超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~   作:tomine1411

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《ヤチヨ式"力技"ってやつ?》

A.D.203x。ヤチヨ城天守閣、ヤチヨのプライベートスペースにて

 

「ヤチヨもこーゆーの作るんだねぇ...」

 

「ヨヨヨ...ヤチヨは不甲斐ないのですよ...」

 

ヤチヨ城、天守閣。普段はヤチヨとFUSHI以外誰もいない場所であるが、

 

今日はそうでもないようであった。

 

(なお、補足までにだが。何故彩葉がこの場所に来ないかといえば、彩葉は基本的に

あのボロアパートの方に直接向かうことがほとんどのためである。)

 

皆さんご存じ、酒寄彩葉(いろP)である。

 

さて、何故彼女がここにいるのかと言えば。

 

「ツクヨミへの五感実装、その課題がまさかこれとはねぇ」

 

そう。ツクヨミを構成するコードの問題であった。

 

...まず、情報を整理しよう。

 

まず、ツクヨミの主要な演算はすべて「もと光る竹」によって行われている。

 

また、「もと光る竹」は一種の量子演算機(いわゆる量子コンピュータ)であり、

 

アーキテクチャが大きく異なる通常のコンピュータ向けの処理や言語は非効率となる。

 

このため、ヤチヨはツクヨミの基幹システムを中心に月人系の言語を利用していたのである。

 

ただし、問題があった。

 

月人由来だけあって、言語を理解するのにまず月人系の知識が必須。

 

また、処理体系についても既存のものとは大きく異なり、コードの追加が困難であったのだ。

 

ある例外(8000年分の知識を得た彼女)を除いて。

 

そう。彩葉のことである。

 

このため、最近の彩葉は奥の手として基幹システムに触れられる場(ツクヨミのプライベートルーム)

 

に引きこもることが日常となっていたのである。

 

そうして月のシステムをようやく理解した彼女の言葉が、

 

さっきの言葉だったというわけだ。

 

「当時の私には余裕がなかったからねぇ...動くものを作るだけで精一杯だったのです」

 

「まぁ理解はできるんだけどね...」

 

月でも天才と言われていたかぐやだ、こうしたコードを書くのは得意だったのだろう。

 

ただ、送還された経緯を考えるとその癖の強さにも想像がつく。

 

なんなら月と違ってデバッグ体制すらなかったのだ、動いていた方がもはや奇跡的とすら思える。

 

ただまぁ、それは現在免罪符にはならない。

 

「それはそれとして、だね。」

 

「ヨヨヨ...デスマーチ確定...」

 

それはそれとして、コードの再整理と機能拡張性の付与は必要不可欠であった。

 

目的のためにも、ツクヨミのこれからのためにも、である。

 

「まぁ、私も手伝うから。元気出して」

 

「ありがとうね、彩h...待って?」

 

待って。彩葉の今の空き時間ってほとんどないんじゃ...

 

「ん?」

 

「彩葉、今睡眠時間どれくらいにしようって思ってたの?」

 

「5時間くらいあれば十分だと思ったんだけど...」

 

やっぱり。

 

「ダメだよ彩葉、ただでさえ最近無理してるんだから。」

 

「でも...」

 

「でもじゃない。そうやっていなくなった人を、私はずっと見てきたから」

 

だからいつも、あなたのことが心配なんだよ。彩葉。

 

「わかった。仕事の方少し減らすね」

 

説得に負けた彩葉は、どこかに電話をかけ始める。

 

相変わらず、決めたことには全力なのがかわいいんだよねぇ。

 

「...はい。ありがとうございます。失礼します」

 

電話が切れたところで、静かに後ろから抱き着く。

 

「わっ!?」

 

慌てる彩葉だったけど、すぐにこっちを抱き返してくれた。

 

ずっと、一緒だからね。

 

言葉にはしなかったけど、それで十分だった。

 

「無理しないでやっていこう?まずは一休み」

 

「...そうだね、ヤチヨ。」

 

少しくらいは、いいか。

 

そんな風に、彩葉の唇が動いた気がした。

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