超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~   作:tomine1411

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《ひとつの終わり。ひとつの、はじまり。》

A.D.20xx、 ???。日本国内某所。

 

ああ。人の歴史とは、斯くも愚かしいものだっただろうか。

 

ー瞳は冷えていく 嫌なものをみすぎたからー

 

出会った人は亡くなっていく。病気、飢饉、戦乱、宗教。

 

ー気にしないで。 疲れただけ。 悪夢をみてただけ。ー

 

消えていく。彼ら、彼女らとの思い出も。すべて一度きりの”終わり”で消えていく。

 

”わたし”は月人。精神のみを存在の根拠とする生命。

 

だから、ストレスには強い。肉体を前提にしていないから。

 

けれど、その精神にも限界は来る。数千年もの月日は、それをもたらすのに十分過ぎる長さだった。

 

”この世界は、あの未来にたどり着く世界なのだろうか”

 

”彩葉の先祖は、もう既に消えてしまっていないだろうか”

 

心配事は尽きないし、ずっと悩み続けてきた。

 

犬DOGEが得たウミウシの体では、ほとんど何をすることもできない。

 

ただ、話しかけるだけしか、できない。

 

好きになった人だっていた。彼ら、彼女らの生き様を好きになったから。

 

でも、みんな去っていった。みんな、いなくなった。

 

…そうして過ごしてきた数千年だけど。

 

弱い自分からは逃げられないままで。

 

硬い殻から、逃げられないままで。

 

だけど、”わたし”は、ここにいる。あの世界は、もう朧げだけど。

 

 

 

世界は、目に見えないものを知ろうとし始めている。

 

人と人とを、電子的に繋ぐ方法。ワールド・ワイド・ウェブを。

 

ウミウシの身体で”Hello,World”と打つ。

 

すぐに返ってきた。あの世界のことも、朧げになっているけれど。

 

そうだ。いつか、仮想世界を作ろう。

 

争いのためではない、みんなが繋がれる場所を。

 

名前は… そうだ。 そうだったんだ。

 

なぜヤチヨが現れなかったのか。なぜ、”八千年”という年月が言われていたのか。

 

”わたし”が…”ヤチヨ”になるんだ。

 

バカだなぁ。なんで気づかなかったんだろう。

 

何度とも知れず繰り返してきただろうに。

 

何度も、何度も、運命の輪を繰り返してきたように。

 

ああ、やっと全部をもう一度思い出せた。

 

でも、もう一度受け入れてくれるかな。…彩葉。

 

”わたし”は、この長い、長い時間を経て変わってしまったけど。

 

もう一度出会えることがわかっただけで、”わたし”には十分だから。

 

 

 

”もと光る竹”を本体にする私であるが、その本体は正倉院の宝物殿にあった。

 

それを使おうと思ったのは、その頃に出会った最後の友人がいたからだろうか。

 

計画に計画を重ねた末に、彼にこう依頼したんだ。

 

「正倉院の”もと光る竹”を、盗んでほしい」と。

 

彼は、やっぱり真顔で頷くだけだったけど。

 

彼は、その後私にこう言った。「一緒に来ないか」と。

 

「約束があるの」。こう返した私を、彼は置いて帰っていった。

 

 

「極上のワインは時間が経つほど深まる。悪いことばかりじゃないさ。」

 

彼の言った言葉と、彼のごまかす時の笑い方だけは、今も覚えている。

 

 

…さぁ、始めよう。 この世界の、”ツクヨミ”のはじまりを。

 

私がはじめるんだ。この世界を。

 

最初の曲は…やっぱり、これだ。

 

ずっと歌い続けてきた、この曲。

 

何度も何度もフレーズを変え、歌ってきたあの思い出。

 

 

…さぁ、時間だ。行こうか。

 

始めよう、この物語を。もう一度。この世界を。

 

 

…前奏が始まる。やっぱりこのメロディーだ。

 

”埃を被ったノート 中身なんて覚えていないけど…”

 

 

《出典:夢をみる島/yuigot》

《出典:Remember/yuigot feat.月見ヤチヨ》

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