真女神転生VV二次創作 牛蛇相克   作:dwwyakata@2024

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4、暗躍する者

鍵を手にして、そして。

 

台東区で潜伏を開始したベルゼバブは、接近してくるそれに気づいた。

 

まあ元は同輩だ。

 

相手が最大限拡大解釈されたと言うだけで、本来は同輩。むしろこちらが格上くらいの存在ではあるが。

 

とにかく四文字の神が倒れた今は、相手の方が格上になるのか。

 

砂漠の中で、対峙する。

 

互いに、超大物悪魔、ということになるか。

 

ベルゼバブの前に降り立ったそれは、話しかけてくる。

 

「久方ぶりだな、蠅の王」

 

「ふっ、そちらこそ。 告発者」

 

「その鍵をどうするつもりか」

 

「これはルシファー様の指示でな。 ろくでもないナホビノが創世をするのを防ぐように、とのことだ。 あの最後の戦いで、何が起きるのかを事前に知っていた節があった」

 

鍵を見せる。

 

鍵と言っても、それは霊的なものだ。

 

ある意味ポリゴンのように幾何学的で、不定型で、形が常に変わり続けている。

 

この鍵はアッシャー界に半端な形で具現化した情報体で、三つあわせないと機能を発揮しないのである。

 

それに機能を発揮したところで。

 

アティルト界とアッシャー界の狭間にある万古の神殿へ入れるようにするだけ。

 

悪魔の一部は既にあそこへ入り込んでいる。

 

「そうか、相変わらず忠義が篤いことだ」

 

「それはどうも。 で、そちらは。 あの鴉どもを操ったり、セトを招こうともしていたようだが」

 

「私も同じでな。 ただ私の場合は、創世を行う者が多い方が、よい創世を行える可能性が上がる。 そう判断していた」

 

「ふむ……」

 

ベルゼバブより、一段上の考えか。

 

まあそれはいい。

 

ベルゼバブには、自身が創世をするつもりはない。今目をつけている日本支部のナホビノ。夏目煌とか言ったか。

 

それが創世をするのであれば、力を試し。

 

力が本物であるのだったら、この鍵などくれてやるつもりだ。

 

もっともその前に、馬鹿げたことをしているシヴァをしばき倒さなければならないだろうが。

 

「ティアマトがよみがえったことで、状況は一段階複雑になった。 貴様はどう考える、蠅の王」

 

「おまえがやらせていたことではないのか」

 

「サマエルをたきつけたが、あそこまでうまくいくとは思っていなかった。 サマエルだけでは到底うまくなどいかなかっただろうな。 あれはカディシュトゥを率いていたリリスが有能だったのだ」

 

「どうだか……」

 

鍵をもてあそびながら、ベルゼバブは相手の意図を伺うが。

 

どうにも読めない。

 

告発者、か。

 

実際には本来其処までの存在ではない。

 

少なくとも同じ一神教関係者の悪魔と言うに過ぎず。それも人間の解釈で曖昧極まりない。

 

少なくともこのような異常な力。

 

どうして手にしているか、ベルゼバブは知らない。

 

いつの間にかこれほどまで力を増していた。

 

そうとしか言えないのだ。

 

ルシファー様も、ベルゼバブにどうしてこのような事がこの存在に起きたのかは分からないと言っていたっけ。

 

アティルト界には或いは。

 

ベルゼバブですら知らない、まだよく分からない深淵の深淵が存在しているのかも知れなかった。

 

「それで、貴様はこれからどうする」

 

「まずナホビノがシヴァを倒せるかどうかを見極める」

 

「……それはワシも同じだが、残念だが今の力では厳しかろう。 先にワシが試験をして、なんならマガツヒもくれてやる。 半端な力で無理をしているヴィシュヌや、不平満々なインドラも餌にしてやれば、ギリギリ力が届くか?」

 

「献身的なことだ。 まああのくだらん四文字の神の理がまた敷かれるリスクを考えると、あの合理的で極めて建設的にものを考えているナホビノが座に着くのがベストではあるがな」

 

互いに、アッシャー界での死などどうとも思っていない。

 

負けたところでどうでもいい。

 

それが確認できれば充分だ。

 

奴が、告発者がベルゼバブの前から飛び去る。

 

砂漠に鎮座したままのベルゼバブは、鼻を鳴らしていた。

 

「閣下、貴方は結局ワシにもその真意を話しませんでしたな。 或いは今座に仮についている貴方のところにナホビノが来た時、その全てを委ねるつもりであるのでしょうかな。 それはそれで構わないとしても。 せめてワシくらいには、話をしてくれても良かったでありましょうに」

 

愚痴が漏れる。

 

ベルゼバブだって心はある。

 

長年仕えてきた相手だ。

 

信頼されていないとは思っていないが、それでも人間のように少しばかり寂しいとは思うのである。

 

それにもともとベルゼバブはバアル由来の悪魔だ。

 

今更バアルの理による創世など、願わない方が良い。

 

それについては、自分でも整理が出来ていた。

 

さて、後はナホビノがどのように動くかを見極める。

 

今度の創世では、座にナホビノだけではなく、複数の人間が向かう可能性がある。それはそれで、また面白い話だ。

 

イレギュラーだらけの状態だが。

 

平行世界を見る限り、必ずしもない、とは言い切れないようだが。

 

「見つけたぞ!」

 

周囲に降り立ったのは、これはヴィシュヌの麾下のインド神話の神々か。殺気立っているようである。

 

まあいい。

 

暇つぶしには丁度良いだろう。

 

「運が悪かったなあ貴様等」

 

「それは貴様だ。 ヴィシュヌ様がまもなくこちらに来られる。 貴様など万が一も勝ち目はない!」

 

「それは完全状態のヴィシュヌであったら、であろう。 ワシの前に、貴様等みたいな虎の威を狩る狐がなんぼ出てきたところで、餌にしかならぬわ」

 

後は虐殺になる。

 

ただ、ヴィシュヌがガルーダ辺りを連れて出てくると面倒だ。負けるとは微塵も思わないが、消耗はしたくない。

 

雑魚をまとめてなぎ払ったあと、ベルゼバブは居場所を変えることにする。

 

しばらくは台東区をふらつくことにするか。

 

あの夏目煌とか言うナホビノが、適切な力を得て。

 

鍵をそろえようと動き出す時を待つために。

 

 

 

(続)







はいというわけであいつが登場です。

ベルゼバブと元同輩。更には告発者という呼び名。

ほとんどの事件の裏で糸を引いていたのは此奴です。もっとも、創世のための準備が要因ではあるのですが。

人間の遙か高みから、場をコントロールしようとするこの者は。

まだ色々と暗躍することとなります。




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