超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~ 作:tomine1411
《奇跡前夜、あのマンションで。》
(注:独自設定が含まれます)
A.D.204x、???。東京某所。
...思い出す。この部屋にいるとどうにも、
無意識に彼女の面影を探してしまう。
まだ|もう、ここにはいないのに。
そうだ。そのために"わたし"はここまで走ってきたんだ。
あの暖かさを、取り戻すために。
10年前に失った
10年前、あの満月の日を思い出す。
そのあとは...怒涛のような日々だった。
吹っ切れて。
FUSHIに連れられて真実を知って。
「私、やりたいことができた!ほんとのハッピーエンドまで、付き合ってよね!」
そう言い切ったことを、今も覚えている。
ああ。私はどうにも諦めが悪かったのだろう。
いや、かぐやの習慣が乗り移っただけだろうか。
...そういうことにしておこう。
...あの日々は、とても眩しかったから。
私には真似できないほど、明るかった。
無邪気で、明るくて、何にでも立ち向かって。
でも、最後には運命を諦めてた。
そんな姿が、私には眩しかったんだ。
親と離れようとして東京に行っても結局東大志望。
親のレールに乗せられたままだった。
親の言葉に縛られて、親の意見に縛られて。
ずっとずっと、運命のままに行くしかないって思ってた。
...そんな私には、抗おうとする姿が、とても眩しかったんだ。
...明日は、きっと、大丈夫。
YC型での先行テストも実施済み。
FUSHIに協力してもらって、一時的な記憶ブロックによる"かぐや"の再現も問題なし。
...まぁ、意識を身体に繋いだわけじゃないから、実際のところは微妙なものだけど。
かぐやを現実に連れ戻す。ここからが始まりなんだ。
私は、かぐやを"本当の意味で人間にしたい"。
生まれて、成長して、輝いて、老いて、死ぬ。
不老不死は、もうこりごりだろうから。
...そして、ヤチヨだ。
ヤチヨが大切にしているこの世界を、私も守りたい。
でも、守り続けるためには人間の寿命は短すぎる。
人のままでは、いつかヤチヨを置いていくか、ツクヨミを置いていくことになる。
なら、どうするか。
答えは、決まっていた。
私とヤチヨの、コピーを作る。
そのために、私は"わたし"を構成する要素のすべてをあらゆる方法で観測してきた。
そして、それらの情報をヤチヨベースの電子生命体として誕生させる。
これで、最低限だけどヤチヨとツクヨミ、両方を置いていかない方法ができた。
勿論、こんな方法ですべて救えるとは思っていない。
でも、私は。私だけは、かぐやを人間にしてあげたい。
それが、私が最後にできることなのかもしれないのだから。
最後に。一つだけ、後悔がある。
旅立つあの子に、ちゃんと返事をしてあげられなかったことだ。
でも、私はもう振り返らない。
進んでいく。2人...いや、3人の未来のために。
...そろそろ寝よう。明日の朝は早い。
夢を見た。かぐやと過ごしていた頃の、夢だった。
月は、中天に輝いていた。満月では、なかったけれど。