真女神転生VV二次創作 牛蛇相克 作:dwwyakata@2024
いろいろありましたが、万魔会談が開始されます。
このイベント、原作では、各支部のまとまりのなさや、ヴァスキ程度が粋がっていたり、このタイミングで各支部がやっとナホビノの存在を知ったりと、色々とありますね。
本作では遙か早くから各支部がナホビノの存在を諜報戦にて知っている事や、ベテル本部が壊滅的なダメージを受けていることもあります。
まとめのための会議ではなく、敗戦処理として致命的な事態を避けるため開かれる事となります。
休憩を終えてから、越水長官とともにその場に出向く。龍穴を通って向かったその先は、蓮のような巨大な花の中だった。
これは、インド支部が場を用意したな。
そう思いながら、歩く。
悟劫がいる。
どうやらインド支部ではなく、仏教勢力代表で姿を見せているらしい。人間ではないことは知っていたが。それでも、此処に堂々と出てくるのは驚きだ。
越水長官の護衛という形で、煌はついていく。
後ろにはイチロウとユヅル、それにミヤズ。
あと、越水長官の副官というていで、タオも来ていた。
ヨーコは参加を拒否。
適当にシャワーでも浴びて寝ているそうである。
まあ、神々の茶番なんて見る気にもならないというのであれば、それはそれで構わないだろう。
また、フル装備の自衛官が数名、護衛に加わっていた。あくまで自衛隊の面子のための参加だろう。
いても何も出来ないとしても。
ツバメさんは例のごとく東京の守備に残る。
まだまだ突発的に大物の悪魔が仕掛けてきているのだ。一人くらいは残らないと、守るのは難しいのである。
階段の場に席はない。
どうやら皆で蓮の花弁のそれぞれに散って、話をするようだった。
最初に現れたのは、巨大な蛇だ。腕が六本生えていて、顔は人間に近いが。
ヴァスキだ。
越水長官が説明してくれる。
インド支部の代表としてはあまりにも格が低い。一応ヒンドゥーの世界創世には関わっているが、それも酷い関わり方。
本来ならシヴァかヴィシュヌが出てくるところだろうが、ヴィシュヌは弱体化が著しく、シヴァは恐らくはルドラの秘法を始めている。
そこで、どうでもいいという姿勢を示すために、ヴァスキが出てきていると言う訳だ。要は舐め腐っているということである。
ヴァスキは数体の精鋭らしいナーガと、アプサラスを連れていた。
どのアプサラスも、田町の近くで見たあのアプサラスとは違うな。それを見て、ちょっとだけほっとした。
続けて姿を見せたのは、体が左右で白黒に別れた、肉体美の塊みたいな男性神格だ。半分は柔和な顔をしており、もう半分は荒々しい。
あれがゼウスだと越水長官が説明してくれる。
あれが、とイチロウが驚く。
誰もが知っている、最も世界で有名な神の一角だ。ギリシャ神話の最高神といえば、普通に名前が挙がるだろう。
ゼウスも数柱の神を連れていた。
恐らくオリンポス十二神だ。
その中にデメテルがいるので、苦笑い。
デメテルも、かわいく手を振ってきたので。もう一つ苦笑いしてしまった。
また別の存在が来る。
片手に二羽の鴉をとめ、もう片手に槍をもった男性神格だ。
片目は隠れていて、威厳のある鎧を着込んでいる。
何度か見たヴァルキリーを連れている。
オデットが内部から話しかけてきた。
「皆ヴァルキリーの重鎮の方々ばかりです」
「そうか。 オデットもあれくらいの力は手に入れたいか」
「……はい」
今まで、オデットは偵察や乱戦くらいでしか出番がなかった。
だが、それでも力は確実についてきている。
悪魔合体はしたくないという。
それもあって、今は頑張りを見ている状態だ。恐らく煌が見たところ、あれらのヴァルキリーよりも、力はもう上だと思うが。
そしてあの男性神格。
状況証拠から分かる。
北欧神話の主神、オーディン。
日本では格好良いイメージがあるが、実際の北欧神話では「戦に勝利する神」であって、逆にいうと戦に勝利するためだったらあらゆる非道を平気で行う神でもある。
元々荒々しい北欧神話なのだが、オーディンの非道さは群を抜いており。此奴は本当に神なのかと言いたくなるような外道行為を平然と行う。
越水長官が、オーディンだと言った後。
くせ者だから気をつけるようにと言ってくる。
分かっている。
オーディンは北欧での信仰を一神教に押しつぶされ、今やすっかりローカル神格に成り果てている。
それでも物語として知られているから、支部があるというだけ。
実際には、一神教に対して、心穏やかではないだろう。
次に姿を見せたのは、コンスだった。
コンスが一礼したので、煌も一礼する。
敬意を払うべき相手だ。
ミヤズが一瞬だけとても嬉しそうな表情をしたが、すぐに一礼をしていた。
ユヅルが複雑そうだ。
更にいくつかの支部の神々が姿を見せる。
聞いたことがある有名神格ばかりだが。既にどの神々も、周囲と火花を明らかに散らしていた。
知っているのだろう。
ベテル本部の戦力が既に壊滅していることは。
至聖所は既に破壊され。
更にはあれだけの大規模な戦闘が発生したのだ。情報を知らない方がおかしい。
煌が混沌の悪魔達との戦闘で活躍を続けた事も知れ渡っているはずだ。その戦いで、ベテル本部が醜態をさらし続けた事も。
だからこれは、事実上の敗戦処理。
ベテルの瓦解を確認するだけの会議だ。
これが終われば、殺し合いが始まる。
いくつかの支部は、日本支部と同盟を結んでいる。だが、それもこれからは、大乱戦になるだろう。
気が重い。
「集まったようだな」
空から降りてくるのは、アブディエルだ。
傷が癒えきっているようには思えない。
だがそれでも、アブディエルはただ誇りを捨てずにいようと胸を張っていた。それがどれだけの虚勢であろうと。
狂信であろうと、正義を貫こうとした。
そこだけは、掛け値なしに評価できると煌も思っている。
アブディエルが会議の開始を宣言する。
神々は、一応話は聞いていた。
混沌の悪魔を既に一掃したことが最大の議題だ。
アリオクを倒して、混沌勢は魔界から組織的な戦力を失った。其処までアブディエルが言うと。
ゼウスが手を挙げていた。
「正確に頼むぜアブディエル。 混沌の悪魔の中で、あくまでつるんでいた連中を始末した。 それだけだろう。 俺等でも手を焼くベルゼバブはどこかに隠れ潜んでいる状態だし、何より活躍したのはそこのナホビノだ」
「……何が言いたい」
「色々とな。 おいヴァスキ。 てめえ等のボスはどうした」
「シヴァ様は貴様等ごときにはお会いにならぬ」
ヴァスキが傲然と言うが。
それを聞いて、オーディンが失笑する。
ヴァスキが威嚇の音を立てるが、オーディンが嘲笑混じりに言った。
「我らごときだと? おまえこそ、おまえごときが良くも出てこられたものだな。 ヴィシュヌが弱体化し、シヴァが怪しい儀式を始めているのは周知の事実だ。 インド支部も余程人手が足りぬとみえるな。 おまえごとき三下が出張ってくるとはな。 せめて体裁を整えようと思わなかったか?」
「おのれ私を愚弄するか!」
「実際そうだろ。 おまえ程度なんか、此処に混ざる資格もねえよ」
ゼウスも笑う。ヴァスキが戦闘態勢に入ろうとするが、いつの間にか背後に回っていたアブディエルがヴァスキの首筋に剣を突きつけていた。
ヴァスキは反応さえ出来なかった。
「会話は順番にするようにせよ。 ゼウス、話を続けろ」
「へいへい。 で、どうする。 ベテル本部がもう戦力を枯渇させているのも、ベテル本部のよりどころである四文字のクソ野郎がとっくに死んでるのも、ここの全員が知ってることだ。 いっそのこと、此処でバトルロイヤルと行くか? 全員がそうかは知らないが、少なくとも何柱かは創世を狙ってるだろ。 それだったら、邪魔は此処で排除したいんじゃねえか? 俺は一向に構わないぜ」
「そうだな。 私としては既に認めざるを得ないところだ。 我らが主はお隠れになった。 此処でそれをはっきりさせておこう」
「おう?」
ゼウスがあっさり認めたアブディエルに、逆に驚く。
アブディエルは丁寧に、魔王城が落ちた後に何が起きたかを説明していく。その説明の中で、ティアマトが復活した事を聞いて、何柱かの神は明確に困惑したようだった。
「ティアマトだと」
「今までアティルト界で半端な姿でいたことは知っているが、完全体でしかもアッシャー界に出てきたというのか」
「蛇の系譜の神としては最古参、しかも恐らく最強の神格だ。 これはこんなところで馬鹿話をしている場合ではないのではないか」
「静まれ」
アブディエルが言うと、騒いでいた神々が静かになる。
アブディエルは、丁寧に説明した。
「既にベテル本部はこの混乱を収拾できる戦力を残しておらん。 其処で、むしろ状況を収束させるべく、こちらで創世に対する事態を魔界化した東京で行えるように、手を打ちたい。 おまえ達も、自分の力になる人間が、世界規模で殺し合いを始めたり、あふれ出た悪魔が世界中の人間を殺戮し、信仰心が得られなくなるのは本意ではあるまい。 幸い現状、東京ではどれだけ戦っても人間に死者は出ない。 我らとしても、どれだけ主への信仰が薄れたとしても、民草が無為に死ぬのは避けたいのだ」
「おもしれえ事をいうじゃねえか。 冷血の権化みたいな鉄の女天使がよ」
「なんとでもいえ。 これを用意した」
三つのなにか。
それが、投げ渡される。
一つはゼウスに。
もう一つはオーディンに。
そして最後は、ヴァスキにだ。
「これらはそれぞれ、至高天につながる万古の神殿への鍵となっている」
「オイオイ、随分と大判振る舞いじゃねえか」
「持っていくがいい。 我らはこれから戦力を再編する。 座を狙うなら好きにすると良いだろう。 魔界の台東区に万古の神殿が出現する。 好き勝手にその辺りに陣でも敷くのだな」
しばし無言が続くが。
最初に動いたのはオーディンだった。
「ではそうさせてもらおう。 失礼させて貰う。 イズン! 貴様、そっちにつくということで良いのだな!」
不意に煌に声を掛けてくる。
イズンが、離れる気はないと言う。
一応具現化させる。
イズンはオーディンに対して、静かに言った。
「黄金のリンゴなくとも、当面は老衰死はしないはずです。 私はこの夏目煌に、未来の希望を見ました。 貴方にはそれが見えない。 此処で、袂を別ちます」
「そうか。 では戦場でグングニルのさびにしてやろう」
オーディンが消える。
グングニルか。
必殺必中の槍として名高いが、実は北欧神話で誰一人倒していない。同じく高名な雷神トールのミョルニルは、多くの巨人を打ち砕いてきているのにだ。
オーディンはあくまで自身が戦う神格ではない。
それを示すような武器である。
続けてヴァスキが言う。
「此処での事、シヴァ様に知らせなくてはならん。 失礼する」
「シヴァは浅草にいるんだったな。 てめえらとしても都合がいい場所での戦闘じゃねえか」
「黙れ。 貴様等など、シヴァ様の相手にもならぬ」
「ああそうかもな。 虎の威を狩る蛇程度はそう捨て台詞をいうのがせいぜいだよなあ」
ゼウスの言葉に、ヴァスキが怒りの表情を浮かべるが、それでもさっさと戻っていった。ともかく、渡されたものを守り抜く。
それを必須と考えたのだろう。
それにしても、シヴァの居場所。これは恐らくだが、敢えてゼウスは言ったな。それにアブディエルも、それを知った上で台東区を最終戦闘の場に選んだとみていい。
皆、シヴァを危険視していると言うことだ。
確かにルドラの秘法なんて使われたら、創世どころではなくなるのだから。
「じゃ、俺も行くわ。 じゃあな」
「……」
ゼウスも消える。
ため息をつくと、それぞれ支部の神々が消えていく。
悟劫は、それを見送りながら、煌に話しかけてくる。
「私は仏教支部の代表としてきたが、あまりにも酷い有様だ。 貴殿はこれをどう思われるかな」
「見るに堪えない。 それぞれが好き勝手なことだけを考えているようにしか見えなかった」
「そうさな。 ならば、貴殿が創世でこの状況を変えられよ。 何かしら、秘策もあるのであろう?」
「……そうだな。 最大限の努力はする」
力は貸せないが、アドバイスは出来る。
そういうことなのかも知れない。
悟劫が消えると、コンスが来る。
コンスだけではなくて、同盟を組んだらしい弱小支部の神々もだ。
既にアブディエルは、いつの間にか飛び去っていた。
戦う場合ではない。
そう考えたのかも知れない。
「事前の約束通り、私は創世を狙わない。 それでミヤズ。 エジプト支部で君を護衛しようか? 創世の戦いは、苛烈なものとなるはずだ。 命の保証は出来ないが」
「いえ。 私は戦います。 戦う力が今はある。 それに煌先輩は、とても理論的に物事を話せる人です。 そういう人が、野心的なだけの人よりも、座というものを扱うべきだと思いますから」
「そうか。 だが、君が座についてもいい。 それを忘れないようにね」
後でまた書状を送る。
やって貰うことがある。
そういうと、コンスも消えた。
越水長官はずっと黙り込んでいたが。やがて、雑多な支部の神々に、それぞれ指示を出す。
東京で、ツバメさんの支援をしてほしいという。
彼らは難色を示したが。越水長官が丁寧に説明をする。
煌が一神教の理を復活させることはない、と。
少なくとも多神教をベースにしたものとなるはずだ、とも。
煌はそれについてはその通りであるので、頷く。それを見て、明らかに力が足りない神々は、安心したようだった。
東京の守りは、これでいいだろう。
後は、台東区に乗り込むだけだ。恐らくは地獄絵図と化しているだろうが。
越水長官が手を叩いて、皆を集める。
そして、指示をくれた。
「これから天津の神々と連携して、台東区の状況を探る。 アブディエルは意図的に、面倒な形で至高天への道を分散した。 これは恐らくだが、どの勢力にも好機を作るためだとみて良いだろう。 それは現在の弱体化しきったベテル本部……いや既にそれも存在はしないがな。 ともかく、天使達にもそれは同じだ。 このままであれば、天使達は真っ先に神々に総攻撃を受けて、鍵を奪われていただろう。 それを避けるための処置でもあったのだ」
「あんな奴らが、神々なんですね」
イチロウが悔しそうに言う。
だが、すぐに顔を上げていた。
「俺、あんな身勝手な奴らに、好き勝手させたくないです。 俺みたいに弱くて意志薄弱な人間は世界にたくさんいる。 あんな奴らが世界のルールを握ったら、みんな奴隷にされる。 弱い奴は生きる資格がないっていうのは、動物の理屈だと俺は思います。 いや、動物でさえそんな簡単な理屈じゃ生きていない! だから、せめて人間の理屈で、人間の世界が回る世の中が来てほしい! 煌、おまえ、それやってくれるか。 やってくれるなら、俺、おまえのために命賭けて戦うよ」
「無論だ。 勿論創世で出来る範囲で、だが」
「……僕からも提案がある。 僕は多様性が真に担保される世界が来てほしいと思っている。 今の時代は、多様性といいながら、人権を食い物にする連中が多様性を定義して、それを押しつけている時代だ。 そのような連中が好き勝手しない、真の意味で多様性が認められる世界が望ましい」
「分かっている。 それもどうにかする」
煌は分かっている。
鍵は、座には多数の神格がつけるということだ。
それを利用すれば。
ただ、まだもう少し練る必要がある。
漠然とした理をしいても、世界は良くならないだろう。だが、分かっている。あの夢で見た。
恐らくだが、今の煌には。
いくつもの平行世界の記憶が流れ込み始めている。それをどこかしらのタイミングで、決定的に出来れば。
平行世界で苦労した全ての経験と記憶を。
自分に取り込めるかも知れない。
あの夢は、夢じゃない。
夢だと考えるのはあまりにもおかしすぎるのだ。
或いはだが、数多の平行世界でうまくいかなかった無念が、自分に収束してきているのではないのか。
他化自在天は、平行世界が見えると言っていた。
他化自在天ほどの高位神格がそうなのだとすると。
更に高位の素戔嗚尊はどうなるのか。
煌には、それが無為には思えないのだ。
「越水長官。 これから貴方はどうなさるつもりですか」
「私か? 私はな、本来であれば君と創世を争うつもりであったよ。 負けてもそれは仕方がないという理屈でな」
「……」
「だが、君が示した道。 座には必ずしも単一神格が着くわけではないという理屈は、大きな希望になった。 無駄な血を流さないことが未来のためには大事だ。 今の世界は確かに詰みかけている。 それを改革するのには、いっそ創世による人間の精神への働きかけが大事だ。 恐らくだが、人間一人がそれをやろうとしても無駄だ。 だが、人間を超越した存在がやるのであれば、話は変わってくるだろうな」
誰がどう生きるかは、それぞれが決める。
その言葉は人間のあり方としては良いだろう。
ただし、そう決められる人間は多くはないのだ。残念なことに。
だから一神教は世界中に広まった。
神の言葉を疑うな、ただひたすらに信じて反芻せよ。
それは意思を持ちたくない人間にはあまりにも甘露であったからだ。
人間はちょっとやそっとでは代わらない。
都市文明を構築してたったの一万年だ。
まだ新種が出るには早い。
だから、人間がせめて宇宙に出て、地球そのものの環境を整えて。未来を作れる存在になるまでは。
誰かが面倒を見なければならないのだ。
それは傲慢でも何でもない。
ただ現在の世界を見る限り、どうしようもない現実。
そして面倒を見るのは、人間では無理だ。
覇王として名高いチンギスハンやアレキサンドロス三世ですら無理だったことだ。
皆で考えて解決策を出す。
それをするには、残りの時間も。
この我欲にまみれた世界の環境も。
どちらも足りていないし、向いていないのである。
「私は座を巡る争いからは降りる。 今、話しておこう。 私の半身は君だったのだ」
「僕ですか!?」
ユヅルが声を上げる。
そうだ、と越水長官は少し寂しそうに言った。
この様子だと、ひょっとすると。
越水長官が望む世界が、平行世界に存在したのかも知れない。だが、それをかなえるよりも、更にいい可能性が見えた。
だから託してくれるのだとすれば。
煌としては、責任が重い。
「ツバメくんには、東京を守って貰う。 私は台東区に拠点を作り次第、スタッフを集めて最大限のバックアップを開始する。 敦田ユヅルくん。 敦田ミヤズくん。 太宰イチロウくん。 磯野上タオくん。 後はここにいないが尋峯ヨーコくんもだな。 君たちは、夏目煌くんをバックアップし。 創世を手助けしてやってくれ。 その過程で、座に着きたいと願う神を選別してほしい。 座を独占したいと考える神、この後の世界の主導権を握りたいと考える神は、ことごとく排除してくれ。 この先は、そういった野心家が座についても、残り少ない地球の寿命を縮めるだけだ」
これについても、以前話した。
既に地球の人口は地球の資源で支えきれない段階に到達している。しかも今の国際情勢では、宇宙に出るよりも資源を食い潰す方が明らかに早い。
宇宙に生活圏を構築し。
せめてアステロイドベルトまで進出し。
技術を発展させ、地球の環境を回復させながら。他の星にもコロニーを作る。
そうしないと、人類の滅亡だけでは事はすまない。
この地球は人類の私物ではないのだ。
人類の後に出現する生物に迷惑を掛けるわけにも行かない。
現在地球で生態系を構築している他の生物にも、これ以上人間の身勝手な迷惑を掛けるわけにもいかないのだ。
それらは以前話をした。
そこまで考えているのかと、イチロウには驚かれたが。
本来は、これくらいは考えているべきである話だ。
煌が別に頭が良いわけでもなんでもない。
今の時代は、金さえ稼げれば何をしてもいいみたいな事を経済誌が煽り散らかしたせいで、いい年をした大人が、それを本気で実行するようになってしまっている。普通の企業レベルですらそうなのだ。
馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
このままでは、経済活動の美名の元に、世界……少なくとも人間の手が届く範囲の世界が全て終わるだろう。
そんなことは回避しなければならない。
座に着くことでそれが出来るのなら、煌は躊躇なくそれをやるつもりだ。
「それでは皆、台東区での戦闘に備えてくれ。 確実に戦闘になる。 それも、今までよりも更に格上の、各地の主神クラスが出てくる。 今の君たちでも厳しい相手だ。 油断は絶対にするな」
越水長官がそう言い。
皆が、はいと答えていた。
原作だとこのイベントが決定打になって、創世の女神編のイチロウ君は闇落ち(というか光落ち)してしまいます。それはまあ、世界でも有名な神々がエゴ丸出しの言動をしてくれれば、それは色々と期待をへし折られてしまいますよねえ。
本作ではそもそも側に煌君がいましたし、それ以前に皆で色々な経験を積み、マンセマットに好き勝手されることもなかった。
結果、イチロウ君は変貌せず。以降も皆と行動をともにすることになります。
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