真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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※グルル

メガテンシリーズでは有名な高位の凶鳥ですね。例のようにスリランカで悪魔化されたガルーダ……という面もあるのですが。

ちょっと今回はもう一歩踏み込んだ内容を扱います。

本作では基本的に鉄拳制裁で全てを済ませる訳ではない、ということです。





1、凶鳥夜叉

東京はユヅルに任せて、煌はイチロウ、ヨーコ、ミヤズとともに新宿区近くに降り立った。

 

既に巨大蛇とゴグマゴグの領域から離れた地域に龍穴を確保し、出現する悪魔は強いのだとしても、ある程度は安全に動き回れるようになっている。

 

黒い天使達はともかくとして、アブディエル麾下の天使はそれほど見かける様子もない。

 

そして、タオの話によると、もう少しでツバメさんの解呪が終わるそうだ。

 

ただしツバメさんは負傷を直さなければならない。

 

それもあって、タオがこちらに復帰しても。ツバメさんの復帰は少し遅れることになるそうだが。

 

この辺りは歌舞伎町か。

 

元は夜の街、繁華街として名高かったが。同時に反社の巣窟でもあり、何度か掃討作戦が行われた土地でもある。

 

魑魅魍魎が蠢く土地だ。

 

どれだけの人の業を吸い込んだかすらも分からない。

 

それは18年前の事件でも、洗い流されることなどは決してなく。その証拠に、多数の悪魔が跋扈していた。

 

「煌様」

 

「見つけたか」

 

「はい」

 

降りてきた煌の眷属のソロネが、報告してくる。

 

グルルは、近くのビルを巣にして、羽を休めているようだということだ。ただ、問題はそれだけではない。

 

こっちを伺っている悪魔がいる。

 

明らかに吸血鬼然とした存在だ。にたにたと、ミヤズに視線を向けているようだった。

 

あれは今はいい。

 

ガルーダはインド神話でも屈指の強豪で、ヒンドゥーで三大神の一角であるヴィシュヌに勝った事がある。母を助けるための必死の行動であり、それを見込んだヴィシュヌに腕を買われ、以降は乗騎として活躍することになる。ちなみにジャターユはガルーダの子孫である。

 

グルルはそれが悪魔化した存在だ。

 

弱いわけがない。

 

姿は、ソロネと情報を共有するが、これは酷いな。

 

まるで骸骨で出来た鳥だ。

 

文化圏をまたぐと、神は悪魔と解釈され、逆に悪魔が神と解釈される。

 

文化的に対立している集団は、相手が信仰している存在を悪魔とし。その逆もまた然り。

 

このため、悪魔と神は、文化圏をまたぐとどんどんその立場が入れ替わっていくのである。

 

ヒンドゥーで邪悪とされているアスラ神族は、もとは中東から伝わった神格なのだが。

 

逆に仏教では神々に取り入れられ。

 

特にマハーバリは最高神格の一角である大日如来となるなど、破格の待遇を受けている。

 

それを考えると、このグルルの姿は哀れ極まりない。

 

ともかく、対処はする。

 

これが恨みを募らせて、東京に出てきたらたまったものではないからだ。

 

「あら、夏目煌。 更に力を上げているようですわね」

 

「!」

 

不意に声を掛けてきたのは。

 

女神デメテルだ。

 

こんなところに来ていたのか。明確に警戒するのを見て、デメテルはくすくすと笑う。この余裕。こっちが仕掛けてこないと考えているからだけじゃない。明らかに、戦闘力に自信があるからだ。

 

「イシュタルの角、いただきに参りましたわ」

 

「その情報だけだったらあるが、それで構わないだろうか」

 

「ええ、ええ。 とてもハーヴェスト! 貴方は稲穂として大変素晴らしい成長を見せていて、感心させられるばかりですのよ」

 

子供みたいな体形をしているが。

 

見かけと中身が違いすぎるな。

 

ともかく、以前の約束は約束だ。イシュタルの角を、多少消費しつつも具現化。デメテルに引き渡す。

 

実際イシュタルを倒すのには、デメテルの助けが必須だったのだから。

 

デメテルは一対の角を受け取ると、素晴らしいとなでていたが。

 

それと同時に、視線を向ける。

 

グルルのいる方に。

 

「あの汚らわしい魔鳥を倒すおつもりですのね」

 

「ああ。 このまま東京に出られては困る」

 

「そうですわねえ。 ちなみにこの辺りには、とても死の気配が濃い地域がいくつもあって、私もハーヴェスト出来ずに困っていますのよ」

 

「よく分からないたとえなのだが」

 

困惑する煌に。

 

とにかく気に入っているらしいハーヴェストという単語を、デメテルは言葉に差し込みながら言う。

 

「魔鳥を倒したら、回復をして差し上げますわ。 こちらとしても、あれの存在は百害あって一利もありませんので」

 

「そうか、その時はよろしく頼む」

 

デメテルが消える。

 

咳払いしたのは、ヨーコだった。

 

「それで。 明確に踊らされているけれど、乗るつもりかしら?」

 

「確かにあの人、明らかに裏があると感じました」

 

「子供みたいな姿だけど、目の奥に俺の母親と同じ光があるのを感じる。 俺も、あの人は信じない方が良いと思う」

 

イチロウの母親は、前に聞いたが、没落した名家の子孫か何かだったか。

 

鬱屈した感情。

 

デメテルの伝承は、煌も知っている。

 

娘を理不尽に奪われたばかりか、ろくでもないギリシャ神話の身内の争いで貧乏くじばかり引いている。

 

何を利用してでも復讐する。

 

そう考えていても不思議ではないだろう。

 

「ただ、利害が一致しているのは事実だ。 もしも悪辣な事をするようなら、その時に斬ればいい」

 

「利害の一致で割り切るのは確かに判断としては間違っていないわね」

 

「大人だよおまえ。 俺だったらどうしても感情で判断しちまう。 怖いよあの女神」

 

素直にイチロウが吐露してくれる。

 

煌としては、本音を話してくれるだけで嬉しい。

 

ともかく、今はグルルを倒す。ガルーダには到底及ばないだろうが、

 

グルルの巣を遠巻きに包囲する。

 

ジャターユが、その過程で話しかけてくる。

 

「あれを討ち取るのは困難を極めましょう。 腐っても父祖の係累です」

 

「分かっている。 何かしら手はあるのか」

 

「実はあれは、現在では父祖ガルーダの悪魔化した姿とされていますが、本来はどうやら夜叉の係累のようなのです」

 

「……夜叉」

 

夜叉。羅刹とならぶ、インド神話における敵対勢力である。

 

なるほどな。

 

対立民族の信仰する存在を悪魔化するだけではなく、更に一段階あったか。

 

しかし夜叉となると、必ずしも全てが邪悪な存在ではない。勿論夜叉そのものは、時に人を食らう凶悪な存在でもある。

 

例えば日本でも有名な鬼子母神は、人の子を食らう凶悪な女夜叉で、仏陀に調伏されるまで毎晩人を食らっていた伝承がある。

 

あの骨の姿をしたグルルは、恐らくはその極端な形で具現化したものではないのだろうか。

 

皆に話す。

 

ミヤズが挙手。

 

「説得できませんか。 煌先輩は、そういうの得意なように思います。 今までに何体もの悪魔を説得で退けてきたのを知っています」

 

「……そうだな。 あの姿、本人が望んだ状態とは思えない。 ガルーダと同一視される前は、土着の信仰を受けていた鳥の夜叉だったとすれば」

 

「なあ煌。 俺にはあの姿、悲しくてならねえよ。 なんとかならないか」

 

「どうでも良いけれど、倒せればそれでいいのじゃないの」

 

ヨーコは手段なんてどうでもいいと言外に言っている訳だ。

 

そうだな。

 

確かに、今は凶行を暴走させる前に倒すのが先だ。

 

それにグルルがガルーダに悪影響を与えた場合、ガルーダまで凶暴化する可能性があるかも知れない。

 

倒しておくべきだろう。

 

配置についてもらう。

 

ぽんと出現したアマノザコ。

 

「ねえねえ、煌。 あたい役に立てるかも知れないよ」

 

「具体的にどう役に立つ」

 

「あたいね、ひっくり返すの得意なんだ。 なんだか邪悪な感じにひっくり返されてるんだったら、それをもう一度ひっくり返したら、なんとかなるかも知れないよ」

 

それは面白そうだな。

 

とりあえず、グルル本人、いや本鳥に提案してみるか。

 

皆が配置についたあと、まっすぐグルルに向かう。翼長二十mはある巨鳥は、無言で煌を見る。

 

髑髏のようになっている顔には、感情は見えなかったが。

 

首を伸ばして、話しかけてくる。

 

「強い力を感じるが、ナホビノか。 何用だ。 私を倒しに来たのか」

 

「貴方はスリランカの土着信仰対象だった筈だ。 ガルーダと同一視され、しかも悪魔化された状態を好ましいと思っているか」

 

「思っているわけがないだろう。 私は悪蛇を屠り、守護を為す原初の精だ」

 

意外と理性的だな。

 

ただ、いつでも掛かってこいと身構えている。

 

戦って勝てない相手ではない。

 

だが、これは説得が可能だ。

 

「貴方を元に戻せるとしたら」

 

「何……」

 

「貴方は近年のイメージでまがまがしい姿へ変じてしまっているとみて良いだろう。 だとすれば、此処にそのイメージを逆転できる眷属がいる」

 

「アマノザコだよ! よろしくっ!」

 

なんか調子よくぐっと親指を立ててみせるアマノザコ。

 

無言で煌が見ると、恥ずかしくなったのか、指を付き合わせて顔を赤くする。

 

グルルは、こっちもやるならやるつもりであるのは理解しているのだろう。羽を広げはしたが。

 

即座に襲いかかってくる様子はない。

 

「面白い。 やって見ろ」

 

「……アマノザコ、はじめてくれるか」

 

「うん。 ただ、何人か手を貸して」

 

読み上げられた面子を、皆にも協力して貰って手配する。

 

煌はアナーヒターとマーメイドを。イチロウはアールマティとアイトワラスを出す。アイトワラスは毎度イチロウの側で頑張り続けていたこともあって、かなり大きくなっている。

 

更に酒呑童子も。

 

そして、ヨーコも呼ばれると、魔法陣をこう書いてほしいと言われて。

 

どうして私がと露骨に嫌そうにしたが。

 

私が書きましょうかとミヤズが言ったのを見て、流石に嘆息。後輩にやらせるわけにはいかないと判断したのだろう。

 

更にアマビエをミヤズに出して貰い、いくつか細かい指示を出し始める。

 

グルルはそれを、油断せず見守っていた。

 

「これは何を書いている。 曼荼羅ではないな」

 

「五行による方陣だよ」

 

「五行というと道教か」

 

グルルに、全く臆さずアマノザコが説明する。

 

アマノザコ、昔はほとんど何も知らない様子だったのに。

 

この間何もかも吐き出してから、不意に頭がさえているな。まだアマノザコの情報は、よく分からないが。

 

それでもこれは。

 

ひょっとすると、江戸時代に創作されただけの神格ではないのではあるまいか。

 

「うん。 五行、木火土金水だね。 それを利用して、貴方を相克関係の陣で、真逆にしてあげる。 今のあたいだけだと、ちょっと無理そうなんだよね。 煌、あのね、イシュタルの木を生やす力、使える?」

 

「やってみよう」

 

やがて陣が出来た。

 

それぞれで、アナーヒターとマーメイドが水、煌が木、アイトワラスが火、酒呑童子が金の力を増幅させる。更に全体をアールマティが包み込む。魔法陣全体の制御はヨーコがする。

 

酒呑童子にそんな力が使えたのは初めて知ったが。

 

或いは。金の持つ狂気の特性を利用したのかもしれない。

 

アルテミスがぽんと出現すると、面白がって興味津々で見ている。わーがその袖を引いていた。

 

「テミスちゃん、邪魔したら駄目だよ」

 

「わ、分かっている。 ちょっとエキゾチックな光景で、興味を引かれてしまう」

 

「土の力の増幅でしたら、私が手伝いますよ」

 

「イズン、頼む」

 

調整が難しい。

 

更にアマノザコが、何やら祈り始める。

 

かなり複雑な日本神道系の祝詞だ。あれ、この言葉、どこかで聞いたことがあるような。

 

古い古い時代。

 

ある神格を分割して、制御しやすくした。

 

その神格はあまりにも気性が激しく、油断すると高天原に攻め込もうとするほどだった。だから分割して、制御しやすいようにしたのだ。

 

その分割の技術は。

 

やがて、様々に活用され。この国の未来を賭けた変事には、活用できるようにするために使われ。

 

そして、18年前に。

 

これは、アオガミの記憶だ。

 

アオガミが一番驚いているようだ。

 

「煌。 アマノザコが唱えている祝詞を私は知っている。 アマノザコは或いはだが、アマノザコという創作神格の皮を被った何か別の存在であるのかもしれない」

 

「確かに僕もまだアマノザコの情報を把握しきれません。 それに、天狗達の言葉も気になります。 もしもアマノザコが天狗達が言っていた、主となり得る存在なのだとしたら……」

 

考え得るのは蔵王権現だろうか。

 

修験道における最高神格。諸説はあるが、あらゆる神の力を内包するとか言う無茶苦茶な設定の神格だ。

 

ただ、そうだという確証は持てない。

 

今は魔法の制御に力を注ぐ。

 

五行陣が光り始める。

 

興味を持った悪魔が集まり始めた。森可成が槍を構えていた。

 

「イチロウ殿。 拙者達は」

 

「ああ、分かってる! 煌、俺とミヤズさんで雑魚は追い払う! 急いでくれ!」

 

「こちらは任せてください」

 

「任せた二人とも」

 

頼りになる。

 

本当に、イチロウはどんどん成長している。ヨーコも皮肉を言うことがほとんどなくなってきた。

 

周囲での戦闘は安心して放っておいて良さそうだ。

 

力を集中させていくと。激しい祝詞を続けていたアマノザコが、気合いとともに手を合わせていた。

 

小さなアマノザコとは思えないほどの気迫がこもっていて、思わず煌も瞠目してしまった。

 

あの凄まじい大嵐を耐えたのは、ひょっとしてスルトと戦う前では無理だったのではないのだろうか。

 

そうとさえ感じてしまう。

 

五行相克による、完全反転。

 

方陣が輝き、グルルがおおと声を上げていた。

 

骨の塊のようだった体が、崩れていく。だが、その下から出てくるのは、蛇を口にくわえた雄々しい鳥だ。

 

ガルーダと同一視されたかもしれないが。

 

元はそもそもが、スリランカにて蛇よけとして信仰された神の鳥。

 

それは荒々しい原初神格ではあっても、人々を害するだけの邪悪ではない。

 

現在でも魔除けとして使われるグルルは、アティルト界できちんと具現化すれば、こうも荒々しくも、雄々しい姿になるのか。

 

「ふうう……」

 

アマノザコが残心する。

 

それと同時に、ぶわっと周囲に余剰のマガツヒが散っていた。

 

すぐに仲魔には、イチロウとミヤズに。ついでにヨーコも参戦を頼む。煌は、儀式の完成と、グルルの無害化を見届けなければならないのだ。

 

「どう? 守護神としての気持ちは戻った?」

 

「素晴らしい。 私はこれで、ガルーダとは別の原初の存在へとなった。 戻った。 とても気持ちが楽だ。 これほどまでに荒々しいが、同時に人々を蛇毒から守る守護者としての意識が湧いてくる。 そうか、私は東京というこの土地の人々を、害そうとさえしていたのだな。 恥ずべき事だ」

 

「それを先に把握できて、とめられたのならそれでいい。 インド神話の神々やギリシャのデメテルから無害化を頼まれたが、別に殺せとは言われていない。 ただ、この地は離れた方が良いかもしれないな」

 

「うむ。 我が故郷、スリランカに戻るとする。 ナホビノよ。 この地には、救われぬ孤独な魂が闇を引き寄せている。 このままだと、私のように闇に染まる者が他にも大勢出るだろう。 救ってやってほしい」

 

頷く。

 

グルルは、さらばだというと、骨の塊ではない、美しい翼を広げて飛び去って行った。

 

インド神話の神々も、今戦力を削られるわけにもいかない。グルルを追うことはまずないだろう。

 

さて、周囲に加勢する。

 

ただ、もう戦闘はほとんど終わっている。

 

アマノザコが自分の肩をつかんで腕を振るっている。

 

「戦えるか?」

 

「おっきいのぶっぱなすのなら出来ると思う」

 

「そうか。 ならば、今はまだ戦闘は控えてくれ。 無駄な被害を増やすことはしたくない」

 

「そっか、そうだね。 この辺り、酷いことになってるもんね」

 

アマノザコは聞き分けよく下がってくれる。

 

森可成が、丁度突きかかってきた魚のような顔を持つ悪魔を、通り抜けざまに脇差しで切り裂く。

 

イチロウも貰ったらしい霊剣を振るって、気合いとともに小柄ではあるがそれでも悪魔をきちんと斬り倒していた。

 

戦闘終了。煌はする事もなかった。

 

「あの大きな鳥がグルルの本来の姿なんだな。 なんだか荒々しくて、野性的でかっこいいな」

 

「原初の信仰、動物信仰は特にああなりやすい。 人々は動物の持つ人間では及ばない力に、神の力を見た。 だから動物に人間のあり方を投影したり、何かから守ってくれる存在として考えた。 グルルはそういった守り神であったんだ。 それに戻れたのであれば、いたずらに人を襲うことはもうないだろう」

 

イチロウに軽く説明してから、龍穴に向かう。

 

恐らく依頼主は倒すことを期待していたのだろうが、そうではないにしても無力化は果たしたのである。

 

龍穴を通り、一旦解散。

 

ちなみに、デメテルは姿を見せなかった。今の解決、望んだものではなかったのかも知れない。

 

先にグルルから聞いた話も含めて、越水長官と話しておく。

 

越水長官は、それを聞くと。なるほど、と頷いていた。

 

「強い死の気配か」

 

「まだ東京駅での戦闘には決着はつかないでしょう。 黒い天使達が何をしているのかを探る必要があります。 あの辺りは、もっと詳しく調べておくべきだと僕は思いますが」

 

「そうだな。 東京駅の戦況は、案の定大苦戦のようだ。 だとすれば、天使達はこちらに構う余裕がない。 その間に、危険要素を排除し、更にはベテル本部が何か仕込んでいるのであれば、それを排除する必要もある」

 

ベテル本部については、煌も不信感が強い。

 

シャカイナグローリーについて、デカラビアから聞いた話を鵜呑みにするつもりはないが、あってもおかしくないからだ。

 

今の時代は、信仰が異なる人間を、SNSで簡単に見ることが出来る。

 

一神教にとって、他の信仰なんて信仰ではないし、滑稽な存在にしか過ぎない。そう考えている人間は、今の時代でも幾らでもいる。

 

そういうものだ。

 

だからこそ、危険要素は排除しなければならない。

 

勿論個人で一神教を信じるのは自由だが。

 

「信仰の自由」というのは、信仰を押しつけられない自由をも内包しているのである。

 

「とりあえず、魔界の歌舞伎町周辺がおかしな事になっているのは確かだ。 掃討作戦が必要だろう。 危険な悪魔は、今のうちに出来るだけ排除してくれ。 位相を隔てているとは言え、東京にある魔界は立派なアッシャー界だ。 悪魔にとっては、アティルト界からマグネタイトやマガツヒを得て実体化するよりも、魔界から位相を越えて東京に来る方が遙かに敷居が低い。 東京に強豪悪魔が立て続けに来ているのもそれが理由だ。 対応できる人員がいるうちに、可能な限り対処して、不安要素を減らしたい」

 

「分かりました。 具体的な作戦ができ次第、指示をください」

 

「うむ。 少し休んでくれ」

 

煌も休憩に入る。

 

アマノザコは眷属に正式になったからか、煌の中で随分とリラックスしているようで、外には出たがらない。

 

煌としても、不思議とアマノザコが側にいるのは、不愉快ではなかった。







グルルを本来の形へと解放して、一件落着……とはいきません。

魔界歌舞伎町にはこの事態の根源がいます。

ただこの存在も、必ずしも悪ではないのですが。

そう、あの子ですね。本作でのあの子は、特に悪さをするために歌舞伎町にきたのではありません。たまたま流れ着いただけなのです。







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