超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~   作:tomine1411

21 / 34
《Ⅵ:"未来"(あした)への、はじまり(A.D.204x。夏)》
《奇跡前夜、あのマンションで。》


(注:独自設定が含まれます)

A.D.204x、???。東京某所。

 

...思い出す。この部屋にいるとどうにも、"あの子"(かぐや)のことを思い出す。

 

無意識に彼女の面影を探してしまう。

 

まだ|もう、ここにはいないのに。

 

そうだ。そのために"わたし"はここまで走ってきたんだ。

 

あの暖かさを、取り戻すために。

 

10年前に失った彼女(かぐや)を、取り戻すために。

 

10年前、あの満月の日を思い出す。

 

彼女(かぐや)が、連れていかれた日。

 

そのあとは...怒涛のような日々だった。

 

吹っ切れて。返歌(Reply)の続きを歌って。

 

FUSHIに連れられて真実を知って。

 

"ヤチヨ"(かぐや)の、思い出(八千代の記憶)を知った。

 

「私、やりたいことができた!ほんとのハッピーエンドまで、付き合ってよね!」

 

そう言い切ったことを、今も覚えている。

 

ああ。私はどうにも諦めが悪かったのだろう。

 

いや、かぐやの習慣が乗り移っただけだろうか。

 

...そういうことにしておこう。

 

...あの日々は、とても眩しかったから。

 

私には真似できないほど、明るかった。

 

無邪気で、明るくて、何にでも立ち向かって。

 

でも、最後には運命を諦めてた。

 

そんな姿が、私には眩しかったんだ。

 

親と離れようとして東京に行っても結局東大志望。

 

親のレールに乗せられたままだった。

 

親の言葉に縛られて、親の意見に縛られて。

 

ずっとずっと、運命のままに行くしかないって思ってた。

 

...そんな私には、抗おうとする姿が、とても眩しかったんだ。

 

...明日は、きっと、大丈夫。

 

YC型での先行テストも実施済み。

 

FUSHIに協力してもらって、一時的な記憶ブロックによる"かぐや"の再現も問題なし。

 

...まぁ、意識を身体に繋いだわけじゃないから、実際のところは微妙なものだけど。

 

かぐやを現実に連れ戻す。ここからが始まりなんだ。

 

私は、かぐやを"本当の意味で人間にしたい"。

 

生まれて、成長して、輝いて、老いて、死ぬ。

 

不老不死は、もうこりごりだろうから。

 

...そして、ヤチヨだ。

 

ヤチヨが大切にしているこの世界を、私も守りたい。

 

でも、守り続けるためには人間の寿命は短すぎる。

 

人のままでは、いつかヤチヨを置いていくか、ツクヨミを置いていくことになる。

 

なら、どうするか。

 

答えは、決まっていた。

 

私とヤチヨの、コピーを作る。

 

そのために、私は"わたし"を構成する要素のすべてをあらゆる方法で観測してきた。

 

そして、それらの情報をヤチヨベースの電子生命体として誕生させる。

 

これで、最低限だけどヤチヨとツクヨミ、両方を置いていかない方法ができた。

 

勿論、こんな方法ですべて救えるとは思っていない。

 

でも、私は。私だけは、かぐやを人間にしてあげたい。

 

それが、私が最後にできることなのかもしれないのだから。

 

最後に。一つだけ、後悔がある。

 

旅立つあの子に、ちゃんと返事をしてあげられなかったことだ。

 

でも、私はもう振り返らない。

 

進んでいく。2人...いや、3人の未来のために。

 

...そろそろ寝よう。明日の朝は早い。

 

夢を見た。かぐやと過ごしていた頃の、夢だった。

 

月は、中天に輝いていた。満月では、なかったけれど。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。