真女神転生VV二次創作 牛蛇相克 作:dwwyakata@2024
原作だとユヅルくんとはすぐに別行動するんですが、右も左も分からない場所でそれは明確な悪手です。
本作ではそれもあって、一緒に行動することになります。
結果として、原作とは様々な事が変わっていくことになります。
山手線の車体があちこちで散らばっている。車体はそれほど酷い状態になっていないものもある。ただし線路から脱輪しているものや、ひっくり返されてしまっているものもあった。
さびなどの風化以外では、全く無事な車体もある。車体のガラスも無事で、堅牢さに煌も舌を巻いた。ドアは力尽くで開けなければならず、内部にはひんやりとした空気が漂っていた。
だが、それでもだ。これだけ無事な車体であっても。
内部に生存者の痕跡はない。
中に入って丁寧に調べてみるが、死体も痕跡も存在していなかった。
やはりおかしい。
煌はアオガミと話しておく。
「アオガミさん。 これだけの破壊が起きたのなら、死体が絶対に残るはずだ。 核などが使われたとしても、それは変わらない。 悪魔がいるとしても、人間の死体は見た目より遙かに頑丈で、特にこういった閉所だったら、まず間違いなく骨や屍蝋化した死体があるはず。 まったくその痕跡すらないのは異常ですね」
「煌、君は優れた知能を整理できているな。 私もここで何が起きたか、今記憶領域を修復作業中だ。 或いは、人間はまとめて消え去ってしまったのかも知れない」
「まとめて……」
「恐らくこれは、戦略兵器や大量破壊兵器による災害ではないと見るべきなのだろう。 いや、既存の科学による兵器によるものではない、が正しいのかも知れないが」
情報が必要だ。
既にユヅルは隠す必要がなくなったからか、悪魔を数体展開して、辺りを調べている。
デビルサマナーは、ああやって悪魔を行使して、悪魔と戦う。
毒をもって毒を制する。
そういう人たちだそうだ。
そしてツバメさんは、その悪魔達を恐れてもいない。中には見るからに獰猛そうなのもいるのにだ。
まあ、あの人が怪しいのは分かっている。
ともかく、この辺りに人の気配はなさそうだ。
山手線からでる。
軽く話をする。
そうしていると、ひょいと山手線の上から、小さな人影が姿を見せた。
あのアマノザコという悪魔だった。
「あ、見つけた! 見つけた!」
「!」
「大丈夫だユヅル。 以前助けた悪魔だ」
「ねえねえ! お礼しに来たよ!」
すっと降りてきて、はいと渡してくるのは、魔石をたんまりだ。
これは確かに礼としては充分だろう。
魔石は煌が加工すれば、人の怪我だってある程度は直せる。それは既にユヅルと確認して分かっている。
「どう、あたし役に立つ? 役に立つかな? ねえ!」
「ありがとう。 貴重な物資として活用させて貰う」
「ほんと! 嬉しいな! さっきあっちにも人間いたんだけど、なんだか話しかけたら散れとか言われて。 怖かったよー。 あたし、何か悪い事でもしたのかな」
「!」
ユヅルと煌が即座に反応をしたのを見て、アマノザコはむしろふふんと子供みたいな容姿に、狡猾な笑みを浮かべていた。
さて、何を要求してくる。
「人間の場所に興味があるみたいだね。 知りたい?」
「何を求めている」
「そっだな。 ね、神様のほう。 あたしを相棒にしてくれないかな」
「相棒?」
ユヅルは油断するなと視線を送ってきている。
ツバメさんは後ろで、山手線に背中を預けて余裕の様子でこっちを見ているようだ。ユヅルと何か関係があるようだし。
間違いなく一般人ではない。
ともかく、今は咳払いすると、順番に進めていく。
「眷属にすれば良いのか」
「いや、眷属はまだちょっとやかなー。 君を見極めたいし」
「どうすればいい」
「うーん、そうだな。 あたしが役に立つって認めて、手伝うのと観察するのを許してくれる?」
随分と曖昧な条件だな。
少し不安になったが、アオガミが提案してきた。
「悪魔との曖昧な契約は極めて危険だ。 いっそのこと、無視することを推奨する」
「しかし人命が掛かっています」
「……少年は人命救助を優先すると理解。 それならば、契約書を作るべきだろう。 それを拒否するような悪魔は、側に置くべきではない。 嘘をついている可能性も高い」
頷く。
紙はあちこちで手に入れた。それを吸収し、再具現化する事も可能だ。合一神とかナホビノとか言っていたか。
いずれにしてもとんでもないパワーである。
紙を体内で再構築し。
それにあまつさえささっと契約内容を記す。
内容は以下のようなものだ。
煌およびアオガミ、更には周辺の人間には絶対攻撃をしない事。
攻撃に類する行動、束縛なども同じく禁止とする。
危険が及ぶ道具を至近で用いる事も禁止。
悪意を持って陥れようとする事も禁止。
手伝いは非戦闘行為に限る。戦闘時は必ず距離を取ること。
これらを守れるのであれば、側で観察することを許可する。
これを契約書にして、サインつきでアマノザコに見せる。アマノザコは、わっとそれを見て喜んでいた。
「わ、凄いね凄いね! 随分しっかりしてるね!」
「飲めるか」
「うん、問題ないよ。 ほい」
書類に手形を押される。
随分とまた、あっさり押したな。アオガミも精査して、簡単にはつけいられない内容にしたのだけれど。
ユヅルも契約内容を見て、それで問題なさそうだと言う。
ツバメさんが、いつの間にかひょいと書類を取り上げていた。接近に気づけなかった。
「ふーん、これはアオガミ神、しっかりしてるッスねえ。 簡単には付け入れないッすわ」
「書類を返していただけますか」
「うん、いいよ」
すぐに返してくれる。
体内に取り込んで、それで情報を確認。特に契約内容をいじられるような事もないようだった。
側を嬉しそうに飛び回るアマノザコ。
きゃっきゃっと楽しそうに声を上げている。
剣呑な設定持ちらしいのだが。
その割にはとても無邪気だ。
「人間、あっちだったよ。 でもなんというか、ものすごく険しい顔で、猛獣みたいな気配だったから気をつけた方が良いかも。 悪魔より強そうだったし」
「どこかのデビルサマナーか?」
「ああ、悪魔使いのことだよね。 そっちのお兄さん、ユヅルっていったっけ。 あんたもそうなんだよね、ね!」
「そうだな……」
ユヅルは辟易気味だ。ともかく、気を散らせてもまずいので急ぐ。
煌だけで先行しても危険だ。
ユヅルが戦えるのなら、その力をある程度あてにしたい。
それにこの世界では、悪魔と生身で渡り合えるほど強い人間がいるとユヅルは言っていた。
だとすれば、その人間が非好意的だった場合は、とてもではないが油断しない方が良いだろう。
見つけた。
さっと足を止めて、手を横に。
確かに白い制服を着ている女子生徒だ。
高校生に見える。
最近は高校でも制服が多様化していて、女子はセーラー服一択だった時代は終わっている。
ブレザー型が多いが、あの女子生徒が着ているのは何というか、スーツに近いびしっとしたものだ。
ユヅルが知っていた。
「あれは聖マリナ女学院の制服だ。 都内でも有数のお嬢様学校のものだな」
「ああ、あの黒い噂が絶えない」
「ツバメさんも知っているんですね」
「これでもフリーライターだからね。 それにしては……」
確かに違和感がある。
お嬢様学校の生徒にしては、後ろ姿から見える女子生徒は、髪の毛も短く切りそろえている。
ミヤズも短髪だが、あちらはくせっ毛で、そういうものだから仕方がないという雰囲気なのだが。
今見えている女性は、動きやすくすることだけを目的にショートヘアにしているような印象を受けた。
「あの人間だよ。 悪魔も見えるみたいだし、それになんだか怖いんだよ!」
「分かった。 アマノザコ、下がっていてくれ」
「うん」
アマノザコが側に隠れる。
手を振って、距離を取るツバメさん。
あの人は、なんだかユヅルと煌が束になっても勝てない相手でも余裕で処しそうな気がしてきたので、放っておいても大丈夫そうだ。
近づくと、女生徒が振り返る。
何というか、とてつもなく鋭い目つきだ。顔立ちは整っている方だが、あからさまに鋭すぎる目つきと表情でその前に厳しさが目立つ。
「人間? 縄印の生徒のようね」
「僕は縄印の三年生、敦田ユヅルだ。 彼は故あってこんな姿だが、立派な人間だ」
「夏目煌です。 よろしく」
「……尋峯ヨーコよ。 高校三年。 多少の自衛能力はあるわ。 人間以外相手でもね」
とにかく威圧的だな。
無言で相手を見つめる煌に対して、鋭い視線と敵意、警戒感を全く崩してこない。その辺の不良なんか問題にもならないくらい肝が据わっているようだ。煌の視線を受けて、視線をそらさない人間は少ない。
多少困惑しつつも、ユヅルが提案する。
「ここに何時くらいからいる。 尋常な場所ではない事は理解していると思う。 脱出のために協力したい。 どうだろうか」
「脱出ねえ」
「煌。 あの娘、かなり危険な力の気配がする。 油断はするな」
「それは僕も感じています」
アオガミが警告してくる。
ただ、それでも人間だ。
まずは相手を知らなければならない。咳払いすると、近づくユヅル。反射的に動いたのは、アオガミの支援があったからだろう。
透明な何かが、ユヅルを上から強襲していた。
即座に動いてユヅルを引っ張らなければ、命はなかったかも知れない。
女生徒も飛び退くと、さっとお札みたいなのを構える。
あの様子からして、ひょっとしてデビルサマナーだとか、悪魔と戦える人間なのだろうか。
透明な奴が、姿を見せる。
四足獣だが、なんだか不思議な仮面を被っている。威嚇する音を立てているそれに対して、アオガミが警告してきた。
「データなし。 極めて危険な悪魔だ。 即時の撤退か、総力戦を」
「総力戦一択。 ユヅル、力を貸してほしい」
「分かった。 仕掛ける!」
ユヅルの声を確認し、正面から、煌が突っ込む。
巨大な……羆より恐らくだいぶでかいそいつは、光の剣の一撃をあっさり回避すると、爪を振り下ろしてくる。
反応速度が尋常じゃない。
だが、それをかろうじて回避できるくらいには、煌も力が上がっていた。
砂が吹っ飛ばされる。
わずかな攻防の余波だけで、ミサイルでも落ちたかのような凄まじい衝撃波がほとばしったのだ。
砂から逃れつつ、周囲の状況を確認。
女生徒は、自分の周りを不思議な力で守っているようだ。
ユヅルは何か悪魔を出すと、壁にして後方に飛び退いている。
よし。
そのまま、空中機動して仕掛ける。
悪魔も最優先目標として、煌を定めたようだ。真正面から、仮面……いやそういう顔であるらしい。
その顔の口を開いて、乱ぐい歯だらけのグロテスクな口で、襲いかかってくる。
人間の血肉の臭い。
それが、どうしてか分かった。
品川駅で嗅いだのと同じだ。
まさか、犯人はこいつか。
立て続けに炎、冷気、烈風、雷撃とたたき込む。雷撃が効くが烈風は駄目だ。
弾きあって、飛び下がる。
「風は駄目だ! 雷撃の手札はあるか!」
「任せろ!」
ユヅルが、雷そのものの獣を繰り出す。
それが一直線に伸びて、悪魔を直撃した。
うっとうしそうにそいつがユヅルを見るが、させるか。
山手線の残骸を上手に利用して、一瞬だけ相手の視界を切る。
悪魔もそれに気づいて、飛び下がろうとするが、その先に行くことは分かっていた。
今ので女生徒から距離を取らせ。
更には。
力をため込んだ煌が躍り出る。
上空から、雷撃を束にしてたたき込む。
印を切った。
恐らくだが、そうすることで雷撃の火力を段違いに跳ね上げられる。そう理解していたからだ。
直撃。
悪魔が竿立ちになり、黒焦げに……ならない。
悪魔が飛び退くと、なんと人の言葉で喋った。
「このグラシャラボラスに傷を負わせるか。 どこの神格だか知らぬが、油断は出来ぬ相手のようだな」
「ソロモン王72柱にそんな悪魔がいたような気がするな」
「正解だ。 まあだいたいは後付けの設定であるがな。 この姿もまたそうだ。 ……次は準備してくるとする。 簡単には倒せそうにはないと判断した。 引くのが賢明であろう」
追撃の雷撃がユヅルの方から跳ぶが、余力を残して戦っていたのだろう。
グラシャラボラスはひょいと回避して、透明になると消える。
舌打ち。
あいつ、恐らく品川駅での事件の犯人だ。
逃してしまったのは痛い。
今から追うのはリスクが大きい。
それは、避けるべきだった。
降り立つ。
女生徒が、壁みたいなのを解除したようだった。
「あなた、こちらを気にして戦っていたわね」
「当然でしょう」
「こんな場所で他人の心配? あなたみたいな甘い考えでいると、簡単に死ぬわよ」
「……それは違うと思いますが。 強者が弱者を踏みにじるのが正しいやり方だとでも貴方はいうつもりですか? 自然界ではどうしても食物連鎖というものは存在しますが、それは決して強い者が弱い者を蹂躙していくだけの仕組みではありません。 自然界では被捕食者がいなければ捕食者はあっという間に絶滅します。 ましてやそれより複雑な人間の社会に、その理屈は当てはまらない。 人間は病人や老人と言った他の生物が弱者として切り捨てる存在を守ることで発展してきました。 それを無視した破落戸が使うような弱肉強食論は、ただの詭弁です。 狼などのある程度社会性のある生物ですら弱者保護と似たようなことはします。 集団で狩りをしていた恐竜には骨折が治った跡が発見されています。 つまり、古代から人間ではない生物ですら、そんな理屈は嘘だと知っていたんです。 数千万年以上も前からね」
丁寧に説明すると、ユヅルが呆れたように頭を振る。正論だが、それが通る人間ばかりではない。
そうユヅルの表情は告げていた。
ヨーコという女は、あまり好感を持てないが。
ただ、丁寧な説明を真面目に聞いた後。
それに対しては、ある程度同意できると言った。むしろ、論理的に返してきた事に、好感まで抱いたようである。態度が少し柔らかくなり、面白いわね貴方と返してきた。
まあ、全く会話が成立しない手合いよりはマシだ。咳払いして、ツバメさんの無事を確認する。まあ平気だろうと思っていたが、やっぱり平気だった。
「いやー、凄い悪魔だったッスねえ。 あのグロいマガツカとかいうのより凄かったっすよ多分」
「この人は誰? 信頼できるのかしらね」
「そうはいうが、尋峯さん。 あなたこそまだ素性が分からないではないか。 この人は平塚ツバメさんというそうだ。 フリーのライターだとか」
「今紹介にあずかったツバメっす。 あなたは聞こえていたけれど、尋峯ヨーコと言うそうっすね」
煌の説明に、すっと目を細めるツバメさん。
険しい顔しかしていないヨーコが、一瞬だけ困惑した。
何か、知っているものを見たような顔だったが。
ともかく、いずれにしても初めてヨーコが視線をそらした。
「非常に危険な場所なのは確かだ。 自衛は出来るようだが、単独行動をするべきではない。 ヨーコさん、貴方も同意できるとは思うが」
「そうね。 生存確率を上げるためには、それが正解だと思うわ、敦田さん」
「そうか。 では、協力してこれから道を探そう。 天使がいて、人間を保護したのを煌が目撃している。 天使と接触すれば、或いは安全な場所が分かるかも知れない」
「天使ね……一神教において、神の手先としてだいたいろくな事をしない連中よ。 そんなのにあなたみたいな理論派タイプが頼るのは、相当追い詰められていると見て良いかしら?」
揶揄するような言葉だが。
ユヅルは挑発に乗らない。
煌の方が眉をひそめたくらいだった。
「煌。 この娘はやはり危険な雰囲気がある。 先も明らかに、攻撃に対して的確に対応していた。 守りの力がもしも余技程度だとすると、警戒を解くべきではない」
「それよりも、思想的に偏っていないですか。 その方が心配になってきますが」
「思想の偏りなど誰にでもある」
「それは確かにその通りですね」
煌だって、そうだ。
そもそも煌は情報を得てから判断すると決めているのだが、大半の人間は感情で物事を判断している。
だとするとその方が主流であり。
感情のまま暴力を振るったり危害を加えたりする方が、世界的に見れば普通の思想である可能性すらある。
そういう観点からすれば、煌だって偏っている事は自覚しなければならないだろう。
「煌、魔界にいる以上、様々な思想の悪魔を見ることになる。 彼らの中には、今の人間から……いやこの表現はおかしいな。 煌、君が持っている芯から大幅にずれた思想の持ち主が少なからずいるだろう。 それを片端から始末していたら、手札は絶対に増えない。 酸いも甘いも受け入れていく度量が必要だ」
「分かりました。 ただ、それでも譲れない相手の、譲れない行動を見逃すつもりはありません」
「それでいい。 私も煌の生存を全力でサポートしよう」
ありがたい。
アオガミはとにかく煌を尊重してくれている。運命共同体だという以上に、不思議な相性の良さを感じる。
アマノザコが来たので、近くにいるように話す。
尋峯を怖がったアマノザコだが、尋峯も一瞥しただけで。これ以上暴言をぶつけるつもりはないようだった。
ともかく、ユヅルが使い魔を出せるらしいので、それと併用して、少しずつ周囲を調べながら進む。
痛んだ缶詰などが見つかるが、人間が食べて大丈夫かは分からない。
ただ、埋まっていることで、天然の冷蔵庫と化している場所があった。
電気が完全に死んでいる訳ではないらしいのは、あちこちでちかちかしている自動販売機を見て理解していたが。
こういう場所もあるのか。
しかも運が良いことに、いくつか保存食を見つけた。調べてみると、恐らく食べることが出来るはずだ。
「平塚さん、尋峯さん、ユヅル。 僕が確認したところ、食べるのには問題がないと判断できる。 僕はどうやら、直接力を吸収できて、それで食事が必要ない。 三人で分けてほしい」
「確かに腹が減ったっすねえ」
「ここは寒すぎますが、さっきの山手線の中であればある程度の安全を確保できる筈です。 見張りは僕がしておきます。 どうやら睡眠も必要ないようですから」
ギュスターヴが用意してくれた拠点については、まだ案内しない。
というのも、ツバメさんも尋峯も信用できないからだ。
ユヅルは信用できるが。
何かあった場合、最悪ギュスターヴを敵に回す可能性がある。
それは非常に危険なので、今は避けたかった。
ユヅルが使い魔を何体か呼び戻し、周囲の警戒に当ててくれる。
それと協力して、山手線の車両をそのままシェルターに使う。
トイレについては、近くに屋外トイレの残骸があったので、それを使って貰う。水を出せる悪魔が手持ちにいる(マガツカ化していたマンドレイクがそうだ。 倒した後は吸収して眷属となった)ので。水はマンドレイクに頼む。
トイレットペーパーについては、痛む要素がなく、普通に使えそうなので、それで我慢して貰う。
それらをテキパキとユヅルと話して決めた。
話がおわった後、尋峯が言う。
「二人とも随分と理論派な事ね。 いずれにいても、話が通じるのであればそれに超したことはないわ」
「ありがとう。 とにかく、次はいつ休めるか分からない。 トイレと食事をすぐに済ませてしまおう」
「じゃ、先にトイレ使わせてもらうっすわ」
平塚さんが、ひょいひょいとトイレに向かう。
相変わらずまったく分からない人だな。
トイレって何って興味津々でアマノザコが聞いてくるので、生物が排泄に使う場所だと説明。
どうもピンとこないようで小首をかしげている。
或いはだが、栄養の摂取方法が、生物とは根本的に違う可能性がある。
だとすると。
恐らく品川駅で人を惨殺しただろうあのグラシャラボラスは、栄養を取るために人を殺したのではないのか。
餓鬼は明らかに食事に興味を示していたが、悪魔によって違うのか。
食べるという行為はしても、排泄はしないのだとすると。食べたものは全て栄養になっている可能性もある。
ともかく、分からない事だらけだ。
スペースは充分にあるので、ユヅルと女性陣で別れて休憩して貰う。
その間、じっと山手線の車両の上に座り。周囲の偵察を上空の意識を移して丁寧にやっていく。
東だと思われる方に悪魔が集まっている集落みたいなものがある。更にその先に、強い気配がいくつか。一つは恐らくマガツカだろう。アマノザコが、役に立とうと色々探してくる。礼を言って受け取る。
役に立てることが嬉しいらしくて、アマノザコは礼を言うと、毎回喜んでいた。
※尋峯ヨーコ
VVより登場した、復讐の女神編のヒロイン……というより台風の目ですね。
色々問題のある言動が多く、論理的のように見えながら実際は結局ロウ勢力憎しからかなり無茶苦茶なことを言います。明らかにあんたの方がおかしいだろと、カオスルートに行く際はぼやきながらイベントをこなしていましたね……
本作のヨーコさんは、ちゃんと理屈が通じる存在として描写しています。カオス思考なのは原作と同じなのですが、煌くんが超がつくほどの理論家なので、むしろその言葉を面白がって聞くことで、少しずつ考えが変わっていく事になります。
これもまた、原作の悲劇を少しずつ緩和する要因となっていくのです。
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