超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~   作:tomine1411

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《とある夜更け、ツクヨミの裏側で。》

(注:独自設定が含まれます)

 

A.D.203x。仮想空間ツクヨミにて。

 

仮想空間、ツクヨミ。

 

創作を楽しむ人々のために作られた、クリエイターにとっての理想郷とも言われるVR空間。

 

当初から最新技術の粋を固めて作られたとされ、その精度や世界観は世界で広く親しまれている。

 

...しかし、それは。広く親しまれているということは。

 

逆に言えば、常に攻撃の標的になっているとも言えてしまうのである。

 

ツクヨミには、数多くの技術やとてつもないマシンパワーが投入されている。

 

その中で最も秘匿されるべきものは無論"もと光る竹"やその正体(**の**往還船)

であるのだが、それ以外にも守るべき対象は多い。

 

なにせ、このツクヨミ連結体(ツクヨミ・ネクサス)において運用されているサービスの多くは

 

現在の日本政府や国民生活にとって必要不可欠なものとなりつつあったためだ。

 

例えば、ふじゅーPay。この通貨は、ツクヨミ内において"誰かの感情を動かしたことで"手に入る。

 

という既にオーパーツじみたものであるふじゅーを現実世界においても利用できるようにしたものである、のだが。

 

この支払方法、いつの間にか(偶然ですよ...?)日本の経済を占拠する勢いで拡大しており、

 

その手段が攻撃されたという事実がこの国を傾けかねない(だから偶然ですって)ということになっていたのだ。

 

このため、愉快犯から海外国家などから日夜様々なアプローチでツクヨミ連結体(ツクヨミ・ネクサス)は攻撃を受けており、

 

日々何物かの手によって対処が行われているのである。

 

さて、閑話休題(それはともかく)

 

結局のところ、ツクヨミにおいてのセキュリティ対処はどうなっているのだろうか。

 

今回は、それについてある一夜の風景から読み解いていこうと思う。

 

- ある夜 ツクヨミ某所 セキュリティ統括室にて-

 

JST(GMT+9)22:00、日本時間では間もなくゴールデンタイムといったこの時間。

 

ツクヨミのセキュリティ統括室は、珍しく平穏であった。

 

このセキュリティ統括室で働く人間は、そこまで多くはない。

 

なにせこのツクヨミに関わるスタッフ自体、ほとんどが縁故採用か直接推薦によるものだからだ。

 

このため、この時間に居た生身の人間は1人だけだった...のだが。

 

それが故に、彼は地味に面倒な部類の事態へ巻き込まれることとなったのである。

 

...この時間、実はヤチヨはスリープ中であった。

 

時間が悪く、この時のスリープは明日の午前6時頃までかかる見込みだったのだ。

 

このため、この時間は人間のスタッフをメインにしつつサブにFUSHIが付く運用をしていた。のだが。

 

「不審なトラフィックを探知、発信者探知開始した」

 

FUSHIの報告の声。追跡モードに入っているトラフィックを確認、特定。

 

「1次配信元サーバに対して全トラフィック再検査を指示」

 

音声コマンドで指示を出す。その間も、手は常に動きっぱなしだ。

 

該当トラフィックのコピーに対して、隔離環境での検証を開始。

 

同時に、トラフィック経路を意図的に分割することで他ユーザへの影響を防ぐ。

 

「...なんだ、これ?」

 

声が、漏れる。トラフィックの正体がまるで掴めない。

 

構造的に1と0でできているのは事実なのだが、それにあるはずの法則性が見えないのだ。

 

パケットに対する法則性診断はFalse/5%。通常のパケットとしての部分を除いて既知ではない。

 

これは凡そあり得ないことである。いくら特殊な言語を使ったとしても、普通はどこかの言語と既知の点が出る。

 

ツクヨミの自動法則検出プログラムは優秀だ。ここ数年ここで監視要員兼検証要員として働いてきたが、

 

こんな結果が出たのを見た覚えがないほどなのだ。

 

性質解析も実施中だが芳しくない。さて、これはどこから来たのだろうか。

 

「FUSHI、追跡状況は?」

 

「現在解析中だが全くわからない、これ既知のアドレスじゃないぞ!」

 

予定外の答えだ。これまでFUSHIが辿るのに苦労したアドレスこそあれ、辿れなかったアドレスはないはずなのだ。

 

「トラフィックBANは?」

 

「何度か試したがダメだ、対象を追いかけ切れてない!」

 

「法則性ベースでの検索は!?」

 

「通常系のファイアウォールがそんなに高機能なわけあるか!?」

 

...やっぱりだ。相手方はこちらを見ようとしている。

 

...なぜだ?今であれば別にスマコンを利用すればツクヨミに入ることは不可能ではないはずなのに。

 

...やはり、ヤチヨに聞くしかない、か。

 

「ヤチヨのスリープ解除は?」

 

「最低でもあと4時間!」

 

...ああ、全くもって最低だ。

 

幸いにも攻撃性がないとはいえ、未知のアドレスから届いているトラフィックに対して

 

こちらからはどうしようもないとは。

 

せめて、報告書を書いておこう。

"よくわからないところから謎のトラフィックが送られてきました、追跡もできていません"と。

 

...ああ、後が面倒そうだ。

 

大変に、後が面倒そうだ。

 

...すべてが終わったあと、ヤチヨの影をどこかで見た気がする。

 

翌朝には何も覚えていないが、何があったのだろうか。

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