に置いているだけ。実際にコントロールしているのはリリスだ。

 

そして真の首領は別にいる。

 

天に見限られ。

 

そして地の底からよみがえった復讐の権化。

 

だが、その復讐心が最近揺らいでいるのも感じる。

 

カディシュトゥを組織した存在であるから、どうしてもそれは分かってしまう。

 

ただ、あのお方を復活させるつもりであるのは変わっていないようだが。

 

あのお方が、今の世界を破壊し尽くすつもりなのか。

 

或いは、神話と同じようにまずは慈悲で対応しようとするかまでは、リリスには分からない。

 

いずれにしても、今は目的を達成するべく動くだけだ。

 

娘どもを行かせたあと、リリスはいくつかの手を打っておく。

 

この辺りにいると当たりをつけたらしい鴉とその手下を、もう少し削っておく必要があるか。

 

あれは娘どもには手に負えない。

 

ましてや四文字の神の束縛から解き放たれた今となってはなおさらだ。

 

いくつかの手を的確に打たなければならない。

 

そうしなければ、大望を果たすことなど。

 

夢のまた夢だった。

 

 

 

(続)







カディシュトゥは明確な目的の下に動いています。形式的にはサマエルの麾下にいることになっていますが。それはどうなんでしょうね。

原作を見ていてもサマエルがそこまでカディシュトゥを主体的にコントロール出来ていたかというと疑問が残りますね。

そもそも蛇の系譜の王とサマエルは原作で名乗っていますが、彼の存在がかなり一神教で曖昧である事や、もっと古くにもっと大物の蛇系統の神がいる事(ティアマトなどは特にそうです)を考えると、何を言っているんだおまえ程度がと言いたくはなります。

ともかく、カディシュトゥは一枚岩でもありませんが。確実に邪悪な目的に向け動いていて。

その頭は、リリスであるのです。





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