真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、背信者

マンセマットは黒い天使達と、大量の悪魔を引き連れて至聖所を攻撃していたが、想像以上の抵抗に手を焼かされていた。

 

マンセマットは元々陰謀屋だ。

 

陰謀を張り巡らせるのは得意だが、軍事は大の苦手。

 

その辺りはカマエルが補ってくれていた。だが、カマエルは。当面アティルト界から戻ってこられない。

 

このような事があって良いのか。

 

その怒りが、マンセマットの身をむしばむ。

 

既に体から、黒い羽毛が生え始めている。爪を噛んでいると、それが黒く濁っているのが分かった。

 

元から顔色は悪かった。爪も黒かったが。

 

そんな色じゃない。

 

闇の深淵みたいな黒だ。

 

ぎりぎりと爪を噛む。マンセマットに、アブディエルから離反した大天使達が、戦況を告げてくる。

 

「あまり有利ではありませんな」

 

「マンセマットについた大天使はメルキセデクだけです。 その割には、あの石頭めは随分と粘りおりまする」

 

「マンセマット殿が出るべきでは」

 

「黙れ」

 

低い声が出た。

 

こいつらは、アブディエルの麾下で、ずっとぬくぬくとしていた。

 

人間がやっているような政治闘争にうつつを抜かし、自分たちが手を動かすと言うことをしなかった。

 

大天使のほとんどがそうだ。

 

マンセマットが汚れ仕事を一生懸命やっている間、こいつらは何をしていた。

 

神の寵愛を笠に着て、ただその側に侍っていただけではないか。

 

「どうやら人間どもが至聖所に侵入した様子。 外の制空権を抑えるくらいは貴方達でやりなさい」

 

「はあ、制空権ですか」

 

「まあ構いませんが、その程度でよろしいので?」

 

「相手はアブディエルです。 勝てるというなら、証明して見せなさい」

 

マンセマットがふっと鼻で笑うと、流石に鼻白んだ大天使達は、ともに裏切った天使達と一緒に戦いに向かう。

 

あれらは役に立たん。

 

サリエルとカマエルがいてくれれば。

 

そう思って、また爪を噛む。体が痒い。がりがりと掻く度に、肌が硬質化しているように思う。

 

至聖所に何カ所かの進入口から突入させた黒い天使の一体が戻ってきた。

 

「ご注進」

 

「何か」

 

「内部に入り込んだ人間達の戦力、極めて大。 制圧地域が、立て続けに奪回されております。 救援を」

 

どいつもこいつも役に立たない。

 

アブディエル単騎で右往左往しているところを袋だたきにして。至聖所を制圧すれば、文字通りベテル本部の主導権を握れる。

 

その後は、目をつけておいたナホビノと合一でもして、創世すればいい。

 

実は既にいいのを見つけているのだ。

 

創世の知識は頭にたたき込んである。はっきりいって異郷のデーモンどもはあまり乗り気ではないし。

 

マンセマットに主導権がある。

 

そのはずなのに。

 

どうしてこうも嫌な胸騒ぎが消えない。何よりも、あの夏目煌とかいうナホビノ。

 

アリオクも倒したとなると、いよいよ看過できない脅威になりつつある。あのとき見せた強さは、まぐれではないということだ。

 

更に良くない情報。

 

周囲のマガツヒが、吸い上げられているようだというのだ。

 

「戦いにて生じたマガツヒが、どこかに向かっているようですね。 警戒はした方がよいかと思います」

 

「捨て置け! くだらん報告をする暇があったら、アブディエルの麾下の蠅を一匹でも落としてくるのです!」

 

罵って部下を行かせる。

 

どいつもこいつも。苛立ちながら、戦況を見やる。アブディエルが建て直しつつある。侮りまくっていた大天使どもは、アブディエルを三体がかりで襲って、瞬く間に斬り伏せられてしまった。

 

まああれらは、アブディエルの弱体化に使えたからそれでいい。

 

それにあれだけのことをしたら、もうアブディエルの側には戻れない。

 

敵の戦力を削れた。

 

それだけで充分だ。

 

主は。

 

何をしている。

 

援軍は要請した。だが、どうも来る気配がない。ひょっとして、この状況を傍観して楽しんでいるのか。

 

いや、そんなはずはない。

 

主はしかるべき存在が、座に着くことを望んでいた。

 

誰がついてもいいが、それでも軟弱な存在はいらないと仰っていた。

 

これは選別。

 

ならば力を貸してくださるはずだ。それなのに。

 

「マンセマットよ」

 

「!」

 

誰かの声。

 

聞き覚えがない声だ。

 

「其方の薄汚い野心と野望、ずっと見続けていた。 その野心にて、どのような創世をするつもりか」

 

「私が最上位に、左右にカマエルとサリエルがいて支える、三頭態勢の世界を作り上げるだけですが」

 

「くだらん創世だ。 おまえの権力のことだけを考えていて、世界のことなど何も考えておらん。 だから運にも見放される」

 

「だ、黙れっ! どこだ! 誰だ!」

 

喚きながら周囲を見るが。

 

高笑いだけが聞こえた。

 

苛立ちがピークに達したマンセマットは、こうなったらと。アブディエルを見据える。

 

わざわざ仕掛ける理由などはないが、それでもこれ以上は流石にプライドが許さない。

 

既に自分の口が耳まで裂けていることに、マンセマットは気づけていない。

 

甲高い怪鳥のような叫びとともに、マンセマットはアブディエルに上空から襲いかかった。

 

 

 

(続)







既に完全に壊れてしまったマンセマットは、天使としてのあり方すら維持できなくなりつつあります。

四文字の神がいないのだから堕天はしませんが、堕落はします。

マンセマットは最悪の意味で堕落した結果。

その天使としての姿すら、失っていきつつあるのです。




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